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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ブッシュ大統領の花道?

2007年07月16日 | 政治・経済・社会
   1961年5月25日、J.F.ケネディ大統領が、議会で「危急の国家課題」演説を行い、有人月ロケット発射宣言をぶち上げ、人間が月に立つという未来像を描いた時ほど、アメリカ国民を鼓舞し熱狂させた時はなかった。
   はるかに国力が上で科学技術が進んでいた筈のアメリカが、ソ連に、スプートニク打ち上げとユーリ・ガガーリンによる史上初の有人宇宙飛行で先を越されて国民が意気消沈していた時であった。
   その後の大統領の快挙は、ニクソンが、キッシンジャーを派遣して露払いをさせ北京に飛んで、毛沢東に会って中国との国交を開いた時であろうか。
   ところで、秘書とのスキャンダルはないが、でっち上げてまで無謀なイラク戦争に突入して泥沼に落ち込んで苦しんでいるブッシュ大統領にとって、歴史に残るような快挙は何であろうか。

   T.L.フリードマンが、「フラット化する世界」の中で、このケネディと同等の歴史に残るプロジェクトを、一つブッシュ大統領に提案している。
   緊急を要する国家的科学政策・・・アメリカが10年以内にエネルギー自給国になるための代替エネルギーの開発とエネルギー節約の緊急計画、である。
   エネルギー自給を大目標に掲げて早急に行動を起こせば、石油の価格が下がり、一挙にテロリズムの資金源を枯渇させ、イラン、ロシア、ベネズエラ、サウジアラビアを改革への道につかせ、ドルを強くし、地球温暖化防止に大きく貢献し、ヨーロッパとの関係も改善できると言うのである。

   もっとも、こんなことを書いても、徹底的にブッシュ嫌いのフリードマンであるから、ブッシュ大統領にそんな才覚のないことは百も承知である。
   別な所で、サム・パルミサーノとウェイン・クルーが主導する超党派のナショナル・イノベーション・イニシャティブが、所謂、パルミサーノ・レポート「イノベート・アメリカ:難問と変革の世界で栄えるには」を発表する日に、ブッシュ大統領を式典に招待したのだが、同じ日同じビルで開かれた共和党の選挙運動に寄付した人達を前に演説しておりながら、たったの5分さえも割けず顔を出さなかったとすっぱ抜いている。
   この最も重要な21世紀の新ニューディール政策を果敢に推進すべき時なのだが、イノベーションでアメリカを強くする、新しい世界を開くと言ったパルミサーノ・レポートなど大統領の意識の中には全くないのであろう。

   こんな大統領であるから、もっと重要で緊急を要する環境問題においては、京都議定書も無視し、環境や地球温暖化に関するアメリカの科学者や国連報告などの数字さえ改ざんさせてまで、アメリカのエネルギー業界のために尽くしている。
   ブッシュ政権より、最近では、州など地方公共団体や財界の方が熱心に、地球温暖化など環境問題を深刻に受け止めて規制に走り始めている。
   
   私の手元には、アル・ゴアの「不都合な真実」の本とDVDがあるが、昔、始めてみて感激したスイスの氷河などが殆ど消えてしまっているという。
   新世紀の到来を告げた2000年における選挙でのアメリカの選択の誤りが、人類の将来に禍根を残すような気がして仕方がない。   
コメント
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