昨夜のW杯、日本対ポーランド戦は、0-1という負けながら、勝ち点と得失点差で並んだセネガルに対し、今大会から導入された「フェアプレーポイント」によって、日本が決勝トーナメント進出を決めた。
開幕直後、拙ブログでFIFA W杯のチョッと視点を変えてみると、スポーツビジネスの現状が見えてくる、という内容のエントリをした。
どうやらその傾向は、選手たちが履くシューズにも表れているようだ。
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FIFAの最大のスポンサーのアディダスではなく、ライバルであるナイキを履く選手が多いようだ。
このデータは、意外だった。
サッカーの世界において、アディダスはいわば老舗スポーツメーカーであり、力のあるスポンサーだ。
そこに割って入ろうとしているのが、ナイキだ。
ユニフォームなどを見ていると、その力関係が如実に表れている、といわれている。
ユニフォームの場合、各国のサッカー協会がスポンサー契約を結ぶのに対し、シューズなどはあくまでも選手個人との契約になる。
サッカーというスポーツは、道具をほとんど使わないスポーツなので、シューズが重要になってくる。
代表選手となるような選手たちは、シューズにもこだわりがあり、微妙なフィット感などを大事にしているはずだ。
もちろん、市販モデルで十分!という選手もいるが、多くの場合選手一人ひとりに合わせたシューズを提供していることがほとんどだろう。
とすれば、例えばアディダスからナイキへ変更する、というのは選手にとっては冒険に等しいと思うのだ。
それでも、ナイキへ変更する選手が増えている、ということなのか?それとも他の理由があるのだろうか?と、考えてしまうのだ。
というのも、ナイキが有名スポーツブランドになる切っ掛けとなったNBAにおいて、契約選手に対して細かなサポートプログラムを用意していた、といわれている。
同様のプログラムが、サッカーにもあり今では、バスケットボールよりもサッカーのほうが中心になっているようだ。
ナイキ:ナイキアカデミー
ナイキの場合、単なるシューズなどのサポート契約ではなく、トレーニングなどを含めたサポートを受けることができるようになっており、アカデミーで成長した選手たちが、代表選手に選ばれるようになってきた、ということも考えられる。
もちろん、高校生を対象に「ザ・チャンス」と呼ばれる、アカデミーに参加できるような選抜もある。
そう考えると、ナイキの戦略が見えてくる。
アディダスをはじめとする多くのスポーツメーカーは、選手とサポート契約をすることで、自社の製品を広く宣伝している。
これは、以前からあったビジネスモデルといえるだろう。
それに対して、ナイキは「選手を発掘し、育てる過程でナイキファンをつくる」という戦略をとっているのだ。
アディダス、ナイキどちらが優れた戦略ということはできない。
ただ、ナイキの戦略は確実にサッカー選手のシューズで勢力を伸ばしている、ということだけはデータから言えるのではないだろうか?
昨夜の試合そのものには負け、セネガルと同一成績であったが「フェアプレーポイント」により、予選突破ができた。
この「フェアプレーポイント」は、今大会から導入された制度で、実は日本が初めてW杯に出場したフランス大会から今大会まで、日本はレッドカードを1枚ももらっていないようだ。
そして、今大会でのイエローカードも出場国の中でも一番少ないという。
FIFAが目指す「フェアプレー」の体現者が、日本代表でもあるということは、戦績とは別に胸を張っても良いことかもしれない。