熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

鎮守の森のヤブツバキを思い出す

2024年04月03日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   椿に魅せられて栽培を続けて久しいが、私の椿に対する記憶は、もう何十年も前の幼少期に始まる。
   特に印象に残っているのは、村はずれの神社の境内にあったヤブツバキの大木で、落ち椿が地面を鮮やかに赤く染めていたのを覚えている。
   鎮守の森のヤブツバキである。
   参道の両側を、椿の鬱蒼とした大木に覆われると薄暗くなるほどで、何故だか、椿と言えば大木のイメージしか残っていないのが不思議である。

   この口絵写真は、わが庭に植わっているピンク加茂本阿弥の実生苗の赤い椿だが、一寸違うが良く似た雰囲気の椿であり、赤い一重の花弁と黄色い筒蘂が特徴である。
   今でこそ、園芸種が多くなって、このヤブツバキを見かけることが少なくなったが、あの頃、宝塚の田舎で植わっていた椿は、総べてと言って良いほどヤブツバキであった。
   関東に来てからは、公園や住宅の庭などで、ピンクの乙女椿を見かけることが多くなったような気がしている。
   佐倉にいた時に、城址公園で昔見たヤブツバキの大木群を見て、懐かしくなった。

   このツバキは、青森県の夏泊半島の椿山が北限で、南限は沖縄の西表島から台湾に及んでいて、学名は、カメリア・ジャポニカ、
   安達瞳子さんは、
   世界数千に及ぶ園芸品種の内、3分の2は、このジャポニカの赤い血が流れている。とくに優れた諸形質を持っているためであろう。我が国が誇るべき常緑の花木であり、世界の母樹である。と言っている。
   花弁の赤色はバリエーションがあるようで、白花もあるという。
   わが庭での実生苗は、すべて雑種だろうが、朱色や赤色が濃くて深みのある花が咲くと嬉しくなる。
   
   

   椿は、他家受粉植物なので、虫媒花であり鳥媒介によって絶えず自然に新種が生まれており、育種家の交配によっても新しい椿が作出されているので、どんどん園芸品種が増えていくのであろうが、遺伝子組み換えはどうであろうか。
   青いバラのように、青い椿が生まれるかも知れない。
   尤も、新種に興味を持つ歳でもなくなったので、今付き合っている椿を大切にしたいと思っている。
   
コメント
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