医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

カルシウムとマグネシウムのビタミンD併用による骨関節炎、骨そしょう症、筋骨格病に対する効果について 栄養医学ブログ 

2014-05-29 23:50:43 | 健康・病気

カルシウム(栄養素)とマグネシウム(栄養素)サプリメントにビタミンD(ホルモン様ビタミン)を併用することによる、骨関節炎、骨そしょう症、それに筋骨格病に対する効果は、多くの臨床研究で報告されています。しかし、ビタミンDを併用するか、あるいはしないで、カルシウムサプリメントを補給することは、老婦人の冠状動脈性心臓病、あるいは、あらゆる原因による死亡リスクを増やすという仮説が報告されています。しかし、これらは、カルシウム対マグネシウムの比が2対1になってるか、投与量も副作用が出ない適正量であるか、食生活はどうかなど調べることが必要と、考えられます。そうすることによって、冠状動脈性心臓疾患や死亡リスクのリスクが減少すると、考えられます。なお、腎臓の悪いヒトは、この治療が向かない可能性が有り、これらに詳しい医師の注意のもとに、副作用をモニターしながら治療が必要、と考えられます。

オーストラリア、デンマーク、それに米国の研究センターの研究者らは、ビタミンDを併用するか、しないで、カルシウムサプリメントを補給する無作為対照試験のメタ分析に着手しました。
彼らは、臨床の再調査、病院記録、あるいは死亡証明書らにより検証された冠状動脈性心臓病とあらゆる原因による死亡数を調査しました。MEDLINEとEMBASEのデータベースが、適切な研究のため、1966年1月1日から2013年5月24日まで調査され、参考文献リストがチェックされました。試験した研究者らは、追加データが求められる部門に連絡されました。適格性のある基準は、50歳より上の平均コホ―ト年齢で、ビタミンDを併用しているか、そうでない場合のカルシウムサプリメントを補給した無作為対照試験を含んでいました。

試験デ―タは、カルシウムサプリメントを摂取した被験者の心臓病の相関的リスクを計算するべく、無作為試験のメタ分析を用いたものでした 。661件の可能性のある、適格性のある報告の中で、18件は厳格な包括的基準に答えたもので、3,390件の冠状動脈性心臓疾患と,どれかの原因による4,157件の死亡を伴った63,564名の被験者に関する情報の元になっていました。

5件の試験は、カルシウムに対する相関的リスク(RR)を伴った冠状動脈性心臓病の比が1.02であるデータの元となっていました。また、17件の試験は、カルシウムに対するRRを伴ったあらゆる原因による死亡数の比が0.96であるデータの元となっていました。

メタ分析では、ビタミンDの併用を伴った、あるいは伴っていないカルシウムサプリメントの補給は、老婦人の冠状動脈性心臓病、あるいはすべての原因による死亡数のリスクを増やしませんでした。これらのことから、骨関節炎や骨そしょう症、それに筋骨格病で、カルシウムサプリメントとビタミンDを併用摂取している老婦人は、これらの摂取が冠状動脈性心臓病やあらゆる原因による死亡数の増加には結びつかない、と研究は示唆していますが、更なる追試が求められます。なお、カルシウム摂取の場合は、その半分量のマグネシウムが必要です。繰り返しますが、これらは金属イオンなので、腎臓病のヒトはリスクがあり、専門の医師への相談が必要です。

Reference

Calcium supplementation does not increase coronary heart disease, new study suggests:
ScienceDaily. April 5,2014

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39とnutr-blog.blogspot.comの両ブログでアップデートしています。

 

 


糖尿病に良い食品について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-05-27 20:02:05 | 健康・病気

日本人は、戦後、食品産業の発達により、加工度の高い食品を摂取する機会が多くなりました。
それに従って、糖尿病や生活習慣病が増えてきました。特に、加工度の高い食品は、糖尿病の誘因になることが、米国などの研究で明らかになりつつあります。

研究によると、糖尿病に良い食品(抗糖尿病食品)は、果物や野菜など、加工されていない、そのすべてが食べられる、全食できる食品です。糖尿病を予防するためにも、治療するためにも、食事において、これらの更なる健康効果を有する食品を加えることは、心臓病のような糖尿病合併症のリスクを低下させるだけでなく、栄養所要量を満たすのに役立ちます。もちろん、これらの食品群は、唯一の食品ではありませんが、糖尿病の食事プランに、いくらか、あるいはそのすべてを加えることは、体全体の健康を改善するのに役立ちます。

全粒穀物、新鮮な野菜、新鮮な果物(加工した果物、缶詰の果物でない)、veggies、脂肪分の少ない蛋白質(魚介類、豆類など)、ナッツなどで満たされた食事プランを実行するなら、長寿と健康的な人生を送れ、体重と血糖値をコントロールする、素晴らしいステップとなります。

また、腸内環境が良好なことが糖尿病のリスクを減らしますので、乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌、納豆菌などを含む発酵食品やプロバイオティクス、プレバイオティクスの常日頃の摂取が、腸内環境を改善し、糖尿病に苦しまなくてすむようになると、考えられます。

なお、これらの食物繊維の多い、生命力をもたらす食品、抗酸化栄養素、それにビタミン・ミネラルの豊富な食品、酵素を多く含む生の食品は、身近に良くある食品です。さらに、適度な身体活動やストレスの緩和とともに、これらの食生活が望まれます。

Reference

Top25 power foods for diabetes: Diabetic Living Online. 2013

 


アルコール性肝硬変とビタミンD欠乏の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-05-27 17:57:06 | 健康・病気

ビタミンDの欠乏と肝硬変の関係」については、少ししか報告されていませんが、今回は、その関係について、米国の論文を基に考えていきたい、と思います。なお、このブログが、ウイルス性肝硬変やアルコール性肝硬変患者に少しでもサポートになればと思い、アップしました。

ビタミンDの欠乏症の増加や治療については、この10年以上、米国の多くの論文で述べられていますが、アルコール性肝硬変とビタミンD欠乏については、少しも研究されていませんでした。

2011年、2月21日の"the World Journal of Gastroenterology"誌によると、アルコール性肝硬変患者と、胆汁性肝硬変患者を比較した、患者の回想的症例集での血清ビタミンD像を、
研究者らは述べています。

この研究によると、ビタミンD欠乏は、胆汁性肝硬変の患者より、アルコール性肝硬変の患者でよく見られ、重篤です。従って、アルコール飲料をよく摂取する人は、十分のビタミンD摂取が必要、と考えられます。その原因として、肝硬変の病因よりは、むしろ肝臓の機能不全の程度が、ビタミンD欠乏のリスクに影響します。更に、肝硬変のすべての患者でビタミンD値をモニターすることの重要性が、強調されています。したがって、副作用の出ない量を補うことは、アルコール性肝硬変患者には有益と考えますが、更なる臨床研究が必要です。このように、ビタミンDは、いろんな疾患への応用が多くの研究で発表されています。ビタミンCと並んで、注目すべき栄養素です。なお、脂溶性なので蓄積性があるので、腎臓の悪いヒトは、専門家に相談することが必要です。

References

Malham M, et al: VitaminD deficiency in cirrhosis relates to liver dysfunction rather than aetiology . World Journal of Gastroenterology. 2011; 178):922 DOI

VitaminD deficiency in cirrhosis. March 16,2011

 

 

 


食事性ナイアシン(ビタミンB3)とアルツハイマー病(認知症)のリスクの軽減について 栄養医学ブログ

2014-05-23 23:11:40 | 健康・病気

アルツハイマー病のリスク軽減については、ナイアシンの効果が数多く報告されています。今回は、食事に含まれるナイアシン(ビタミンB3)のアルツハイマー病に対する効果を考えていきたい、と思います。

シカゴ健康・老化研究所のMartha Clare Morris博士らの研究によると、食事に十分量のナイアシン(VB3)を摂取する人は、アルツハイマー病のリスクが、70%ほど減りました。

博士らのグループは、南シカゴの3地区の3,718名の65歳以上の居住者において、5年半以上の間、研究し、5年より多く、これらの815名に関して、臨床試験を実施しました。

ナイアシンの摂取が最も少ない人々は、より多い摂取の人々より、アルツハイマー病罹ることが、70%ほど多いようでした。食事にもっとも多いナイアシンを摂取した人々は、もっとも少ない人々より、精神機能低下がよりゆっくりしていたようでした。

Morris博士らの研究によると、食事摂取でナイアシンが正常値範囲では、アルツハイマー病と認知機能低下の罹患率については、ナイアシンのそれらに対する防御作用との結び付きが観察されました。

ナイアシンを多く含む食品群は、魚、豆類、ナッツ類、強化穀物、全粒パン、そして強化シリアル、コ―ヒなどです。

この研究での、最も多いナイアシン摂取量は、食事と栄養サプリメントでは、45mg/日、摂取していました。これらの結果から、アルツハイマー病予防には、上記、食品群を満遍なく摂取することが重要、と考えられます。

References

Niacin in diet may prevent Alzheimer's : WebMD Health News

Morris, M.C. : Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry, august 2004; Vol75: pp1093-1099

 

 

 

 


低たんぱく食とアルツハイマー病(認知症)の改善について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-05-22 22:26:19 | 健康・病気

アルツハイマー病の改善については、ビタミンB群、ビタミンD、それにビタミンCなどの改善効果が研究されていますが、新しい研究によると、過剰の蛋白質摂取もアルツハイマー病の進行を促進し、蛋白質の摂取を少なくすると、その症状が改善されることが報告されています。今回は、蛋白質の摂取量とアルツハイマー病の進行について考えていきたい、と思います。

USCのVolter Longo博士らの研究によると、低たんぱく食は、マウスのアルツハイマー病の進行を遅らせました。アルツハイマー病のマウスは、4ケ月間、一日おきに特定のアミノ酸を含んだ蛋白質制限食が与えられると、アルツハイマー病の症状を少しも示しませんでした。

アルツハイマー病のマウスに蛋白質を低めに制限した食餌を与え、記憶力が迷路を用いてテストされた時、蛋白質制限していない食餌を与えられたマウスより、認知機能の改善が認められました。更に、蛋白質を制限した食餌を与えられたマウスの神経は、"tau"と呼ばれる、神経に損傷を与える蛋白質の異常値が認められませんでした。ちなみに、"tau"はアルツハイマー病の脳に蓄積し、脳に悪さをする蛋白質です。

食餌性蛋白質は、IGF-1として知られている成長ホルモンの、食餌性調整因子で、それはマウスの老化と疾患、それに老人のいろんな疾患と関係が有ります。Longo博士らは、ヒトもマウスと同じように反応するかどうか、調べる予定ですが、ガン、糖尿病、それに心臓病などに対する蛋白質制限の効果も、同時に調べるようです。

成長ホルモン受容体とIGF-1のヒトでの欠乏は、ガンや糖尿病の発症率の減少を示すことを、longo博士らは、以前に証明しました。博士によると、新しい研究がマウスで行われているが、蛋白質の制限と低IGF-1値は、老齢による神経変性を防ぐ可能性が有ります。蛋白質制限食は、30~70%ほど、体を循環するIGF-1値を減少させ、蛋白質がIGF-1に結合することにより、IGF-1の作用をブロックするその蛋白質の8倍の増加をもたらしました。更なる追試が望まれます。

IGF-1は若い時には、体の成長をもたらしますが、老齢化すると、いろんな病気と結び付きます。蛋白質制限食は、認知機能障害の患者に有効で、安全であるかどうか、臨床試験が必要です。蛋白質制限食とビタミンB群、D、Cなどと併用することにより、アルツハイマー病の進行を遅らせる、と考えています。

なお、私見ですが、蛋白質制限食は、獣肉を減らし、大豆など豆類と魚介類で蛋白質を摂取すると、それらの成分のEPA/DHA、オメガー3不飽和脂肪酸などがアルツハイマー病の改善につながる、と考えています。また、野菜や果物、豆類、それに全粒穀物を多めに摂取すると、栄養のバランスが保たれます。更なる研究が期待されます。

Reference

Low-protein diet slows Alzheimer's in mice: ScienceDaily. Feb.14,2013

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