熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ユーラシア・グループ 2023年10大リスク(1)

2023年01月08日 | 政治・経済・社会
   ユーラシア・グループが、恒例の「2023年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップ10」を公表した。
   
   その10大リスクとは、
   リスク No.1 ならず者国家ロシア  ROGUE RUSSIA
   リスク No.2 「絶対的権力者」習近平 MAXIMUM XI
   リスク No.3 「大混乱生成兵器」 WEAPONS OF MASS DISRUPTION
   リスク No.4 インフレショック INFLATION SHOCKWAVES
   リスク No.5 追い詰められるイラン IRAN IN A CORNER
   リスク No.6 エネルギー危機 ENERGY CRUNCH
   リスク No.7 世界的発展の急停止 ARRESTED GLOBAL DEVELOPMENT
   リスク No.8 分断国家アメリカ DIVIDED STATES OF AMERICA
   リスク No.9 TikTok な Z 世代 TIK TOK BOOM
   リスク No.10 逼迫する水問題 WATER STRESS
   リスクもどき RED HERRINGS
      ウクライナ支援に亀裂 CRACKS IN SUPPORT FOR UKRAINE
      機能不全化する  EU POLITICAL DYSFUNCTION
      台湾危機 TAIWAN CRISIS
      技術をめぐる米中報復合戦 TECH TIT-FOR-TAT
      
   この10大リスクに関連して、ユーラシアグループは、特に日本の読者に対して、
   「Top Risks 2023:日本への影響」というダイジャスト版の解説を加えており、参考になるので、まず、考えてみたい。
   日本に関わりのあるリスクも挙げられているが、中国の習近平国家主席の権力強化の帰結を分析したリスク No.2「『絶対的権力者』習近平」は、日本にとって重大だ。その他、ロシア、インフレ、エネルギーなどのリスクも、国際貿易や米国との同盟関係に大きく依存する島国にとっては見逃せない。しかし、日本はその歴史を通じて、新たなリスクに立ち向かうことのできる強靱な国家であることを証明してきた。
   2023 年の日本にとって、巨大な存在となった習近平は巨大なリスクだ。日本の最も緊密な同盟国である米国を除けば、中国ほど日本の経済、政治、安全保障に大きな影響力をもつ国はない。習近平が国家主義的な政策を打ち出し、毛沢東以来の権力を手に入れる以前から、中国は日本で不人気だった。
   岸田文雄首相は、日本は中国と「建設的かつ安定的」な関係構築を進めると頻繁に発言している。しかし、習近平の下での恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大は、2023 年に逆のことが起こると予見させる。
   中国は依然として日本の最大の貿易相手国であり、全面的なデカップリングは不可能だ。しかし日本はすでに戦略的デカップリングの方向に進んでいる。サプライチェーンを国内中心に転換し、対内投資の審査を厳しくするなど、可能な限り中国に対し経済安全保障を保とうとしているが、2023年、習近平は、日本政府がさらにこうした動きを加速させる原因となるだろう。同時に日本は安全保障や技術に関係のない財やサービスでは、中国との開かれた貿易の流れを維持しようと努力するであろうが、習近平の下で自己主張を強める中国は、日本政府がそのバランスを取ることをさらに難しくするだろう。

   2023 年における日本の最大のリスクはやはり習近平なのだ。と言うのが結論だが、習近平の存在に明るい兆しがあるとすれば、それは日本が世界の舞台でより自信を持ち、発言力を高めていることだといえる。と言う指摘が興味深い。日本がしっかりとした国力を維持して、世界のリーダーとして誇りを持って毅然たる態度で中国に当たれということである。
   台湾問題を含めて、 米中間の緊張が高まっても、短期的には武力衝突に至ることはないだろう。日本企業は中国による台湾侵攻が迫っているのではないかと危惧するだろうが、なすべきは、冷静に問題を考察し、中国による台湾へのサイバー攻撃、封鎖、船舶への嫌がらせなど、起こる可能性が高い事態を想定した計画を立てることだ。と述べている。

   興味深いのは、日本にとっての朗報は、リスク No.8「分断国家アメリカ」の政治的二極化が対日政策には無関係ということだ。これは日本が、米国の中国への戦略的対抗において不可欠な存在になっているためだ。日本は、重要な同盟国であり貿易相手である米国が結束して強くなることを切に望んでいるが、二極化が依然として大きな懸念材料ではあるが、米国の中間選挙が民主主義プロセスに大きな問題を生じずに終了したことで、日本は安堵のため息をついている。と言っていることである。

   勿論、「ならず者国家ロシア」やウクライナ戦争、「インフレショック」などについても言及しているが、今回は省略する。
   明日は、本文の10大リスクについて、私見を述べてみたい。

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