医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比率と病気について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-29 18:17:48 | 健康・病気

ビタミンCには、還元型ビタミンC(新鮮な野菜、果物などに含まれる)とそれが酸化された酸化型ビタミンC(古い果物の缶詰や古い野菜、古い果物などに含まれる)があり、体内での生理作用、副作用などが異なっています。従って、食品を摂取する場合、還元型ビタミンCが多く含まれる新鮮な食物を摂取する必要があります。

血中酸化型ビタミンCの濃度が低いと、還元型ビタミンCに近い働きをし、壊血病を予防したり、治したりしますが、酸化型ビタミンCの濃度が高いと毒性を示します。Pauling博士の研究に影響を与えたStone博士の研究によると、破傷風、肺炎、腸チフスなどの患者で、血液中の還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの量を測定し、病気が悪化し、死亡するまでの過程で還元型ビタミンCが減り、酸化型ビタミンCが増えることが、明らかになりました。しかし、患者が生き延びると、逆の減少が見られました。従って、血中総ビタミンC量が診断の手段として適当でないことがわかります。また、死亡した患者は、酸化型ビタミンC量が多いため、総ビタミンC量が、生き残った患者より多くなっています。従って、診断の場合は、還元型ビタミンC量と酸化型ビタミンC量を測定し、その比率を調べる必要があります。

血中の還元型ビタミンC量が多ければ健康状態は良好ですが、病気の重症度の比率として、還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの比率は重要で、Stone博士は、それを疾病指数と呼んでいます。健常者の疾病指数は約15ですが、還元型ビタミンCの大量摂取者は、その指数がさらに高くなります。なお、病気が重いが生き残ったヒトは、疾病指数は約1.0で、病気が重くて死亡したヒトは、0.3~0.5でした。また、生き残ったヒトで回復期には3.0~5.0に上昇しました。

体の正常な組織反応が行われるためには、還元型ビタミンCがきわめて多く、酸化型ビタミンCがきわめて少なく、それらの酸化ー還元力が低く保たれなればいけません。病理学的には、病気が進行するに従い、組織の酸化力が高まり、治ると再び低下します。ビタミンCの大量療法の価値は、組織の酸化ー還元力を低いレベルに保ち、疾病指数を高いレベルに保つことにあります。このことから、常に血中の還元型ビタミンCが高濃度に存在すると、毒性のある酸化型ビタミンCの生成が抑えられます。ここに、Pauling博士やStone博士らの、ガンを始め、いろんな疾患に対するビタミンC大量療法の根拠の一つの正当性が、証明されたことになります。

Reference
Stone, I: The healing Factor : VitaminC against Disease. Grosset and Dunlap. 1972

 

 


がん患者の二次細菌感染に対するビタミンCの作用について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-28 13:13:55 | 健康・病気

ガン患者はその患部が潰瘍化し、細菌の二次感染により衰弱するケースが多い、と報告されています。その対策として、白血球の食細胞力を高める、白血球のビタミンC含有量を増やすことが重要です。なぜなら、ビタミンCを適正量摂取することにより、宿主抵抗性が高められるからです。一般的には、ビタミンCは、あらゆる病原性微生物に対し、直接的食菌作用と直接的制菌作用を有します。クレナ―博士やマッコミック博士らの研究によると、ビタミンCの大量投与は、ヒト細菌性感染の治療に於いて、かなりな成功をおさめたことを報告しています。

ガンに於いては、ガンの潰瘍化による二次細菌感染に対し、ビタミンCの大量投与は防御効果を有する、と考えられています。ハーバー博士、シュナイダー博士、それにカール博士らの研究によると、末期ガンとその他のガンに対し、ビタミンCを0.5~2g/日、ビタミンAを30万単位/日、併用投与し、それらのガンの軽減効果とガン増殖の抑制効果を報告しています。また、メイヤ―博士らの研究によると、末期ガンの患者にビタミンCナトリウムを点滴し、著しい寛解効果を認めました。スコットランドのキャメロン博士らは、ビタミンCを10g/日、経口と点滴で投与し、治療できない末期ガンにおいて、限定的な緩和効果を確認しています。早期ガンでは、もっと大きい効果を有する、と考えられます。

次に、シュ―レゲル博士らの研究によると、ビタミンCは、ヒト膀胱がんを防ぐ、と報告しています。また、ペゴッセ博士らの研究によると、ビタミンCの大量投与は、家族性結腸茸腫症の退行とその悪性化前駆期状態の退行をもたらす、と報告しています。ビタミンCの経口投与は、ニトロソアミンなど、摂取した発がん物質の変異原生を減少さす、と報告されています。このように、ガンに伴ういろんな二次的感染などで死亡するケースを防ぐ作用があるので、ガン患者は、野菜や果物、豆などを多めに摂取し、栄養サプリメントのビタミンCを補助的に利用する知恵が必要、と考えられます。

疫学的研究によると、喫煙者は体内ビタミンCが、そのことにより枯渇するので、ビタミンCの多めの摂取は欠かせません。また、冷蔵庫など冷凍施設、冷凍・冷蔵車などの発達により、昔のように塩蔵食品を食べなくてよくなり、新鮮な野菜や果物が食べれるようになり、米国では胃ガンの発症率が低下した、と報告されています。

References
Linus Pauling et al: Cancer and VitaminC. Warner Books. 1981
クルザコスキー M: ガンの軽減療法におけるビタミンCの役割. ウィ―ド レック. Volume 31, 23, December 1978

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ガンの分子栄養療法、特にビタミンCの作用について その三 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-25 20:39:58 | 健康・病気

ハンク博士やホ―二ッヒ博士らの研究では、ビタミンC摂取によるシュ酸への転換は認められるが、量的にごくわづかで、10gまでの摂取では、通常の排泄量(40~60mg)に加えて、60~80mg程度の量が増加し、腎臓結石発症の限界量、300~400mg/日に比べかなり少量ですが、それは人種的には差が有ります。報告によれば、北欧の人々は、東南アジア系の人々より腎臓結石になり易い、とカロリンスカ研究所のデータは示唆しています。多分、北欧の人々は、東南アジア人に比べて、野菜や果物、豆類、それに雑穀の摂取量が少ないため腎結石になり易い、と当方は考えています。また、同じビタミンCサプリメントを摂取しても、前述の理由から東南アジア人に比べて腎結石を発症しやすい、と考えられます。腎臓結石があるヒトでも、ホ―二ッヒ博士によると、1g/日以下のビタミンC摂取量では何ら危険性はないようです。よって、腎臓に問題を抱えていないヒトは、グラム単位の摂取でも腎臓結石の危険性はないようです。胎児に対する毒性、糖尿病の発症の誘発に関しても、大量投与の危険性は認められないようです。

風邪では、8g/日、ビタミンCを一日投与し、305名で40%の症状の改善が見られ、リバウンド反応はありませんでした。肝炎では、ビタミンCを10g/日、5~8日投与し、167名でビリルビン値などの肝炎の改善が認められました。緑内障では、0.4~0.7g/kgを1~10日投与し、73名で眼圧の正常化が認められ、副作用はほとんど認められませんでしたが、一部のヒトで下痢、軽い胃腸の不調が見られました。以上のことから、ビタミンCは天然物なので、第一種医薬品に比べて、安全性が極めて高い、と考えられます。

Reference
A ハンク et al: ビタミンCの大量投与に対する耐性と効果、International Journal of Vitamin, Nutrition, Research , Supplement. Volume22, 1982

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ガンの栄養療法とビタミンCの作用について その二 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-24 17:04:13 | 健康・病気

ビタミンCはガンと深い関係が有る栄養素ですが、がんの場合、ビタミンC要求量が増加する事実は、ガン患者は極度にビタミンCが枯渇しているという観察から示唆されます。実験動物のラットに強力な発がん物質であるメチルコラントランを投与すると、ビタミンCの内的産生の増大をもたらします。なお、ラットはヒトと違ってビタミンCの内的産生能力を持っています。ラットがガンに罹ると、体重70kgのヒトに換算して約16g/日のビタミンCを産生します。このことから、ヒトでもガンに罹った場合、ビタミンCの防御的要求量として約10~15gのビタミンCが必要と考えられます。この量は、ビタミンCがビタミンとしてではなく、炭水化物などの栄養素と同じような考えれば、決して多い量ではありません。

また、この量は癌患者に内的防御メカニズムを最高に働かすための必要量であることは確かです。ビタミンCの大量投与は、ガン代謝に直接拮抗する可能性があります。ビタミンCは多くのガンが関係した酵素系に拮抗する可能性も有り、組織培養では、エールリッヒ腹水がん細胞に対し、細胞毒素であることが、研究により明らかになりました。さらに、アスコルビン酸(還元型ビタミンC)ーデハイロドアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)系の酸化ー還元性は、生理学的にきわめて重要です。この系は、多くの水酸化反応に含まれ、ガン細胞の特異的性質のいくらかに拮抗します。また、近年、成人T細胞白血病がウイルスの感染の結果起こることが明らかになり、ウイルス性のガンの問題がクローズアップされ、抗ウイルス薬の投与が行われていますが、ビタミンCの併用がその効果を高め、その副作用を緩和する、と報告されています。

ラウス肉腫ウイルスは、いくらかの動物でのガンの原因となり、ヒトでは、扁平上皮細胞がんは、回帰性疱疹の感染部位で進行し、ヘルペスシンプレックスの併発が考えられています。また、ヘルペスウイルスは子宮頸部癌の原因となっています。エプステンバールウイルスのヘルペスウイルスは、バーキットリンパ腫や肉腫、それに白血病の原因でもあります。これらのことから、抗ウイルス因子はウイルス性のガンに対し防御作用を有し、ビタミンCの大量投与は、抗ウイルス作用を有することから、抗ウイルス因子となります。

Reference
Linus Pauling et al: Cancer and VitaminC. Linus Pauling Institute of Science and Medicine. 1979
stone, I: The healing factor: VitaminC against Disease. Grosset and Dunlap. 1972、

 


ガンの分子栄養療法、特にビタミンCの作用について その一  日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-23 14:59:57 | 健康・病気

ガンの栄養療法(分子栄養療法)の目的とするところは、あらゆるガン患者に対し、症状の寛解がもたらされることで、そのためには自然に備わった抵抗力を増強することです。そのためには、安全な生理学的・生化学的・栄養学的手段を用いなければいけません。多くの研究によると、そのような因子の中で、ビタミン類やポリフェノール類、それにCaやMgなどミネラルなどは、その可能性が有り、その中でビタミンCは最も有望です。

そのようなわけで、今回は、ビタミンCの抗ガン作用と関係の深い、ビタミンCと間質反応について考えていきます。体の局所的組織レベルでは、ビタミンCは間質物質の統合性を維持するのに必要で、悪性侵襲性増殖を抑制する抵抗性に必要です。また、ビタミンCは膠質原繊維発生に必要とされています。このような分子栄養学的理由により、ビタミンCの適正な供給は間質反応を維持するため必要で、密なる線維組織の不透膜の悪性プロセスをカプセル化するためにも、宿主(ヒト)の潜在能力(抵抗力)を引き出すことは必要です。

このような理由で、ビタミンCの大量投与は、間質反応の少ない、柔らかい細胞の、急速に増殖しつつある、強い侵襲性新生物を増殖と侵襲の抑制に伴う硬いカプセルで包まれた硬い癌への転換の決定因子となる、と考えられます。

次に、ビタミンCとステロイド代謝に関しては、ビタミンCが副腎と脳下垂体に高濃度で見いだされ、また、ヒトがストレス状態にある時、これらの部位からのビタミンCの急速な枯渇は、ビタミンCが副腎皮質ホルモンと脳下垂体ホルモンの合成と遊離に関係しているしていることを示す、と考えられます。

転移ガンはストレスが一杯の状態と考えられます。また、ガンにおける還元型ビタミンCの有効な効果も、非特異性防御メカニズムによる、と考えられます。副腎・脳下垂体系ホルモンの状態の微妙な変化は、悪性侵襲性増殖に対する宿主抵抗性に広く影響する可能性があることが、立証されています。
還元型ビタミンCを十分供給することにより、副腎・脳下垂体を守るだけでなく、ステロイドホルモン環境に好ましい影響を与え、癌など極度のストレス状態を改善し、癌の寛解に繋がると考えられます。

Reference
Linus Pauling et al: Cancer and VitaminC. Linus Pauling of Science and Medicine. 1979
藤井毅彦:ガンの予防し、治すビタミンC.療法、日本ビタミンC研究会。1982年