医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

二型糖尿病マーカ―の改善とショウガの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-04-29 16:44:58 | 健康・病気

日本人の6人に一人は、糖尿病ないしその予備軍であると報告されて、その対策が、国家的な喫緊の課題となっています。そして、難敵の糖尿病に立ち向かうべく、研究が行われていますが、栄養医学的アプローチが最善であることが、欧米の研究から見えてきます。今回は、米国での研究を基に、ショウガの二型糖尿病に対する効果について考えていきたい、と思います。

"International Journal of Food Science and Nutrition"誌によると、ショウガは、ニ型糖尿病の予防とその合併症の効果的治療法となる可能性が出てきました。また、"Diabetes Care"誌によると、ショウガはウコンの仲間で、境界型の二型糖尿病の進行を予防するのに、100%効果があることがわかりました。

新しい研究によると、70名の二型糖尿病患者は、ニ重盲検・プラセボ対照臨床試験に参加しました。試験される被験者はショウガグループと対照グループに分けられ、12週の間、1600mg/日のショウガ、もしくは1600mg/日のプラセボを摂取しました。その患者は、血糖値、血中脂質、c-反応性蛋白質、プロスタグランジンE2、それに腫瘍壊死因子(TNF-α)を介在の前後で調べられました。その介在の結果として、ショウガ療法グループはプラセボグループに比べて、
空腹時血漿グルコース、HbA1c、インスリン、HOMA(インスリン抵抗性とベータ細胞機能の指標)、トリグリセライド、総コレステロール、c-反応性蛋白質(炎症のマーカー)、プロスタグランジンE2(炎症のマーカー)などのパラメータを著しく減少させました。また、二つのグループの
HDL-コレステロール値、LDL-コレステロール値、およびTNF-αの著しい違いは認められませんでした。

以上の結果から、ショウガは二型糖尿病患者のインスリン感受性と脂質像のいくつかを改善し、CRPとPGE2を減少させました。それゆえ、ショウガは糖尿病合併症の予防に対し、効果的治療法である、と考えられます。また、抗糖尿病性を有することが、すでに多くの研究から明らかです。そして、日常の食生活に於いて、ショウガを糖尿病対策に用いることは極めて重要です。更なる研究が待たれます。

References

A modest dose of ginger improves 8 markers of diabetes: GreenMedInfo. Feb 7,2014

Ginger for type 2 diabetics: This power herb is scientifically proven to increase insulin
sensitivity: Natural News. Jun 27,2013

 


うつ病に対するイノシト―ルとビタミンB複合体の効果の臨床例について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-04-28 23:53:13 | 健康・病気

うつ病の治療では、抗うつ薬の副作用が問題になっていますが、そこで自然で、体に優しい治療法が注目されつつあります。いろいろ調べましたが、栄養医学的アプローチの研究が、米国で行われており、そのポイントについて考えていきたい、と思います。なお、ビタミンB複合体の脳神経に及ぼす作用は、数多くあります。ここでは、そのビタミンB複合体のうつ病の臨床例に対する効果について考えていきたい、と思います。

症例1
William(匿名)は、現在、摂取しているビタミンB複合体を中心としたビタミン併用療法がうまく効いている、と考えています。彼の摂取ビタミンの概要は、魚油(そのEPA,DHAは、以前はビタミンFと呼ばれていた)600mg/日、を毎朝、ビタミンB複合体の大量摂取、すなわち、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB6、コリン、、イノシト―ル、PABA、それにパントテン酸をそれぞれ約70mg/日、葉酸260μg/日、ビタミンB12 160μg/日、ビオチン70μg/日、それにテアニン(緑茶の旨味成分でガンマ―エチルアミノーLーグルタミン酸のこと)200mg/日の併用摂取は、Williamのうつ症状には有効、と彼は述べています。

また、コーチゾンのコントロールと軽い苦悶状態に対する効果故、ビタミンC約3,500g/日、酸化Mgを400mg/日(気分のコントロール)、それにイノシト―ル末、約12g/日(気分とインスリンのコントロール)をWilliamは摂取しました。これらの結果に対し、更なる症例の積み重ねを望んでいます。

ところで、イノシト―ルは、炭水化物の一種で、糖尿病患者には安全であるばかりでなく、糖尿病患者の場合、インスリン感受性を高めます。その他の糖アルコール(キシリトール、erythritol, tagatoseなど)のいくらかは、糖尿病患者には安全で、甘味料としても用いることができます。また、インスリン抵抗性を改善します。イノシト―ルは脳に存在する糖アルコールでもあります。このイノシト―ルは、いろんな疾患(うつ病、強迫神経症、糖尿病、その他の疾患など)に大変有益である、と期待されています。更なる研究を期待しています。

なお、米国では、抗うつ薬を中心とした薬物療法医と栄養と栄養サプリメント、ハーブの併用療法を中心にした自然療法医に大きく二つに分かれて、治療しています。また、うつ病ではビタミンB群大量療法が実施されていますが、腎臓に問題を抱えている人は、この治療法が適切でないので、これらのビタミンに詳しい専門家に相談下さい。

Reference

Inositol against depression HomeRemedy: The People's Pharmacy

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うつ症状対策とイノシト―ルの臨床例について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-04-24 14:32:00 | 健康・病気

イノシト―ル(ビタミン様栄養素)は、全粒穀類、かんきつ類、それにビール酵母などに含まれ、以前に、イスラエルの研究において、うつ症状の寛解に有効、との研究が有りました。Joseph Levine博士によると、脳脊髄液の高イノシト―ル濃度は、うつ症状の減少をもたらし、パニック発作の重症度と広場恐怖症の重症度が著しく軽減しました。また、米国では、その効果が臨床で報告されていますので、臨床例について考えていきたい、と思います。

症例1
Jack(匿名)は、過去、40年以上よく、うつ症状に見舞われました。7種の抗うつ薬を摂取していますが、一つだけ認められない副作用はなく、有効でした。また、その抗うつ薬を中止するのに二週間かかりました。最近、再びうつ症状の発作がありました。それで、イノシト―ルを摂取し始め、二日以内に自殺したくなる気持ちがなくなり、一週間で気分がよくなりました。イノシト―ルは
セロトニンなどの神経化学物質の生理学上のプロセスに働きます。イノシト―ルは、早く効果が出るので、喜んでいます。

症例2
他の人々が、うつ症状に対するイノシト―ルの臨床経験があるのを知って、喜んでいます。私John(匿名)の発作は、起こっては、消えます。それで、イノシト―ルを試してみましたが、
一週間以上、それを続ける必要はありませんでした。その後、精神状態は良いようです。発作が起これば使うつもりです。イノシト―ルとコリンの併用は、脳/記憶力の健康に良いようです。

症例3
Charles(匿名)は、13週にわたって激しい悲しみに襲われました。過去に二度、うつ症状の発作を経験し、抗うつ薬は効果がなく、副作用がありました。それで、イノシト―ルを二週間ほど摂取し、有効でした。それを一日飲まないと、手に負えないぐらい泣き、パ二ックの発作に見舞われました。ティスプーン一杯のイノシト―ルは、うつの症状を軽くしたり、変えます。また、苦悶や
うつ症状に有効な栄養サプリメントは、ビタミンD(それは多発性硬化症、糖尿病、心臓病などに有効)とテアニン(theanine)で、テア二ンは緑茶に含まれ、くつろぎをもたらし、うつ症状に有効です。緑茶は、EGCA(強力な抗酸化物質)のようなカテキンを含むので、多くの症状に有効と報告されています。

症例4
Betty(匿名)は過去、数年以上、苦悶とうつ症状の発作を経験しています。イノシト―ルを試み、長年では始めて、二晩、ぐっすり眠れました。そして、それ以来、夜中に目が覚めることなく、良く寝れました。また、エネルギーが湧いてきて、とても元気になりました。もう、抗うつ薬は飲みません。その変わりに、イノシト―ルを毎日、飲んでいます。

イノシト―ルは、米ぬかの成分のフィチン酸の成分でもあり、インターネット通販で米国から取り寄せられます。抗うつ薬に比べて、栄養素なので副作用がほとんどなく、腎臓病患者や透析している人以外、安心して摂取できます。イノシトールについての情報は、イノシトールに詳しい管理栄養士、薬剤師専門家に相談するか、インターネットで検索して下さい。更なる研究を期待しています。

References

Inositol Against Depression Home Remedy: The People's pharmacy

 

Joseph Levine: Controlled trials of inositol in psychiatry. European Neuropsychopharmacology. 1 May,1997

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統合失調症のグリシン療法の臨床例について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2014-04-21 18:15:54 | 健康・病気

統合失調症のビタミンB3(ナイアシンアミド療法)療法については、有効症例が、米国、カナダで報告されています。最近、米国では、統合失調症に対するグリシン(アミノ酸の一種)療法をビタミンB3療法と併用する、患者が増え、その効果が報告されています。今回は、グリシン療法の臨床例を紹介しますが、効果はマイルドで、やはり、ビタミンB3療法と併用するほうが、より安定した効果が得られることを臨床研究は示しています。

症例1
Tom(匿名)は最近、精神科医の同意によりグリシンサプリメント療法を開始しました。これは多分、統合失調症の補助療法に対する、フェーズ2の臨床試験です。この症状に立ち向かう新しいアプローチである、脳でのグリシンの再吸収を阻害する試行において、グリシンは新しい
サプリメントであるようです。

グリシン療法が統合失調症の陽性、もしくは陰性症状に有効であるなら、他の人々はグリシン療法の経験を知りたい、と思います。Tomは現在、5g/日のグリシンを一日ニ回摂取しています。
統合失調症に対するグリシン療法のほとんどは、15~60g/日です。5g/日では、陽性症状と
陰性症状の両方に有効ですが、抗精神病薬のように強力でなく、マイルドな効果ですが、副作用は、抗精神病薬に比べて桁違いに少ないようです。

グリシンの大量療法(15~60g/日)は、胃腸のトラブルを生じる可能性が有ります。しかし、グリシン大量療法で大変有効な結果がある、と言う人もいます。グリシンは、5g/日の摂取量で有効ですが、Tomは、昼間はまだ落ち着きがなく、興奮し、ある種の精神的苦悶状態です。夜はいつも不眠状態です。夜の不眠はグリシンの15~60g/日の摂取で改善されると思いますが、5g/日では、昼間の症状には十分有効でないようです。なお、ドーパミン拮抗薬の抗精神病薬は、摂取すると、とても不快感を感じます。可能な限りドーパミン拮抗剤を避けたい、とTomは考えているようです。

グリシンのサプリメントは、インターネット通販で入手できます。また、グリシンの効果に関しては、更なる臨床研究が必要と考えられます。

Reference

 

Experiences-Glycine experiences and alternative schizophrenia therapy-Drugs Forum.com

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アルツハイマー病(認知症)対策とビタミンB3(ナイアシンアミド)の効果について 日本ビタミンC研究会 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2014-04-17 20:30:01 | 健康・病気

ビタミンB3(ナイアシン、ナイアシンアミド)は、以前はニコチン酸、ニコチン酸アミドと呼ばれていましたが、タバコのニコチンと間違うので、ナイアシン、ナイアシンアミドと呼ばれるようになりました。ビタミンB3は、米国やカナダの自然医らが、統合失調症の治療に用い、寛解作用を確認しています。そのビタミンB3が、認知症のアルツハイマー病の寛解に効果を有する、という研究が増えていますので、そのポイントについて考えていきたい、と思います。

ナイアシンアミドは、サーチュイン阻害とThr231ホスホtauの選択的減少を含む、アルツハイマー病の遺伝子移入マウス認知機能を回復させることが、カリフォルニア州立大学のGreen KN博士とSteffan JS博士らの研究グループで明らかになりました。この研究に続くいくつかの研究でも、同じような結果でした。

記憶喪失はアルツハイマー病のサインで、その始まりを予防したり、遅らせたりする治療法は、日本でも喫緊の課題となっています。ヒストンデアセチラ―ゼ(HDAC)阻害剤は、ヒストンのアセチル化を高め、記憶とシナプスの可塑性を高めます。Green KN博士らの研究によると、3xTg-ADマウスでのサーチュイン、あるいはクラス3のNAD(+)依存性HDACsの競合的阻害素であるナイアシンアミドの効果を評価し、症状に伴った認知機能の低下を回復させることを発見しました。

また、SirT1の阻害とよく似た方法で微細小管の解重合(depolymerization)に伴うtau(Thr231)の特異的ホスホ種を選択的に減少させます。そしてナイアシンアミドは、SirT2とMAP2cの一次性基質であるアセチル化アルファータブリンを劇的に増強します。なお、両者は微細小管の安定性の強化と結び付いています。

還元化されたホスホThr231-tauは、monoubiquitinと結合したtauの減少と関係し、この翻訳後の修飾されたtauは、急速に分解される可能性があります。in vitroでのThr231-phospo-mimic tauの過剰発現は、ワイルドタイプのtauと比べて、クリアランスの増強とtauの蓄積の減少をもたらしました。

これらの前臨床での発見では、ナイアシンアミドは、アルツハイマー病と他のtauの混濁化に対し、安全な治療法であることを示し、Thr231tauのリン酸化は、tauの安定性を調整する可能性を有することを示しています。これらの分子病態生化学的説明に対し、臨床での効果の蓄積が望まれます。なお、ナイアシンアミドの500mg/カプセルは、インターネットで米国から
栄養サプリメントとして、通販で入手できます。また、抗コレステロール薬との併用は、抗コレステロール薬の副作用を強めるので、禁忌です。長期大量摂取は肝臓障害を発症する可能性があるので、時々、肝機能検査が必要です。1000mg/日の摂取は安全ですが、5g/日以上の長期摂取は肝障害を起こすラインです。なお、これらに関しては、薬剤師、管理栄養士などナイアシンアミドに詳しい専門家に相談下さい。なお、ナイアシン(ニコチン酸)の摂取は、フラッシュ症状などの不快な副作用を生じるので、ナイアシンアミド(ビタミンB3)の方が使いやすいようです。更なる研究が待たれます。

References

Can niacinamide cure Alzheimer's desease? http://www. earthclinic. com. Jan 20,2014

Green KN ,Steffan JS et al: Nicotinamide restores cognition in Alzheimer's disease transgenic mice via a mechanism involving sitrtuin inhibition and selective reduction of Thr231-pphosphotau. J neurosci. 2008 Nov 5

Morris MC , et al: Dietary niacin and the risk of incident Alzheimer's disease and of  cognitive decline. J neurol Neurosurg Psychiatry. 2004 Aug;75(8):1093-9

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