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民営化とサービス-日本郵政会社-

2007-10-04 21:47:20 | ビジネス
今月から郵便公社が、郵政会社へと変わった。
「郵政民営化」ということなのだが、当初のような事業展開ができるのだろうか?と、疑問に思うトコロがある。

現在、日本郵便会社は頻繁にテレビCMを流している。
そのキャッチコピーは「ひとりを愛せる日本へ」と言うモノなのだが、本当に「(生活者)ひとりを大切に」というサービスが始まっているのだろうか?
特に、郵便事業という分野や地方と言う点について見た場合、疑問を感じるコトがある。

郵政省がなくなり、郵政公社となった頃から積極的に進めてきたのが「合理化」である。
それも「トヨタ式」と呼ばれる、効率化と合理化を柱とした考え方の導入だった。
その「トヨタ式」を導入した最初の年賀状では、配達の遅れが目立ち、今年の年賀状配達でも同様の傾向が見られた。
と同時に、集配の合理化として僻地への集配業務が集約され、結果集配業務そのものが特定の郵便局に集中してしまうこととなった。
そして今回の民営化に伴い、おかしな現象が起きているという。

郵政会社は、4つの事業会社に分社化されたのだが結果として、郵便配達をする人と、郵便貯金を担当する人、簡保と呼ばれる保険事業を担当する人が、バラバラに一軒のお宅に伺うことになってしまったのだ。
高齢者世帯が多く、昔から「集金」という方法によって貯金や保険契約をしていた田舎では、とても不都合なことが起きているという。
「これが本当に、合理的で効率が良いという方法なのだろうか?」と、疑問に感じるのだ。

郵便の集配業務の「トヨタ式合理化・効率化策」と対照的な方法をとっているのが、ヤマト運輸だ。
基本的には、郵便事業会社と同じようなシステムのようなのだが、センターと呼ばれる集荷・配達所を細かく作っているのである。
路上駐車の規制が始まるのをキッカケに、ヤマト運輸は「カート付き自転車」などを活用するようになった。
それまでのセンターを分散させ、1担当者の集荷・配達エリアを小さくすることで集荷時間と配達時間を短縮させようとしているように思えるのだ。
一方郵便公社時代から進めてきた「合理化・効率化策」は、上述した通り集約しか考えられていないように思える。

現在掲げている、キャッチコピー「ひとりを愛せる日本へ」を本気に目指すなら、工場生産型の「合理化・効率化」ではなく、物流システムとしての「合理化・効率化」を考えるべきだろう。
それと同時に、生活者が求めている「郵便局会社のあるべき姿とは?」ということを、考える必要があるように思う。
田舎と都市とでは、郵便事業そのものの存在意味が違う。
都市部では100m圏内に、複数の郵便局はいらない。
しかし、高齢者が多く住む田舎では郵便物を運ぶ人が「情報を運び、生活を運んでいる」のだ。
その視点とそれまで創りあげてきた「強み」を、もっと真剣に考える必要があるように思う。