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今より「放射能」が身近だった時代

2011-06-19 09:04:30 | 徒然
朝日新聞の土曜日版「be」に、「サザエさんをさがして」という連載がある。
ご存知漫画「サザエさん」は、朝日新聞に掲載されていた4コマ漫画。
その時々の話題やニュースなどを長谷川町子さんが、「サザエさん一家」を中心に描いていた。
その「サザエさん」を基に時代を振り返る、というのが「サザエさんをさがして」の連載内容だ。

その「サザエさんをさがして」を見て、チョッとビックリしたのだった。
その理由は、お父さんの波平さんがご近所の方と世間話をしている会話で、以下のような言葉が1コマ目で出てきたからだ。

ご近所さん「まったく放射能の灰がふってくるようじゃ・・・」
波平「セシウム137・・・・・」

2コマ目からは普通の会話となっていくのだが、1コマ目のこの会話に驚いたのだ。
この漫画が掲載されたのは1957年8月15日。
日付を考えれば、「ヒロシマ・ナガサキ」との関係もあるのかも知れないのだが、むしろ、この頃冷戦下で盛んになっていた「原爆・水爆実験」で世界中に撒き散らされた「放射能の灰」を指しているような気がする。

今から54年ほど前、世界中には放射能の灰が撒き散らされていたのだった。
それから10年ほど後、私が小学生だった頃、子供たちの間でまことしやかに噂されていたコトの一つに「雨にあたると禿げる」というモノがあった。
決して根拠のない噂ではなく、「放射能を含んだ雨にあたると禿げる」というコトだった。
もちろん、雨にあたったからと言って、小学生の頭が禿げるようなことは無かったのだが、当時は、それくらい「放射能」が身近だったのだ。

そして今、収束がまったく見えない「フクシマ」の状況を見ていると、いかに「情報」が大切なのか、というコトを感じる。
それだけではなく、専門用語をキチンと解説し問題点を整理しながら伝える、という難しさを感じている。
放射性元素の名前だけで頭が混乱し、「ベクレル・シーベルト」などの単位の違いがわからず、それらが人体に及ぼす影響が整理できないのは、私だけだろうか?

この「サザエさん」が掲載された当時は、「セシウム137」がどのようなモノで、どのような影響を人体に及ぼすのか、というコトが伝わっていなかったのだろう。
ちなみにこの記事のテーマは、「放射能」ではなく「扇風機」。
この漫画が掲載された1957年頃になると、一般家庭でも「扇風機」が普及し始め、「サザエさん」に初めて登場した、というものだ。

今年は「節電対策」で、「扇風機」が再び脚光を浴びている。
そしてその「節電」の要因となったのは、「フクシマ」での事故。
なんと皮肉なことだろう・・・そんなコトも改めて感じたのだった。