日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

眠っている技術をイノベーションに

2015-08-17 21:18:12 | ビジネス

お盆の頃、日経新聞にちょっと変わった記事が掲載されていた。
日経新聞WEB:汚泥水素で「ミライ」走る バイオマスが再び脚光

この記事を読むと、既に数十年前から「国内産エネルギー」技術としては確立していながら、その技術が使われていなかった、という事の様だ。
その技術を使い「水素自動車に活用しよう!」という動きがある、というのがこの記事の趣旨の様だ。

確かに今現在「水素自動車」を走らせるためには、「水から水素を取り出すために、電力が必要」といわれている。
その点では「水素自動車=エコカー」と言ってよいのか?という、指摘がある。
しかし、もしこの「汚泥を使ったバイオマスエネルギー」によって、「水から水素を取り出す」ことができれば、使う電力そのものが、環境に配慮した原料となり、正真正銘の「エコカー」となる。

でもこの「汚泥バイオマス」、「水素自動車」だけに使うのはもったいないと思うのだ。
記事の中にある「汚泥」の中心は、おそらく「下水道処理」の過程で出る「汚泥」を利用したものだと思う。
そうなると、都市部のほうが「汚泥バイオマスエネルギー」は、得やすい。
とすれば、「水素自動車」向けに使うだけではなく、一般電力としても利用できるのではないだろうか?
「太陽光発電」などの自然エネルギーよりも、安定供給ができるという、最大のメリットがある。
これまでの「自然エネルギー発電」には、不利と言われていた都市部ならではの「バイオマスエネルギー」と言える。

ただ、都市部だけなのか?というと、決してそうではないと思う。
実際日本各地の自治体は、「衛生面」の観点から「下水道」の整備を進めてきた。
人口の差こそあれ、ある程度の人口規模がある自治体では可能な「バイオマスエネルギー」と言えると思う。
それだけではなく、「汚泥」という点だけで考えてみれば、牧畜が盛んな地域もこの「汚泥バイオマス」が可能だと思う。
何より心強いのは、技術そのものは数十年前にできている、という点だ。
開発コストという点では、ほとんど必要がない。
後は、設備の問題という事になる。

これからの自治体は、自ら収益を創りだす必要があるのでは?と考えている。
「自治体が利益を創りだす」というと、「自治体が金儲けをするのか?」と言われそうだが、決してそのような意味ではない。
「自治体が利益を創りだす」というのは、国の補助金頼みの予算から自治体そのものが自由に予算を組めるように、自ら事業を行い、住民サービスや社会保障を充実させる原資とする、という意味だ。
例えば、このような「汚泥バイオマスエネルギー」を自治体が水道の様に提供することで、地域全体のエネルギーコストが下がり、これまで電力会社に支払っていた電気料金が減り、場合によっては電力会社へ売電することも可能となるかもしれない。
電気料金など「生活インフラ・コストが安い」という事で、企業誘致がしやすくなる可能性もある。
そのような視点での「自治体が利益を創りだす」という発想へとつなげていくことができるのが、この「汚泥バイオマス」なのではないだろうか?