熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

安達瞳子著「椿しらべ―Camellia Road」

2023年01月18日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   愛読書だとか座右の書だとかと聞かれても、私の場合殆ど答えられないのだが、強いていえば、手元にずっとある本の一つは、安達瞳子さんの「椿しらべ―Camellia Road」であろうか。
   それに、この本は2冊持っている。買ったのを忘れて同じ本を2度買うことが結構あるのだけれど、この本だけは意識して2冊買った。
   出版は、1999年3月15日、定価4200円、
   私が、ヨーロッパから帰ってきて庭に椿を植えて、庭一杯に咲き乱れ始めた頃だが、どんな経緯で本を買ったのか記憶がない。
   2005年の3月に大手術で新宿の病院に入院していた時に、病室に持ち込んだ唯一の本で、毎日千葉から見舞いに通ってきてくれていた家内が、庭に咲く椿の花を次々と持ってきてくれて病室に生けてくれた。
   先日書いた友に貰った花瓶に生けた椿は、帰りを待ってくれていたかのように咲き乱れていた、退院した直後のわが庭の椿だったのである。

   さて、この本だが、「海を渡った椿」から「黄色い椿」まで4章、安達瞳子さんの珠玉のような随想29編を核にして、沢山の椿繪や写真や作品など色彩豊かに掲載されていて、更に椿についての詳細な説明が書かれているので、これ1冊で、豪華な椿事典でもある。
   父君が苦労して手に入れた「百椿図」の挿絵の豪華さやその解説に込めた思いなど、冒頭に、あの「椿姫」の椿は千重咲きの乙女椿だと語り初めて、とにかく、著者の椿花に掛ける思いや愛情は尋常ではなく、感動的でさえある。

   安達瞳子さんの著書書や関連本を何冊か読み、一度だけだが、展示会に行って、桜の大枝をあしらったり、青竹を豪快にカットして椿を生けるなど素晴しい作品を見て感動した。
   しかし、早い訃報を聞いて残念であった。

   ところで、椿に関する本が、非常に少ないのにビックリしている。
   Amazonで検索しても、Googleで検索しても、めぼしい本は出てこないし、私が読みたいと思うような椿行脚や椿に纏わるしっとりとした随想集と言った本など皆目なく、この「椿しらべ―Camellia Road」を何度も読み返している。
   
   ヨーロッパから帰ってから、洋花に影響されたのか、侘助椿を初め日本古来の名花から、派手な洋椿に、関心が移って、この本に掲載されている椿を追っかけた。
   そのうち、手に入れたのは、エレガンス・シュプリーム、エレガンス・シャンパン、エレガンス・スプレンダー、マーガレット・ディビス、ダローネガ、
   わが庭に華やぎを増して咲き続けており楽しませてくれている。

   しかし、洋椿は、バラのように派手で蘂が退化して結実せず挿し木でしか株を増やせないのだが、これとは違って、日本椿の実生苗で庭植えした椿の新しく咲いた花の何株かは、不思議にも、深紅の一重で黄色い蘂が鮮やかな和風の花を咲かせてくれていて、いたく感激している。
   黒い椿と言うのではなく、深い真っ赤な鮮やかな色彩の美しさは格別で、わが作出の雑種椿であるから名もなき椿なのだが、
   花持ちが良く、長く楽しませてくれているので、大切に育てようと思っている。
コメント
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