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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

新宿御苑は、今や紅葉の真っ盛り

2010年12月01日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   もみじの紅葉が、真っ盛りの新宿御苑を訪れた。
   時間が少し遅かったので、日が陰り始めて居て、太陽に映える逆光の美しい紅葉を十分には楽しめなかったが、新宿門の入り口の大銀杏の鮮やかな黄色に感激しながら入場すると、真っ直ぐに伸びる管理事務所の方へ向かう遊歩道の、黄色い大銀杏をバックに、もみじや落葉樹の様々に変化する赤や燈や黄色の錦色のグラデュエーションの輝きが目に飛び込む。

   私は、躊躇うことなく、右に折れて、日本庭園に向かった。
   茶室楽羽亭を越えて、上の池を見下ろせる高台に出て、周りを展望するのを常としていて、ここから、新宿御苑のその時の季節感や自然の営みを感じるのであるが、紅葉の時もそうである。
   まず、展望所の周りに、もみじが数株植わっていて、今最盛期で、実に美しく真っ赤に萌えていて、逆光に輝いている。
   このもみじの赤は、濃赤色ではなく、やや橙色がかっていてグラデュエーションには欠けるが、木陰に入って、木の間から池を望むと、遠くのススキや淡い緑色の柳の木などが白く浮かび上がって美しい。
   この口絵写真は、手前のもみじの間から、やや、千駄ヶ谷門の方を望んだ池畔の風景だが、人が多くて、人物のない写真を撮るのに苦労するのだが、時々、鴨が行き来するのんびりとした風景を眺めながら、しばしの休息を楽しむのも悪くはない。

   この上の池の周りには、比較的沢山の木が植えられていて、綺麗に剪定された松の木や玉造のつげなどに象徴されるように、典型的な日本庭園の風情が漂っているのだが、中国風の旧御涼亭のある方に出ると、大分、オープンな空間が広がる。
   やや、茶室翔天亭に近づいた林間の外れにも数株のもみじが植えられていて、イロハモミジであろうか、ここのもみじの方が、一本の木の紅葉が、枝の位置によって、緑から黄、橙、赤と徐々に色の変化を現出していて、正に錦織りで美しい。
   ただ、惜しむらくは、傷のない綺麗な手形のような葉が殆どなくて、クローズアップで写真が撮れないのが残念である。

   この新宿御苑には、ところどころに、巨大な銀杏が植わっていて、どの木も、大体今が最盛期で、実に美しく、背が高いので、あっちこっちから遠望できて、その木を目指して歩いて行こうと言う気にさせてくれる。
   中の池へ向かう途中の林の中にも巨大な銀杏の木があり、この方は、ぼつぼつ散り始めているが、上を見上げる真っ黒な幹から複雑に沢山の枝が出ていて、すっくと伸びた樅状の木に似つかわしい雰囲気でないのが面白い。

   イギリス風景式庭園のオープンな空間にも、1本、鮮やかに黄色に色づいた銀杏の大木があり、東芝のコマーシャルの巨木のように、真っ黄色の独特な空間を作り出していて、非常に面白い。
   東大の銀杏並木のように一列に並んだ真っ黄色の空間も魅力的だが、単植の銀杏の巨木の孤高な風情も別な趣があって良い。

   東京には、六義園や後楽園など、紅葉の美しい公園はたくさんあるので、歩けばもっと秋の風景を楽しめるのではあろうが、私の場合には、一寸した雰囲気を味わえれば良いので、この新宿御苑にも、ほんの小一時間居ただけで、外に出た。
   京都や奈良だと、あまり有名ではない鄙びた古寺などを訪れれば、心行くまで気の遠くなるような懐かしい秋の気配を満喫できるのだが、東京近辺の場合には、私の経験だけだが、気候の所為でもあろうが、紅葉の鮮やかさや見事さには、幾分欠けるし、それに、どこも人出が多い。

   ところで、自然を愛して自然との共生をこよなく愛する日本人なのだが、この新宿御苑を歩いていると、外国人客の方が目につく。
   欧米に生活していて、欧米人の森林好きは良く知っているのだが、しかし、何となく、今の多くの日本の人々には、私のような暇人は少なくなって、ゆっくりと自然と対話しながら季節の移り変わりを感じ、しみじみとした時間を楽しむ余裕がなくなっているのかも知れないと思ったりしている。
コメント
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