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スポーツマンシップよりも前に考えたいコト

2018-05-18 18:41:57 | スポーツ

日大と関西学院大とのアメリカンフットボールでの試合中に起きた、傷害事件(あえて「傷害事件」と書かせていただく)。
ビデオなどを見ると、いくつか疑問に感じることがある。

一つは、怪我を負わされた選手は、ボールに触っていない、という点。
サッカーやラグビーなどでは、ボールに触っている選手に向かって接触プレーをすることはあるのだが、アメリカンフットボールの場合、ボールに触っていない選手に向かって突進(「タックル」という言葉は、使いたくない)するのが、普通なのだろうか?
ボールに触れていない、ということはゲームとは関係が無い、という状況のように思える。
ゲームと関係が無い選手に怪我をさせるような行為が、ルールとして認められたら、それはスポーツと呼べるのだろうか?
今から20年近く前、Jリーグの試合でフリーキックの場面、敵味方選手が入り混じっている中、対戦相手選手の顔面を肘打ちし、顎を骨折させるという瞬間を見たことがあるが、それ以来の衝撃的だった。
ちなみに肘打ちをした選手には、審判がその後イエローカードが出されたが、肘打ちをされた選手側チームが猛抗議をした。

二つ目は、審判がこのような行為に対して、反則などを取っていない、という点。
アメリカフットボールというスポーツのルールをほとんど知らないので、このような審判の判断が普通なのかもしれないが、危険な行為に対して審判が何もしない、というのはスポーツとしてどうなのだろう?
結局、怪我を負わされた選手が、同じ選手から3回も突進行為を受けることになってしまったのは、審判にも問題があるように感じるのだ。

三つ目は、アメリカンフットボールというスポーツそのものは、選手自身の判断自由がとても少ないスポーツである、という点から考えた時の監督やコーチの、アメリカンフットボールというスポーツに対する考えの問題だ。
アメリカンフットボールというスポーツそのものは、よく知らないということは上述した通りなのだが、実はビジネスという場面では、アメリカンフットボールの組織マネジメントは、よく参考にされてきたという過去がある。
監督以外にも観客席で、ゲームを俯瞰しながら戦況を分析をする、という役割を持っているコーチ(というのだろうか?)がおり、場合によってはその戦況分析によってゲームを大きく動かす、とまで言われていたからだ。
それだけではなく、サッカーやラグビーのように選手一人ひとりの状況判断よりも、そのような戦況分析に基づいたシステマチックなゲーム運びが上手いチームが、強いチームと言われてきたという過去がある。
その「戦況分析とシステマチックな問題解決」という点で、ビジネスにおけるマネジメント発想に応用できる、ということが一時期言われたことがあったのだ。
とすると、選手一人の勝手な判断であのような傷害行為を偶発的に3回も起きるものだろうか?という、疑問がわいてくるのだ。

日大のアメリカンフットボール部(だけではないかもしれないと思うが)は、とても厳しい練習をしていた、という話がある。
もちろん、「名門チーム」なのだから、厳しい練習をしているのは当然だと思うのだが、その「厳しい練習」の中に、日本的な「根性主義」と結びついた「勝利至上主義」があったのではないだろうか?
確かに、試合に勝つ!ということはチームとして明確な目標になるだろうし、試合に勝つことで自信にもつながり、より効果的な練習ができるだろう。
ただ、そのような「根性主義」と、システマチックなマネジメントによって、ゲームを動かしていくと言われているアメリカンフットボールとでは、どこか相容れられないところがあるような気がするのだ。

「スポーツマンシップ」というのは、対戦相手に対して敬意を持つことなのではないだろうか?
アメリカンフットボールというスポーツに愛情も持たず、ただ勝つコトだけを至上命題のように考えていたとすれば、それは「スポーツマンシップ」以前の「スポーツに関わる」という意識の問題のような気がする。



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