今回のソニーの再生プランである「中期経営方針」を見て驚きはしなかったが、正直な所、ソニーファンの私には、経営状態の悪さを思い知らされた感じがして寂しかった。
元々、2年前のソニーショックの時点で大規模な経営改革があってしかるべきであった.
しかし、出井体制が強力だったのか、委員会制度を導入した経営体制を取りながらコーポレートガバナンスが働かなかったのか、とにかく、何ら有効な手を打てずに、そして、何ら実質的な裏づけもなく能天気な出井プランで乗り切ろうとして、惨憺たる状態。経営不在の迷走が続いただけであった。
2期に亘って売り上げの過半を占めるコアのエレクトロニクス部門で赤字を計上するテイタラクで、今回はどん底での再生計画である。
ディーンズ等の「ストレッチ・カンパニー理論」によると、現在のソニーは、売り上げ成長率も時価総額成長率も低過ぎるので、最低のアンダーパフォーマー(停滞・不振企業)の会社である。
これまでに、このランクの会社で、最高位のバリューグロワー(価値創造成長企業)に返り咲いた会社はIBM等極少数だと言う。
この理論によると、このランクの会社は、企業買収のターゲットになると言う。
事業再構築には、CEO主導の強力なビジョンと顧客重視が必須。僅かな時間の余裕も許されず、変化する顧客のニーズに対応した商品を提供して信頼と人気を回復して、リストラ、利益率アップ、売上高成長に均等に重点を置いてすばやく勝利を納めて、バリューグロワーへの道を一直線に駆け上がる以外に再生への道はないと言う。
選択と集中戦略を取らずに多角経営に走った出井体制を精算して、とにかく、大幅なリストラを実施して、エレクトロニクス、ゲーム、娯楽の三つを中核事業として、特にコアのエレクトロニクス事業の再構築に邁進するとしたのが、今回のストリンガー・プランであろう。
しかし、後ろ向き、戦後処理のリストラ・プランばかりで、どんなソニーに再生しようとしているのか、全く先を見越した戦略的なメッセージが表明されておらず、最悪なのは、将来の成長プランやシナリオについては何も示されていないと言うことである。
攻撃は最大の防御なり、と言うが、成長戦略あっての事業再生である。
薄型TV・BRAVIA重視を打ち出しているが、既にコモディティに成り下がったTVを強化してどうなるのか。
部品さえ集めて組み立てれば良い事業なので、社員12人のバイデザイン社が、自社ブランドを立派に組み立てて42インチの薄型TVを24万円で販売するような市場で、他社を圧倒する革新的なTVを開発するならいざ知らず、少し良くて少し安いTVを作った位で、先行のシャープや松下に対抗できるのであろうか。
また、既にアップルに勝負をつけられている携帯音楽プレイヤーの世界で、今回、3巨頭が、iPodナノに挑戦されている新型ウォークマンをかざして写真に納まっていたが、何を考えているのか。
22日のビジネスウイークの電子版のソニーのリストラを報道した「Sony's Stringer Strikes・・Deep Enough?」の記事のど真ん中に、あざ笑うようにアップルの広告が踊っていたのをご存知であろうか。
アップルマークの後に、iPod nano click to learn more と書き込まれて、大きくiPodナノの写真が掲載されていたことを。
全くのパロディ、情けない限りである。
ここからは全く私見だが、
今回の改革で一番納得出来ないのは、金融子会社を売却しないこと。利益を得ていてキャッシュフローに貢献しているからと言うが、死に物狂いでコアビジネスに全力を傾注するなら、特にシナジー効果を望めない金融子会社を、高く売れるときに売って、再生原資とすべきである。
16日の日経報道は、フライングオーバーではなくて、ビジネスウイークも同様な記事を書いていたが、極めて常識、経営学のイロハである。
トヨタは、多方面に多角経営をしているが、これは、徹底的にコアを固めてエクセレント事業としており、更に、アフター・カーを目指した世界戦略であって、次元が違いすぎる。
もう一つ納得出来ないのは、ソニーの人気の所以である筈のQRIOやAIBO,QUALIAからの撤退である。ソニーらしいのは、これ等と、プレイステーションだけではないか。
それに、高級化路線と、ロボット関連は、間違いなく、次代のコンシューマー・エレクトロニクスの核となる。
コモディティ化するコンシューマー・エレクトロニクスの世界は、価格競争を主とするマスの競争の世界へ移行。このような組み立てを主とする世界は、革新的な新製品は別だが、これまでのようにソニーの独壇場の世界とは違ってきており、イノベーションとチャンピオン・プロダクツを追及し、ソニー神話を築いてきたソニーの経営哲学の修正を求めている。
チャンピオン・プロダクツを作ってこそのソニーではないであろうか。
それが出来なければ、タダの大企業のソニーで終わってしまう。
世界の人々は、宮崎駿の世界のように、ワクワクするような素晴らしいものをソニーが作り出してくれること待っている。
売り上げ8兆円の大企業ソニーにはそれは、無理であろうか。
それは違う、あのトヨタを見れば分かる。
元々、2年前のソニーショックの時点で大規模な経営改革があってしかるべきであった.
しかし、出井体制が強力だったのか、委員会制度を導入した経営体制を取りながらコーポレートガバナンスが働かなかったのか、とにかく、何ら有効な手を打てずに、そして、何ら実質的な裏づけもなく能天気な出井プランで乗り切ろうとして、惨憺たる状態。経営不在の迷走が続いただけであった。
2期に亘って売り上げの過半を占めるコアのエレクトロニクス部門で赤字を計上するテイタラクで、今回はどん底での再生計画である。
ディーンズ等の「ストレッチ・カンパニー理論」によると、現在のソニーは、売り上げ成長率も時価総額成長率も低過ぎるので、最低のアンダーパフォーマー(停滞・不振企業)の会社である。
これまでに、このランクの会社で、最高位のバリューグロワー(価値創造成長企業)に返り咲いた会社はIBM等極少数だと言う。
この理論によると、このランクの会社は、企業買収のターゲットになると言う。
事業再構築には、CEO主導の強力なビジョンと顧客重視が必須。僅かな時間の余裕も許されず、変化する顧客のニーズに対応した商品を提供して信頼と人気を回復して、リストラ、利益率アップ、売上高成長に均等に重点を置いてすばやく勝利を納めて、バリューグロワーへの道を一直線に駆け上がる以外に再生への道はないと言う。
選択と集中戦略を取らずに多角経営に走った出井体制を精算して、とにかく、大幅なリストラを実施して、エレクトロニクス、ゲーム、娯楽の三つを中核事業として、特にコアのエレクトロニクス事業の再構築に邁進するとしたのが、今回のストリンガー・プランであろう。
しかし、後ろ向き、戦後処理のリストラ・プランばかりで、どんなソニーに再生しようとしているのか、全く先を見越した戦略的なメッセージが表明されておらず、最悪なのは、将来の成長プランやシナリオについては何も示されていないと言うことである。
攻撃は最大の防御なり、と言うが、成長戦略あっての事業再生である。
薄型TV・BRAVIA重視を打ち出しているが、既にコモディティに成り下がったTVを強化してどうなるのか。
部品さえ集めて組み立てれば良い事業なので、社員12人のバイデザイン社が、自社ブランドを立派に組み立てて42インチの薄型TVを24万円で販売するような市場で、他社を圧倒する革新的なTVを開発するならいざ知らず、少し良くて少し安いTVを作った位で、先行のシャープや松下に対抗できるのであろうか。
また、既にアップルに勝負をつけられている携帯音楽プレイヤーの世界で、今回、3巨頭が、iPodナノに挑戦されている新型ウォークマンをかざして写真に納まっていたが、何を考えているのか。
22日のビジネスウイークの電子版のソニーのリストラを報道した「Sony's Stringer Strikes・・Deep Enough?」の記事のど真ん中に、あざ笑うようにアップルの広告が踊っていたのをご存知であろうか。
アップルマークの後に、iPod nano click to learn more と書き込まれて、大きくiPodナノの写真が掲載されていたことを。
全くのパロディ、情けない限りである。
ここからは全く私見だが、
今回の改革で一番納得出来ないのは、金融子会社を売却しないこと。利益を得ていてキャッシュフローに貢献しているからと言うが、死に物狂いでコアビジネスに全力を傾注するなら、特にシナジー効果を望めない金融子会社を、高く売れるときに売って、再生原資とすべきである。
16日の日経報道は、フライングオーバーではなくて、ビジネスウイークも同様な記事を書いていたが、極めて常識、経営学のイロハである。
トヨタは、多方面に多角経営をしているが、これは、徹底的にコアを固めてエクセレント事業としており、更に、アフター・カーを目指した世界戦略であって、次元が違いすぎる。
もう一つ納得出来ないのは、ソニーの人気の所以である筈のQRIOやAIBO,QUALIAからの撤退である。ソニーらしいのは、これ等と、プレイステーションだけではないか。
それに、高級化路線と、ロボット関連は、間違いなく、次代のコンシューマー・エレクトロニクスの核となる。
コモディティ化するコンシューマー・エレクトロニクスの世界は、価格競争を主とするマスの競争の世界へ移行。このような組み立てを主とする世界は、革新的な新製品は別だが、これまでのようにソニーの独壇場の世界とは違ってきており、イノベーションとチャンピオン・プロダクツを追及し、ソニー神話を築いてきたソニーの経営哲学の修正を求めている。
チャンピオン・プロダクツを作ってこそのソニーではないであろうか。
それが出来なければ、タダの大企業のソニーで終わってしまう。
世界の人々は、宮崎駿の世界のように、ワクワクするような素晴らしいものをソニーが作り出してくれること待っている。
売り上げ8兆円の大企業ソニーにはそれは、無理であろうか。
それは違う、あのトヨタを見れば分かる。