医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

異常タンパク質分子への転換と二型糖尿病の発症について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-30 22:54:33 | 健康・病気

ウイシコンシン―マジソン大学のMartin Zanni博士は、原繊維の形成を誘導する、化学反応での結果の連続性を追跡するため、2-D赤外線分光法による偽混技法(sophisticated technique)を用いました。この技法は、大変小さいサンプルを用いて、大変早いプロセスを測定できます。

シカゴ大学のJuan de Pablo博士らは、アミロイド形成をもたらしている初期の結果の様相に完全に達するべく、分子のシュミレイションからのデータを有するZanniの測定法を理解しているようです。De Pablo博士らは、IBMのコンピュータシステムのイントレピット(Intrepid)を用いました。De Pablo博士らが開発し、作動し、この経路の大規模なコンピュータシュミレイションを実施しました。

この結果は、反応に伴う分子段階の極めて重要なモデルを提供しました。二つの方法の一つのみを用いることは、一本足で競走するようなものです。計算と実験を結び付けることにより、より早く、より信頼できる答えに到達できると、考えます。研究者らは、見逃した全体のステップを突き止めるが、彼らがそうしないことは、混乱を助長すると考えます。

中間ステップが、強く共存できないようである、蛋白質により形成されるfloppy loop 領域らしことを、初期の研究は示していました。最終結果として、原繊維にダメージを与えました。原繊維がベータシートと呼ばれる剛性構造に由来するにちがいないと、研究者らは信じているようです。

しかしながら、新しいデータでは、両構造が、時がたてば、反応の変化として生じることを、示しています。中間体の剛性ベータシートは、floppy蛋白質輪状構造を形成します。それらは、よりベータ―シ―トの形を最終的にとります。最終的なベータシートは、互いに結び付き、損傷を受けた原繊維を形づくるため、積み重ねられます。

もっと多いデータでもって、障害された蛋白質に結び付き、その分子をブロックし、経路の進行を中断させるべく、それらを阻害する物質を、彼らはデザインしたようです。なお、このブログのその三では、この話題のポイントの続きを紹介したいと、考えています。

References

L. E.Buchanan et al: Mechanism of IAPP amyloid fibril formation involves an intermediate with a transient - sheet. Proceedings of the National Academy of Science, 2013; 110(48): 19285 DOI

Wrong molecular turn leads down path to type 2 diabetes: ScienceDaily. Dec. 20,2013

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39のブログで見られます。


異常タンパク質分子への転換と二型糖尿病の発症について その一  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-29 22:29:36 | 健康・病気

今回は、難病と言われている疾患の蛋白質構造の異常について考えていきたいと、思います。米国のArgonne研究所の研究によると、ニ型糖尿病を発症さす、組織構造の損傷をもたらすには、蛋白質はどのように間違って組まれるかは、コンピュタ―が解析するのに役立っています。アミロイド原繊維と呼ばれる構造が、アルツハイマー病やパーキンソン病、それにクロイツェフェルトーヤコブ病と狂牛病のようなプリオン病において、神経原性症状と関係しています。その結果は、アミロイド原繊維の形成をもたらす、生化学経路での重要な中間段階を正確にピンポイントしています。

この新しい原因となるもの(culprit)に関して、将来の研究では、この有害な経路に拮抗する阻害因子のデザインのような、治療の可能性に標的を合わすことが可能です。

アミロイド原繊維は、誤って組まれた蛋白質よりなる大きい構造をしています。研究者らが顕微鏡で観察できるアミロイド原繊維は、プラ―クを形成するか、組織のダメージを受けた領域を形成します。原繊維は、その蛋白質がそれらの正常な3D構造から逸脱している時、生じると信じられています。そして、その変わりに、同時にゆっくり進む、誤って組まれた状態を取り入れます。

パズルの一個のように、蛋白質は、正しい形を有する時のみ、有効に作用します。誤って組まれた時には、それらが形成する原繊維は強固なので、それらの被いを根本的に剥がすのではなく、組み込んだエラーが起こらないようにすることであると、信じられます。Argonne研究所の研究者らは、中間段階を確認し、その経路を理解するのに主な二つのアプローチを用いました。これらについては次回のブログで紹介したいと、考えています。

References

L.E.Buchanan et al: Mechanism of IAPP amyloid fibril formation involves an intermediate with a transient -sheet. Proceedings of the National Academy of Sciences,2013; 110(48): 19285 DOI:

Wrong molecular turn leads down path to type 2 diabetes: ScienceDaily, Dec.20,2013

 


パーキンソン病による歩行障害と転倒のビタミン類による軽減について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-24 21:21:33 | 健康・病気

パーキンソン病については、薬剤が開発されていますが、歩行障害や転倒に対する効果は、報告されていません。今回はPierre et Marie Curie大学のChantal Francois博士らの研究のポイントを紹介し、それについて考えていきたいと、思います。

パーキンソン病の症状の多くは、ド―パーミンをターゲットとした薬剤で軽減することはでき、その薬剤は、脳の神経細胞の伝達作用を有します。しかし、そのような薬剤は、パーキンソン病の重篤で、進行した形を伴った患者に見られる歩行障害と転倒を改善しません。

Chantal Francois博士らの研究によると、パーキンソン病患者の歩行障害とパーキンソン病に罹った、年老いた猿での歩行障害は、pedunculopontine nucleus(PPN)として知られている、脳の領域の神経伝達物質アセチルコリンを産生する、神経細胞の消失と結び付いていることを、確認しました。これと同じく、これら神経細胞の消失は、猿に歩行と姿勢の障害をもたらしました。

PPNのアセチルコリン産生神経細胞をターゲットとすることは、パーキンソン病の患者の歩行障害や転倒を軽減する方法を提供できるに違いないことが示唆されます。このアセチルコリン産生神経細胞の賦活をもたらす天然物質の検索が、いろんな研究機関で行われており、期待されています。なお、現在、ビタミンB6,ビタミンB12,葉酸、ビタミンD,ビタミンC,それに、グルタチオン、Q10などの併用療法が、パーキンソン病の栄養療法として、米国で臨床に用いています。

References

Parkinson's.New clues to alleviating gait disorders and falls: ScienceDaily. July 26, 2010

Carine Karachi et al: Cholinergic mesencephalic neurons are involved in gait and postural disorders in Parkinson disease. Journal of Clinical Investigation,DOI:10.1172/JC142642

 

 


体内時計と栄養の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-23 16:55:45 | 健康・病気

今までは、体内時計と栄養の関係は未知でしたが、この関係を研究している研究者が、最近、この関係について、論文を発表したので、そのポイントについて考えていきたいと、思います。

カリフォルニア大学のDonald Bren博士らの研究によると、栄養が体内時計の24時間リズムを通じて、代謝に影響することが明らかになりました。

高脂肪食は、肝臓の代謝機能を調整する体内時計のコントロールの分子メカニズムに影響します。これらの体内時計の24時間リズムの破たんは、糖尿病、肥満、それに高血圧など、代謝性疾患の一因になる可能性があります。Bren博士らは、栄養学的にバランスのとれた低脂肪食に変えると、このリズムが正常化されることを、発見しました。

体内時計の24時間時計は、食事の栄養成分の内容に依存しており、再プログラミング化することができることを、研究で明らかにされました。このことは、高脂肪制限食に対する新しい薬理学的ターゲットの確認にもつながります。

体内時計の24時間リズムは、ほとんどすべての生物において、重要な生理学的機能に影響します。この体内時計は、環境的変化を予測したり、また、それらを日中の最適な時間に合わせます。これらのリズムの変動は、ヒトの健康に深く関係します。ヒトの遺伝子の15%までは、24時間リズムの日夜パターンにより調整されており、これらは肝臓の代謝経路に関係します。

高脂肪食は、二つの主要なメカニズムによって、肝臓の体内時計を再プログラミング化します。ヒトはCLOCK:BMAL1と呼ばれる体内時計レギュレイタ―遺伝子を遅らせることにより、正常なサイクルをブロックします。もう一方は、正常に変動しないこの遺伝子、また、主としてPPARーガンマ―と呼ばれる因子によって、この遺伝子を活性化することにより、変動する性質を持つ新しいプログラムを開始し始めます。

以前は炎症性反応と脂肪組織の形成が考えられましたが、この因子は、高脂肪食の摂取により変化します。この再プログラミング化は、肥満とは関係なく起こり、もっぱらカロリー摂取に左右され、体内24時間時計への例外的に順応することは、注目すべきことであると、Sassone-Corsi博士は述べています。また、筋肉、脂肪、脳、血漿などの体内時計に及ぼす高脂肪食の影響は、今後の研究課題と、考えられます。体内時計のリズムと栄養摂取の関係が注目され始めたことは、栄養医学にとって画期的な事です。

References

Kristin L.eckel-Maham et al: Reprogramming of the Circadian Clock by Nutritional Challenge. Cell, 2013: 155(7): 1464 DOI

Nutrition influences metabolism through circadian rhythms, study finds: ScienceDaily.Dec. 19,2013

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卵巣ガンの抗酸化物質療法、化学療法、それにビタミンC点滴療法の併用療法の症例について 日本ビタミンC研究会 栄養医学ブログ

2013-12-21 23:07:33 | 健康・病気

進行性卵巣ガンの生存率は極めて悪いので、患者らは、化学療法に併用して、抗酸化栄養素の摂取を選んでいるのが、米国では多く見られます。ここでは、カンザス大学のDrisko医師らの症例二例のポイントを紹介したいと、考えています。

卵巣ガンの症例
進行性上皮卵巣ガン患者二名の中で、一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaで、もう一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaとpapillaryseromucinous adenocarcinomaでした。両患者は、rboplatium/paclitaxel化学療法の実施前に、著しいガン細胞の縮小が認められました。患者2は同程度の病状に続く、化学療法の開始が遅れ、治療の開始前にガンの進行が認められました。患者1は治療を開始して一カ月間、抗酸化物質療法が実施され、vitaminC, vitaminE, beta-carotene, Q10, multivitamin/mineralなどを経口摂取しました。また、抗酸化物質の経口投与に加えて、患者1は、化学療法の終わりとpaclitaxel療法の前に、ビタミンC点滴療法を60g/回、週二回、受けました。また、患者2は、化学療法を行う前に、前述の抗酸化物質(抗酸化栄養素)を経口的に摂取しました。そして、6サイクルのpaclitaxel/carboplatiumの化学療法を受けましたが、ガンが進行しているのが放射線撮影でも明らかであるにも関わらず、きつい化学療法を拒否しました。その変わり、週二回、一回60gのビタミンC点滴を選びました。

患者1は第一サイクルの化学療法実施の後、CA-125の正常化が認められ、その状態が診断後3年半続きました。腹部と骨盤のCTスキャンは、再発の兆候をず―つと認められませんでした。患者2は第一サイクルの化学療法の後、CA-125の正常化が認められ、第一サイクルの化学療法が一通り終わった後、骨盤にガンが残っているのが認められました。彼女はこれ以上化学療法を続けることを拒否し、ビタミンCの点滴療法を受け入れました。臨床検査により、ガンの再発は認められず、CA-125は、診断後、3年間正常のままでした。抗酸化栄養素は最善の化学療法に補助的に加えられる時、化学療法の有効性を高めたり、その安全性を高めます。更なる臨床研究の積み重ねにより、これらの療法が、卵巣ガン患者の福音につながることを、祈っています。

Reference

Jeanne A. Drisko, et al: The use of antioxidants with first-line chemotherapy in two cases
of ovarian cancer. Journal of the American College of Nutrition, Vol .22. no.2. 118-123(2003)