医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

腎臓ガンの新腫瘍マーカー蛋白質について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-24 22:40:27 | 健康・病気

St.Michael病院の研究者らは、腎臓ガンの転移に関係しそうな29種の蛋白質を同定しました。その発見は、どのガンがもっとも攻撃的に行動しそうかを、そして、もっと強力な治療法と、もっと綿密な検査法をガン患者に提供します。

そして、転移性腎臓ガンは、もっとも治療しにくく、悪性度を有しており、いやな予後をもたらします。転移の可能性を予測しうる腫瘍マーカーの同定は、患者の寛解に大きいインパクトを与えます。

一般に腎臓ガンは、大変攻撃性を有し、また、転移のリスクが高く、他の器官に転移します。転移性腎臓ガンの5年生存率は、10%以下です。画像技術の発達は、腎臓ガンの発見率の向上をもたらしますが、25~30%は、発見した時点では、すでに転移しています。その病院のYousef博士は、質量分光器を用いて、ガン細胞が腎臓の原巣から転移する時、変化する29種の蛋白質を同定しました。その29種の蛋白質すべては、以前に他の悪性度と関係が有ったものです。Yousef博士によると、どの腎臓ガンが29種の蛋白質を有し、転移に結び付いているかどうか、研究者が調べるなら、医師は、もっと積極的に腎臓ガン患者を検査し、治療できるはずだ、と述べています。なお、これらの蛋白質とバイオマーカーが陰性の患者は、費用の高価な検査とリスクの高い治療と外科手術を受けなくてよい、と考えられます。

転移の原因になる29種の蛋白質の働きを抑制する方法が、腎臓ガンの転移を阻害すると考えられます。ジョンズ・ホプキンス大学やオタゴ大学の研究では、ガンを転移さす蛋白質は、フリーラジカルが存在する時、その働きを強め、ビタミンC(抗酸化ビタミン)がフリーラジカルを消去するので、その蛋白質の働きが阻害されることがわかっています。この研究結果を、29種のタンパク質に応用し、ビタミンCがその蛋白質の働きを阻害できるのではないか、と考えますが、in vivo、in vitroでの確認実験が必要です。更なる研究を期待しています。

Reference

Proteins that indicate which kidney tumors are most likely to spread identified: Science Daily, 2012. 12

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糖尿病のインスリン抵抗性対策とビタミン、ハーブの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-24 20:40:06 | 健康・病気

糖尿病やその予備軍についてインスリン抵抗性を改善することは、症状の改善と同様、合併症の予防につながりますので、今回はその対策を、ビタミン、ミネラルのインスリン抵抗性に対する効果について考えていきたいと思います。

インスリン抵抗性に対し、健康に良い食事と適切なビタミン栄養サプリメントを併用摂取することは、免疫システムとインスリン抵抗性の改善に有益です。

フリーラジカルと酸化ストレスの存在は、インスリン抵抗性が認められる糖尿病患者では、特徴的です。インスリン抵抗性に対する一つのカギとなる抗酸化ビタミンは、αーリポ酸です。ビタミンE、Q10のようなビタミンは、αーリポ酸と一緒に摂取する場合、最も有効と研究では報告されています。"Take charge of your diabetes"の著者のZiadi博士は、αーリポ酸がビタミンEとQ10を再産生することを、明らかにしています。

合成医薬品が発明される以前は、江戸時代の漢方医は、医療に植物を用いました。ちなみに、当方の父方の先祖も漢方医で、"血の道の家伝漢方薬"を処方していました。そして、シナモン、コロハ(fenugreek)とノパルサボテン(nopal、メキシコで栽培)などは、棘らだけの梨に似たサボテンで、血糖値のコントロールに用いられ、インスリン抵抗性のコントロールに有効、と報告されています。その他の有望なハ―ブサプリメントは、Radix Astragaliで、中国医学で用いられている食用ハーブです。また、研究により、その抽出物は抗炎症作用、肝臓保護作用、心臓保護作用と抗糖尿病作用が証明されています。そして、それは糖尿病とその合併症に対し、アジア諸国で用いられ有効に作用している、と報告されています。なお、血糖値対策に用いられているシナモン(ハーブ)は、糖尿病で、体重70kgのヒトでは、70mg以上の常用摂取では、成分のクマリンによる肝障害が発症する可能性が量を減らし、摂取することが必要です。なお、薬剤との相互作用が考えられるので、医師・薬剤師に相談下さい。

次に、ビタミンと必須ミネラルは、食品の成分となっていますが、現在の食生活では、糖尿病や生活習慣病を予防する量、摂取されてないと、栄養調査などでは報告されています。インスリン抵抗性に有効なビタミン、ミネラルは、Mg、ビタミンB複合体、ビタミンDなどで、特にビタミンB12が有効です。ビタミンCはエースビタミンで、ガンの予防・治療に米国で多用され、また、インスリン感受性を改善することが、権威ある研究機関での研究で示唆されています。その他のインスリン抵抗性に有効な必須ミネラルは、クロム(chromium picolinate)です。総合的にインスリン抵抗性を改善するには、野菜、豆、海草、全粒穀物と魚介類中心の日本式食生活をし(精進料理など)、さらにその上、マルチビタミン、マルチミネラルなどの栄養サプリメントを補完的に摂取することが必要と、考えられます。なお、腎臓の悪い人は、サプリメントの摂取量を減らす必要が有りますが、栄養医学に詳しい医師、薬剤師に相談して下さい。なお、生活習慣病患者や糖尿病患者は、加工食品の摂取量が多く、食品から酵素の摂取が少ない傾向があります。野菜、果物、発酵食品などに酵素は多く含まれていますが、漬物には塩分が多く、果物には糖分が多いので、摂取量に注意する必要があります。また、必須ミネラル、ビタミンの多くは、酵素の補酵素となり、体内の代謝をスムーズにする働きがあります。

References

Vitamins for insulin resistance :LIVESTRONG. COM

Diabetes : Nutrition Australia

Take change of your diabetes: Sarfraz Zaidi ; 2007

 


糖尿病の米国での食事療法について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-23 19:59:50 | 健康・病気

糖尿病患者にとって、正しい食品の選択は、血糖値の管理に有益です。食事計画は、将来の合併症の発症の有無に関わるので、食事と間食にどのような食品をどれだけ食べるかを、語ってくれます。米国においては、健康的な食事は、炭水化物からカロリーの40%から60%、蛋白質から20%、脂肪から30%以下が適正だと言われていますが、しかし、日本人の場合は、体質、体格が違うので、脂肪摂取量を、米国より低く抑えることが必要と、考えられます。また、健康的な糖尿病食では、食品コレステロール、塩、それに糖分が低くなければいけません。近年、多少、糖分を摂取することは、糖分がバランスのとれた食事の一部であるかぎり、通常、問題とならないと報告されています。しかし、その量に注意しなければいけません。

一般的には、一回の食事に於いて量的割合では、炭水化物を2から5まで(60gまで)、蛋白質を1,脂質を一定量となっています。炭水化物では、缶詰の果物より、もぎたての新鮮な果物、100%果物のジュ―ス、野菜ジュース、乾燥させた果物などがお勧めですが、取り過ぎないよう注意して下さい。無脂肪マヨネーズ、ケチャップなどは炭水化物を含んでいます。蛋白質では、赤身の肉より鶏肉、魚、貝をよく食べるようにしてください。鶏肉の皮は食べない方が良いようです。すべての肉から余分の脂肪分を除いて下さい。チーズやヨーグルトは無脂肪か、脂肪分を減らしたものを食べてください。

バター、マーガリン、ラ―ドと食用油は、食品に脂肪分を加えることになります。油で揚げた食品、マヨネーズをベースにした食品、ベーコンと高脂肪の酪農製品、トランス脂肪酸を含む加工油脂などは、できるだけ避けてください。また、無脂肪の食品を食べる時、どのくらいの炭水化物を含むか、ラベルでチェックして下さい。食品に添加した糖分に注意して下さい。

食品交換表の例では、果物では、新鮮な果物小一切れ、ないし中一切れと1/2カップのフルーツジュースは、一人前あたり約15gの炭水化物を含みます。野菜では、一人前あたり計量カップ一杯の生野菜と1/2カップの調理した野菜、野菜ジュースはそれぞれ5gの炭水化物を含みます。デンプンでは、一切れの食パン、1オンスの食パン、1/2カップのパスタ、シリアル、それにデンプンを含む野菜など、それぞれは、一人前あたり15gの炭水化物を含みます。砂糖、蜂蜜、糖蜜などは、一人前茶サジ一杯4gの炭水化物を、ミルクは、一人前1カップあたり12gの炭水化物と8gの蛋白質を含みます。蛋白質は、一人前1オンスの肉、魚、鶏肉、チーズとヨーグルト、それに1/2カップの乾燥豆などです。脂肪分はナッツ、種子と少量のべ―コン、それにピーナッツバターなどです。なお、茶サジ一杯の食物油、バターかマーガリンでは、5gの脂肪分を含みます。

これらは、米国の糖尿病患者向けの食品交換表の例ですが、日本でも、和食を中心とした糖尿病向け食品交換表が開発されているので、インターネットで検索して活用して下さい。基本的事項のカロリー摂取量は、体格を考慮して、良く似ています。また、管理栄養士など医療食の専門家に相談して下さい。

References

Diabetes and Nutrition: Family Doctor.org

Diiabetes :Nutrition Australia

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糖尿病に於ける胃のトラブル対策と生姜の効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-12 22:21:53 | 健康・病気

糖尿病は、全身にいろんな症状を発症させますが、今回は、胃のトラブルに対する生姜の効果について考えていきたいと思います。

生姜の根茎(Zingiber officinale)は、血糖の上昇によりもたらされた消化機能の異常の改善に有益である可能性が、2003年のThe Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics誌に載った研究で明らかになりました。この発見の結果では、成人で発症した糖尿病患者(2型糖尿病、もしくは非インスリン依存性糖尿病)は、2型糖尿病に伴ってよく発症する胃腸管の合併症を,少ししか経験しない可能性があります。

新しい研究では、19~49歳の健康な成人22名に、4つの異なった胃電気記録図(electrogastrographic, EGG)による研究が実施されました。なお、EGGは、腹部に電極を置いて、胃の収縮のリズムを測定します。生姜の根茎の1,000mgの摂取に続いて、最初のEGG測定は、グルコースの静脈内投与(血糖値250~290mg/dlに達するまで)後、実施され、2回目のEGG測定は、misoprostol(胃の正常なリズムを妨げることが知られている物質)を摂取後、実施されました。3回目と4回目のEGG測定では、被験者は、最初グルコース、続いてmisoprostolを同様に摂取し、続いてプラセボを摂取しました。4回のEGG測定のそれぞれでは、正常な胃のリズムと胃を空にする割合の変化が記録され、分析されました。

生姜の根茎は、胃のリズムに及ぼす高血糖の阻害作用を、著しく減少させ、胃を空っぽにする割合の正常化の維持に有益でしたが、胃のリズムと収縮は、プラセボ摂取に続いて、増加しました。同じような結果が、misoprostolの摂取後、観察されました。しかしながら、これらの結果は、統計的に有意差は認められませんでした。これらの発見は、生姜の根茎が、幾人かの人々では、胃の収縮、胸やけ、潰瘍化などの異常を防ぐのに役立つことを、示唆しています。そして、成人の糖尿病患者の治療に有益である可能性がありますが、更なる研究が必要と考えられます。

ところで、血糖値のコントロールは、その合併症を予防することができる、もっとも重要な事項です。生姜は対症的に症状を改善する可能性がある一方、血糖値の低下に影響します。なお、更なる研究が必要ですが、生姜は安全なので、糖尿病患者は、食事療法、運動療法はもちろんですが、生姜をどしどし食事に取り入れることは重要と考えます。

References

Ginger improves digestion,Benefits for type2 diabetes: Bastyr center for natural health

Ginger can control diabetes: Times of India

Ginger for lowering diabetes:LIVESTRONG.COM

The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2003; 307: 1098-103


糖尿病合併症の白内障対策と生姜の効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-11 21:22:03 | 健康・病気

白内障の進行は、慢性糖尿病患者によく見られます。Molecular Vision, August 2019に載った論文によると、糖尿病を発症させたマウスの白内障を、生姜が予防する可能性が報告されました。その糖尿病マウスは、食餌に3%の生姜を含ませ、2ケ月摂取させ、プラセボと比較しました。その白内障の進行はモニターされました。結果は、生姜は糖尿病の発症を遅らせるだけでなく、白内障の進行を遅らせることが証明され、糖尿病合併症の予防、あるいは遅発に対し、有効であると結論づけられました。更なる研究により、この事が証明されることを期待しています。それまでは、生姜を食事や飲み物に多用することは、糖尿病対策だけでなく、ガンを含めた生活習慣病に有益であるので、勧められています。

糖尿病に於けるインスリン分泌については、ホルモン分子経路のブロックの重要性が、
抗糖尿病作用との関連で確認されています。European Journal of Pharmacology, December 2009に載った論文によると、この研究者らは、インスリン遊離を阻害するセロトニン受容体と相互作用することが知られている、いろんな生姜抽出物を研究し、2つの異なった生姜抽出物(spissumと油性抽出物)が、この状態を可能にしました。生姜抽出物で治療後、血糖値が約35%程低下し、血漿インスリン値は、約10%程、増加したことが、証明されました。セロトニン受容体システムは、インスリンの遊離の調整に関係し、いろんな生姜抽出物は、糖尿病の症状の改善に、食事療法や運動療法と共に用いることができると、この研究者らは結論づけています。更にエビデンスの積み重ねを期待しています。

メタボリック症候群については、生姜抽出物は、メタボリック症候群、糖尿病と脂質異常症に特徴的な症状、脂肪代謝障害をコントロールするのに、代替医学では用いられています。もちろん、生姜の根茎そのものを用いても有益と考えられます。

Basic Clinical Pharmacology and Toxicology, May 2009に載った論文によると、メタボリック症候群の進行に及ぼす生姜のエタノール抽出物の、その進行防止に関する研究では、体重、グルコース、インスリン、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライド、遊離脂肪酸、および試験動物中のリン脂質は、生姜療法で明らかに減少しました。しかし、HDLコレステロールの明らかな変化は、対照グループに比較して観察されませんでした。更なる研究の積み重ねが必要ですが、安全性も高いし、漢方薬にも多用されているので、生姜は日々の食生活に取り入れることは賢明と、考えます。

References

Ginger for lowering diabetes: LIVESTRONG.COM

Ginger can control diabetes:Times of India

Ginger improves digestion :Benefits for Type 2 diabetes: Bastyr center for natural health