医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

神経性障害性疼痛へのN-アセチルシステインとイノシトール(ビタミンB8)の作用について 日本ビタミンC研究会 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2022-07-28 10:47:09 | 健康・病気

外国のいろんな研究者らによると、ミオイノシトールを多く含む食事は、糖尿病による神経障害を有する糖尿病患者の神経機能に、有益な効果を有することを発見しました。ミオイノシトールを多く含む食事グループでは、重大な副作用は認められず、ミオイノシトール(ビタミンB8)を豊富に含む食事は、2型糖尿病による神経痛を改善できる証拠になることを、意味しています。また、イノシトールは、その抗炎症作用故、神経障害性疼痛の緩和に利用できますが、帯状疱疹後神経痛の神経障害性疼痛へのイノシトールの作用については、現在、ある私立の研究機関で研究がなされています。良い知らせを待っています。

次に、N-アセチルシステイン(アミノ酸系栄養成分、NAC)は、酸化ストレスと神経毒性から、神経の健康を守ることにより、末梢神経障害に有益です。Jiajie Li博士らの研究によると、NAC(N-アセチルシステイン)は、CCI(慢性狭窄損傷)により誘発されたマイクログリア(中枢神経系グリア細胞の一種)活性を阻害するが、アストロサイト(中枢神経系に存在するグリア細胞の一種)には注目すべき作用は見いだせませんでした。これらの結果は、マトリックメタロプロテナーゼの活性の強力な阻害により、神経障害性疼痛を臨床的に軽減するのに用いる、効果的で安全なアプローチであることを、証明しています。

Virginia大学では、NACは、慢性神経障害性疼痛へのオピオイド療法(麻薬性鎮痛薬)への有益な補助療法となるという仮説を出しています。Serena Notartomaso博士らによると、NACは、GLu2メタホトロピックグルタメイト受容体の活性化により、齧歯類とヒトでの痛みの閾値を高め、糖尿病性神経障害による疼痛を緩和する、と報告しています。更なる研究が待たれます。なお、帯状疱疹後神経痛へのNACの鎮痛効果は、現在、ある研究機関で研究中です。朗報を待っています。

References

The ultimate guide to taking inositol(vitaminB8) for nerve pain.  Nerve Pain Guide

Jiajie Li, et al. N-acetyl-cysteine attenuates neuropathic pain by suppressing matric metalloproteinases. Pain. 2016 Aug;157(8):1711-1728

The role of NAC as an adjuvant to opioid tratment in patients with chronic neuropathic  pain. Clinical Trials. gov

Serena Notartomaso, et al. NAC enhances pain threshold in rodent and humans by activating in Glu2metahotropic glutamate recepters. PubMed. gov

 

 

 


ベタイン摂取の前立腺ガンへの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2022-07-05 12:00:00 | 健康・病気

ベタイン(水産物、植物に含まれるアミノ酸系栄養成分)は、調味料にも用いられ、近年、ガンとの関係が注目されています。"Medical News Today"誌によると、グルタミン、コリン、それにベタインの代謝産物と、より強い攻撃性のある前立腺ガンとの関係を研究者らは見つけました。研究者らの研究開始時点で前立腺ガン患者の血清フェニールアセチルグルタミン値の上昇が見られ、低値の患者に比べて、前立腺ガンによる死亡率が2.5倍高い傾向にありました。また、コリン値、あるいはベタイン値が高い患者は、対照に比べ前立腺ガンで死亡するリスクがほぼ2倍でした。

いろんな研究から、食品摂取は、死を招く前立腺ガンリスクに影響する腸内細菌と複雑な相互作用があると考えています。特に、高脂肪食の場合、腸内環境と相まって、摂取したグルタミンやコリン、それにベタインは、有害物質に変化し、前立腺ガン発症の方向に進むのではないかと、考えており、前立腺ガン発症には、高脂肪食と腸内環境が関係しており、これらの相互作用が、ベタインをトリメチルアミンN-オキサイド(TMAO)に転換します。なお、これらの代謝産物は、心臓血管系の疾患や神経性の疾患のリスクを高める可能性があります。また、このことは、TMAO前駆体とガンとの関係を示すことにも、つながります。

Tim Spector博士らによると、ベタインとコリンは、高脂肪食や腸内環境の悪い人では、より強い毒性物質に変えられますが、コリンとベタインは、誰にでも有害であるとは限りません。前立腺ガンを引き起こすのは、食事と腸内微生物の相互作用によります。たとえ、ベタインやコリンを多めに摂取していても、食事を和食に変え、ライフスタイル、腸内環境を改善することにより、強い毒性物質の産生が抑えられ、致命的前立腺ガンを減らすことができる可能性があります。野菜や果物、雑穀、発酵食品(乳製品を除く)を中心の食事にし、適度の運動もし、高脂肪食、特に乳製品の摂取を減らし、常に腸内環境をベストの状態にしておくことが、上記、悪性物質の産生を防ぎ、前立腺ガン発症の素地を減らす、と考えています。

References

Cancer Epidemiology, Biomarkers&Prevention. Cleveland Clinic

A Change in diet may reduce risk of lethal protate cancer. Medical News Today. 2021/11/04

Zhao-Yan Liu, et al. Dietary choline, rather than betaine intake is associated with hepatocellular carcinoma mortality. Food &Function. Issue9,2020

 

 

 


ターメリックの帯状疱疹後神経痛への作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2022-07-03 15:32:34 | 健康・病気

ターメリックは、抗炎症作用があり、ターメリックを摂取すると、帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげる、と報告されています。

ヘルペスウイルスによる神経損傷の痛みは、治療するのに難しいタイプの一つです。痛みによる灼熱感、電気ショック感は、帯状疱疹後神経痛患者を絶えず不快にします。抑うつ感と苦しさが、患者をどうすることもできない気分にさせます。

米国での医師の症例報告によると、その医師は、帯状疱疹の患者の背中の底部と尻の重度の痛みを軽減する方法を見つけるべく、チェックしました。患者は、食品にターメリックを混ぜて食べて、30分後、影響を受けた背中の警告となる感覚と痛みの軽減に気づきました。そして、後ほど、ターメリックのカプセルを摂取し、痛みのすべてが完全に治まりました。数年後、患者は、同じ腕に帯状疱疹が見られ、それゆえ、医師らは、彼女が帯状疱疹後神経痛になったのではないかと、疑いました。帯状疱疹後神経痛は、神経の炎症であるので、抗炎症作用のあるターメリックを試してもらうことにしました。数時間後にクリニックへ行く途中、患者は、腕に熱感を訴えましたが、その腕の痛みは、強い物ではありませんでした。ターメリックの使用を継続した後、MRI検査は必要でありませんでした。約2週間後、痛みは完全に無くなっていました。帯状疱疹後神経痛は、治療が大変難しいですが、ターメリックも症例を増やし、効果の確認が必要、と考えられます。だめで元々と考えて、試行するのも一案です。幸い、長期摂取も安全性が高いようです。

References

POST HERPETiC NEURALGIA(Shingles Pain). Wellnes RX Natural World Medicine

Turmeric Eased Nerve Pain. THE PEOPLE'S PHARMACY