大気汚染・水質汚染・土壌汚染の実態
大気汚染
過って中国共産党は国防上内陸部へ重化学工業を分散配置した。以後その地方の産業として雇用、生産(GDPの大部分)を担う。
地方政府、共産党員の成績として生産優先、環境は配慮されなかった(環境は成績点数にない)。数十年前からの設備老朽化と増産の結果(廉価な国内炭の大増産)、大気汚染問題が常態化。
中国が短期間で世界の工場を勝ち取った代償、社会主義市場経済効率の帰結。
20年ほど前上海郊外石炭火力発電所の脱硫装置について問い合わせに接するが、立ち消えした。
中央政府は生産効率の悪い設備のスクラップアンドビルドを指導している一方、地方経済の崩壊・雇用不安からの、社会不安を危惧して問題はなかなか解決されない。
さらに都市部の拡大に伴い、そのエネルギーとして中国で生産される石炭の使用、また交通・流通手段として自動車の増大が拍車をかけている。
特に河北・北京ではその地形と冬場の気候が影響して甚大な健康問題になっている。
昨年の中国行、千歳空港での搭乗手続きで、前の中国の人に「北海道の食べ物は美味しかったですか?」、返事は「・・・、でも空気は美味しかった!」。
北京ではPM2.5が300以上3日間継続予報で赤色警報、学校の休校、市内通行車両ナンバーの偶数、奇数番号規制等を実施。最近数年間、冬季には2,3度発令される。
中国(日本) PM2.5環境基準2016.1.1適用 年平均35(15)μg/㎥ 日平均75(35)μg/㎥
2013年国務院「大気汚染防止行動計画についての通知」、5年後北京市では60μg/㎥に抑制する計画策定。
2017・2・4・am8:00現在418μg/㎥(米国大使館発表)、北京市規定“危険”。
どうすればいいの?中国共産党のためにはまだしばらく我慢でしょう。皆公平、平等だから・・・。
中国ドキメンタリー 柴静「穹天之下」(ユーチューブ日本語版有り) 但し共産党の本気度宣伝との見方もあるが、現況と人々の今は読み取れる。
中国PM2.5の今 http://aqicn.org/city/beijing/jp/
2010年北京市郊外の閉鎖された?製鉄所溶鉱炉 しかし河北省全体では設備は増強。
2016年三国志定軍山麓の製鉄所 咸陽市火力発電所 石炭運搬車両の列
水質汚染
中国大陸は大きく見ると14億人口の大半が居住する華北、華中は大平原的に高低差がない、故にこの地方には古来内陸運河交通が発達し、隋の煬帝による京杭運河は有名。
その運河沿い、河川沿いには過って設けられていた旧来の産業や新たに改革開放後の外資導入による新規産業の誘致、開設による未処理排水の為(国際競争力維持の為、地元政府の黙認)、汚染は流下することなく広範囲に蓄積される。
さらには、工業用水、農業用水、都市の生活用水需要の為河川流量の急激な減少(黄河の断流問題)、結果河川の自浄能力の消滅が重なる。
工場排水、生活排水の処理設備はできてもその稼働、維持メンテナンスが社会契約となっていないため(排出者、監視者が同じ共産党)機能していない状態である(見ていない所や夜間ではその稼働を平気で停止させるイタチゴッコを呈している)。
中国華北地方の水不足の為、華南揚子江流域から給水すべく(古くは毛沢東の思いつき発言)、現在実行されている計画(2002・12~)が“南水北調”と言われるプロジェクトです。
3本の流系(東線、中央線、西線)で計画され、現在東線、中央線は稼働状態となっているが、なぜだか共産党のプロパガンダに上って来ない。
東線は揚子江下流揚州地点から、京杭運河ルート、河道、湖を利用しながらポンプ設備にてリフトアップ(累計65m)、山東半島西部で黄河をサイフォンにて横断、天津まで1156km。途中山東省では山東半島先端までの分岐ルートも持つ。
しかし途中、汚染河川の准河や他の河川が運河、湖に流れ込んでおり、一期工事が2014年完成したにもかかわらず、水質問題とポンプ運転維持費に拠る料金負担から、現在ではニュースからも消えているので稼働状態が判らない(共産党の正当性が問われる)。まだ未確認。
中央線は河南・湖北省境の漢水丹江口ダムから北京まで標高差100m延長1432kmを幅200mの水路で導水する工事。2014年12月12日第一期通水、通水時報道されましたが、ここもその後の共産党プロパガンダは聞こえてきません、しかし年間22.2億トン(河南省8.7、河北省8.4、北京市3.8、天津市1.3)給水したと伝えています。
水路をオーバーブリッジで越える既設水路や河川 アンダーパスで交差 黄河をサイフォンで交差
水路と交差する河川の今後発生する想定外洪水によっては、洪水被害が拡大される恐れがあるかと。
去年河北省邢台で夜間豪雨時ダム放水によって洪水被害発生との報道では一瞬この水路を思いましたが、10月の旅では鄭州手前の水路に水が入っていたので違っていたようです。
水路はグーグル地図写真で確認できます。
西線はチベット高原での計画の為現在は計画のみ。
閑話休題;トイレ問題
現在もまだ改善されない“ニーハオトイレ”と汚水処理。中国ではいまだにトイレの改善?が進まず、公衆トイレでは開放型トイレが基本です。 汚物の処理は水洗ですがその処理のインフラ整備はこれから?の様です。
杭州の大学では分流式で集められた汚水は構内の貯水槽で貯められ沈殿物をバキューム車で処理場?へ搬出していましたし、周りの水路では一年に一度?ヘドロさらいをしていました。
中国ではトイレでは使用した紙は汚物と一緒に流せないのは、使用紙の質の問題と汚水の流速勾配が取れていないため汚水管の閉塞問題からだと思います。
土壌汚染
農薬・肥料の残留汚染もあるがここでは産業廃棄物での汚染について。
改革開放後日本を含め世界の先進国は中国共産党勧誘と資本主義経済の原理から、経済後進性から抜け出せない中国へ資本の移動を行う。
その市場経済活動の結果発生した産業廃棄物は処理システムもできていない国土を汚染してしまう。
地下水の過剰取水による河川からの汚染の浸透や工場排水の浸透は見えない汚染の為、複雑となり、その解決の糸口さえ見つからない。
その汚染が限られた地域での発生の為、地元政府の封じ込めもあり、まだ大きな問題にはなっていないが今後発生してくる問題と思われる。地方共産党幹部は担当地域の騒乱(中国では群体性事件?)発生を厳しく追及、罰せられます(上位者まで落馬、権力闘争に利用される)。
共産党統治優先(問題化させない)、利益配分の継続(既得権益の維持)の打破しか解決されない。
レアアース汚染
カドミュウム汚染
宗教について
共産主義理論からは宗教は否定されています。よって共産党員には信教は認められていないし禁止されている。
憲法上は1982年公民の信教の自由を明記する。しかしその内容は国家(共産党)の宗教活動認証範囲規定内での自由である。
現状は法輪功問題や地方政府でのキリスト教会破却等の問題が発生している。一方で共産党はバチカンとの和解等偉大な中華として世界認証を得ようとしている。
仏教寺院や中国古来の宗教道観では地方政府と一体でむしろ観光施設として活用している。本来の信教はアングラ化の傾向が進行している。
現在中国共産党が信教について敏感なのは、多くの社会問題や公正な法治が望めない現状を人々がアンダーグラウンドでの宗教活動と結びつく事を恐れるから。
中国で渡されたパンフ 無事に活動を続けられることを願います。
次は経済体制。
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