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「新しい資本主義」の所得倍増は、給与所得倍増ではなかった

2022-12-16 20:44:32 | アラカルト

毎日新聞のWebサイトを見ていたら、「所得倍増」についての記事があった。
毎日新聞:NISA拡充で資産所得が倍増?「器だけでは不十分」の声 

NISA拡充の話については、先月頃からだろうか?ニュースなどで度々取り上げられてきたと思う。
いわゆる「信託投資」を促進する目的?でつくられた、税優遇の投資のことだ。
この記事を読んで、岸田首相が就任当初に話をしてた「所得倍増」の話というのは、給与所得ではないのだな~と、改めて感じた。

昭和の「高度成長期」の頃は、物価以上に給与が上がったために、生活者の多くは「豊かさ」を実感するコトができた。
それからバブル経済が崩壊し、給与の伸びにないどころか実施賃金が下がる一方、という感覚を思っている方の方が多いのでは?
そんな経済状況の中、岸田首相は就任直後に「新しい資本主義」というテーマを打ち出し、「国民が豊かな生活できるように」ということで「所得倍増計画」というキーワードが、発表された。

そして多くの人たちは「給与が物価よりも大幅に上がる」という、印象を持ったのではないだろうか。
しかし、岸田首相の頭の中にあったのは「給与を物価よりも大幅に上げる」というモノではなく、「投資信託」による利益による「所得倍増計画」であった、ということが判明しようだ。

もちろん、大企業の多くは「過去最大の内部留保」を持っており、その「内部留保を従業員の給与に振り替える」ということも言われてはいるが、あくまでも「企業努力」的な部分があり、政府が強制できるものではない。
社会全体が「内部留保をベースアップや設備投資の原資の一部にする」という雰囲気が無ければ、なかなか難しいのでは?と、感じている。
それよりも、昨夜発表になった「法人税の税率アップ」の方が、ベースアップを促進させるかもしれない、などと考えている。

ただ毎日新聞の記事のように、岸田首相の考える「新しい資本主義」における「所得倍増」とは、NISAなどの投資による「資産倍増」のことを言っているということが、より明確になった気がしたのだ。
この「資産倍増計画」については、様々な問題の指摘がされている。
一番の問題は、「NISAなどに投資するだけの経済的余裕のない人たちが、数多くいる」という点だ。
日々の生活をやりくりし、家計は赤字にならないにしても、NISAなどに振り当てるだけの余裕がない、という家庭のことを考えていないのでは?ということなのだ。

確かに「投資信託」などは、100円位から毎日積み立てる、というプランもある。
以前に比べ、信託投資などへの1回の投資額そのものは、下がってきているし、1日100円を積み立てるのであれば、NISAの制度を利用して「投資信託」をやってみようかな?という人は、数多くいるだろう。
しかし、そのくらいの少額投資では「資産倍増」となるまでに、相当の時間が必要になる。
まして、「元本割れ」というリスクもある。
これらのプランを推し進める理由は、民間の金融商品を多くの人が利用することで、様々な企業への投資が可能になる、という思惑も見えてくる。
しかも、政府が支出する費用は随分少ないはずだ。

この一見グッドアイディアのような「資産倍増計画」だが、上述したように「資産そのものを持っていない人達」を、どうするのか?という問題が解決されなければ「新しい資本主義」も「所得倍増」という名の「資産倍増」も計画倒れで終わってしまうような気がしている。



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