熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ディズニー映画「ウォーリー」

2009年01月03日 | 映画
   新年最初に、孫を伴って見た映画が、ディズニーの「ウォーリー」。
   29世紀の地球で、700年間たった一人(?)で、荒れ果てた地球上で、黙々と働き続けるごみ処理ロボットウォーリーの物語である。
   荒涼とした地球の鉄くずを、体に一杯詰め込んでプレスして、直方体のスクラップの塊にして積み上げた風景が、廃墟となったニューヨークの摩天楼のようで不気味である。

   寂しさを紛らわせるために、好きな「ハロー・ドーリィー」のビデオを見ながら楽しく踊る男女の姿を思い描きながら憩うのが唯一の楽しみ。
   ところが、ある日、大地から芽吹いた一本の木の幼苗を発見して、大事に小さな鉢に植え替えて体に取り込む。
   それから程なくして、閃光とともに宇宙から、真っ白に美しく輝くロボット・イヴが現れ、ウォーリーは、たちまち恋に落ちる。

   恋が実らないまま、ある日、イヴが飛来した宇宙船に攫われてしまうので、ウォーリーは、必死になって後を追って宇宙船に潜り込み、壮大な宇宙を飛び越えて未知の世界へ紛れ込む。 
   宇宙空間に浮かぶ人口の小惑星とも言うべき巨大な有人宇宙船で、700年前に、荒れて廃墟と化した地球から逃げてきた人類たちの住処だったのである。
   小さなゴンドラのような移動イスに乗って生活する丸々と太った人間たちが、超モダンな住空間で生きる姿を空想的に描いているのだが、去勢されて窒息しそうな生き様が象徴的で面白い。

   イヴは、植物が生息しているかをどうかを探査する目的で、地球に送り込まれていたのだが、ウォーリーの持ち込んだ、ひょろっとした弱々しい苗木を見て、艦長は、地球への帰還を決定する。
   これに抵抗して地球帰還を阻止するロボット集団との戦いなどが展開されるのだが、ウォーリーたちの奮闘で地球行きが成功し、ウォーリーは、再び地球上で、友のバッタにあう。

   この映画は、「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントン監督の最新作で、CG等コンピューター技術を駆使した壮大な冒険ファンタジーだが、地球温暖化などで廃墟となった地球の環境問題を背景に展開しながら、感情を持ったごみ処理ロボット・ウォーリーと銀白のロボット・イヴとの恋の物語を詩情豊かに描いた物語である。
   随分、以前に、宇宙から飛来したETと少年との感動的な愛の映画が、一世を風靡したことがあるが、あの映画よりは、もう少し淡白ではあるが、700年の眠りから覚めて、思い詰めながら必死になってイヴにアプローチするウォーリーの姿が実に健気で、感謝されてイヴにキスされて恍惚となったウォーリーの表情など、これまでの銀幕のどの名優たちの名演技よりも感動的でさえある。  

   地球の運命を決するのも、ウォーリーとイヴのロボットの恋を取り持つのも、葉っぱが数枚ついただけのたった一本のひ弱な幼苗。
   緑の地球が如何に美しくて素晴らしいか。人と人との触れ合い、そして、一途に思う男女の愛が如何に素晴らしいことなのか。廃墟と化した地球と進化した無味乾燥な技術万能の宇宙空間、そして、人間の感情を持ったロボットを主役にして描きあげた今様お伽噺が、この映画である。
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