日経新聞のCOMEMOを読んでいたら、大阪ガス エネルギー・文化研究所の所長池永寛明さんのコラムに目が留まった。
日経新聞COMEMO:「企画」が威張る時代ではない
マーケティングの仕事では「企画」は、重要な部分だ。
というよりも、市場調査をはじめとする様々な調査をしたうえで、商品や事業の企画、戦略を立てるのがマーケティングだと言っても過言ではないと思う。
そのことから「『企画』が威張る時代ではない」というタイトルは、耳が痛い。
しかし読み進めているうちに、「わが意を得たり」という気がしてきた。
会社員時代、「成功すれば営業の力、失敗すれば企画の責任」と言われてきた。
池永さんが言うことは、真逆?のことを、言われて仕事をしてきたのだ。
おかげで?現場に出ていくことも多く、そのたびに営業担当者だけではなく、お客様からお話しを伺うことができた。
それが、問題解決のヒントとなり、次への改善のアイディアにもつながっていった。
そのような経験をさせていただいたことで、マーケティング力というかマーケティングに必要な発想力や視点が、鍛えられたと思っている。
その中で一番実感したコトは、このコラム中にもある「マーケティングとは『Market-ing』である。”市場は常に動く”生き物の学問である」ということだ。
ただ残念なことに、日本のビジネスパーソンはこの「市場は常に動く」という視点でモノゴトを見るのが、苦手のように感じている。
なぜならHow toを求めてしまう傾向が強いからだ。
「××なら、○○になる」という、定型的な枠に入れ込めば「マーケティングができる=売れる企画ができる」と、思いがちな傾向が強いように感じている。
それは、「マーケティングを教えてください」といわれたときに感じる違和感でもあるし、実際書店で売れているマーケティングの本の多くは、このような類が多い。
「まず、自分が扱う商品がある場所に行って、生活者がどのような行動をとっているのか観察をしてきてから」というと、大概の方は「それは、企画の仕事ではないですよね」という趣旨のことを話される。
広告代理店に依頼した市場調査のデ―タや自社の考えだけで、企画を立てるということは「企業の考えを生活者に押し付けている」という、感覚が無いようなのだ。
その結果、とても狭い視点で考えた「偉そうな企画」が出来上がってくるし、企業の多くはそのような企画を期待しているように感じている。
あくまでも個人的な感想だが、それが「マーケティング」という仕事の意味を大きくゆがめ、理解されないようにしてしまっているのでは?と、感じる部分でもあるのだ(と、愚痴ってしまい、申し訳ない)。
本来マーケティングは、企業と社会と生活者がより良い関係を築く(あるいは気づく)ためのモノだと、考えている。
だからこそ、マーケターは社会で起きている様々なモノ・コトに興味・関心を持ち、勉強をし、幅広い視野を持ち続けるために好奇心を持ち続けなくてはらない(と、思っている)。
だからといって「威張る」必要はない。
肩の力を抜き、しなやかな感性を磨き続けることが、大切なのだと思う。