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AIとクリエイティブ

2023-04-12 22:07:59 | ビジネス

朝日新聞のWebサイトを見ていたら、「こんな時代になるのだな~」という印象の記事があった。
朝日新聞:アーティストの作品でAI訓練「無断で複製された」米国で集団訴訟 

しばらく前、AIを利用して文章を作るソフトがある、という内容のエントリをした。
AIの学習機能を使って、言葉や文体を覚えさせ文章を作る、という内容だった。
この時は、AIにその情報を与える側が言葉を選び文章を作る力が無ければ、AIにいくら学習させても意味がない、という内容をエントリしたと思う。

同様に、AIに絵を描かせようとすれば、文を書かせるよりもより細かな情報を与えなくては、絵にはならないだろう。
何故なら、AIそのものはコンピューターと同じ2進法だからだ。
私たちは、「AI」という言葉や文字だけで、何か特別なモノのように感じてしまいがちだが、AIそのものの基本はコンピューターと同じなはずだ。
違うのは、データの蓄積によって自己学習をすることができる、という点だ。
その部分を見誤ってしまうと、「AI」そのものを「これまでの仕事を奪う化け物」のようなイメージになってしまうように感じるからだ。

そう考えた時、記事にある米国での集団訴訟は、単なる著作権という問題だけではない、ということに気づく。
それは「クリエイティブ」という、「無から自分の頭の中で想像をし表現をする」ということに対する「価値」を、どのように考えるのか?ということだ。

日本では「ものづくり」ということに、高い価値を見出す傾向が強いと、感じている。
確かに「形とならないモノ」で「価値判断は、個人にゆだねられる」ようなイラストを含む絵画や音楽などは、「所詮道楽」のような受け止められ方をされる傾向にある。
もしかしたら、小説なども同じかもしれない。
しかし、「無から自分の頭で想像を、表現をする」という作業は、決まりきったことをするよりも遥かにエネルギーを要する。
コピー文を書くだけでも、唸りながら広告に合う言葉を思いつくまで、相当な時間を要する。
文章を書くのが上手い・下手という以前に、「想像する力」が必要なのだ。

その「想像する力」ができないのが、AIということになる。
理由は上述したように、「情報の集積による」からだ。
その「情報の収集」もまた、「情報を与える側」の「想像力」によって、AIがつくりだすモノが大きく変わってしまう。
今回のように、複数のイラストの情報を言語化し、AIに与えたとしてもそれは「クリエイティブなモノ」にはならない。
かといって「贋作」のようなモノでもない。
とても中途半端なモノでしかないのでは?という、気がしている。

そして残念なことに、クリエイティブ力に対して高い価値を見出すことができていない日本では、野放しになっているようだ。
朝日新聞:AIの無断学習。日本の著作権法ではOK 侵害に当たるケースとは 

せっかく日本は諸外国とは違う感覚を持って発展してきた文化がある。
アニメや漫画など「COOL Japan」と呼ばれる分野などだ。
今後も「AI学習の為だから」という理由で、野放しになれば「日本のクリエイティブ力」は、瞬く間に低下してしまうのではないだろうか?