熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

庭の萩が咲き零れる

2005年09月10日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   油蝉がいなくなったと思ったら、急にツクツクボウシが喧しくなった。
   夜になると、綺麗な虫の音が、秋の到来を告げる。
   台風が去って、空気が澄むと、庭の萩が一斉に咲き始めた。
   細い枝が、放射状に垂れ下がって、芝生の上に赤紫の花を這わせる。
   月の出るのを、じっと待っている。
   
   
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ヨーロッパ合衆国・・・ソフトパワーで「超大国」への道(その2)

2005年09月10日 | 政治・経済・社会
   トム・リード著『「ヨーロッパ合衆国」の正体』を紹介し、前回は、グローバルビジネスにおいて、アメリカ・スタンダードが、必ずしも世界のディファクト・スタンダードではなくなって、ブラッセル政府の設定するビジネス・ルールなりヨーロッパ・スタンダードを無視出来なくなったことについて触れた。

   今回は、もっともっと重要な問題であり、グローバルな政治経済情勢に強い影響力を持つヨーロッパ合衆国のソフトパワーによる超大国への道を考えてみたい。

   前回でも触れたが、EUは、国連等重要な国際機関において、アメリカ1票に対して25票の投票権を持つ。
   ヨーロッパ合衆国としての1票と各メンバー国の25票を如何に使い分けて国際外交戦略を打つのか、今後の世界の命運を左右する重要なポイントである。
   アメリカは、土壇場において、日本等の安保理常任理事国入りを受け入れなかった。
   これは、このEUのパワー・バランスの拡大と中進国等の台頭による覇権国としてのパワーの低下を恐れた為であるが、逆に、国際協調主義を排して一国単独主義に傾斜するアメリカの国際・外交戦略が時代遅れになってしまったことを如実に示している。
   アメリカは、仮想敵国(?)中国やロシアの他に、世界の10大富裕国の5国を有するもっと巨大なヨーロッパ合衆国とも対峙しなければならなくなったのである。
   アジアにおいて中国に覇権を握られ、アジアとの良好な外交関係を維持できずに、アメリカ一辺倒である日本外交に明日があるのか、これは、別次元の重要問題ではある。

   ヨーロッパは、歴史上最大の火薬庫であった仏独の和解を実現し戦争の恐怖を払拭し、宿敵ロシアまで取り込もうとしている。
   人類に筆舌に尽くし難い惨禍を与えた2回の世界大戦を経験したヨーロッパは、今や、戦争からの恐怖から殆ど完全に開放されたといっても過言であるまい。
   共同防衛の楯・NATOの軍事費の大半はアメリカ負担のまま、軍事支出を大幅に削減出来たヨーロッパ合衆国は、余った膨大な資金を、世界最高水準と言われる社会保険や教育、福祉厚生につぎ込み、心地よい福祉国家の恩恵を総ての住民に提供できるようになったのである。

   ヨーロッパは、2025年から2033年の間に、ヨーロッパ人飛行士を火星に送るべく「ガリレオ計画」を推進している。
   エアバス社がボーイング社を追い抜き、最先端の科学技術でもアメリカに互角に勝負をしており、ハイテク関連を主体に対米投資を促進してアメリカ企業買収戦略で、シュラバン・シュレベールのヨーロッパ版の「ヨーロッパの恐怖」を演出し始めている。

   特筆すべきは、ヨーロッパ諸国の開発途上国などに対する積極的な政府開発援助(ODA)である。
   世界各地で発生する危機に対して、アメリカは国防予算の激増と言う形で対応しているが、ヨーロッパ人は、「ソフトな安全保障」として、膨大な開発援助を多くの貧困国に贈っている。
   深い慈善の精神からの贈与であっても、世界総てが運命共同体だとするヨーロッパの協調主義が受け入れられアジア・アフリカ諸国のサポートを得ている。
   EU諸国の精神は、覇権より協調を重視しており、京都議定書に対する様に国際条約には積極的に参画し、国連外交を推進しようとしており、アメリカ外交の対極にある。

   一方、新しいE世代を中心に英語を共通言語として、共通のユーロ文化が急速に台頭し始めていて、この面でのヨーロッパ合衆国の形成が堅実に進んでいる。

   EUは、圧倒的な軍事力で世界の覇権を握っているアメリカの「ハードパワー」には、対抗できない。
   しかし、ヨーロッパ合衆国は、国際組織での多数派工作、国際開発援助によるソフト防衛、圧倒的な遺産と価値を誇るヨーロッパ文化外交、慈善に基づいた国際協調主義、等々、経済力や文化的政治的な影響力や国際機構での指導力を駆使した「ソフトパワー」を通じて、「超大国」への道を歩もうとしている。
   近年、EUは、仏独を筆頭に諸国間の利害の調整が進んで融合が急速に進展しており、経済的文化的な援助を通じて、かってのアジア・アフリカの旧植民地諸国を糾合して多数派工作を行い、ヨーロッパ文化・文明が醸成する限りなく豊かなソフトパワーを駆使すれば、唯一の覇権を持つ超大国アメリカに十二分に対応できるのである。

   アメリカの英知アーサー・シュレジンガーやジョセフ・ナイが近著で、国際協調主義を放棄したブッシュ政権の武力による単独主義、ハードパワーによるアメリカの覇権主義を激しく糾弾している。
   しかし、たとえ、ブッシュ・アメリカが気付かなくても、このヨーロッパ合衆国の強烈なカウンターベイリング・パワー(拮抗力)によって、グローバル社会の振り子は大きく動こうとしている。

   さあ、日本はどうするのか、それが問題である。
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