医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンに対する宿主抵抗性とビタミンCについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-23 16:55:25 | 健康・病気

多くの栄養性因子(抗酸化栄養素など)は、悪性侵襲性増殖(発がん)に対する宿主抵抗性に
必要とされることは、多くの研究により知られています。これらは、局部的に作用する間質因子と、系統的に作用するその他の因子に分けられます。間質抵抗性は、線維組織の厚い、実際に通過できない膜にある悪性新生物細胞をカプセル化するため、宿主の抵抗性により作用します。

いろんなヒトにおいて、間質組織増殖は、初期増殖とその病巣転移の周辺で同じであり、
組織反応を示します。抵抗性に含まれる、その他の重要な間質因子は、局部的浸潤に対する細胞間間質物質の抵抗性であり、リンパ球反応の割合によります。リンパ球はゆっくり増殖するガン間質にもっとも多く存在し、急に増殖する病的組織変化の周辺ではわずかで、ほとんど存在しません。その上、リンパ球浸潤の程度は、初期増殖とその病巣転移の周辺でjは同一であり、組織反応を示します。活発なリンパ球反応は宿主抵抗性の活発化を示し、予後がより良好になります。

フィードバック機構は侵襲酵素の抑制を含め、ある種のガンにとっては少なくとも個々のホルモンの状態を含んでいます。ガン患者に、最高レベルまで宿主抵抗性を安全に高める能力は、
広くガン治療を改善させます。ビタミンC代謝がこれらの宿主抵抗性の機構全体に関わり、
適正量のビタミンCの摂取は、この望ましい目標を勝ち得る、単純、かつ安全な方法であることが、現在、臨床で証明されつつあります。

References

Linus Pauling: Cancer Research .March,1979

藤井毅彦; ガンの寛解とビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1981年

 


ガンのビタミンC補助療法の将来への展望について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-23 15:29:02 | 健康・病気

人のガンの臨床試験において、ヒトの膀胱がんの進行を遅らせるため、Schlegel博士らは、
ビタミンCを用いました。また、ウイスコンシン大学のPeccse博士らは、ビタミンCの経口投与によって家族性結腸茸腫の退行がもたらされ、かつ悪性化前駆期症状の退行ももたらされ、これらの腫瘍発生の予防的手段として、ビタミンCの使用を推薦しています。

同じ臨床研究では、ビタミンCの経口投与は、突然変異誘発性糞中ステロイド量を減少さすという、実証による証拠が得られています。しかしながら、これらは特異的腫瘍であるが、ガンの
予防・寛解にビタミンCが補助的療法としての可能性を有すことを、示唆しています。

今まで、キャメロン博士、リオルダン博士、フォファー博士、森重博士、山口医師、ドリスコ医師、それにWelker医師、その他多くの医師らのガンの臨床治療では、ビタミンC治療による寛解が認められています。これらは、ビタミンCによる補助療法が、ガン患者に幸福をもたらすばかりでなく、進行ガン患者の生存時間の延長をもたらすことは、統計学的処理でも明らかです。

ビタミンC補助療法は、進行したガン患者全員に、ある程度、救済をもたらし、運のいい小数の
ガン患者には、著しい救済をもたらすことが可能で、早期癌患者の補助療法として大きい
可能性を有します。

References

Linus Pauling: Cancer Research.March,1979

藤井毅彦:ガンの寛解とビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1981年


食物繊維の大腸がん予防効果について 栄耀医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2014-01-22 16:00:58 | 健康・病気

バーキット博士の研究によると、食物線維(繊維)は、大腸ガンに対し予防効果の可能性があるため、注目されています。食物線維(繊維)欠乏食は、結腸ガン(大腸ガン)、虫垂炎、憩室病、潰瘍性大腸炎、さらに腺腫性茸腫などの、ある種の大腸疾患に対し、一般的、かつ基礎的栄養因子となっていますが、食物繊維に加えて、抗酸化栄養素、善玉菌(乳酸菌、納豆菌など)の摂取も、これらの疾患の予防に必要、と考えられます。また、動物性脂肪の摂取の大小とも大腸ガンは関連していますので、食物繊維のみで、大腸ガンの予防効果が決まるわけではなく、ビタミンCやビタミンDの摂取、食事構成なども重要な因子である、といろんな研究から示唆されます。しかし、いづれにせよ、食物線維の摂取を増やすことは、健康に必須です。

 

疫学的研究の追加デ―タでは、食物線維の摂取の減少と大腸ガン(結腸ガン)の発生の間の相関関係を示しています。さらに、ラットでの研究実験では、食事性セルロースの減少に従い、
小腸の化学的発がん数は、段階的に増加することを示していますが、更なる追試が必要です。

低食物線維食は、便秘を促進させ、従って、便秘は、順次、有害細菌の繁殖、胆汁酸の細菌による化学変化により発がんの可能性へと時間を与え、発がん物質と腸管粘膜の間にもっと長い接触時間を与えています。食物線維は、腸管通過時間を短くし、発がん物質への暴露時間を減らします。食物線維と水との結合により促進される腸内環境では、その容積が増大し、
食物線維は、揮発性脂肪酸の細菌による産生から、下剤効果を強めます。

食物線維が潜在的発がん物質の形成を減少させる経路では、胆汁酸塩代謝に影響する
メカニズムが存在する、と考えられます。この事は、胆汁酸塩、コレステロール、そして、それらの変性産物、およびステロールの排泄の増大、あるいは7-脱水化のプロセスの阻害を通じて行われる可能性が有ります。食物線維が水との結合に対し、その拡張効果と拡張能力により、潜在的発がん物質を薄め、ステロール、胆汁酸、および脂肪は、溶媒様効果を強める
メカニズムが存在する、と考えられています。

ところで、食物線維は、動脈硬化、糖尿病の予防にも有益との研究があります。また、
南アフリカのバンツ族は、欧米人に比べて、心臓病、脳卒中が極めて少なく、この事は、食生活に於いて、1日あたりの食物線維の摂取量が、欧米人の4~5倍もあるからだ、と言われています。また、バンツ族の糞便排泄量は、欧米人に比べて、格段に多いと報告されています。なお、食物線維には、動脈硬化の原因の悪玉コレステロールを吸着して体外に早く排泄してしまう作用が有る、と言われています。そして、糖尿病に対する予防効果では、食物線維が糖質を吸着し、インスリンの効果を高めている、と言われています。結局、抗酸化栄養素と食物繊維を多く摂取することは、これらの疾患の予防に繋がり、どちらの栄養素を欠いても、予防には効果的でなく、さらに、これらについては、更なる研究の積み重ねが必要と考えています。

References

アルカンタラ、スペックマン:Diet, Nutrition, and Cancer,1040

藤井毅彦: ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年

 

 


ガンのビタミンC療法に対する考察とその展望について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-21 23:14:22 | 健康・病気

Pauling博士らの研究によると、早期癌や中期癌患者に対するビタミンC大量投与では、患者全員が生存していることから、ガンの早期にビタミンC療法を実施することが重要であることが、示唆されます。また、かなり以前、福岡鳥飼病院の森重福美医師らは、同様の臨床研究を実施し、ビタミンCを5~9g/日、投与患者と10~29g/日、投与患者では、その効果が著明で、1g以下/日、投与群と30~60g/日、投与群では効果が少ないようでした。1g以下/日の投与群は投与量が少な過ぎ、30~60g/日の投与群は、容態のより悪い患者群に投与したため効果が少ないようでした。

ベイルオブリーベン病院の肺癌に対する研究では、125名の肺がん患者の内、14名は放射線療法、17名は化学療法、24名はビタミンC療法でした。一方、70名は疼痛を抑える麻薬以外には治療されませんでした。治療不能の肺がんで入院した日からの平均生存期間は、それぞれの群では、184日、90日、187日、68日でした。なお、ビタミンC投与群の一人は、1846日以上生存し続けています。また、ビタミンC投与群は、生存期間が有意に延長されています。

神岡鉱山病院の山口医師は、31名の末期ガン患者の内、6名にビタミンCを5~30g/日、投与し、6名に0.5g~3g/日、投与しました。なお、対照患者は19名でした。末期認定日からの
平均生存日は、対照では48日、5-30g/日、投与群の6名は115日で対照の2.4倍でした。
対照群では98日以上の延命患者はいず、ビタミンCの5~30g/日の投与群3名(50%)は98日以上で、その平均は158日でした。その投与量の1名は膀胱がんで、延命日数は215日で、さらに生存し続けています。ビタミンC大量投与群では対照に比べ、延命効果が認められ、統計学的にも有意でした。また、鎮静効果も対照に比べ、認められました。従って、ビタミンCの大量投与群では麻薬をあまり使わなくてよく、ビタミンCには、麻薬の習慣性を弱める働きもあるようです。

References

Ewan Cameron, Linus Pauling: Cancer and VitaminC, Warner Books,1979

藤井毅彦: ガンを治すビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1980年

藤井毅彦:ガンの予防し、治すビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1982年

 

 

 


ガンのビタミンC療法に対する、考察とその展望について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2014-01-21 19:02:39 | 健康・病気

スコットランドのベイルオブリーベン病院では、Cameron医師とPauling博士が共同研究を開始し、ビタミンCを10g/日、投与末期ガン患者100名と、ビタミンCを投与しない患者1000名を比較対照とし、それらのガン患者は、年齢、性別、ガンの種類、病状がつり合いがとれていました。

この研究結果では、ビタミンC投与群患者は、対照患者に比べて、平均10ケ月ほど長生きしました。これらの患者で一年以上生存した患者は、100人のビタミンC投与群では22名、1000名の対照群では、僅か4人でした。また、2年以上の生存者は、ビタミンC投与群では5名でした。他方、対照群は、すべて死亡しました。

ビタミンC投与群では気分が良くなり、一般症状も改善され、かつ、腫瘍増殖の抑制が認められ、骨転移による疼痛の緩和、悪性滲出液の蓄積率の低下、悪性黄疸の改善、呼吸困難の軽減、赤血球沈降速度の低下、血清ムコイド濃度の減少などが認められました。

しかし、ベイルオブリーベン病院での研究は、ガンが進行した、末期にビタミンC投与が行われたので、大多数の患者にとって結末は不幸でした。病状の改善が一定期間続いた後、ガンが再び悪化し、死亡しました。2、3の患者では、良好な状態と腫瘍増殖の抑制が一定期間続いた後、坂道を転げ落ちるように急速に末期状態に陥り、2、3日で死亡しました。また、ある患者では、10g/日、6ケ月間の服用で抑えられていたガンが、ビタミンCの服用を中止した後、再燃しました。ところで、なお、もっと早期のガンにビタミンCが投与されていたら、もっと良い結果がでた、と推測されます

10g/日のビタミンCの10日間の経口投与で抑えることができませんでしたが、20g/日の10日間のビタミンCナトリウムの点滴と、続いて12.5g/日の経口投与を続けることにより、再度、抑えることができました。なお、ビタミンCの点滴はより効果を高めるようです。また、これらの症例のポイントは、以前のこのブログで紹介しています。

ところで、メイヨ―クリニックのモーテル博士らは、ビタミンCの短期経口投与でガンの寛解を確認できませんでしたが、研究デザインに問題が有り、ポーリング博士が生のデータの閲覧を要求しましたが、拒否されました。そして、New England Journal of Medicine誌も以後、査読者を世界各地に増やしたので、投稿者の内、約一割しか掲載されないようになった、とインタ―ネットは報じています。

References

Ewan cameron, Linus Pauling: Cancer and VitaminC, Warner Books, 1979

藤井毅彦:ガンの予防し、治すビタミンC療法、日本ビタミンC 研究会、1982年

藤井毅彦:ガンと栄養2、日本ビタミンC研究会、1981年

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログで発信しています。