昨日、テレビ放映された山陰放送制作の番組を、TVerで見た。
山陰放送制作の番組が、全国ネットで放映されるということそのものが、珍しいのでは?と思いながら番組を見ていた。
TVer:未来をつくる島ホテル 第31回JNN企画大賞
この番組で紹介されているのは、隠岐の島の海士町に昨年オープンした「Entô」という名前のホテルだ。
隠岐の島唯一のホテルで、海側の別館を取り壊し新しく建て替えたホテルだ。
実はこのEntôについて、拙ブログが取り上げるのは初めてではない。
昨年のオープン時にも取り上げさせていただいている。
「コロナ禍」の最中にオープンするリゾートホテル
稼働を始めて半年余り。
まだまだ成功というには早いと思うのだが、それでも「コロナ禍」という最中でオープンという、悪条件を考えれば相当良いスタートを切ったように感じる。
利用者そのものの高い満足度があるだけではなく、地元の人たちとの「協業」ともいえるような連携があることが、このホテルの強みなのでは?という気がしている。
番組を見ながらそのようなことを考えていたのだが、もしかしたら「地域の活性化」で一番必要なことは、「行政だけ・住民だけ」というようなどちらかに偏った地域活性化の主導ではなく、「行政と住民との協業」という考えが無くては、難しいのでは?という気がしたのだ。
「地元の目に見えない資源を掘り起こし、それを地域の活性化の起爆剤とし、地域経済を活性化する」という、行政と住民のコンセンサスが取れているからこそ、Entôというホテルが隠岐の島の観光のゲートウェイになりつつある、という気がしたのだ。
それは「地域活性化」に悩む自治体などにとっての、一つの解答のような気すらしている。
「行政だけ、地域住民だけ」では、地域経済の活性化の規模が小さくなるのでは?
一般的な「パブリックコメントを募集」という方法では、見つからない「地域資源の発掘」にも共通していると思うのだ。
隠岐の島・海士町のようにIターンで就職する人が多い=よそ者視線が「地域資源の発掘」ではない、と思っている。
というのも、番組の中でEntôの社長をされている青山氏が、隠岐の島へのIターンを決めた理由が「居酒屋で、町の人と町役場の人が喧嘩をしているかのように、町のことを考えている」という点に集約されているという点だ。
言い換えれば「住人と行政が同じ方向へ向かって、それぞれの立場で本気になって話をしている」ということなのだ。
総務省が主導している「地域おこし協力隊」が、3年という任期期間で成果があまり出ることなくその地域を去っている場合が多いという現実を考えると、受け入れる行政側だけではなく、その地域に住む人たちも加わった「地域おこし」のコンセンサスがなく、一般的に言われている「まちおこしの起爆剤となる人材=若者・よそ者・ばか者」ということに終始しているからなのではないだろうか?
「眠っている地域資産」を見つけるには、よそ者の力が必要かもしれない。
周囲にそのビジョンを問いかけ、説得する力があるのは、ばか者といわれる「周囲を動かす熱意のある人」だろう。
その行動力があるのは、若者かもしれない。
しかし、それらの力を持っている人たちを動かし続けるには、地域の住人と行政が一つの方向に向かって「地域を良くしていきたい」という、思いがあってのことなのではないだろうか?
IターンやUターン者が多いことが、地域の活性化につながるわけではない。
その力を動かすための素地が、その地域になければIターンやUターンの人材を活かすことはできない。
そんなことを、このEntôというホテルは示しているような気がしている。