医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

脂肪肝のための食事とプロバイオティクスについて 栄養医学ブログ

2012-06-22 15:54:52 | 健康・病気

脂肪肝は、アルコール、肥満、糖尿病、それに薬剤などが原因となって、ヒトの肝臓に集まる脂肪を示す、病気です。脂肪肝のヒトは、陰性の症状がないヒトもおり、その他のヒトでは、実際、軽症から重篤な、広い範囲にわたる斑痕や炎症に進行します。

いろいろなバラエティーに富んだ食事が、脂肪肝の症状を軽減させたり、防いだりします。ジョンズホプキンス医療センターの研究では、脂肪肝の予防や治療の手段として、プロバイオティクスが有益であることを、発見しました。プロバイオティクスには、肝臓の機能を高める働きが有ります。また、野菜、果物、全粒穀物、不飽和脂肪(EPA、DHA、αーリノレン酸などを含有する)などの加工していない食事が勧められています。それらにはビタミン、ミネラルそれに食物線維が豊富で、抗酸化栄養物質も含みます。それらは免疫システムのサポートに有益です。食物線維は、消化管の不要な物質を吸着し、早く排泄し、便秘の予防に有益です。また、満腹感をもたらし、食欲の調整に有益です。キャンディ、白バン、それにポテトチップスなどの加工度の高い食品は、体重増加をもたらし、脂肪肝を悪化させます。加工していない食品は、体重管理に有益で、炎症を減らし、体全体の健康を高めます。赤い肉、油で揚げた食品、それに脂肪分の多い酪農製品などは摂取を少しにし、代わりに、ナッツ類、オリーブ油、もしくは亜麻仁油などの植物由来の、健康にいい脂肪分を摂取して下さい。

米国の研究では、脂肪肝の治療手段として糖尿病食を勧めています。脂肪肝の治療手段として、血糖値のバランスを保つことが重要で、糖尿病食は、血糖値のバランスを改善し、いろんな健康に良い食品より構成されています。さらに、栄養バランスカード(従来の難しい単位方式でなく、簡便な計算による患者に使いやすい方式)の使い方を管理栄養士に教えてもらい、自分でカロリー管理して下さい。炭水化物のグラム数、もしくは割合は簡単に計算でき、制限度も計算できます。高グリセミック指数の食品と低グリセミック指数の食品とのバランスが、脂肪肝の改善に重要です。糖尿病食では、低グリセミック指数の食品の選択を、推奨しています。それらは、高食物線維、ビタミン、ミネラル、それに抗酸化栄養素などの栄養素を多く含む食品より構成され、糖分の少ない、いろんな、比較的糖分の少ない果物、非デンプン質の野菜、全粒穀物、それに豆類などがそれに当たります。糖尿病食では、豆類、白身の鶏肉、それに白身の魚など低脂肪の蛋白質を勧めています。糖尿病食の導入については、栄養医学に詳しい医師、管理栄養士に相談下さい。また、ビタミン、ミネラル、抗酸化栄養素それにプロバイオティクスなどのサプリメントも補助的に用いて、糖尿病、脂肪肝の管理に役立てるのも、賢明です。当方もその効果について確認しています。また、サプリメントの摂取については、それに詳しい医師(サプリメント外来がある)、薬剤師に相談下さい。

また、アテネ大学のPagonq Lagiou博士らやハーバード大学の研究によると、糖尿病対策のためのアトキンスダイエットに於いて、蛋白質を多量に摂取し、超低炭水化物食の食生活を長年にわたって続けると、心筋梗塞や脳卒中などになる確率が、対照に比べて大きくなるという、コホート研究の結果を発表しています。以前から日本の栄養医学者も蛋白質の取り過ぎは、ガンや生活習慣病を悪化させるので良くないと、その点を指摘していました。NH2の取り過ぎもそれらの疾患の発症と関係していることが、考えられます。アミノ酸や蛋白質はNH2を多く含むので、グリシンやトリプトファンなどは、遺伝的酵素欠損疾患以外は、注意して用いることが必要と、考えられます。なお、グリシンは、統合失調症、うつ症状、睡眠障害、ガン、それに前立腺肥大に対する効果が報告されていますので、安全な摂取量が判明されれば、"希望の星"になる可能性が、考えられます。

References

Diets for fatty liver disease: Jan 17,2010. LIVESTRONG. COM

Probiotics Help Support Liver Health: Nicole Cutler,L.Ac. March 15,2007. LiverSupport.com

Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: Pagonq Lagiou et al, British Medical Journal,2012;344:e4026

 

 


アルコール依存症(中毒症)対策としてのプロバイオティクス・ビタミンCについて 栄養医学ブログ

2012-06-20 18:25:55 | 健康・病気

アルコール中毒患者において、プロバイオティクスを補給すると、白血球細胞の免疫機能を回復させ、肝機能を改善し、腸管の健康を回復さす可能性があると、最近の研究は示唆しています。

ロンドン大学の研究によると、アルコール性肝硬変に罹った患者にプロバイオティクスのサプリメントを摂取してもらい、好中球(白血球細胞)機能が4週間後、回復することを、報告しています。さらに、米国とロシアの研究によると、プロバイオティクスのサプリメントは、アルコール中毒患者の消化管機能と肝臓の健康を改善することを、確認しています。

善玉菌(乳酸菌、酪酸菌など)が不足した場合、消化管の不調、頭痛、不活発さ、被刺激性、それにカンジダ症(Candida albicansの増殖)などが起こります。

最強のプロバイオティクスは、たぶんLactobacillus acidophilusで、体の中に天然の抗生物質を産生します。このプロバイオティクスは、人が食べる食物や呼吸する空気中の病原体に対し、抗微生物作用をもたらす人の能力を高めます。また、環境性毒素、ストレス、不健康なライフスタイル、そして不健康な酸性の食事(野菜不足、肉食など)が体内のプロバイオティクスを減らします。

アルコール中毒症は、免疫システムを損ない、カンジダ酵母菌(ビール酵母とは異なる)の過剰な産生をもたらします。アルコール中毒患者のうつ症状は、一般的に多いようですが、カンジダ菌が関係した化合物により生じた中枢神経系の毒性物質により、発症します。生化学的回復によるアルコール中毒症の治療は、カンジダ菌などの悪玉菌をプロバイオティクスにより減らすことです。

アルコールとカンジダ症の間のその他の結び付きは、ミネアポリスにある回復センターにおいて、213名のアルコール中毒患者の研究で発見されました。アルコール飲料の高い糖分に対し、栄養素を同化する能力がアルコール中毒患者にはない事により、カンジダ症が悪化すると、考えられます。

アルコール中毒症に一般的な多くの症状は、不眠症、うつ症状、性欲の減退、頭痛、副鼻腔炎と鼻汁、消化管からの排泄物などカンジダ症の増殖で見られた症状と重なっています。体内糖分の増加は、アルコール中毒患者によく見られますが、カンジダ菌による問題点の一因となっています。喫煙、コーヒーなどの愛飲者のアルコール中毒患者は、それらがカンジダ菌の増殖の原因になります。

アルコール中毒患者は、ビタミン、ミネラルの豊富な食事をすべきで、特に、ビタミンCは多く摂取しなければいけません。アルコールはビタミンを破壊しますので、非飲酒者に比べて多く摂取しなければいけないし、さらに、ビタミンやミネラル、アミノ酸などがアルコールの毒性を減少させます。また、ビタミンCは、アルコールによる毒性代謝産物を解毒し、大量摂取の場合、アルコール摂取による毒性に対し、強力な抗毒性を示します。よって、ビタミンCは、プロバイオティクスと共に、アルコール摂取による肝炎、脂肪肝、それに肝硬変の予防、治療に有益です。

Refrences

Probiotics for Alcoholics: August 19,2009. healthin Recovery. com`s Blog

Can Probiotics Help in the Battle with Hepatitis C?: 05/22/2012, immune-support-news.

 


アルツハイマー病の栄養医学的対策(ビタミンC・プロバイオティクスなど)について 栄養医学ブログ

2012-06-11 16:55:46 | 健康・病気

アルツハイマー病は、進行性の脳の委縮をもたらす、致命的な病気です。結果として起こる症状は、記憶力の低下とその他の認識障害から発症し、体機能すべてにわたって起こりうる制御力の低下、重大な人格的変化が進行します。この病気は、米国で現在、65歳以上に10人中一人の割合で、罹患しています。

アルツハイマー病の原因の可能性としてのフリーラジカルは、冠状動脈性疾患、ガン、リウマチ性関節炎、気管支炎、歯周病、糖尿病などを含む、老化による疾患の主たる原因であると考えられます。フリーラジカルは、脳神経細胞の酸化をもたらすことにより、アルツハイマー病の重要な原因の一つを考えられます。

アルツハイマー病と関係している他の因子は、炎症、頭部損傷、重金属、ウイルス感染、農薬、電磁場、遺伝、メラトニン欠乏、アセチルコリン欠乏、ホモシステイン値上昇、高脂肪食、うつ症状、VB12欠乏、葉酸欠乏、ホルモンインバランス、精神的刺激の欠如、身体的活動の不足、アミロイドβ蛋白質などである可能性が考えられます。従って、これらの原因の一つづつを栄養医学的に解決していくことが、治療に結びつくと考えられます。幸い、ビタミン、プロバイオティクスなどを始め、栄養素を適切に用いることにより、寛解に結びつくと考えられます。

Mg(必須ミネラル)は、細胞の健康に求められているもっとも重要な必須ミネラルです。Mgは交感神経システムを円滑にし、より深い睡眠をもたらし、体のほとんど、あらゆる化学反応にとって重要で、アミノ酸の酸生に欠かすことができません。体に生命に必要なMgを与える時、細胞の再生を可能にします。雑穀、豆、果物、全粒穀類、野菜に多く含まれています。CaとMgが2対1のベスト比のサプリメントも発売されていますが、上限許容量を守り、取り過ぎに注意してください。腎臓の悪いヒトは、サプリメントの形でなく、食品の形で摂取するのがいいのではないかと、考えます。管理栄養士に相談して下さい。

フリーラジカルは、栄養学的に粗末な食事(ファーストフード、レトルト食品、加工食品など加工度が高い食品類)、環境汚染、望ましくない代謝産物などが原因で産生されます。しかし、加工度の少ない抗酸化栄養物質を多く含む食品を摂取すると、フリーラジカルは、多くは知らないうちに消去されます。また、上記理由から、米国では、ビタミンE・C、ビタミンB複合体などの抗酸化栄養サプリメントが、アルツハイマー病の予防、治療に用いられているようです。さらに、ビタミンCは、アルツハイマー病の原因物質である脳でのアミロイドβ蛋白質の集まりを溶解するという、研究があります。上記の理由から米国では、ビタミンE・Cがアミロイドβ蛋白質の溶解のため、臨床で用いられているようです。そして、ビタミンC(VC)のような抗酸化栄養素は、一連の疾患、すなわち風邪から心臓発作、認知症に至るまで、予防作用が有り、Lund大学のKatrin Mani博士らの研究によると、ビタミンCは、アルツハイマー病の進行を遅らせたり、その症状を緩和させたりします。このことは、多摩の松家医師も、VCの臨床使用で認知症の寛解を確認しています。

魚などに含まれている蛋白構成成分のアミノ酸は、ヒトの体の蛋白質の構成成分で、蛋白質産生が不十分であったり、不適切な場合、多くの病気が起こります。しかし、ある種のアミノ酸の法外な摂取は、欠乏と同じく有害な結果をもたらします。アルツハイマー病の場合、そのバランスが重要と考えられます。栄養学的なバランスを考えたサプリメントもあるようです。

プロバイオティクスは、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすので、免疫力を高めるだけでなく、体全体の機能を高めるので、潰瘍性大腸炎、ガン、糖尿病だけでなくアルツハイマー病にも重要なものです。

エネルギー水は、山奥の湧水や谷の水がそうで、山奥の人は、意外に長命の人が多い理由の一つは、ミネラルを含んだエネルギー水を飲んでいる関係でないかと、考えております。さらに、体の浄化や解毒、栄養サプリメント、体液の正常なpH、それに適度な運動などがアルツハイマー病の悪化を防ぐと考えられます。なお、上記事項は、脳血管性認知症にも適応できると、考えます。なお、イチョウ葉が、脳の機能を賦活化するとの研究報告もありますので、あきらめずに情報収集に励んでください。

Reference

Introduction to Alzheimer`s Disease: Alzheimer`s and Dementia, Life Enthusiast

A new functions for vitaminC in Alzheimer`s disease: Katrin Mani, 18 August 2011, Lund Uinversity

 

 


心臓血管病対策と食事性Mgの効果について 栄養医学ブログ

2012-06-09 22:11:51 | 健康・病気

食事におけるMg(マグネシウム)の摂取量を増やすと、約50%程、心臓血管病の死亡率のリスクを減らす可能性があることを、日本のある研究は示唆しています。

40歳から79歳の年齢層の健康な日本人、58615名の14.7年にわたる経過データが集められ、心臓発作、冠状動脈性心臓疾患などの個々の冠状動脈性疾患のリスクにおいて、よく似た減少を示しました。

Atherosclerosis誌に載った論文において、Mgの心臓に対する利点は、生化学的に妥当であり、ミネラルと血圧の改善の間には、よく知られた相関関係が有り、European Journal of Clinical Nutrition誌に載った、最近のメター分析でも同じ結果でした。

Mgは不規則な心拍数を正常化することにより、心臓の健康に寄与する可能性があります。

Mgの食事での供給源は、緑色野菜、豆、全粒穀物、雑穀、ナッツ類それにミルクなどです。初期の食事調査では、成人の大部分は、Mgの推奨摂取量(RDA)である、320mg/日(女性)、420mg/日(男性)を摂取していません。

次に、Mgのサプリメントは、心臓疾患を予防する役割をします。心臓血管病のリスクは、血清Mg濃度と相関関係があります。そこで、うっ血性心不全におけるMgの重要性が言われています。毎日、Mgサプリメントを摂取すると、病んでいる心臓に有益です。CaとMgは、心臓の機能を適切に保つため、正確な比率で協働的に働きます。2型糖尿病患者は、血中Mg濃度が低い傾向にあります。食事にもっと多くのMgを摂取すると、2型糖尿病の進行を遅らせる可能性があります。また、Mgサプリメントの摂取は、2型糖尿病、境界型糖尿病における血糖値とインスリン感受性のコントロールに有益な可能性が有ります。

最近、カロリンスカ研究所の研究によると、7つの研究からのデータでは、Mgの摂取量を100mg/日増やすと、心臓発作のリスクが約9%ほど減少することを、示しました。日本のコホート研究によると、15年にわたって、食事性Mgを最大量まで増やすにつれて心臓疾患による死亡リスクが50%減少し、また、心臓血管病による2690名の死亡についての記録があります。

研究者達は、CaとKを要因とした研究者らは、その関連に自信がありませんでしたが、このことは、多くのMgが豊富な食品は、CaとKの豊富な供給源でもあるからです。この研究で観察された冠状動脈保護作用が食事性Mg、CaあるいはKの摂取を繰り返すことによるかどうか、決めることは難しい問題です。しかしながら、現在の研究では、食事によるMgの摂取と結び付いた冠状動脈疾患、心不全、それに心臓血管病の死亡率の減少は、食事によるCaの摂取が考慮された後に維持されました。

なお、CaとMgの摂取比は、栄養学では約2対1です、両方ミネラルなので、上限許容量を守ることが、重要です。腎臓障害のある人は、摂取量を減らす必要があります。腎臓に負担をかけます。また、心臓疾患は、いろんな栄養素が関係していますが、Mgが極めて関係していることは、病態栄養学でも認められています。栄養医学に詳しい、医師、薬剤師に相談して下さい。

ところで、話題は変わりますが、カフェインの毒性による心臓の不整脈が注目されていますが、日本の栄養ドリンクには50mg/本、米国のには80mg/本それぞれカフェインが含まれ、問題になっています。また、短時間に325mg/一時間、850mg/三時間の量のカフェインを摂取することは、不整脈を発症し、心臓発作による死亡の原因になるので、カフェインを含む健康・栄養ドリンクは、できるだけ摂取しない方が、心臓の健康に良いようです。なお、カフェインは劇薬です。心臓の悪いヒトや高齢者は特に気をつける必要があります(米国FDAの調査による)。

Reference

Dietary magunesium may lower risk of death from heart disease: Stephen Daniells, 29-May-2012, Breaking news on Supplements &Nutrition-North America, EU edition