中国地方都市ではまだクリニック的個人病院や私立病院を見受けられません(日本の街中での医院、クリニック看板の林立はない)。大都市でも大学の付属病院的な物や軍関係が大半のようです。ただ歯医者さんは街中で “オ、歯医者?”と言った感覚で、ただ看板は“牙科”ですが。
中国病院数 2012年 23,170ヶ所(公立13,384ヶ所、私立9,786ヶ所)、 基礎医療衛生センター912,620ヶ所(同年日本 病院8,565ヶ所、一般診療所100,152ヶ所)。
基礎医療衛生センター(基層共産党委員会社区、村単位)には医師?が1名以上配置とのことですが、医療の信頼性は薄く、大病院への集中となっています。医療施設はまだ共産党管理下から抜け出ていません、農民は都市での医療施設を利用するには莫大な医療費負担が要求されます。これも自力更生の後遺症か!
ただ日本での歯医者さんで、個室でなく仕切り越しでの治療に、欧米の歯医者さんはあきれていたとの話ですが。
蘇州・・・(小児)病院 北京日壇・・・小児研究所 玄関垂れ幕に “非保険者は先に・・・”と。
先日孫(2歳前)がクリニック医から肺炎の気もあるので、市立病院を紹介され、細菌検査の為5日入院(母親付添い)、費用負担は子供の病院食負担のみ。
同じく就学前の女子孫は、ホルモンバランス障害を疑われ、大学病院紹介で日帰り検査、MR検査までして費用負担なし。就学前の子供の医療費は免費だと、豊かだからとかの問題とは違うと思います。
中華人民共和国国務院報道弁公室 白書 2004年9月北京週報日本語版
社会保障は現代国家の最も重要な社会経済制度の一つである。経済発展レベルに適応する社会保障システムを確立、整備することは、経済と社会の協調的発展の必然的な要求であり、また社会の安定と国の長い将来にわたる安定の重要な保証である。
中国は世界最大の発展途上国であり、人口が多く、経済発展の起点が低く、地区間と都市・農村間の発展がアンバランスであり、そのため、社会保障システムを整備するのは困難に満ちた重い任務である。
中国政府は自国の国情から出発し、あくまで人を本として、社会保障システムの確立と整備を高度に重視し、それに大いに力を入れている。「中華人民共和国憲法」は、国は経済発展レベルに適応する社会保障制度を確立し、健全にすると明確に規定している。中国政府は経済発展を人民生活向上と社会保障実現の基本的前提としている。
医療保険制度
1998年に「都市部従業員の基本的医療保険制度設立に関する決定」を公布し、全国で都市部従業員の基本的医療保険制度改革を推し進めた。2003年末現在、全国の基本的医療保険参加者数は1億902万人に達し、そのうち、従業員は7975万人、停年退職者は2927万人である。
都市部の流動就労者も基本的医療保険に参加することができる。基本的医療保険の資金源は主に雇用部門と個人が共に納付する医療保険料であり、雇用部門の納付比率は従業員賃金総額の6%前後で、個人の納付比率は本人の賃金の2%であり、停年退職者は納付しない。個人の納付した分は全部個人口座に入れ、部門の納めた分は30%前後の比率で個人口座に入れ、残りの70%前後は統一プール基金を設立する。
外来診察の小口の医療費用は主として個人口座で支払う。入院の大口の医療費用は主として統一プール基金で支払う。統一プール基金は明確な最低支給基準と最高支給限度額があり、最低支給基準は原則的には当地従業員の年平均賃金の10%前後で、最高支給限度額は当地従業員の年平均賃金の4倍前後である。最低支給基準以上、最高支給限度額以下の医療費用は、主として統一プール基金から支払い、個人も一定額を負担する。停年退職者個人の医薬費負担比率は在職従業員よりいくらか低い。
実態は相当かけ離れているようです。「中国 医療制度」yahoo検索ヒット抜粋
同じ頃, 『中新網』はまったく逆の結果を示しています。報道によれば, 医療保険に加入している人はわずか3%で、残り97%の人は完全な自己負担です。自己 負担額は3000億元に達しました。
政府予算における医療・公衆衛生関係費の比率は,改革・開放以降年毎に低下しています。この結果,国民医療費に占める国庫支出の割合は劇的に低下しています。
80年代初頭には、国民医療費の36%を政府がカバーし,国民負担の割合は23%にとどまっていました.しかし2000年には,政府負担は15%にまで低下し,逆に国民の個人負担割合が60%を越えるようになっています。しかもこれは,曲がりなりにも保険によりカバーされている都市住民の話で,農村ではもっとひどいことになっています。
医療費の高騰; 医療費は平均収入の伸びを上回る速さで高くなっており、食費と教育費に次ぐ出費になっている。
低所得層の問題; 低所得層において「入院すべきだが入院していない」人の割合は41%に達する。
2015年OECD /1000人 ベッド数4.2床。医師1.80人、看護師2.36人。看護師の数は日本の約1/10程度。 点滴や静脈注射などが主な看護業務となっています。外来受診者数及び入院患者数は、日本よりはるかに多いが,入院費が高いため平均在院日数は極めて短くなっています。(日本 ベット数13.7床 医師2.297人 看護師11.49人)
医師の数はそれなりですが、大多数は基礎医療衛生センターに配置され、そこでの医療施設等はいまだ前近代的(地方政府管轄)、私達が想像できる診療所・クリニックとはかけ離れています。
「要手術、送紅包。不送銭、不開刀」(手術を受けたきゃ謝礼をよこせ、金をくれなきゃ手術はしない)
「葯房変商場、医生成奸商」(薬局はマーケットに変わり、医者は悪徳商人になった)
「手術挂号、看病吃葯。先通関係、再塞紅包」(手術の順番をとり、診察や投薬をしてもらうには、まずコネをつけて、それから謝礼を渡す)
職権を利用して不正蓄財をする職業だと、皮肉めいた表現をされるようになった(共産党の一部と認識する)。
医師の所得も決して多くはありません。医師の大半は大学病院や公立病院に所属し、国家公務員となり、月給はボーナスをふくめ1500~2000元といいます(日本円だと二、三万円くらい?)。これに対し、タクシー運転手の月給は5000~8000元,外国合弁企業は5000~15000元と遥かに高いのです。このことから若手医師を中心に病院をやめて、給料の高い製薬会社や外国に流れてしまうケースが増えてきています。
95年当時,病院全体でマイカーを持っていた人は4人,2001年には,各医局の半分以上の方が持っていました。マイカー通勤や,週末のドライブが当たり前、 医師の地位が高くなったか?、患者さんからの個人的なお礼がけっこうあるのか?。
医療費を先払いしないと手術しないという悪徳医師(普通の医師のはず・・・),逆に病院を医療ミスで訴えて医療費の支払いを免れようという不良患者も続出。
中国の人達が病院でまずやる事は診察券を受けるために並ぶ事。
昨年、有名な病院での有名な先生の診察券にダフ屋が並び、やって来た患者に何倍もで売りつけると、問題になった記事が載りました。逞しいと笑ってられません!
診察料を払ってから、診察です。次に検査となると、検査料金を払ってから、施術、手術もお金を払ってから、入院も保証金を払ってから、お薬もだと思います。お金で医療を受けられる範囲が決まると言う事か。。
中国のデパートでは買いたい品物が決まったら、その商品の番号札を売り場の店員さんにもらって、収銀台で支払済ませ領収書を持って再度品物を受け取りに行って、手に入れます。
中国に関心を持ち、一人旅の機会を得、多くの富裕でない中国の人々と接する事が出来ました。
そこにはある意味豊か?になってる私達(貧困と言えどもレベルが違うよう)とは違った、真摯で懸命な中国の人達がいます。
14億の人を抱えてると言う理由で今の共産党統治が正当化されていますが、25:50:25(人格無比な共産党員:時には皆の為に尽くすが、一方ではその立場を利用する、従属することで正当化する普通の共産党員:自己の保身と利益だけに関心を持つ人間的に許されない共産党員)の論理から導かれた結果と、人間本性の欲望を否定できない以上、早急に正義の確立を図らねば、想像できない中国が出て来そうで心配と言うより、腹立たしくなります。しかし同じことが私達の国でも起こっているような今日この頃、他所の国をとやかく言ってられないのかも・・・。
特にこの二年、私の中国には悲しく自問してしまいます、もうこの辺でいいのかと。
でも広大な中国、好きです中国が。
中国4000年は私達の先輩でもあり、莫大な歴史、文化の宝庫、中華の夢などの標語で済ましてほしくない。やはり中国への関心は捨て去りがたい今です。
完。
追記;
以前に建設された駅や地方駅はともかく、その一方で近年建設駅や新幹線絡みの駅の偉大?さ、大きさ!どういう意味か考えるのは私だけ?確かに春節時はこれだけの広さがいるのかも・・・。マ、イイカ!!
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