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中国一人旅総括 中華人民共和国社会体制について

2017-01-29 09:51:47 | 旅行記

中国社会で私が感じる最大の問題は社会の分断と没信頼。

その一つが戸籍問題です。

2011年内蒙古自治区も遼寧省に近い寧城?のバスセンター中学生女子(週末に実家に帰る?)が私が読んでる本を覗きこんで「・・・?」で「日本語」と言うと、私と共に日本に興味?。

そこで「しっかり勉強すると、君も色んな所に行けるよ!」と、彼女「私は農民だから・・・」、その時の彼女の顔、絶句してしまいました。子供から希望を奪っている社会を見た思いが今でも。。

 

中国戸籍制度

1958年『戸口登記管理条例』、中国国民(公民)は常住地において常住人口として登記しなければならない、中国の人達がいう“hu4kou3”です。管轄は公安機関。

1995年改正され「常住人口登記表」、「戸口登記簿」、内容を記して戸ごとに発給する「居民戸口簿」として日本での戸籍謄本相当が存在。

以前は「農戸」・「非農戸」と記載、現在は「集団戸」・「家庭戸」の区別で記入されるが、一般には旧称で認識されている。

登記内容は戸別、戸主氏名、本人氏名、性別、旧名、民族、出生日、出生地、住所、本市・県のその他の住所、籍貫(祖父の居住地)、宗教信仰、身分証番号(資料1)、学歴、婚姻状況、兵役状況、身長、血液型、職業、勤務先等。

本人特定の為の手続きが、中国では明らかに管理のための手続きとして記録される。そして戸籍間の移動は現在に至るも厳しく制限されている。

 

戸籍制度と一体の土地制度。

一方で社会主義化された中国での土地制度は都市区域は国有地、農地は自力更生(人民公社)からの流れの中で基層単位村の集団所有で現在に至る。共産党政策は絶対・至高から抜けられない。

集団所有の農地や居宅は村共産党委員会によって管理、分配され現在耕作権として30年の期間で運用される。

都市区域の国有地は現在、所有権の保留を前提とした占有権、使用権、収益権で構成され、その規模により上位政府の許可の下、有償譲渡される。

 

農民は耕作権の下、農村に固定され、農村の富(生産物)は都市へ提供される(格安な価格統制)。結果農村や地方政府は余力なく社会保障や教育は取り残された。

都市戸籍を持つ住民は農業以外の生産活動に携わって、計画経済下で職場である単位(dan1wei4)が受け持っていた社会保障や教育等の便宜を現在は都市政府から受けている。

改革開放後30数年、農村から都市へ出稼ぎという労働移動の下で、農村と都市との経済格差、各種社会保障制度の格差や、情報インフラの発達(テレビ、インターネット、スマホ)下で富の偏在等が起きてきた。

流動人口(出稼人・農民工)は都市戸籍を持った人と同等に都市での社会保障や教育を受けられない。彼ら出稼ぎ者の面倒は所属戸籍政府の責任として現在でも処理されている。

都市に住む農村戸籍者の子弟はその居住する都市では都市民と同じように公の学校へ行く権利を持たないし、老人医療機関でのサービスを受けられない。受けるには高額な代金を要求される。結果農村に子供と老人が残される。

 

ここにきて経済を外国に頼る輸出主導から内需に切り替える(新常態と命名)べく、中央は都市化を標榜し一部で戸籍移動の緩和を図っている。

しかしその耕作権配分の権利は農村戸籍を持っている限り維持できるため、現在一部で試験導入されている耕作権の売買(ため込んだ富の分配?)の行方や、都市戸籍受け入れ先の問題もあって、順調には進まない。

すなわち沿海部大都市では人口流入の抑制、地方都市では就業機会の不足等があり政府の内陸部の都市化推進が思惑通りに、はたらかないのが現状です。

土地制度に絡んだ二重戸籍問題は現在に至るも、共産党統治の安定のために改革は進まず、都市農村の格差はさらなる速度で格差を生み出している。

地域間格差、富の偏在の下での急激な人口移動農村崩壊、都市内格差を生み出し(すでに露見)、社会不安・共産党政権の否定(革命)につながる事を共産党は恐れる。

 

2016年NHKドキメンタリー「巨龍中国 一億大移動 流転する農民工」 ユーチューブ視聴可

少し古いのですが、2007年 重慶の担ぎ屋 彼らの隣で食事しました。

2012年西寧の街角  職を求める人々。

2012年嘉峪関の街角 この田舎町でも職を求める人達、フォーカスをぼかして。

2012年天水食堂の小老板と厨師  5月29日(火)朝8時、学校は?

 

(資料1)身份証、管轄は公安部、16歳以上公民の常住戸口所在地を基準として編成される。

 

都市開発という打出の小槌?、残ったのは鬼城と地方債務。

土地制度と統治体制の交点としての都市開発。

都市区域でしか居住できない非農戸住民の為の集合住宅(房子)であるが改革開放後の社会主義市場経済の基、地方共産党・政府のGDP評価が成績査定されるに及んで ヒエラルキー展開される。

地方各級政府は上位者の思惑の下、その地方の需要が考慮される事無く街の改造、建設へと自己増殖を始める。そこに利権・金銭が絡んだ時爆発してしまった。

 

まず集団所有制の農地を下位者の村から国有地(都市区域)への編入では過っては権力で、今でも過去3年間の当該農地の平均生産量の30倍を限度の保障にて執行している。

都市区域(政府管轄土地)となった居住区(社区)は任意又は入札にて開発業者に多くの場合期間70年で有償譲渡され集合住宅(房子)として売買され個人所有となっている。

農民からタダ同然で収用した土地は高額な金額で開発業者にわたり、その収入はその地方政府の別会計として処理される。さらに農村ではできない資産の形成都市では可能となり、投資対象となっている。

 

流入人口の多い沿海部都市や1線級都市では限られた供給住宅の結果、住宅価格の高騰や投機をもたらす。

それを受けた内陸部や地方都市では、組織成績(GDP押し上げの固定資産投資)の為、自ら開発業者になり、歯止めのない開発競争をもたらす。

現在こうして出来た地方開発物件は完成、未完成のまま塩漬け状態。

 

一方、自ら設定した事業収支の基、支出や利益処分(リベート)の終わった今(仲間での分配完了)、高金利で集めた資金の後始末を迫られるが、関係者は転出・移動して、ババ引きできないなか中央政府の対応を待っている(最終的に仲間だから)。

中央政府は問題を先送りするため、内陸地方都市の開発促進を政策としたり、地方政府での債券発行を認めて金利の低減(理財商品から銀行借り入れへ)を図ろうとしている。さらに問題の先送りに留まれず、さらなる開発へ突き進んでいるところも多い。

共産党によるどんな対応も、共産党の政権維持を目的としている限り問題の解決にならず隠ぺいになってマグマ(負債・腐敗)は膨張している。その度に利にさとい人たちの投機対象にされ更なる格差の因子になっている。

 

2012年西海省西寧   

2013年鳳陽  鐘祥 当陽 荊州 

2015年峡西省神木(石炭の町)  

2016年銀川  天水 戸県(西安の隣町) 咸陽   渭南 鄭州市内再開発 

 

仲間社会 社会に信頼関係がない。

中国共産党統治の中国社会(法治でなく人治)では、共産党上位者による恣意で社会の信頼や契約が何度も反古され、その社会正義がない無いため、人々は小さな集団(家族、一族等の地縁、血縁)で自身の地位や財を守ってきたし守って行く現実。これこそ中華の夢の中身。

その集団で情報を共有し、利用し、分配して財や地位を高める。たとえ共産党員と言えどもこの小集団(ある時はその集合としての大集団)に所属し行動する。

集団の中では共有は絶対であり、それに外れることは集団からの退場を意味し、中国社会では生存できない。集団によって得た利益は集団に分配しなければいけない。

仲間しか信用しない。個人の価値観より仲間の利益が優先。

日本の企業が中国に進出するにはこの問題をクリアしないで成功は無い。

 

信頼の無い社会の現象

日常として①信号無視  信号に従っていても赤の次は青になると信用しない気持ち。

②バスが満員でも次のバスが来るとの決まっていないので今のバスに乗ろうとする。

③列車のチケット購入   順番を待っていても、その職員の都合(用足し)で窓口が閉鎖する。順番を信用しない。

④品物の表示価格や品質、 信用しないので触ったりして確認しようとする。牛・豚はともかく鶏や家鴨は生きたままで売られるし、目の前で捌かれるのを確認する。

⑤地方での交通事故;中国で今自家用車の車載カメラの搭載が増えているそうですが理由は事故時特に地方では、地元警察の作為的判断で不当賠償が起こるのに備える為と。

⑥転んだ人や事故にあった人に係らない;助けた人のせいにしたり、助ける行為自体が不自然とする社会の為、加害行為を疑われる。

⑦食事は仲間と一緒にする、支払いは金銭的恩恵を受けた者が仲間への分配として清算する、割勘は成立しない。見返りとして便宜や情報。

 

契約はその時点での約束事、状況が変われば拘束されるものではないのが社会通念。現状のインターネット通販が定着するかはまだ疑問、しかしそれに代わる物もない。

その時点での利得を得ることに敏感、爆買い、住宅バブル、株取引の乱高下等をこの観点で読み解くと解りやすい。

 

共産党員の汚職と腐敗

AFP通信によると、中国共産党中央規律検査委員会は2017年1月10日、中国政府が進めている汚職撲滅キャンペーンで、これまでに官僚や公務員など約120万人が処分されたと発表した。

政府司法機関が発表しないで共産党委員会が発表するのか?ここまで読まないと中国は理解できません。

権力を利用して汚職行為を行い罰せられたものだけでも120万人、但し一年間ではなくこれまでにとあります。なぜこれまでの数字120万を挙げるのか、意図が見られます。

統治体制、法治体制の基、仲間社会では本人の資質でなくシステムの問題、すなわち共産党の存在が原因だと誰もが解っている中撲滅を叫ところに現状を読み取ることができます

仲間社会では自己の権力も仲間への分配対象。水平だけでなく上下関係からも存在するため、自己浄化は不可能。

 

権力闘争

民主制を経験していない中国社会4000年は暴力革命と権力闘争の歴史、輻輳多岐にわたる仲間社会の中でさえ牽制、懐柔、攻撃、阿りでし烈に闘争し続けなければ存続できない、そこには不断革命論(文化大革命)が見え隠れする。

汚職摘発、腐敗撲滅がこの中国共産党内の権力闘争と一体になる。権力闘争に敗れる事を中国では落馬という。

中国10億の人々は冷めた目、劇場感覚で見ている。そして落馬する者に拍手喝采で一時の憂さ晴らしする。自分たちには関係ない!

一方当事者たちは10億の人達の前で演じ続けなければならない。正に悲喜劇。

 

格差と貧困

中国国務院報道弁公室2016年12月1日公告、「発展権:中国の理念、実践と貢献」白書

改革開放以来、中国は、「人類史上過去に例を見ないスピードの大規模な貧困削減」を実現させ、現行の農村貧困基準に照らし合わせると、累計7億以上の貧困人口を削減した(逆読みすると共産党統治下三十数年間7億以上の貧困人口を抱えていた)。

この数値は、米国・ロシア・日本・ドイツ4ヶ国の総人口を上回っており、貧困発生率は5.7%にまで低下した。これにより、中国は、国連ミレニアム開発目標を世界で一番先に達成した国家となった。

しかし13.8億国民の5.7%(7800万人)の貧困層、これを容認、胸張る神経!怖い大国です。

 

2011年11月29日、中央貧困脱却活動会議 「貧困線」を年間純収入1274元から2300元(約2万8200円)

「2020年までに、支援対象である貧困住民が衣食の心配もないことを安定的に実現し、その義務教育、基本医療と住宅を保障する。貧困地域における農村住民の1人あたり純収入の伸び率が全国平均より高く、基本公共サービスの主な指標が全国平均に近づき格差拡大の趨勢を転換させるようにする」。

今回貧困線の改正に伴う貧困人口の急増は「豊かになった中国」「強くなった中国」「世界第二位の経済大国中国」といったイメージや評価を根底から覆す恐れすらある

新基準の適用によりがらりと変わることになった。まず、貧困人口の規模は十数年前に逆戻りして1億人を突破し1億2800万人に達する。これは実に中国の総人口の1割弱に相当する。次に、農村部の総人口に占める貧困者の割合(貧困率)はふたたび2ケタの13.4%へと急上昇する。

 

何千万人になった、何%になったという数値は基準値を変えればどうとでも動く数字。特に中国では統計数字は共産党の創作です。

問題は貧困層問題で解決できるものではなく、その仲間たち(富裕層)に入れない多くの中国の人達が、中華の夢のおこぼれでなく分配として享受できるのかにかかっている。

10億の人達に4億の人達は今後得る財を再配分できるのかにかかっている。しかし彼らは配分どころか今もせっせとその財の移転・増加(海外投資・不動産購入)を図っている。

 

格差と住宅高騰

複利計算では、価格は毎年15%の値上げが5年で倍になります。

中国大都市、沿海一部都市では改革開放、都市化の推進のもと、住宅供給のコントロールにて次のように資産格差が発生拡大してきました。

現に資産を持っているもの、銀行から借り入れできる者(富裕層)は投資目的で次の新規不動産を購入、5年もすればその不動産が二倍の資産価値に、それを処分しての新たな資金や、その不動産を担保に、新たに資金を得、次なる不動産投資。住宅バブル、資産は増殖、格差は拡大するカラクリ。

増殖した資産はバブルの拡大を期待、創造して更なる二線級都市や内陸中心都市へ拡大して、ババの回しっこ状態。

労働なき資産家礼賛!資本家もびっくり。社会主義、共産主義のイデオロギーとは真逆!

環境、税制、宗教問題については(その2)にて。 

 

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