熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

一人あたりGDPの語る真実

2023年11月25日 | 政治・経済・社会
   今、大変な戦争状態にあるイスラエルとガザ地区の経済力の差を、調べたくて、パソコンを叩いた。
   先に、何かの記事でガザのひとりあたりのGDPは、イスラエルの40分の1だと書いてあったのを、そのまま引用して使っていたが正確を期すためである。
   統一した指標が見つからなくて、ほぼ確かだろうと思える数字は、イスラエル 54,336ドル、パレスチナ 3,587 ドル、その倍率は、14.3倍である。
   ガザ地区単独の数字をさがしたのだが見つからず、東洋経済の記事に、
   「ガザ地区の所得水準は、1人当たりGDP(国内総生産)で3000ドル未満。経済成長率はマイナス12%で、失業率は32%とあまりにも高い(いずれも2020年)。住民たちは思うように大学に行けないし、働きたくても仕事がない。結婚したくてもできない。結婚できても独立して新居を構えられない。大家族が養えなかったり、子どもに食べさせるものにさえ困っている人たちがたくさんいる。その他、山積する問題を抱え、鬱憤が溜まる。短気で不機嫌な人たちがたくさんいて、四六時中揉めている。」
   3,000ドルだとしても18分の1、まず、考えられるのは、ガザ地区の一人当たりGDPは、イスラエルの20分の1という数字であろう。
   念のために、日本は、33,854ドルで、イスラエルより遙かに貧しい、それでも、ガザの12倍はある。

   いずれにしろ、何10年間にもわたって、天井のない牢獄としてイスラエルにブロックされて、成長発展の芽を摘まれ続けてきたと言う歴史上稀に見る辛酸を嘗めてきた悲劇の傷跡は、あまりにも深い。
   故郷を追われて迫害と差別に晒され続けて、ホロコーストという歴史上最大の悲劇を被るなど、イスラエルの人々の憎しみや憤りなど苦しいい思いも、法を完全に無視した残虐なハマスの殺戮行為に対する憤りと自衛権の行使も痛いほど良く分かる。
   しかし、私は、ハマスの行為を擁護する気持ちはさらさらないが、今回の行動は、猫を窮鼠が食んだのだと思っている。そして、イスラエルの国際法違反の残虐な報復攻撃は、度を超している。
   いつまでも、憎しみあって対立しておれば、中東の火薬庫は永遠に燻り続ける。
   今や、イスラエルは、押しも押されもしない最先端の科学技術を誇る経済大国であり、国際舞台に於ける燦然と輝く一等国である。パレスチナの地を、イスラエルとパレスティナの独立した2国家に分離して平和共存を図ると言うことを決定して、世界一賢い筈のユダヤ人が発案してガイドできないはずがないと思っている。

   さて、一人当たりGDP論ついでだが、
   アメリカの数字は、76,343ドルで、世界でも最高峰に位置しているが、問題は、経済格差が異常に高くて、富は、トップの富裕層に集中して底辺の弱者はどんどん貧困のに追い込まれていくという傾向である。
   アメリカの相対性貧困率は、17.8%、世界第4位という最悪に近い数字であり、アメリカ人の40%は、子供が病気になったり車が故障したりして400ドルが必要となったとしても、それを賄う力がないという。その一方で、アメリカで最も富裕な3人、ジェフ・ベゾス(アマゾン)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト)、ウォーレン・バフェット(バークウェイ・ハサウェイ)の資産の合計は、アメリカの所得階層の下位半分の合計よりも多い。これは、最上層にいかに多くの富が集まり、最下層にいかに僅かな富しかないかを示している。
   

   このアメリカの異常な経済格差の現実は、ある意味では、イスラルとガザの格差拡大の悲劇にも劣らないほど、深刻な問題を投げかけていると思う。
   市場原理主義の傾向の強いアメリカでは、政府は企業や個人の行動の介入を基本的に避け、その結果社会保障制度も最小限に、公的医療保険も不完全であり、弱者保護のセキュリティのセイフティ・ネットが機能していないので、格差拡大を更に増幅している。アメリカン・ドリームと言う幻想が生き続けているのであろうか。暴動が起きないのが不思議なくらいである。
   トランプ現象は、正に、その反動であり、大統領経験者が、公然とアメリカの至宝とも言うべき民主主義を貶めてそれを多くの国民が支持して追随すると言う、常識的には考えられないような現象が、アメリカを危機に追い込んでいる。
   ハード・パワーの戦争ではないが、いつ暴発してもおかしくないダイナマイトである。
   
   毎日、ウクライナ戦争やガザの戦争の筆舌に尽くしがたい悲惨な状況をTVで観て、胸を痛めている。
   一時停戦で、ガザの市場の賑やかな状況が映し出されていて、廃墟の中でも必死に生きようとする人々の姿を見て、痛く感激して、平穏無事が如何に尊いことか身に染みて感じた。
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