自由人の発信 おっさんの中国一人旅から国内旅。

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熊本行きは・・・、中国ではハーメルンの・・・。

2022-10-24 10:51:52 | おっさんの中国一人旅終了?に伴って、もっと日本を旅します。

「桂子が倒れて今病院たい、意識はあったばってん・・・」かみさんの実家から、桂子義姉さんの一報。

それから一週間で逝ってしまいました、私と同じ75歳、9月20日(火)です。

「逝く者は斯くのごときか、昼夜を舎かず」

今でも耳に「しんじさん、よかよ!」この一言。毎年メロンに始まり、ミニトマト、高菜、干しタケノコ、レンコン、そして年末のお餅、段ボール箱で2箱3箱、そのたびに子供たちやご近所へ。

 

連休の谷間ですが22日通夜、23日告別式。

千歳JAL11:00 福岡13:35、 新幹線で熊本そして松橋、4時過ぎに直接式場に入りました。

コロナ対応も変わった中、多くの人の会葬、ただただ合掌。 そして次の世代との会話。。

 

24日、義兄さんの誘いで、義姉さんも一緒?皆を連れて行きたかった天草へ(義姉さんが可愛がっていた?弟同然な人が借りてきた?マイクロで)、総勢8人。

途中、天草入り口 三角で観光休憩。思いもかけない土木遺産です。

        

 先輩達のプライドに満ちた気迫を感じますが・・・。

 

後半連休の中日、天草は多くの観光客で対向車線は大渋滞? 

天草5橋を通って今夜の宿‟なかじま荘″へ。旅館 なかしま荘【公式サイト】 (nakashimasou.com)」

部屋のベランダから天草の海、クルマエビの養殖場。   

温泉の次はサア会食!義兄さん義姉さんごちそうになります。     

イセエビ 75年にして初賞味!周りは胸がいっぱい?余しては勿体ない?で一匹以上も・・・。クルマエビのおつくりはコリコリ!サザエのつぼ焼き!ウニ、ヒラメにブリ!もう思い残すことはない感じ!!

クルマエビの養殖場では夕刻エビ籠を仕掛け、翌朝回収。  

イセエビの頭は翌朝の味噌汁で再会!桂子義姉さん本当にご馳走様でした。

 

25日は博多泊まり。時間いっぱい天草を満喫させてくれます。そう言えば天草5橋は卒業2年後かに完成?見学に行ったような(橋梁の吉村先生がランガーの設計に・・・)、もう50年以上!1号橋は新たな橋が併設されていました。

山の上まで案内されて天草満喫(見えるのは2,3,4号橋?) 遠くに金峰山。

学校の時は阿蘇や久住、50年前に来てみたかった(イセエビは食べれなかったでしょうが!)。

松橋駅でお別れ、追いかけて来てくれた義姉さんの妹ミチヨさんからの沢山のお土産!‟・・黒糖ドーナツ”美味しかった!!

博多へは熊本駅から高速バス、天神ターミナルから今夜の宿"ゾンク中州であい橋"。

今回は係員を呼ぶ事もなく!二人で7,278円ベットは2段ベット、私はごく普通ですがかみさんは・・・。

さて食事をと出かけますが、中州のど真ん中なのに、お店も屋台もが見つかりません、6月のラーメン屋は・・・。ぐるっと回ってやっと見つけた博多ラーメンがまた・・(博多の食べ物期待していたかみさん・・・)。

ホテルへ帰っている時振り返ると中州名物屋台が!!ヤバ!

 帰りの飛行機はかみさんJAL32,180円、私は御用達ピーチ16,910円、20分違いです。大きなケースを持って行った意味わかります(これもか?です)、JALは手荷物1個は大きさ重量無制限!?千歳の到着ゲートが離れた別、受取手伝おうとしますが、外部からはいられません、彼女平然と合流!。

熊本弔問旅でした。

 

熊本行きの前8月13日三角山 

9月3日の手稲山は秋の準備 下山中お腹の具合が・・、後始末をキチンと 

9月10日は中秋の名月!野の花とお団子で  名月を愛でた後つまみ食い?

熊本から帰ってきての10月8日三角山 少し道を変えた所にマンション? 

10月12日今度は平日を狙って(2日前は邪魔が・・)山ぶどう狩り  今年山のドングリは不作だそうでクマ注意報出ていますが、ブドウは生り年?

10月22日手稲山へ 土日の登山口には先客 一月ほど前尾根向こうで出てます 

尾根道は雪の準備完了       

土日の北尾根はハイカーやトレイルランの人が6人ほど、心強!(でも・・・)

シカの足跡、私のルートでスキーコースの牧草目当て?     

ハイランドの駐車場はここからのハイカーと紅葉狩りの車で 手稲山最後の行楽日和?

 

 

のどかな日本(統一教会だ、円高だ、コロナだ、物価高、景気だと夫々が言いながらも・・・)ですが、

お隣中国共産党習近平も居直った感じ、共青団グループはやってみなはれ状態

"共同富裕"?、原資はどこから?、共産党員がため込んだ隠し財産?先冨論に乗って頑張って貯めてきた富裕層から?今の世界情勢で今までのように世界から?

阿りと諂い、忖度からは解決策は出ないでしょう!

あとは目くらまし、周りの国のせいにして!、習皇帝、ハーメルンの笛吹きよろしく中国の人たちをどこへ導くのか?5年と持たないでしょう。

こんな状態で真面目に対応はしないで!日本には無手勝流という兵法があります。相手に合わせて声を張り上げたりこぶしを振り上げても、人数でも馬力でも敵いません(跪けというのではなく!)。

経営者の方々、この状態で共産党の中国に期待するのはもう無理では、傷が大きくなる前に!

 

それではいろんなコメントを。。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.9.2 4:30 姫田小夏:ジャーナリスト China Report 中国は今

中国人の「祖国脱出」が静かに進む…人気移住先・日本を中国資本が席巻か

中国で“移住願望者”が増えている。祖国への不信感を募らせているのだ。振り返れば2020年以降、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、「中国は世界一安全な国」だと、海外から多くの中国人が先を競って帰国したものだった。わずか1年で正反対の動きが始まった。(ジャーナリスト 姫田小夏)

中国から大挙して押し寄せるのか

戦前から戦後にかけて上海で高い人気を博していた小説家に張愛玲(アイリーン・チャン)がいる。最近上海市民のSNSに、彼女がよく登場するようになった。知日派の上海の友人は「日本で言うなら林真理子さんのような人」だという。

香港中文大学の資料によると、アイリーン・チャンは19歳の若さで名をはせ、1940年代初頭の上海で最も人気のある女性作家だったという。しかし、1949年に中華人民共和国が誕生すると、中国共産党下の空気に耐え切れず、1952年に香港に向けて脱出した。

70年以上も昔の人気作家が再び注目される背景には、上海市民の中国からの脱出願望がある。今、上海市民は香港に逃げた女性作家に自分を重ねているのだ。脱出願望が高まる理由として、今年春に上海で断行された都市封鎖がある。上海のみならず中国という国に、このまま居続けるリスクを不安視する人もいる。

上海に親戚を持つ都内在住の孔慶さん(仮名)は「今逃げないとヤバい、と脱出を考える人が増えました。移住への関心は間違いなく高まっています」と話す。「上海ロックダウン」の後遺症が決して軽微なものではないことがうかがえる。

移住と言っても、簡単なことではない。仕事の問題、子どもの教育、親の面倒をめぐっては熟慮を要する。そもそも資金を海外に持ち出しにくいのも難点だ。外貨準備高の減少に神経をとがらせている中国当局は海外送金に制限を設けているが、この送金問題を打破しない限り、移住への扉は開かない。

とはいえ、孔さんによれば「海外在住の中国人に金を借り、借りた金を貸し手の中国の口座に振り込むといったやり方がまかり通っている」とも言う。送金問題は中国人ネットワークである程度は解決がつくようだ。

移住の目的地は日本、変わってきた中国人

孔さんは「目的地を日本に選ぶ人が多い」という。6月1日から上海ではロックダウンが解除され、日本も1日当たりの入国者数の上限を2万人に引き上げたが、これを契機に来日した中国人留学生もジワリと増えた。

これは“大失業時代”を迎えた中国からの脱出と見ることもできる。国家統計局が2022年7月に発表した数字によると、都市部の16〜24歳の失業率は19.9%。5人中1人に職がない状態だ。

また、留学先でさえ、欧米に行きにくい状態が発生しているようだ。2カ月前に来日したある中国人留学生は、日本を選んだ理由について「アメリカはアジア人にとって危険、イギリスは雨が多く食事が合わない。香港は狭すぎるし、他のアジアの国は知名度が低い。消去法で残ったのが、円安傾向が続き、祖国にも近い日本でした」と語っている。

アジアの高度人材事情に詳しい日本人コンサルタントの一人は、「確かに『移住ブーム』が始まっている」と言い、次のように語る。

「上海でのロックダウンを契機に、中国を逃げ出してくる人材が目に付くようになりました。驚いたのは履歴書に『今の中国で未来を展望することができない』といった来日動機がはっきりと書かれていることです」

祖国の政治については「ノーコメント」に徹してきた中国人が、心中を吐露するようになったのは大きな変化だ。中国出身の大学教授は「往時のような魅力を失いながらも、日本が再び一部の中国人の間で注目されているのは、中国で高まるリスクと比較しての“安心安全”が得られるからです」と話している。

わずか1年で正反対の動きに

この数年を振り返れば、上海人は非常に自信を深めていた。「上海は欧米の先進国以上に便利で、所得水準も高い」と自画自賛をはばからず、「独裁政治といっても自分の生活までは影響しない、政治批判さえしなければ大丈夫だ」――と口癖のように繰り返していた。

しかし、上海はやっぱり“中国の上海”だった。上海市民もまた例外なく中国共産党の支配下に置かれ、その号令にはまったく無力であることを、この都市封鎖で思い知らされた。“例外的な地位”を自負してきた上海人にとってこの挫折感は大きい。

日本に帰化した東島龍彦さん(仮名)は、帰化したことを後悔した時期があった。出張で上海の取引先を訪れるたびに、「なぜ日本なんかに移住したのか」となじられた経験がある。全身エルメスで固めた取引先の“上海人”社長の、「時代は中国だ」と繰り返す“説教”を何度も聞かされてきた。しかし、その社長も「今ではすっかり無口になってしまった」(東島さん)という。

わずか1年前、中国人の祖国に対する信頼と忠誠心は最高潮に達していた。中国は2020年4月の時点で、新型コロナウイルスの封じ込めにいったんのめどをつけたが、この頃には欧米が大混乱に陥っていたのである。「中国は世界で最も安全な国」だと信じた在外の中国人は続々と帰国の途に就いた。留学生だけでも、2021年には100万人超が帰ってきた。

ところがこの潮流は続かず、人の行動や心理は、それとは正反対の方向に進み始めている。

「祖国離れ」は日本にも影響が及ぶのか

秋の共産党大会が目前に迫る。習近平政権が3期目も続けば、“暗黒時代”は続き、時計の針は逆回転を進め、“祖国離れ”を増やすことにもつながりかねない。

出入国在留管理庁の数字によれば、日本に在留する中国人は2012年の65万人からから2019年には81万人に増加した。その後はコロナで移動が制限され、この数字に伸びはなかった。

ただ中国人は、戦乱や貧困を乗り切るために、外国に移住するという傾向が強い。長い歴史を見れば、リスク回避のために祖国を離れることは、“機を見るに敏”な中国人の一つの特徴でもあるといえる。

わずか1年で“帰国熱”から“出国熱”に切り替わったのは興味深いが、これに対して人ごとではいられないのは、彼らには「移民先を市場として繁栄させる力」があるためだ。

不動産購入にとどまらず、中国資本は日本のあらゆるビジネスや取引に浸透していくだろう。「一条龍(イーティアロン)」と呼ばれる、産業の川上から川下まで丸ごと中国資本で囲い込んでいくやり方はインバウンド全盛時代の観光業でも見られた。2020年代について言えば、円安傾向が続き、人件費も中国都市部と差がなくなる中で、日本の製造業に向けてより多くの中国資本が流れ込む可能性がある。

この“出国熱”はどの程度の高まりを見せ、どの程度のインパクトを日本経済にもたらすのか。今後の動きを注視したい。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.9.7 4:45 倉都康行:RPテック(リサーチアンドプライシングテクノロジー)株式会社代表取締役

 中国江蘇省南京市で建設中の住宅用地 Photo:Future Publishing/gettyimages

落ち込む不動産や住宅販売 習近平体制揺るがす過剰債務問題

日本は長引くコロナ「第7波」に悩まされ、米国はインフレの長期化リスクに、欧州はスタグフレーション・リスクにそれぞれ直面している。

そして中国経済も、「ゼロコロナ政策」は感染拡大を止められず、予想以上の経済活動縮小を招き景気失速不安にさいなまれている。

中国政府が掲げた5.5%という今年の成長率目標はすでに形骸化し、市場では4%割れの予想が大勢で、金融界の一部には2%台の予想も現れてきた。

足元の景気反発力は脆弱であり、ゼロコロナ政策や不動産市況の動向次第ではさらに下振れするリスクもある。

とりわけ不動産販売面積や住宅販売、不動産開発投資は大幅に落ち込んでおり不動産業者の過剰債務問題や住宅ローンの不払いが広がり、債券や株式市場からの資金流出も続いている。

不動産を軸にした高成長のメカニズムが逆回りし始めた状況で、バブル崩壊後、長期停滞に陥った「日本化」が始まったという指摘もある。

秋の共産党大会で長期政権の基盤を固めようとする習近平体制の足元を揺るがせるだけでなく、世界経済にとっての「中国リスク」が意識されることになりそうだ。

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ダイヤモンドオンライン 2022.9.12 3:20 The Wall Street Journal WSJ PickUp

中国の監視国家モデル、相反する二つの顔

習氏が目指す完璧に設計された社会、抵抗しない市民には安心と利便性を提供

何か劇的な不測の事態が起こらない限り、中国の習近平国家主席は今秋、北京の人民大会堂で3期目続投を決める見通しだ。おそらく終身制への布石となるだろう。3期目の新体制では、習氏の壮大なる野望の一つに注目が集まりそうだ。習氏はデータと大量のデジタル監視が支える新たな政府の在り方を目指しており、世界の民主国家に対抗する存在になるかもしれない。

中国共産党は完璧に設計された社会という未来像をちらつかせている。具体的には、人工知能(AI)企業と警察が連携して犯罪者をとらえ、誘拐された子どもを発見し、交通規則を無視して道路を横断する者を戒める社会だ。つまり、当局は市民の善行に報い、悪行には罰を与え、しかも数理的な精密さと効率性を持って実行する。

習氏がこの構想の実現にこだわるのは、必要にかられてのことだ。毛沢東が死去した1976年以降の約30年間、共産党は市民の生活から離れ、インフラ投資にまい進。歴式的な高度成長を遂げ、中国を貧困国から中所得国へと引き上げた。ところが、ここ10年は成長が鈍化。爆発的な債務の伸びや新型コロナウイルス禍に絡む厳格な規制、高齢化など人口動態の問題によって急激に失速する恐れが出てきた。

習氏はここにきて、新たな社会契約を結ぼうとしている。豊かな未来像を示すのではなく、安全と利便性を提供することで市民の心をつかむのだ。数千のアルゴリズムが脅威を制圧し、円滑な日常生活を阻害する摩擦を排除する予測可能な世界だ。

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ダイヤモンドオンライン 2022.10.25 4:30 白川 司:評論家・翻訳家 DOL特別レポート

「中国経済の停滞」に拍車をかける習近平、それでも個人崇拝が高まる理由

習主席が捨て去った鄧小平の「開放路線」

2022年10月、第20回になる中国共産党全国代表大会が行われた。ここで習近平国家総書記・国家主席(以下、習主席)は異例の3期目を決めて、政治の要となる中央政治局常務委員から李克強首相など反習近平勢力を排除することに成功し、共産党青年団出身で李首相の後継者である胡春華氏の委員会入りを阻止した。これまでの派閥バランスを一気に崩して、最高幹部はすべて習派と実質的な習派が占める「オール習近平体制」に限りなく近いものになってしまった。

さらに、同大会の閉幕式では、ショッキングなことが起きた。李首相を庇護してきた胡錦濤前総書記が、強制的に退席させられている様子を写した切り取り動画が、拡散されたのである。国営新華社通信は公式ツイッターで「胡氏は体調が優れなかった」と投稿したが、監視が強化されている同大会の様子が勝手に流される可能性は小さく、一長老が体調不良で退席する様子を世界に発信する理由が思い当たらない。一説では習主席が、自らの権力を外国に住む中国人や華僑、各国情報機関に知らしめるためではないかという説もある。

いったい権力内で何が起こっていて、これから中国はどこへ向かっていくのだろうか。

1956年に全国代表大会で「毛沢東思想」が党規約から削除されたが、2022年にそれが「習近平思想」という変容した形で復活した。中国において法律を超える存在である党規約で、習主席への個人崇拝につながる内容が入れられた意味は重い。

1956年の次に重要な年として、経済政策について大きな転換があった1992年がある。

開放経済を進めた鄧小平国家主席は、どうやら1985年前後から「我々の政策は、先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にすることだ」と述べて、いわゆる「先富論」を唱えていたようだ。

そして、1992年の全国代表大会では、鄧小平の思想が「社会主義市場経済」という言葉で正式に党規約に盛り込まれた。社会主義国家である中国に、鄧小平は国家資本主義を導入したのである。やがて、グローバルに活躍する中国企業が現れて、中国経済が世界第2位にまで躍進した。鄧小平の政策がその出発点となったといえる。

鄧小平以後の中国は経済成長を優先させた。福祉より投資を重視して、覇権競争の先行者であるアメリカに経済でも追いつくことが大命題となった。だが、その路線も今回で修正されることとなった。

その呼び水となったのが、2021年8月17日の中国共産党中央財経委員会で習主席が公にしたスローガン「共同富裕」だ。共同富裕は格差是正を優先して、すべての人民が豊かになることを目指すことである。

共同富裕という言葉はもともと毛沢東が唱えたものだ。習主席は曖昧だったこの言葉を具体化して、「高すぎる所得を合理的に調節し、高所得層と企業が社会にさらに多くを還元することを奨励する」とした。大企業やエリートを先に富ませる「先富論」を捨てて、貧富の格差解消を優先すると宣言したわけである。

また、李克強首相も2020年5月に「毎月の収入が1000人民元程度(日本円で1万7000円程度)の人がまだ6億人いる」と述べている。新型コロナウイルス禍で支援の必要な人民が数多くいることを指摘した発言であるが、李首相が格差問題を深刻に受け止め、習主席の唱える共同富裕に賛同していることは明らかだ。

中国経済の停滞に拍車をかける習近平

ただ、習近平指導部の経済政策は、これまで中国経済を縮小させる方向に作用している。経済成長と格差是正は必ずしも両立できない目標ではないが、中国経済がすでに停滞期に入ったことで、インフラ投資中心で成長してきた中国にとっては両立が難しくなっている。

この点の象徴的な施策として、2020年11月、中国最大のIT企業であるアリババ傘下のアントのIPO(新規株式公開)に対して中国経済当局が中止命令を出したことが思い浮かぶ。当時、アントは世界最大規模の決済サービスであるアリペイを有する世界一のフィンテック企業として世界的な市場拡大を目指していた。このIPOでは345億ドル(約5兆1360億円)もの額を調達できるはずだったが、アリババ総帥ジャック・マー氏の野望はこの横やりであっけなくついえた。

アリババはその前から狙われていた。2021年4月、中国国家市場監督管理総局はアリババに対して中国版独占禁止法「反壟断法」違反があったとして182.28億元(約3773億円)の罰金を科している。その後もテンセントや配車サービス国内最大手の滴滴出行など大手プラットフォーマーが当局から規制を受けており、習近平指導部によるあからさまな「IT企業たたき」が続いている。

また、中国政府は不動産価格の抑制のために2020年から住宅ローンの総量規制を進めている。不動産企業に対しては「純負債が自己資本を超えない」など3つのレッドライン(三条紅線)を設定して不動産の投機化を防ぎ、2021年には固定資産税に当たる不動産税を試験的に導入している。その結果、多くの不動産企業で資金繰りが厳しくなり、中国第2位のデベロッパーである中国恒大集団の経営危機を呼び込むこととなった。

これらの施策は企業個別の問題というより、習主席固有の問題意識から行われたものだ。

たとえば、アリババ傘下のアントの大手株主には、習主席とは対立関係にある江沢民元国家主席の孫である江志成がいるといわれている。政界に太いパイプがあるがゆえにアリババはこれまで中国政府の庇護の下で成長できたといえるが、マー氏が習近平指導部に批判的であり、ライバルを資金面で支えていることから、習主席はアリババが国家にもたらす利益より、自らの権力に悪影響を与えることを警戒していたのだろう。

ただし、民間企業いじめが経済縮小に働いても、習主席は一連の金持ち批判によって人気を得ている面があり、人民からの人気低下には必ずしもならないという点にも留意すべきだ。

貧富格差の拡大で分断が進む中国社会

中央政府はこれまで共産党エリートによる指導体制によって経済成長を優先する政策が続いてきた。8%を上回る経済成長が維持できた時期は人民の不満が出にくかったが、習近平政権では徐々に成長が鈍化し、同時に貧富の格差が拡大して、人民の不満が募っている。習近平指導部は汚職を徹底的に取り締まることで一定の支持を得ていたものの、ここに来て中国社会の分断が先鋭化し始めている。

中国では上位1%が下位50%を超える富を占めており、上位20%の収入は最貧困層の20%の収入の10.2倍に達する。さらに、格差を示すジニ係数は0.47と世界トップクラスで、これは通常ではあれば社会不安をもたらして、治安が乱れてもおかしくないほどの数字だ。

また、中国では人民が都市部住人と農村部住人に分けられており、移住の自由が制限されているために、生まれながらにしてどんな教育や医療が受けられるかが決まってしまう。その目的はもともとは農業人口の流出を防ぐためだったが、大都市で人口過多が起こる中で、そのしくみが温存された。そのため、中国経済が成長すればするほど、都市部住人と農村部住人の格差は開く一方となった。

さらに習近平指導部は法輪功やキリスト教などの非共産党的な思想・宗教を弾圧して、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区など、独自文化を持つ民族が住む自治区の宗教や文化的慣習を破壊し続けている。さらに、一般人民に対しても監視カメラとネット管理によって監視を強化し、共産党の方針に従順なほどスコアの高い「社会信用システム」を導入して、反共産党運動が起こらないように圧力をかけ続けている。

女性への差別も深刻化している。アメリカのピーターソン国際経済研究所によれば、中国の労働力人口における男女格差は1990年の9.4%から2020年には14.1%に拡大しており、女性の収入は男性より約20%少なくなっている。また、大卒女性の80%以上が就職活動で差別されたと述べているという。婚姻に関しても基本的に女性のみの意思では離婚が難しいシステムになっており、LGBTQや#METOO運動などのジェンダー活動が地方警察当局の取り締まり対象になることすらあるという。

社会の分断や深刻な格差が起こっている中国で大きな社会対立が起こらないのは、ひとえに政府による監視と取り締まりが徹底されているからだ。国内で反習近平の言動が見つかれば、それが横断幕であろうとSNSの文言であろうと投稿動画であろうと、すぐに撤去・削除され、居場所を突き止められて拘束される。人民のプライバシーを犠牲にして、社会的綻びを崩壊に至らないようにぎりぎりで食い止めていると言っていいだろう。

だが、これらの政策はすべて中国経済を弱める要因となり得る。IT部門に規制をかけ、自由な経済活動が阻害されれば、企業の成長機会が奪われる。表現の自由を奪えばイノベーションが阻害されて、能力のあるものほど中国脱出を考えて、頭脳流出が起きる。

若者の失業率は過去最高を記録しており、能力のある者が農村部住人や女性であれば、雇用の機会が奪われたことで起こる経済的損失は計り知れない。どう考えても、習近平指導部が行ってきた経済政策で、中国経済の立て直しに貢献しそうなものは皆無なのである。

それでも習近平の権力基盤が強固な理由

では、なぜそれでも習主席が異例の3期目に入り、その権力基盤がますます強固になっているのだろうか。

10月の中国共産党大会では、習主席が建国の父である毛沢東と並ぶ地位であることが確認された。これは習主席一人に権力を集中させ、毛沢東のときのような「個人崇拝」を復活させるための呼び水だろう。

習近平指導部は2021年に学習塾を禁止して、小学生から高校生までの必修科目として、「習近平思想」を教えることを義務付けて、小学校から大学院までの各教科書には学習目的として「習主席のため」という文言が記されているという。

だが、『中国“一帯一路”失敗だけではない、「バブル崩壊が間近」の理由』でも述べたように、中国経済のメルトダウンはすでに始まっている。たしかに徹底した監視体制の下で大規模デモの芽をつぶすのは当面は可能だろうが、それにも限界がある。人民の不満が爆発してデモが全国規模になれば、歯止めが利かなくなる可能性がある。結局、習主席の個人独裁を強化することでしか、今の中国を安定させる方法がないというのが実態だろう。

習主席続投の正統性を生んでいるのが、汚職の撲滅と貧富の格差の是正だ。つまり、経済成長による果実より、現在の果実を広く人民に行き渡らせることができるトップとして、習主席が人民に信任されているという面がある。

2013年に習近平氏が国家主席になったときは、胡錦濤・温家宝コンビによる鄧小平以来の開放路線を継承すると考えられていた。だが、2014年に中央国家安全委員会を設置して自らがトップに就き、外交・安全保障を含む重要政策をトップダウンで行うことを可能にし、権力の集中を図り始めた。

それでも李克強首相をトップとする国務院が経済政策を進めることに変わりはなかったのだが、中国の経済成長の停滞が目立ち始めた2017年には、習主席自らスマートシティ構想「雄安新区」(河北省)を主導するなど、経済政策の主導権も習主席に移行し始めている。これは、習主席が根本に持つ社会主義思想が、鄧小平の継承者である李首相の考えと相いれなかったためだろう。

中国経済がグローバリズムから国内回帰し始めたきっかけは、アメリカにトランプ大統領が誕生して苛烈な貿易制裁を受けたことであるが、習主席はアメリカ経済はやがて行き詰まり、経済においても中国の時代がやってくるといった考えを表明している。習主席はマルクス・レーニン主義を信奉しており、政治においてはレーニン主義的に規律を求め、経済においてはマルクス主義的に資本主義を乗り越える社会主義経済を求めてきた。

いくら李首相の経済政策が経済成長に寄与しようと、それではアメリカの追従でしかなく、習主席が求める理想はいつまでたっても実現できない。鄧小平が毛沢東のマルクス・レーニン主義を捨てて導入した「資本主義」を、乗り越えるべき対象として捉え直したのだろう。だからこそ、経済においても自由経済を否定して、計画経済による「秩序ある競争」を進めていると考えれば、習主席の政策は理解できる。

習主席が個人独裁を進めるのは、彼の理想をかなえるためには不協和音があってはならないからでもある。だからこそ、汚職撲滅のかけ声の下、政敵を次々と粛正して、自分に刃向かう人民を拘束して再教育を与えてきたのだろう。

もはや主だったライバルがいなくなった習主席にとっての「目の上のたんこぶ」は長老のみとなったが、その筆頭の一人とも言える胡錦濤氏については、前述の通り「大会会場から強制退席」という事態が起きている。マルクス・レーニン主義が正しいとされる現在の習近平下にある中国で、長老たちが経済効率を盾に習路線を止めるのは絶望的だろう。

しかし、習主席がいかに理想に燃え、権力基盤がいくら強固になり、監視体制がいくら強化されても、経済の低成長が続けば、社会にひずみが広がり、人民の不満が高まることは避けられない。

中国人民や中国人エリートたちが、イデオロギーの権化と化した習主席にどこまで付いて行けるのか。これからの5年間はその壮大な実験場となる。

(評論家・翻訳家 白川 司)

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