古い旧市街が残っている都市はヨーロッパには多い。
しかし、大概、よく保存された小さな旧市街の周りに新しい都市が出来ていて、旧市街は観光目的の為に残った博物館地区と言う感じがして何となく違和感を感じることがある。
ところが、スペインの場合は、旧市街がそのまま今も現役で、庶民の生活の舞台となっていて、新旧入り混って息づいている感じがする所が多い。
随分前になるが、出張時の週末に、車で、マドリッドを離れて、カステリア地方の北部、アビラを経てサラマンカに行き、取って返してセゴビアまで旅をしたことがある。
サラマンカは、学術都市として可なり人口がある大きな都市だが、アビラやセゴビアは、こじんまりした古い街で、起伏のある細い迷路のような旧市街の路地を歩いていると、自分がヨーロッパの時代劇映画に登場している様な錯覚に陥ることがある。
まず、最初に北に車を走らせてアビラに向かった。
街道から市街に入る入り口を少し通り越した所にクワトロ・ポスタ(4本柱)と言う展望所があり、そこからアダハ川越しに、城壁に囲まれたアビラの街が展望できる。
砂漠の様に緑けが乏しく赤茶けた大地に立つ全長2.5キロ、88の防塁、9つの城門のある城壁で囲まれた都市の姿は壮観である。
私が一番興味深かった城塞都市は、フランス南部のカルカソンヌであるが、ここは、もう少し旧市街に傾斜があって、城門を潜ると少し登る感じであり、遠くからは軍艦の様に浮かび上がって見える。
ヨーロッパには可なり城塞都市が残っているが、見ると何故かワクワクする。
所で、この騎士の町アビラのカテドラルは、城壁にくっ付いて立っていて、シモーロと言う後陣が少し城壁から飛び出して居るが壁が城壁と一体となっていて外からは砦の様に見える。
更に北に走るとサラマンカに着く。マドリッドから230キロくらいなので渋滞がなければ3時間くらいの車旅であるが、全くの田舎道で、少し寂しかったのを覚えている。
私がサラマンカを訪れたかったのは、サラマンカ大学を見たかったからである。
この大学は、1212年に設立されたスペイン最古の大学で、メキシコを征服したコルテスやあのドンキホーテを書いたセルバンテス等も学びに来ている。
そして、コロンブスもアメリカ大陸発見前に、天文学の教授に会うためにここを訪れたという。
大航海時代の幕開け時代には、学問と文化・知の中心であり、スペインの黄金文化を開いた担い手でもあったのである。
昔、大学の教壇に立って当時元気だった思想家羽仁五郎が、学生運動について檄を飛ばしていたが、何を聞いたのか総て忘れてしまったが、一つだけウニベルシタス(大学)について語ったのを覚えている。
世界最古の大学は、イタリアのボローニア大学(創立1088年)で、最初は、勉強をしたい学生の組合としてスタートして、その道に秀でた先生を学生達が探し出してその先生に教授を頼むと言った形式だった様である。
その後、パリ、サラマンカ、オックスフォードと大学が設立された。
その後、ヨーロッパ中に大学が広がっていったが、ルネッサンス、航海時代、新世界の発見、近代・近世、と人類の歴史と科学文化の発展に寄与した大学教育の力は大きい。
日本では、北大くらいしか大学が観光地になっていないが、欧米では、大学は、必ず観光地として組み入れられていて極めて重要な観光資源である。
ケンブリッジやハーバードなどでも結構観光客が多い。
ところで、サラマンカ大学であるが、建物は、プラテレスコ様式と言う極めて精緻で豪華な美しいファサードで装飾されていて実に素晴しい。
壁の色は、ピンクと言うよりは常滑の陶器の色に少しオレンジをかけて明るくした感じの色であろうか、それが、夕日を浴びて輝くと本当に美しい。
門の正面のファサードの精巧な彫刻の中に、髑髏の彫刻があり、その髑髏の一つの頭に小さな蛙が乗っている。これを見つけると試験に合格するとか幸運が来るとか、とにかく、必死になって探す観光客も結構多いのが面白い。
教室など当時のままで、枕木様のイスや机がそのまま残っている。
この街には、12世紀に建った旧カテドラルに16世紀に建てられた新教会が被さった様な建物があるなど興味深い歴史建造物が多いが、旧市街全体が世界遺産になっている。
私は、街の外に宿を取ったのが幸いして、霧雨が降ったお陰で、この小高くなっている新旧教会の上から町全体に二重に美しい虹が架かったのを見ることが出来た。
長くなってしまったが、セゴビアも実に素晴しい街である。
街外れに今も現役の素晴しいローマの水道橋がそそりたっている。
街の中に、ディズニーの白雪姫のモデルになったお城アルカサールがある。ここから、下を見下ろすと、13世紀初めに聖堂騎士団が建立した小さな多角形の教会が荒野の中に立っていて何故か感慨を誘う。
セゴビアで思い出すのは、古風なレストランで食べたコチニージョ・アサードと言う子豚の丸焼き料理の実に美味しかったこと。
母豚の母乳だけで育った生後20日以内の子豚の丸焼きとかで、こんがりと焼きあがった皮に、とろける様な脂肪分の肉の味は、素晴しいスペインの赤ワインとの相性が良く格別の味である。
スペインでは、とにかく、精力的にミシュランの星のレストランを回ったが、やはり名物料理には勝てない場合があることが分かった瞬間であった。
しかし、大概、よく保存された小さな旧市街の周りに新しい都市が出来ていて、旧市街は観光目的の為に残った博物館地区と言う感じがして何となく違和感を感じることがある。
ところが、スペインの場合は、旧市街がそのまま今も現役で、庶民の生活の舞台となっていて、新旧入り混って息づいている感じがする所が多い。
随分前になるが、出張時の週末に、車で、マドリッドを離れて、カステリア地方の北部、アビラを経てサラマンカに行き、取って返してセゴビアまで旅をしたことがある。
サラマンカは、学術都市として可なり人口がある大きな都市だが、アビラやセゴビアは、こじんまりした古い街で、起伏のある細い迷路のような旧市街の路地を歩いていると、自分がヨーロッパの時代劇映画に登場している様な錯覚に陥ることがある。
まず、最初に北に車を走らせてアビラに向かった。
街道から市街に入る入り口を少し通り越した所にクワトロ・ポスタ(4本柱)と言う展望所があり、そこからアダハ川越しに、城壁に囲まれたアビラの街が展望できる。
砂漠の様に緑けが乏しく赤茶けた大地に立つ全長2.5キロ、88の防塁、9つの城門のある城壁で囲まれた都市の姿は壮観である。
私が一番興味深かった城塞都市は、フランス南部のカルカソンヌであるが、ここは、もう少し旧市街に傾斜があって、城門を潜ると少し登る感じであり、遠くからは軍艦の様に浮かび上がって見える。
ヨーロッパには可なり城塞都市が残っているが、見ると何故かワクワクする。
所で、この騎士の町アビラのカテドラルは、城壁にくっ付いて立っていて、シモーロと言う後陣が少し城壁から飛び出して居るが壁が城壁と一体となっていて外からは砦の様に見える。
更に北に走るとサラマンカに着く。マドリッドから230キロくらいなので渋滞がなければ3時間くらいの車旅であるが、全くの田舎道で、少し寂しかったのを覚えている。
私がサラマンカを訪れたかったのは、サラマンカ大学を見たかったからである。
この大学は、1212年に設立されたスペイン最古の大学で、メキシコを征服したコルテスやあのドンキホーテを書いたセルバンテス等も学びに来ている。
そして、コロンブスもアメリカ大陸発見前に、天文学の教授に会うためにここを訪れたという。
大航海時代の幕開け時代には、学問と文化・知の中心であり、スペインの黄金文化を開いた担い手でもあったのである。
昔、大学の教壇に立って当時元気だった思想家羽仁五郎が、学生運動について檄を飛ばしていたが、何を聞いたのか総て忘れてしまったが、一つだけウニベルシタス(大学)について語ったのを覚えている。
世界最古の大学は、イタリアのボローニア大学(創立1088年)で、最初は、勉強をしたい学生の組合としてスタートして、その道に秀でた先生を学生達が探し出してその先生に教授を頼むと言った形式だった様である。
その後、パリ、サラマンカ、オックスフォードと大学が設立された。
その後、ヨーロッパ中に大学が広がっていったが、ルネッサンス、航海時代、新世界の発見、近代・近世、と人類の歴史と科学文化の発展に寄与した大学教育の力は大きい。
日本では、北大くらいしか大学が観光地になっていないが、欧米では、大学は、必ず観光地として組み入れられていて極めて重要な観光資源である。
ケンブリッジやハーバードなどでも結構観光客が多い。
ところで、サラマンカ大学であるが、建物は、プラテレスコ様式と言う極めて精緻で豪華な美しいファサードで装飾されていて実に素晴しい。
壁の色は、ピンクと言うよりは常滑の陶器の色に少しオレンジをかけて明るくした感じの色であろうか、それが、夕日を浴びて輝くと本当に美しい。
門の正面のファサードの精巧な彫刻の中に、髑髏の彫刻があり、その髑髏の一つの頭に小さな蛙が乗っている。これを見つけると試験に合格するとか幸運が来るとか、とにかく、必死になって探す観光客も結構多いのが面白い。
教室など当時のままで、枕木様のイスや机がそのまま残っている。
この街には、12世紀に建った旧カテドラルに16世紀に建てられた新教会が被さった様な建物があるなど興味深い歴史建造物が多いが、旧市街全体が世界遺産になっている。
私は、街の外に宿を取ったのが幸いして、霧雨が降ったお陰で、この小高くなっている新旧教会の上から町全体に二重に美しい虹が架かったのを見ることが出来た。
長くなってしまったが、セゴビアも実に素晴しい街である。
街外れに今も現役の素晴しいローマの水道橋がそそりたっている。
街の中に、ディズニーの白雪姫のモデルになったお城アルカサールがある。ここから、下を見下ろすと、13世紀初めに聖堂騎士団が建立した小さな多角形の教会が荒野の中に立っていて何故か感慨を誘う。
セゴビアで思い出すのは、古風なレストランで食べたコチニージョ・アサードと言う子豚の丸焼き料理の実に美味しかったこと。
母豚の母乳だけで育った生後20日以内の子豚の丸焼きとかで、こんがりと焼きあがった皮に、とろける様な脂肪分の肉の味は、素晴しいスペインの赤ワインとの相性が良く格別の味である。
スペインでは、とにかく、精力的にミシュランの星のレストランを回ったが、やはり名物料理には勝てない場合があることが分かった瞬間であった。