海外では、「感謝祭」を過ぎる広告は、ホリデーシーズン向けになる。
ホリデーシーズン=クリスマス商戦の本格化、という訳だ。
この「ホリデーシーズン」の広告をめぐって、ディオールが中国から批難を浴び、広告そのものを取り下げるという事態が起きている。
BBC News Japan:ディオールの「小さな目」の写真に批判、写真家が謝罪 中国
確かに、印象的な写真だと思う。
思うのだが、カメラマンを見据えるような目は、「小さい目」というよりも「目力」があるような印象がある。
あくまでも私個人の印象なので「東アジアの女性特有の小さい目だな~」と、感じる方もいらっしゃると思う。
思うのだが「小さい目」であるコトが、悪い事なのか?という、疑問がある。
何故なら、この写真を撮ったのは中国人の女性写真家だからだ。
中国人として「小さな目」を屈辱だと感じているのなら、あえて「小さい目」を強調するような写真を撮影するのだろうか?
何より、彼女は独特のファッション写真の表現(「小さく細い目の女性」の写真)で、一躍注目されるようになった、というキャリアを持っている。
それはリンク先のBBC Newsで紹介している他の写真を見てもわかるはずだ。
当然、ディオール側はそれを承知して起用したはずなのだ。
おそらくディオール側は、この女性ファッション写真家の中国女性の写真を見て「エキゾチック(あるいは東洋的)」と考えたのではないだろうか?
今から40年以上前、海外で活躍する日本人ファッションモデルの先駆者となった、故山口小夜子さんはそれこそ世界中のマネキンの顔を変えた、と言われる程の魅力を持っていた。
その魅力として挙げられたのが、ミステリアスでエキゾチックな目であり、黒髪のおかっぱだった。
おそらくその「ミステリアスでエキゾチックな目=アジア女性の魅力」と、今でも欧米ではとらえられているのかもしれない。
しかしながら、ディオールと同様のトラブルが、過去にも中国で起きている。
2018年、ドルチェ&ガッバーナの上海で予定されていたファッションショーの予告動画だ。
長い菜箸のような箸を使い、パスタを食べる東洋の女性という広告で、中国から批判を受け謝罪ということがあったことを覚えている方もいらっしゃるのではないだろうか?
今でも日本や韓国、中国に対する風刺画には、細く吊り上がった目・出っ歯などが誇張されて、描かれる事が多い。
それがステレオタイプ化された「アジア人」なのだろう。
そのために、このような事態が起きたのだと思うのだが、ディオール側としては、ホリデーシーズンという、一番売上が伸びる時期に合わせて、中国的(=エキゾチック)な広告を出した(つもりだった)のではないだろうか?
中国からの批判とディオール側の思惑との相違が、太平洋以上に広く深かったために、このようなことになったのでは?という気がしている。
「ディオールだから素晴らしい」というブランド信仰を持たない中国人のプライドの高さを感じつつも、「欧米人の考えている(旧来的な)エキゾチックさ。欧米風の美への賞賛への疑問」というものに対しての、理解も必要なのでは?という、気がしている。
ちなみに、2022春夏のコレクションで世界一多くののブランドに登場したのは、美佳さん。
最注目のモデルの一人として挙げられたのが、樋口可弥子さんだった。
WWDJapan:モデルの美佳がショー出演数で世界一位に パリコレで躍進した注目モデル4人
彼女たちは、アジア系という縛りではなく世界のトップモデルの中で、活躍をしておりアジア系の容姿そのものを自分の魅力としているような気がしている。
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