自由人の発信 おっさんの中国一人旅から国内旅。

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想像力欠如リーダーの集団、一方なんでも利用する中国共産党リーダー

2020-04-20 14:01:52 | おっさんの中国一人旅終了?に伴って、もっと日本を旅します。

山岳遭難とは想像力の欠如した登山者やリーダーに率いられた登山パーティ。

今の日本まさに山岳遭難?合理的な想像力がそもそも欠如?裸の王様?(心地よい言葉しか届かない)的な行動を繰り返すリーダーと不都合な真実を受け入れない集団のように見えます。

コロナ騒ぎで旅ができません!、少し古い国内旅、2002年7月13・14日かみさんと二人トムラウシです。

大雪には年一、ある年には7・8・9月、春・夏・秋と登りましたが(子供が小さい時は6人パーティー)、かみさん10年ぶりかで゛私も!”の山行き。かみさん用ザックやシュラフを新しくして(久しぶりにかみさんに山男ぶりを・・・)。

台風一過の登山日和。

車で天人峡手前の民宿で前泊。翌日登山口天人峡に車置いて、ヒサゴ沼避難小屋一泊二日です。

7:03(登り始めて1時間半?)昭和のワンダラー!最初のスポット。

だらだらとした登りが続きます。予定コースタイム8時間?

9:32第一花園、休憩していると・・・。

中年女性4名を中に7名程のパーティーが下りてきます。

少し離れたところで休憩、携帯でどこかと話し始めて・・、突然パーティーの女性が悲鳴を上げます。びっくり゛どうした?”と言った感じ。事情は分からないまま、パーティーは下って行き、私たちはこれからの登りを思いながら。

このルートは初っ端の急登250m上げ以後は、化雲岳まで12キロの果てしないだらだら登り、2キロのヒサゴ沼までの下りの14キロ工程。

12:34ポン沼ワンピッチ手前のお花畑。

12:54ポン沼

14:12化雲岳肩

かみさんも私も若かったな~(まだ学生時代の・・・)。

でも登り始めて8時間過ぎ、小屋どまりですが、なんだか腰に違和感が・・・(私の方が・・、周りのお花畑は今真っ盛りなのに・・)。

ヒサゴ沼!砂嘴の根っこに避難小屋微かに見えます、腰は・・・。

4時過ぎ、やっとたどり着いた記憶があります。

 写真は翌日トムラウシへの雪渓から振り返る。

当時の小屋は避難小屋そのもの、内地の山小屋を想像してアプローチしないこと。便所も・・、今は携帯トイレブース?。

まだこの時間、小屋はそこそこの人数でしたが、暗いなか到着するパーティーで寝る頃には満員状態!。

夜中、隣の若い子「もういややわー、帰りたいームニャムニャ・・・」(同じコース?、トムラウシの洗礼?)

 

7月14日、今日も登山日和!(山頂はガス)。

しかし、腰が・・、トムラウシまで3時間、折り返してあのダラダラを考えると無理があると。

「登頂は諦めて、下ろう!」

「ここまで来たんだから登ろうよ!、でも昨日の道でなくトムラウシ温泉へは降りられない?」

「山頂から温泉分岐までは5時間がとこ、温泉バス停はそれから2時間」

「少し私が持ってもいいよ」だと(ウム・・・)。

「もうこのシュラフ(学生時代からの物)いいから、ここに置いていこう!!」(残念!こんなもん?)。

「なら、新得から旭川までバス、そこで久美と合流か?」。久美;わが長女、当時旭川の婚約者実家にこの日行ってる・・・。

「携帯通じるところで連絡取ろう!!」(山から下ることを優先)

5時過ぎにヒサゴ沼出発!。

前日とは大違いなこの格好!(情けないと思う余裕もなく?)

7:55北沼

8:30ともかくのトムラウシ山頂。

携帯圏外?娘は旭川に来ていなかった?(ともかく下山を!)。

十勝連峰を一望!(2日前にはここは暴風雨?)、手前は南沼?

温泉への下り、登山道は先日の雨と多くの?登山者で所々大荒れ!。これを登るのは、かなりの体力が要るぞ!

3時前には何とかツムラウシ温泉。(温泉入る余裕もお金も・・・、入った記憶がない)

途中前後していた3人ずれ、新得までのいい時間のバスが無く?(所持金?)途方に暮れていた?私達に、新得まで送ってくれた山仲間!!(お願いした?、彼らは幕別だったか?)。

旭川までバスあり、その先バスなければタクシー?お金は足りるのか!

食べたかった新得そば!パス。。

旭川に着いた時はもう電気がついて・・、天人峡までのバスもありません。

所持金は1万円?、仕方ありません!タクシーの運転手さんにこのお金で行けるところまで、でお願い。交渉成立!

運転手さん料金切れたところ?かでメーター下ろし?車まで。無事わが車に到着!時間は8時過ぎてたかと。

「これから札幌かい?お腹すいてるでしょう、このお金で途中何か食べて帰りな!」

オオ!タクシーの運転手さんにお金頂くなんて!世の中広しといえど!

東川の食堂で食べた親子丼の美味しかった事、その前を通るたびに思い出します。

高速料金もないので国道を、道さえ間違わなければわが家に着きます!

山は怖いのですが、下界は人に助けられたりで、想定外も思い出の山旅でした。

 

翌日の新聞、あの時の悲鳴、前日の遭難パーティーの内4名が救助隊と自力下山中に、旭川にヘリコブターで運ばれた仲間の死亡を知った悲鳴のようでした。

2002年トムラウシ遭難、興味ある人はこちらで blog.livedoor.jp/awc2aw0721/archives/969078.html

2009年7月16日の8名に上る大量遭難が続きます。

 

現在のコロナ騒ぎ、この6年近くやってるやってる感覚、平気で自己弁護と事実の糊塗で胡麻化してきた人達には、この未曽有の現実を、よりよくリードする事は無理がありそう。これも私たちが招いた結果、次なる準備をする必要があるかと。

強権で有無を言わせず人々を閉じ込めた中国共産党の中国、いち早く情報を利用して市民に訴えた韓国、見つめ続けざるを得ない国の事実を冷静に判断し迅速な対応を市民に知らしめた台湾。

これほど時間と事例を身近に見ながら森・加計・桜の対応を、またもって取らざるを得ない私たちの国、残念です。

 

さてその隣の国から始まったコロナ災禍、前回に続いて時間を追ってコメントをみてみましょう。これも隣国、中国の姿、これからの判断材料に。でも中国の人と共産党は別人格です、共産党が一番嫌うことですが。

 

ダイヤモンドオンライン 2020.3.6 5:07 DOL特別レポート 王 青:日中福祉プランニング代表

世界で猛威を振るう新型コロナウイルス肺炎。最初の発生地とされる中国湖北省の武漢市はすっかり世界中に名が知られることとなった。その武漢に、世界中にいる億単位の中国人から注目を集める女性作家がいる。彼女が毎晩深夜0時前後にSNSに投稿する武漢の様子が、多くの中国人の心をとらえているのだ。時に政府批判も含むため、当局から削除の憂き目に遭うことも度々だが、毎晩毎晩、投稿は止むことがない。その作家とは、どんな人物なのか。(日中福祉プランニング代表 王 青)

毎晩深夜0時にアクセスが集中、武漢在住の女性作家のSNS日記

「深夜0時、いつもワクワクして、日記を待っている。あなたの日記がまるで良薬のように、われわれの焦燥と苦悩を和らげてくれる」――。

毎晩、多くの中国全土や海外在住の中国人が注目し、真夜中の0時になると、たちまちアクセスが集中して多くのコメントであふれるSNSのアカウントページがある。

そのアカウントページの名は「方方日記」。新型コロナウイルス肺炎で揺れる中国・武漢市に在住する女性作家の方方さんが投稿する日記(ブログ)形式のコラムである。

なぜ、深夜0時にアクセスが集中するかといえば、その理由は明らかだ。

まず、方方さんが決まって深夜0時前後に投稿すること。

そしてもう1つの理由は、投稿の多くが、翌朝には中国の政府当局によって削除されてしまうからだ。

彼女のブログがなぜ、それほど注目されるのか。それはどんな「官製メディア」を見るよりも、現在の武漢や市民の生活の様子が手に取るようにわかるからだ。

1月23日に武漢が封鎖されてから、彼女は毎日1本の日記を書き始めて、SNSのウィーチャットや微博(中国版ツイッター)に投稿を始めた。今現在まで36篇で合計約6万字以上の「方方日記」を投稿してきた。

その内容は多岐にわたる。

武漢が封鎖された後の市民の様子、武漢市民の日常のささいなこと、病院関係者の友人からの情報や自身の考え、政府への助言などなど…。特に、最初に感染がどんどん拡大していく中で、多くの人がどうしたらいいのかパニック状態に陥ったときには、投稿を通じて助けを求めた。

読者は雪だるま式に増え、現在その数は「億単位」と推測されている。1月末ごろから、武漢をはじめ中国全土と海外在住の多くの中国人が、「彼女の日記を読まなければ、寝られない」という状態である。

中国の政府当局から何度削除されても書き続ける理由

彼女は政府に対しても物怖じせずに発言する。このため、政府を支持する人からの脅迫や恫喝も多く、中国の政府当局からは何度も投稿を削除されている。

そのうち彼女のアカウントも閉鎖される羽目になった。今はアメリカ在住の友人のアカウントを借りて発信し続けているが、その日の内容次第では、即削除されることが現在も続いている。それでも負けずに書き続け、毎晩0時前後に投稿している。

そのため、彼女は「21世紀の魯迅」「マスコミ界の英雄」「女性の中の豪傑」「中国の文芸界において最も勇敢な人」などと称賛され、支持されている。

一体、彼女は、どんな人物なのだろうか。

実は「方方」は彼女のペンネームである。彼女の本名は汪芳という、中国の南京に生まれ、武漢育ちで、小説やエッセーを書く著名な作家だ。これまで武漢を舞台にたくさんの作品を書きあげてきた。

「方方」は彼女のペンネームである。彼女の本名は汪芳 

「当初は個人の記録として、この非常事態に襲われた武漢の普通の人々の身に起こったことや、喜怒哀楽を記述しようと思っていただけだった。ところが、書いているうちにたくさんの人に読まれ、共感され、重大な責任を感じるようになった」

時には当局から直ちに削除されることに対しては、

「削除されても、私は書き続ける。その理由は、私は、なぜこれらのこまごまとした身近な出来事を書くのか、それはそのことを通じて、罪人たちに教えてやりたいからだ。多くの亡くなった人、そして今も感染している人々だけがこの災いの犠牲者なのではなく、われわれ生きている人間も、今回のこの人災に代価を払っているのだ」と語っている。

多くの読者が「真実の武漢」を知ることができた

実際、彼女の日記を通して、多くの読者が武漢で何が起こっているか、「真実の武漢」を知ることができたのである。

日記が数えきれないほどの数にまで拡散され、大きな話題となっている現在。「方方日記」は、新型コロナウイルスで、厳しい状況に追いつめられた人々の心情の代弁者であり、時には心の慰めでもある存在となっているのだ。

ゆえに、中国内では嵐のように大きな反響を巻き起こし、一種の社会現象にまで発展している。

毎晩、日記が更新されると、30分もたたないうちに、閲覧する読者数は3000万を超え、コメント欄はまたたく間に数え切れないほどの反響であふれる。これらコメントも総じて長文であり、日記同様に質的にも読み応えがあるものだ。まさに、今の中国の人々の心情を読み取ることができる。

「お願いだから、ペンを置かないで!書き続けてください、あなたの日記が必要です!」

「日記が統治勢力に屈せず、我々庶民の味方となっていて、生きる力を与えてくれた!」

多くの著名な専門家らもコメントを寄せる。

「集団的な沈黙は一番怖い。一つの声しかない社会は健全な社会ではない」

「今回のコロナウイルス騒動で、すべてのメディアが1人の女性に負けた。大の男たちが沈黙を続けて情けない!」

などなど…。

「官製マスコミ」では表には出ない悲劇も綴った

1月から2月の下旬まで武漢は大変緊張した状況にあり、たくさんの人が感染しても病院に入れず、自宅で亡くなった。透析が必要な人など持病を持っている人が治療を受けられず、苦しみながら亡くなった。一家全員が感染し、全員死亡という悲惨なケースも少なくない。

他にも下記のような悲劇がたくさん書かれていた。

「両親がともに施設に隔離されている間に、ダウン症の子どもが餓死した」

「1人の若い女の子が病院でなくなった母親と最後まで対面できなくて、遺体を乗せて走っている車を追いかけて『お母さん!』と泣きながら叫び続けた」

などなど…。

人々のやり場のない怒り、家族を失う悲しみや絶望など、これらは「官製マスコミ」では決して表には出ない。彼女は自身の知り合いにも、このような悲劇が起きたことを日記に綴った。

一方で、悲しいことだけではなく、武漢の人々の生活ぶりも記録されている。

例えば、2月29日の日記には、こう記述されている。

「外出ができないため、武漢人の日常的な食材などの買い物は、インターネットで買って、住宅(団地)の入り口まで届けてもらう。各家庭はプラスチックの桶(おけ)とひもを用意し、ひもを使って桶を地上まで下す。社区(町内会)のスタッフが食材を入れて、その家の人がひもを引いて桶を上げるのだ。最初は難しくて慣れなかったが、人と人が接触せずに済む良い方法だ」

文明国家であるかどうかの基準は弱者に接する態度である

武漢の市民の生活を支える地元政府関係者、警察、ボランティア、そして全国から支援に駆けつけた人々の、命を懸けての活動と辛労に対しても、感謝の気持ちを記述している。

「政府関係者、警察官、ボランティアの皆さん、感染されるリスクを負いながらも第一線で頑張っている。警察はパトカーで患者を病院に搬送している。救急車が足らないからだ。そして、彼らは、病院や隔離場所、各幹線道路で24時間の警備もしなければならないので多忙だ。そのため、多くの警察官が職務を遂行しているうちに感染してしまう。われわれを支える人々に感謝の気持ちでいっぱいだ」

現在、新型コロナウイルスによる感染のピークが過ぎて、武漢の状況もだんだんと落ち着いてきた。そんな中、中国政府は「一連の強硬措置が奏功した」という“勝利”を誇り、中央集権の優位性をアピールしている。中国の各マスメディアは相次いで政府に同調し、「国の偉大さと功績」をたたえる報道一色となっている。

そうした中でも、彼女は冷静に下記のように語っている。

「われわれの涙はまだ乾いていない。どうして武漢の人々がこのような羽目に陥ったのか、責任を追及しなければならない」

「このごろの武漢人は言葉の数が少なく疲弊しきっている様子であり、これから国が心理カウンセリングを行うべきだ」

現在、筆者も夜中まで日記の更新を待ち続ける読者の一人となった(日本では時差のため夜中の1時過ぎとなる)。心に一番残る日記の一節を紹介して、この記事を終えたい。

「一つの国が文明国家であるかどうか基準は、高層ビルが多いとか、クルマが疾走しているとか、武器が進んでいるとか、軍隊が強いとか、科学技術が発達しているとか、芸術が多彩とか、さらに、派手なイベントができるとか、花火が豪華絢爛とか、おカネの力で世界を豪遊し、世界中のものを買いあさるとか、決してそうしたことがすべてではない。基準はただ一つしかない、それは弱者に接する態度である」

 

日経ビジネス 2020/3/6 広岡 延隆 上海支局長 中国・上海支局発 新型コロナウイルス最前線

新型コロナウイルス、中国の辛酸から学ばぬ日本政府

「機動的な水際対策についてもちゅうちょなく断行していく。積極果敢な措置を講じることとした」。安倍晋三首相は3月5日夜、香港とマカオを含む中国および韓国からの入国を3月末まで大幅に制限する方針を表明した。両国からの入国者に対しては、宿泊施設や医療施設などに2週間の待機を要請する。これで、当面は中国や韓国からの観光や出張はほぼ成立しなくなったと言ってよく、経済に深刻な影響が及ぶことは必至だ。

これが日中両政府の間で丁寧な意思疎通がなされた結果であることは明らかだ。2月末に中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員が来日して茂木敏充外相と会談し、日中両政府は3月5日に習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓としての来日延期を発表した。中国は3日から4日にかけて政治経済の中心である北京市、上海市、広東省で相次ぎ日本からの渡航者への14日間の隔離措置を打ち出している。韓国政府は日本に対して「不合理で過度な措置である」と強く反発している。

米国が中国全土を対象に渡航制限をかけたとき、中国は「親善の行動ではない」と真っ向から反発した。だが、今回の日本の措置に対しては「中国でも日本でも、自国民や外国人の健康と生命を守るために科学的、専門的で適切な措置をとっている」(中国外務省の趙立堅副報道局長)などと理解を示している。

中国は現時点では湖北省以外の地域の新型コロナウイルスの新規感染をほぼ封じ込めていると言っていいだろう。中国当局によると、国内の新たな感染者数は200人以下の日が続いており、そのほとんどは湖北省に集中している。湖北省以外の新たな感染者は、毎日ほぼ10人以下で推移している。故郷に帰っていた出稼ぎ労働者の移動が活発化しているため予断を許さない状況ではあるが、習国家主席は「よい方向に向かっている」と自信を見せる。そのため、むしろ中国の新型コロナウイルス対策の重心は、「逆輸入」をどう防ぐかに移りつつある。

中国としては、すでに主要都市では日本からの入国者に対して厳しい行動制限をかけることで、日本から中国への人の移動はほぼ封じ込めた状態だ。今回の日本の措置があってもそれほどの痛痒(つうよう)は感じておらず、ウイルス逆輸入防止のための追い風と捉えているぐらいだろう。

日本政府は1月31日、中国・武漢市を含む湖北省からの入国拒否を表明し、その後、対象を浙江省にも広げていた。日本政府がそれ以外の地域に今から厳しい行動制限を設ける合理性を見いだすのは難しい。感染拡大を理由とするのであれば、イタリア北部の指定が抜け落ちているのも筋が通らない。新型コロナウイルスの潜伏期間を考慮したというなら、東南アジアや米国なども同様の措置が必要なはずだ。

今回の日本政府の決定が疫学的根拠に裏付けられた判断だったのかは疑問が残る。事実、複数の国内メディアが、政府対策本部の専門家会議メンバーによる批判の声を伝えている。

安倍首相が新型コロナウイルス対策の基本方針を取りまとめ「この1~2週間が瀬戸際」としたのは2月25日。翌26日にはイベント自粛、翌27日に全国の臨時休校と五月雨式に要請を追加していった。基本方針を取りまとめる前の22~24日は3連休であり、各地で多くのイベントやコンサートが実施された。

少なくとも1月23日に武漢市が封鎖されてからは、新型コロナウイルスの流行が容易ならざる事態であることは誰の目にも明らかだった。イベント自粛や休校といった対策は中国では実施済みであり、それを間近で知る環境にいたにもかかわらず、日本政府が検討の俎上(そじょう)に上げていなかったとすれば怠慢のそしりを免れない。

すでに日本国内では人から人への感染が主になっているが、国の間で人が移動しなければより感染拡大は防止しやすくなるため、水際対策の強化に一定の意味はあるだろう。それは経済の深刻な落ち込みを許容するという判断であり、だからこそ、衝撃をできるだけ和らげる経済対策が同時に求められる。

疫病対策に奇策はなく、粛々と実行するほかない。情報を開示し、専門家の知見に基づいて今後の対策のステップを策定し、意思決定のプロセスを透明化する必要がある。例えば臨時休校やイベント自粛にしても、中国の状況を横目に見ながら可能性を事前に示しておくだけでも、社会全体での準備状況は随分異なっただろう。サプライズで国民生活にダメージを与える理由は特になかったはずだ。

現在、日本人に入国制限をかけている国と地域は22、行動制限をかけている国と地域は53に上る。新型コロナウイルスの封じ込めこそが最大の経済対策となった今、政治判断と専門家の知見が異なるという事態を早急に解消する必要がある。

 

ダイヤモンドオンライン 2020.3.9 5:25 吉田陽介:フリーライター DOL特別レポート

中国の新型コロナ失策で、習近平政権が強化されるかもしれない理由

武漢市で指摘される初動の遅れ指摘される「4つの原因」

中国全土で猛威を振るう新型コロナウイルス肺炎は、1月から2月にかけて感染者数が爆発的に拡大した。今は感染者の増加ペースは鈍化しているが、中国国民の生活はまだ正常に戻っていない。

そもそも新型コロナウイルス肺炎は、昨年末に感染者がいたという情報があったものの、それは隠蔽され、さほど大したものではないだろうという認識の人が多かった。だが、その予想に反して感染者数が拡大を続けると、震源地となった武漢市政府の初動の遅れに人々の批判が集まり、1月30日には武漢市の共産党委員会書記が初期対応の遅れを公に認める結果となった。

習近平は、中国共産党総書記に就任して以降、党内改革を断行し、腐敗した幹部、不作為の幹部を次々と処罰した。昨年10月には第19期四中全会を開いて、中国共産党の国家ガバナンス体系・能力の現代化についての決定がなされた。今回の新型肺炎騒動は中国共産党の国家ガバナンスにとって、間違いなく「試練」であったといえる。

今回の新型肺炎騒動でよく比べられるのが、17年前に大流行したSARS騒動時の中国政府の対応だ。当時も、中国政府の情報隠蔽もあって対策が遅れ、6月くらいに終息した。今回の新型肺炎騒動も初動の遅れがあって、有効な対策がすぐに打てず、後手後手の対応となった。

なぜ、初動の対応が遅れたのか。四つの原因が考えられる。

1つ目の原因は、武漢市の政治日程を重視したことである。1月半ばに武漢市の「両会」(人民代表大会・政治協商会議)が開かれ、今年の経済・社会発展の目標が示された。会議開催時には感染者が出ていたが、重要会議が優先されて新型肺炎対策が後回しになった。また、会議でも新型肺炎については話し合われた形跡はなかった。

2つ目の原因は、新型肺炎の流行が春節と重なったことである。春節は中国人にとって重要な祝日であり、多くの人が大移動を行う。列車の駅は人でごった返し、感染しやすい状況にあった。

また、春節は海外旅行に出かける人も多く、感染者が外国に行ったため、感染が他国にも広がった。春節前に武漢市を閉鎖していれば、感染が拡大することもなかった。だが、春節に多くの人々を足止めすると、「政府は家に帰る権利も奪うのか」と人々の反発を招くことを避けたいという判断があったのではと考えられる。

「指示待ち」「派手な成果主義」が生んだ新型肺炎の爆発的流行

3つ目の原因は幹部の「指示待ち」体質である。習近平は総書記に就任後、改革をスピーディに推し進めるため、権力を集中させ、2016年10月に行われた第18期六中全会で「核心」の地位についた。それ以降、習近平の権威が高まり、上級機関の指示を下級機関が一糸乱れず実施する「一枚岩」の組織になってきた。

だが、過度な権力集中は「副産物」を生む。「大きな事をやれば大きな誤り、小さな事をやれば小さな誤りを犯すが、何もしなければ何の誤りもない」という言葉があるように、幹部は失脚しないよう上の指示の通りにしか動かないという体質を招いた。中国共産党は幹部の積極的な失敗を認めると言っているが、失点を恐れる幹部は必然的に上の指示を待つという、受け身の姿勢になる。

習近平の指示について言えば、新型肺炎の感染拡大が人々に深刻に受け止められた当初は、1月20日の重要指示によってすべてが動いたように言われていたが、2月15日に中国共産党の理論誌『求是』に掲載された2月3日の会議に習が行った講話の中で、1月7日に彼が政治局会議を主宰した時に、新型コロナウイルス流行の防止・抑制についての要請を行ったことが明らかになったように、習指導部は早くから指示を出していた。

1月7日の指示で封じ込めに大きく動かなかった理由は推測するしかないが、実態が隠されていたため、当初は大したものではないと見られ、指示も「状況把握に努めて適切に処理せよ」くらいのものではなかったのではないか。または、一応形だけの調査はして、「確かにそういう病気は存在しますが、コントロール可能です」と報告したのではないかと筆者は考える。

そして4つ目の原因は、官僚の「派手な成果」重視の姿勢だ。習近平は反腐敗闘争で効果を上げ、「腐敗できない、腐敗する気持ちがなくなる」制度ができつつある。確かに、党・政府機関は「怠け者を許さない」という習政権の方針のもと、成果を出しているが、「忖度」の意識も働き、同政権が批判している「面子プロジェクト」「イメージプロジェクト」と呼ばれる派手なプロジェクト、GDPの成長を重視するという傾向は、まだ完全に克服できていない。

そのため、民生の改善に資する政策よりも、地方の飛躍的な経済発展や新産業の発展に目が行きがちだ。新型肺炎対策は中国共産党が重視している民生分野の一部分であり、国の安全保障の確保の一部分でもあるので、無視できない分野である。

以上の原因から、武漢市の初動の対応がうまくいかず、結果として爆発的流行を招き、党中央が“非常事態宣言”をすることになったのである。これは武漢の幹部にとって、大きな失点になったことは言うまでもないが、ひいては中国共産党の失点にもつながったといえる。

新型肺炎対策は適切だったか毛沢東時代と重なる現執行部

前述の1月20日の重要指示以降、中国の関係機関は連携して対策を講じ、それが武漢市やその他の都市の閉鎖などの措置につながり、感染者数の情報も開示された。感染者数の集計方法が途中で変更になったが、それは情報をオープンにする政府を国民に印象づけるものであると解釈できる。また、1月20日以降、中国メディアの関連報道も多くなったが、一部の日本メディアが指摘するように、「感動的報道」も少なくなかったが、不要不急の外出や会食の自粛を呼びかける内容のものも多かった。

中国政府の対応は、後手後手になった感が否めない。中国の一般レベルでも、早い時期に手を打っていれば、もっと早く終息していたのではないかという認識だ。武漢市の封鎖、国内外の団体旅行の禁止、複数の都市での外出制限、北京市での会食禁止令などを打ち出したが、それは感染が拡大を続けている状況のもとであった。

一連の流れを見ていると、対策が遅れた要因は、情報がうまく伝わっていなかったことが大きいのではないかと筆者は見る。中国共産党の歴史を見ても、同じようなことがある。

毛沢東時代に、工業・農業生産高を先進国レベルに引き上げるための「大躍進運動」が展開されたが、それは毛沢東個人が理想主義に陥っていたという理由だけで拡大したのではない。当時、毛沢東の威信が高まっており、地方政府は競って次々と高い生産高を中央に報告したため、中央政府はさらに高い数値を設定して実態からかけ離れた経済建設が続いた。

その後、幹部たちが地方に出向いて実態を調べ、徐々に軌道修正していったのだが、危機が拡大した原因は正確な情報が伝わっていなかったことに他ならない。それと同じことが、今回の新型肺炎騒動でも起こったのではないかと筆者は見ている。

一方で、中国政府の対応はSARS(重症急性呼吸器症候群)騒動当時の対応に比べて、まだ適切だったと見ることもできる。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1月28日に、「中国の行動は早く、規模も大きく、世界でも稀に見るもので、中国のスピード、中国の規模、中国の効率を示した」と高い評価を下したが、日本メディアは中国への忖度だと報じた。

もちろん、そういう面もあることは否定できないが、中国に住んでいる者の目線で見ると、今回の中国政府のとった措置はSARS騒動当時に比べればよくやっていると思う。当時は情報を隠蔽したり、「両会」を優先したりしたことから対策がかなり遅れ、中国の国際イメージも損なわれた。

それに対し、現在は情報手段が発達しており、人々の考え方も多様化している。情報をリアルタイムに開示しないと、民衆の支持が得られないこともあり、情報の開示も早い。さらに、人々の関心事である学校の休校措置や企業の休業措置などについても、次々と打ち出した。

SARS騒動時と比べれば新型コロナ対応は適切

中国共産党は「人民を中心とする」理念を掲げており、もし対応が悪ければ党の理念にもとる。習近平指導部が春節の第1日目の1月25日に会議を開いて対策を協議したり、李克強総理を現地に派遣したり、習近平自らも北京市内を視察したりして、中国共産党指導部は「人民の勤務員」で、毛沢東時代からの伝統である人民に寄り添う姿勢をアピールした。

第19期四中全会の決定は、中国の特色ある社会主義の優位性の1つとして、力と資源を集中して大事業を行うことができると述べているが、今は党の指導が以前よりも一層強化されていて、スピード感を持って措置が打ち出される。

胡錦濤政権当時は、指導部が分権化されていたため、総書記といえども他の幹部の反対を押しのけて重要事項を決定することができなかった。また、中国共産党の「長年の病」ともいえる党員・幹部の腐敗体質、不作為体質にも切り込んでいなかったため、効果的措置を十分に講じることができなかった。

総じていうと、今回の新型肺炎対策の中国共産党の対応は、まずいところもあることは否めないが、SARS騒動よりもずっと適切である。

新型肺炎騒動を機に党改革を強化する習近平

2月3日の会議で習近平は、新型肺炎騒動は中国の国家ガバナンス体系・能力の「判定試験」と述べるとともに、「今回の新型肺炎騒動の対応では弱点と不足している部分が露わになった」ことを認め、新型肺炎対策に力を入れることを表明した。

習近平がこのように発言したのは、こうした緊急事態を乗り越えることができなければ、現政権の求心力にも影響することを示している。習政権は新型肺炎対策を「人民戦争」に例えて、国を挙げて新型肺炎の封じ込めに当たり、中国共産党がその先頭に立つと表明して、求心力を維持しようとしている。

だが、新型肺炎の危機を早期に気付いて警鐘を発していた李文亮医師が中国の人々から英雄扱いされたことからもわかるように、やり方を1つ間違えれば、人々の不満の矛先は中国共産党指導部に向かう。そのため、習近平政権は早期の終息のため、あらゆる措置を打ち出し、人心の安定に努めた。感染拡大が深刻化してから、習政権は“危機”に直面しているかに見えたが、「中国社会主義の優位性」で危機を乗り切りつつある。

危機に対処するため、1月25日に開かれた中国共産党中央政治局の会議では、「統一的指導、統一的指揮を強化し、断固として党中央の諸般の政策決定・配置をきちんと実施し、実施状況を党中央に適時報告する」と述べ、党中央がすべてを指導して、緊急時にスピーディな意思決定を行う「制度的優位性」を発揮させようとした。その優位性は、ベッド数1000床の「火神山病院」を突貫工事で作るといったことで機能した。

前述のように、今回の新型肺炎騒動は、第一線で指揮に当たる幹部の取り組み方にも問題があった。権力が1人の指導者に集中すると、下級組織に活気がなくなり、忖度が横行して、正しい情報が上がってこなくなる。もちろん、第18期六中全会の決定には、実情を隠蔽して聞こえの良いことだけを報告することに反対すると規定されているが、実際には、規定に背いていた幹部が少なくなかったことを示している。

また、党内の形式主義や官僚主義という伝統的問題も見られた。微信(WeChat)のメールマガジンの「半月談」に2月12日付で掲載された記事は、この騒動の中での形式主義について紹介している。この報道では次の3つを挙げている。

1つ目は、上級部門に提出するための書類の多さだ。第一線で対策に当たっている部門は、外から地方に入ってきた人たちの体温や諸々の健康状態を記入して上級部門に提出する必要があるが、それは煩雑な作業となる。

2つ目は、指導者の検査への対応だ。中国の党の機関や政府機関でも指導者が仕事ぶりを検査することはよくある。それは新型肺炎対策の第一線も同様で、指導者が検査を行う。そうなると、現場は色々準備をしなければならないので、余分な負担が大きくなる。

3つ目は、「激励式会議」を行うことだ。民主集中制のもとでは、上級部門の指示は速やかに下級組織に伝達しなければならない。伝達された下級組織の指導者は、文書を読み上げて伝達する。新型肺炎対策に当たっている第一線の部門などにも、中央の指示と共に激励の言葉が伝えられるそうである。

形式主義は以前からある問題であり、昨年の全人代の「政府活動報告」でも末端部門の負担軽減の必要から、形式主義に反対する内容が盛り込まれていた。今回の新型肺炎騒動は形式主義の弊害を改めて認識し、末端部門の負担軽減に向けた改革が加速するのではないだろうか。

改革には完了形はない決意を新たにする中国

新型肺炎騒動の最中、中国共産党中央は感染が重大な地域で対応がまずかった幹部を次々と処分し、さらには習の側近といわれる応勇氏を中国共産党湖北省委員会書記に就任させて新型肺炎対策に当たらせている。それは人々の不満を解消するためのものとも見られるが、党の改革がまだ徹底されていないことが露見したとも見ることができる。

習近平が言うように、「改革には完了形」はなく、今後も党改革が断続的に続くのではないかと思われる。今回の新型肺炎騒動はそのきっかけとなった出来事ではないかと思う。

(フリーライター 吉田陽介)

 

ダイヤモンドオンライン 2020.3.12 5:20 王 青:日中福祉プランニング代表 DOL特別レポート

中国人が、日本のコロナ感染状況が気になって仕方がない理由

世界各地で新型コロナウイルスによる感染者と死亡者が拡大する中、「震源地」である中国では感染者数が減りつつあり、ようやく終息へと向かい始めた。早くも「ウイルスに勝利した」という雰囲気が漂い始め、関心は他国の情勢、とりわけ隣国・日本の感染状況に向いている。(日中福祉プランニング代表 王 青)

中国のコロナ対策は「終息」が見え始めた

新型コロナウイルスによる感染が世界各国で猛威を振るっている中、中国ではようやく「終息」という出口の光が見え始めた。

武漢を含む新規の感染者数が連日で二桁までに減り、回復した患者の人数が増えてきた。武漢市内に建設された仮設病院も閉鎖され始めている。経済活動も各地で再開の動きを見せつつ、徐々に普段通りの生活に戻り、明るいニュースが次から次へと報道されている。

その一方で、日本や韓国、イタリアなどのヨーロッパ諸国、イラン、アメリカなど世界各国の感染者数は日ごとに増えていき、対応に追われている。

このような状況に対し、既に中国では多くの人が自国よりもむしろ、海外の情勢に注目し始めている。特に隣国の日本の感染予防対策に異論を唱えることが多い。

実際、SNS上の掲示板などでは、下記のような書き込みが目立つ。

「日本はわが国のように手際よく管理する能力はないだろう」

「日本の“仏系”予防対策が緩くて驚きだ」(“仏系”はもともと日本由来のスラングで、気にしない、こだわらない、淡泊といった意味)

「日本はわれわれの宿題を写すことさえできないのだ」(自分たちの経験ややり方が目の前にあるのに参考しないとの意味)

など、既に「コロナウイルスに対する勝利者」という立場で語り、いわゆる「上から目線」の雰囲気さえ感じられる。

「ウイルス封じ込め」の犠牲は決して少なくない

確かに「武漢封鎖」をはじめ、「ウイルスを抑えるのにすべてを惜しまない」という中国政府の意気込みは凄まじかった。全国一斉に徹底した強硬措置を講じながら、ITの力をフルに発揮させ、14億の人口を有する巨大国家の舵をスピーディーに切った。その結果、「ウイルスの封じ込め」に成果を上げつつあるのは認めざるを得ない。

そして、中国政府は早くも「一連の強硬策が奏功した」という“中央集権の優位性”を世界に向けてアピールしている。

しかし、この状況を冷めた目で見ている国内外の中国人も少なくない。

実際、この「いかなる代償も惜しまない」という強行措置でもぎ取った「成果」の裏では、国民にどれだけの犠牲を強いて、経済や人々の生活にどんな大きな影響をもたらしたことか。

その犠牲は、決して少なくはなかった。

武漢をはじめ各地の医療現場は混乱した

「震源地」である武漢が1月23日に封鎖されてから現在までもう50日近くになる。1月中旬から感染が蔓延している中、この1100万人の都市はパニックになった。人々は医療機関に殺到し、大勢の患者が病院の中に入りきれず、外にまであふれていた。医療現場は混乱状態になり、完全崩壊の寸前にまで至った。そして、多くの医療従事者が感染した。現在の統計では約3000人が感染して生死をさまよい、10人が命を落とした。

病院は通常の外来診察をやめ、新型肺炎の治療を最優先せざるをえなかった。このため、新型肺炎以外の患者は治療してもらえないという事態に陥った。その結果、人工透析が必要とされる人や治療中のがん患者、持病がある人々が自宅で苦しみながら亡くなった。まさに二次災害だ。

当然ながら、新型コロナウイルスに感染したたくさんの患者も、当初は入院できずに自宅で亡くなった。苦しみのあまり高齢者がマンションから飛び降りて自殺するなど、目を覆いたくなる惨状も繰り広げられた。こうした死者の数字は、統計として表には出てこない。

また、全国各地から医療支援部隊の約3.5万人が武漢に派遣されたため、上海などの大都市の医療機関も一時、外来を停止せざるをえなかった。ようやく再開した日には、人々が冷たい雨の中、病院の玄関から延々と長い列をなしている写真がSNSに投稿された。

このように中国各地の医療機関にも大きな影響を及ぼしていたことは、あまり国外には報道されていない。

クルマで間違って武漢に来た女性は親の死に目に会えなかった

健常者であっても、生活はきつい。

武漢の市民は42日間、自宅から一歩も出ず、外の空気を吸うことができず、青空を眺めることができない。このような事態が延々と続く「先が見えない生活」はどんなに苦しいことか、容易には想像がつかないだろう。健康な大人も、活発な子どもも一律に自宅に閉じ込める生活を強いられている。

突然の武漢の閉鎖や交通網の遮断なども多くの悲劇を生んだ。

武漢の封鎖と各地の幹線道路の遮断・封鎖、農村部の村民の移動禁止により、人々は身動きができなくなってしまった。

特に武漢の閉鎖直前にたまたま来ていた人々、あるいは、たまたま武漢を出た人々は、そのまま足止めされてしまい、どうしようもなくなってしまった。家族とは離れ離れになり、仕事場にも戻ることができない状況が今も続いている。

ある中年の女性は危篤の母親と“最後の対面”をするため、クルマで入院先の病院へと急いでいたが、不幸なことに高速道路の出口を間違えて武漢で下りてしまった。結局、母親の看取は叶わず、一生悔いが残る結果となってしまった。

また、武漢に働きに来ており家を持ってない農民工(農村出身の日雇い労働者)は行き場がないため、駅周辺に寝泊まりして、毎日3食を支援のカップラーメンで過ごしている。

多くの労働者が働けずに生活難に直面している

外出禁止などに伴うストレスなどで精神面への影響も大きい。

全国に号令をかけた「マスク着用、外出禁止、自宅勤務、学校休校」などの措置に、中国の国民一人ひとりが協力し、「自宅から出ないのが社会への一番大きい貢献だ」と、黙々と耐えて過ごしてきた。

外食はもちろん、親戚や友人とも会ってはいけない、人々の集まりも禁止されていた。そんな中で、これらの規制を順守しなかった人に対して、罰金、強制隔離、拘束、暴力的振る舞い、平手打ちなど、法的な根拠のない人権侵害のような行為が各地で起こった。

社会や経済面への影響も出始めている。

現在でも、多くの地域で道路を封鎖していたり、外出禁止の状態である。物流が滞っている中、さまざまなコストが上がり、物価が高騰している。一番問題となっているのが、多くの労働者が仕事に就くことができずに収入がなくなって、生活難に直面していることだ。

ただでさえ経済格差の大きい中国では、「自分の命より家族を養うためのお金の方が大事」という状況に置かれている人がまだまだ多い。統計では62.6%の人が非正規雇用者である。これらの人々はたとえばデリバリーの従業員、飲食店や屋台の店員、タクシー運転手、旅行社のガイド、中小企業の従業員などだ。そして、農村部の農民は、作った野菜や果物を外へ運ぶことができずに莫大な損失を被っている。

これらすべて、国民が「代償を払っている」ということだ。長い歴史から見れば、ほんの一幕にすぎない出来事でも、個々人にとっては人生が変わってしまうほどの出来事だ。

多くの中国人にとって日本は理解が不能

一方、日本は民主主義の国であり、中国のように一斉に強硬な命令を強制できない。

日本は現在、「イベント自粛、時差通勤・リモートワーク推奨、休校要請」などの対策を講じながら、医療体制を崩壊させないように、原則的には「軽症の人は自宅療養、重症の患者にベッドを確保」というように、患者の状態によって優先順位を付けた方針を明らかにしている。その理由は、仮にコロナウイルスに感染しても「8割が軽症であり、自宅で安静にすれば治る」という理由からだ。

また、日本では人々が概ね支障なく、普通に自由な日常生活が継続できている。マスクやトイレットペーパーなどが手に入らないこと以外は、スーパーには食材が充実し値段も安定している。街には普通に人々が行き交い、大勢の人で賑わっていた有名観光地を除けば、休日には地元の商業施設などでは相変わらず人が出ている

中国とはあまりに対照的であり、中国人には信じられないことである。

中国の人々から見れば、日本のこのように普段と変わらない日常風景は、「緊張感がない」「日本は緩い」と見える。

また、日本政府のあらゆるコロナウイルス対策に対して、逐一、日本の野党やマスコミ、大勢の人たちが批判している。

これも中国人の目には不思議な光景であり、「理解不能」である。

例えば、2月末に安倍首相の「一斉全校休校の要請」に対して、一部の自治体の知事や市長が反対したことに対してSNSでは、

「中央政府の言うことを聞かなくていいんだ、すごい!個性が強いね、中国だと首が飛ぶよ」

「この非常事態に国をあげて団結して乗り越えていくのではないの?」

などのコメントであふれた。

大多数の中国人にとって日本の今後が気になって仕方がない

大多数の中国人から見れば「あまりにユルすぎる日本」は今後、どうなるのか――。

今回のウイルス対策に、多大な犠牲と我慢を強いられてきた中国人にとっては、非常に気になって仕方がない。

日本の人々の様子や日本政府の対応に、敏感に反応してSNS上でコメントし批判したりするのも、自分たちが払ってきた犠牲や境遇を考えたり、納得したりするために必要なことなのだ。

また、多くの中国人は当初日本の人々から受けた支援に対する恩を忘れてはいない。そのため自分の身内のように心配する人も多い。

現在のところ、日本はイタリアや韓国などに比べると、感染者の人数が爆発的には増えていない。死者の人数もそれほど多くない。無論、大勢の専門家が指摘するように日本のPCR検査数が少ないことが背景にあるのかもしれない。今後、大多数の中国人にから見て、日本は「自由な民主主義国家」「民度が高い」と評価される国である(その民度が高いはずの日本で、トイレットペーパーのようなものの買い占めが起きたことは、多くの中国人にとっても衝撃であった)。検査数が増えたらどうなるのか…。それとも封じ込めに成功しつつあるのか…。

これから日本が「自由」を大事にしつつも、一人ひとりが国の対策に協力し、自らの力で感染拡大を阻止して封じ込めに成功するのか。それとも、「自由」を優先した結果、感染を拡大させてしまい、結果的に、東京オリンピックも中止という最悪の事態を招くのか…。

14億人の中国人も、日本の新型コロナウイルス対策の成り行きを見守っている。

 

ダイヤモンドビジネス 2020.3.11 8:32 ロイター発 World&Business

中国がイメージ転換戦略、コロナ感染鈍化逆手に外交攻勢

[シンガポール/北京 6日 ロイター] - 中国は、国内の新型コロナウイルス感染者の増加が鈍化してきたとアピールし、感染者急増に直面する諸外国への支援を通じ、「責任ある大国」としての信頼獲得と、傷ついた対外イメージの回復を図ろうとしているようだ。

中国の外交官たちは現在、各国に中国が感染拡大を抑え込んだとのメッセージを送り、中国人に対する入国制限を緩和するよう盛んに働き掛けている。同国外務省によると、既に400件以上のメディアの取材に応じ、300件を超える記事につなげたという。

医療機器の寄贈を含めた外交努力は、初期対応のまずさで新型ウイルス拡大を助長したと猛批判を浴びた中国の印象について、海外で好転させようとする取り組みの一環だ。

そうした効果のせいか、最近では世界中で新型ウイルス感染が広がっている一方で、中国政府は武漢市の封鎖といった劇的な措置で感染の抑制に成功した、との賞賛さえ獲得。

また、中国政府は、新型コロナウイルスの発生源を同国とする見方が広がっていることに対してさえ、異議を唱えつつある。外務省報道官は5日、ツイッターに「最初に確認されたからと言って、必ずしも発生源が中国とは限らない。われわれは引き続き発生源を追跡中だ」と投稿した。

ただ、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のアルフレッド・ウー准教授は「中国は新型ウイルス感染拡大で傷ついたイメージを注意深く作り替えようとしているが、中国政府の対応が後手に回って国際的な危機を招いたという事実がある以上、そんなことをやろうとしてもほとんど不可能だ」と一蹴した。

米コロンビア大学におけるAIDS研究で名高いデービッド・ホー氏は、新型ウイルスが中国で始まったのはほぼ確実で、重症急性呼吸器症候群(SARS)や今回の新型、そして他の動物で発見されたあらゆるコロナウイルスに関する知見を踏まえれば、中国が起源であることに疑いの余地は乏しい、と国際放送で有名な米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」の最近のインタビューで語った。

パンダ外交を踏襲

習近平国家主席の下で、国際社会で自己主張を強めてきた中国にとって、新型ウイルス問題の初動の遅れは、習指導部の信頼失墜をもたらしかねない事態だった。ところが、中国国内よりも国外の感染者数がずっと急速に増加している状況となったことで、中国の発するメッセージも内容が変わってきた。

新型ウイルスに関し、米国がパニックを広めていると中国は繰り返し非難するだけでなく、これを人類が直面する課題と位置づけ、イランやイタリア、韓国といった感染の被害が大きい国への援助を申し出ている。

例えば中国はイランに医療チームを派遣するとともに、25万枚のマスクと5000個の検査キットを贈った。それが入った箱には、中世ペルシャの詩人・サアディーが人類の一体性を吟じた一節「アダムの子らは互いに手足のごとく、創造の起源を共有している」が記されていた。

一方、王毅外相は、習近平氏が打ち出した現代版シルクロード経済圏「一帯一路」を引き合いに、新型ウイルス問題は「医療のシルクロード」が必要なことも証明されたと強調している。

中国の政府系研究機関・「グローバル化シンクタンク」(中国与全球化智庫)所長で、国務院のアドバイザーを務めるWang Huiyao氏は「中国は有名な『パンダ外交』と同様に、世界に対して善意と友好の姿勢を見せようとしている」と説明し、この医療支援外交は、特に一帯一路への反発に起因して国際社会に広がった過去数年間のマイナスのイメージの改善も目指していると述べた。

上海市は、韓国の感染の中心地、大邱市に50万枚のマスクを届け、浙江省はイタリアのトリノ市に2600個の防護ゴーグルを寄贈した。

オーストラリアのローウィ-・インスティテュートのナターシャ・カッサム研究員は、他国の政治指導層が新型ウイルス問題で苦戦していることが中国にチャンスを与えていると指摘。先進国だとみなされている諸国を今や、中国が助けることができるという効果的な宣伝に役立っている、との見方を示した。

(Keith Zhai記者、Huizhong Wu記者)

 

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1 コメント

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質問 (Unknown)
2020-09-08 07:37:50
先輩、Teradaです。S58湯の里で盛土施工している時、函館方に知内川渡ってすぐトンネル掘ってたのは日本国土さんでしたっけ。工区は第2湯の里T?
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