ファッションの世界では、1シーズン先のコレクションの発表が、当たり前になっている。
今の時期、パリやミラノ、ロンドンなどで発表されるコレクションは、来年の春・夏シーズンのものが対象となっている。
多くのアパレルメーカーのデザイン担当者は、これらのコレクションをチェックして「来シーズンのトレンド」を創りだすべく、洋服や靴、バッグなどのデザインをしていく。
アパレルメーカーの中には、いわゆるファストファッションブランドも含まれるわけだが、このコレクション発表の流れを変えそうなのが、ニューヨークコレクションだ。
朝日新聞:今か半歩先か、揺れるショー NYコレクションが即売の試み
元々、ニューヨークのコレクションで発表されるファッションが、パリなどと比べると随分現実的な内容が中心だった。
パリのコレクションを見ると「誰がこんなファッションで、どこに行くの???」と、思うようなデザインのものも少なくない。
特に80年代などはその傾向が強く、「あくまでもトレンドの要素を見る」というくらいの、感覚だったように思う。
酷い時(?)には「8割はデザイナーのクリエイティブの発表の場、2割が商談」と、言われたほどだった。
それに比べると、ニューヨークのコレクションは、あくまでも「着る」ことが中心だった。
パリのコレクションは、働く必要のない富裕層を顧客として考えているが、「ニューヨークで働く女性」を顧客として考えているのだから、当然と言えば当然かもしれない。
だからこそ、今回ラルフ・ローレンが試みたような、「即売型」のコレクションができたのだと思う。
記事を読むと、ラルフ・ローレンに歩調を合わせるように、いくつかのデザイナーが「即売型」コレクションを発表しているようだ。
ニューヨークだからこそ、できる試みだと思うのだが、このような「即売型」コレクションが、普通になっていくと困りそうなのは、ファストファッションブランドかもしれない。
というのも、ファストファッションの場合、ある程度「来シーズンのファッショントレンド」を見たうえで、デザインを起こし、最低ロット数を決め、販売するのが一般的だからだ。
それが「即売型」となると、ファストファッション側が自ら「ファッショントレンド」を創っていかなくてはならない部分が出てくる。
即売されるデザインを見て、デザインを起こしていては遅いからだ。
そう考えると、ラルフ・ローレンの「即売型」コレクションは、「自分たちでトレンドを創りだすデザインができるのか?」という、ファストファッションブランドへの挑戦状(というべきか?)かもしれない。
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