世間では、まだまだ「日大アメフト部」の話題が中心のようだが、この話題に影で「働き方改革」の関連法案である「高度プロフェッショナル制度(通称「高プロ」)」が、25日に衆院厚生労働委員会で可決された。
毎日新聞:働き方改革関連法案:高プロ、懸念払拭されず 衆院委可決
ご存じのように「高度プロフェッショナル制度」の対象となるのは、「年収1075万円を超す、専門性の高い社員を対象に、残業などの規制を外す」という法案だ。
日本のサラリーマンの多くが、残業代などを含めた給与で生活費を賄っている、という現実を考えると、この年収1075万円という線引きは、どうなのだろう?と考えてしまう。
その現実があるからこそ、働く多くの人たちが懸念をしている、ということが、どれだけ国会議員さんたちが理解しているのかは不明だ。
ただ、そのような「年収が高く、なおかつ専門性の高い社員」ばかりが、働き方改革の対象となっているわけではないと思う。
むしろ、「働き方改革」が目指さなくてはならないのは、働く人すべてに共通する「柔軟性のある働き方」なのではないだろうか?
特に女性の場合、(結婚→)出産→育児→介護という一時的に仕事を離れざる得ない時期があった。
それだけではなく、家事労働だけではなく出産・育児・介護などは、女性が中心となって無償でするのが当然、という社会的認識があり、その期間の女性たちは仕事と両立させるために、必死になってやってきた。
安倍さんになり、「女性も活躍してください」と言われるようになり、女性側は以前よりも疲弊してしまっているのでは?という気がするときがある。
それだけではなく、元々男女の給与差がある上に、上述したような理由により一時的に仕事を離れることで起きる決定的な給与差なども、考える必要があるだろう。
だからこそ「働き方改革」の中心は、「柔軟な働き方」ということなのでは?と、感じている。
その一つのアイディアとなりそうな話題が、Huffpostに掲載されていた。
Huffpost:都内のママが、1000キロ離れた北海道天塩町の公認インスタグラマーになったワケ
話の中心となっているのは、タイトルにある通り都内に住むママさんだが、これまで自治体がSNSなどを使った情報発信は、自治体の担当者などだった。
しかし残念なことに、自治体が発信するSNSの多くは、余り興味を引く内容だろうか?と、感じることが多かった。
おそらく自治体側が発信したい情報と情報を受け取ってほしい相手との間で、様々なズレがあったからだと思う。
それを受け手となる人と同じ感覚を持った人から情報発信をしてもらう、ということでその「ズレ」は縮まるはずだ。
となると、情報発信をしてもらう人は別に自治体の担当者である必要はないし、むしろ自治体の担当者でない方が、良いかもしれない。
インスタグラマーになった女性からすれば、これまでの育児や家事の時間の延長のような感覚で、インスタグラムを更新できる。
収入そのものはさほど多くはないかもしれないが、自分の生活スタイルを大きく崩すことなく、仕事ができる、という点は、魅力だろう。
このような仕事の在り方を「テレワーク」の一種、と考えても良いと思う。
何より、この「公認インスタグラマー」の募集を考えた天塩町の担当者は、仕事をする場所は役場内だけではない。
持ち運びができるPCがあれば、多くの仕事はできる、という内容のことを話している。
これまで「職場にいる=仕事をしている」という考えから、「仕事をしている=場所を限定せずに業務をする」という考え方に変わっていくモデルとなるように感じる。
だからと言って、四六時中仕事をするわけではない。
むしろ、メリハリのある仕事の仕方をしないと、プライベートな時間が無くなってしまう可能性がある為、自ずと「仕事の在り方」を考えるようになるはずだ。
このような仕事ができる業種・職種ばかりではない、ということは重々承知だ。
公務員を除くサービス業やヤマト運輸などをはじめとする運送業などは、難しいのが現状だろう。
だからこそ「働き方改革」を考えるとき、年収の多さではなく「柔軟な働き方とは?」ということを、考える必要があると思うのだ。