医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

エピジェネティクス機構の異常による統合失調症の発症について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2017-09-27 13:32:26 | 健康・病気

Schahram Akbarian博士らの研究によると、脳の皮質と脳の他の領域の機能障害は、多くの遺伝上の調整不良の発現を、しばしば伴っています。DNAとヌクレオソーム(クロマチンの基本単位)の中心のヒストンの共有結合性の修飾を含む、遺伝子発現のエジェネティクな制御因子の研究では、対応するRNA値の変化と結びついた、統合失調症被験者の死後の脳での特定遺伝子とプロモーターでの、DNAシステインメチル化とヒストンメチル化の変化を報告しています。しかし、死後サンプルであることから、疑問視され、生きた被検者での研究が求められています。

そこで、Gavin DP博士らは、統合失調症でのエピジェネティクな機構の異常を調べるため、培養した末梢血液単核細胞を用いたモデルを開発し、統合失調症被験者の末梢血液単核細胞の異常なクロマチン状態では、正常にクロマチンを解放(open)する因子に応答できない可能性があることを、発見しています。また、多くの統合失調症被験者の遺伝子は、異常なヒストン修飾と異常なDNAメチル化の結果として、特に、転写活性において変化する可能性が、報告されています。

統合失調症患者のエピジェネティクな異常の改善対策として、ビタミンCは、TET酵素の変異を修正し、TET酵素の活性を高める性質が有ることから、DNAメチル化の異常とヒストンメチル化の異常を制御し、統合失調症での異常なクロマチン状態を制御出来る可能性が考えられます。また、ビタミンB3(ナイアシンアミド)にもメチル基をキャッチする性質があることから、統合失調症患者の過剰なDNAメチル化と過剰なヒストンメチル化を制御できるのではないかと、考えられます。事実、米国やカナダでは、統合失調症患者へのビタミンB3とビタミンCの投与の有効性が、精神科医から報告されています。更なる研究が期待されます。

References
Schahram Akbarian, et al.The molecular pathology of schizophrenia. Brain Research Bulletin.30 Sept 2010
Gavin DP, et al. Histone modification, DNA methylation, and schizophrenia.Neurosci Biobehav Rev. 2010 May;34(6):882-8

 

 


白血病幹細胞のTET2(腫瘍抑制蛋白質)活性、DNAメチル化、ヒストン修飾、それにマイクロRNA制御とビタミンCの効果について 栄養医学ブログ

2017-09-09 18:32:04 | 健康・病気

現在、ビタミンCのガン幹細胞に対する効果が研究され、ポジティブな結果が報告されています。ニューヨーク大学の研究によると、血液ガンを引き起こす、白血球を増殖さす代わりに、それが正常に成熟し、死ぬよう、ビタミンCが白血球の幹細胞に命じる可能性が有ります。ある種の遺伝子変化は、TET2酵素の活性を減少させ、血液細胞の幹細胞が成熟出来ないようにします。このことは、結局、ある種の白血病(血液ガン)患者の命を奪います。

ニューヨーク大学のBenjamin G. Neel博士らの研究によると、ビタミンCは、TET2酵素が欠如するよう設計されたマウスのTET2機能を活性化させました。また、白血病の原因となるガン幹細胞の増殖の代わりに、ガン幹細胞が正常に成熟し、死ぬようにビタミンCがさせます。その大量投与(点滴)は、TET2酵素が欠如した白血病幹細胞による白血病に対し、安全な治療法となる可能性が出て来ました。

いろんな研究によると、ビタミンCは、TET2とTET1、TET3の活性を刺激します。そして、各幹細胞のTET2遺伝子の二つのコピーの内一つのみ、TET2変異による白血病など血液疾患に影響します。Lusia Cimmino博士らの研究によると、ビタミンCの大量投与(点滴)は、残っている機能のある遺伝子の作用を発現させることにより、TET2欠如による作用を逆転させる可能性が有ります。また、博士らは、遺伝的にTET2機能を元に戻す作用と同じものを、ビタミンCは有することを、発見しています。

次に、ビタミンC大量投与(点滴)は、DNA脱メチル化を促進させることにより、白血病のガン幹細胞の成熟を誘導し、その成長を抑制しました。このことから、PARP阻害剤と併用して、ビタミンC点滴を実施し、卵巣がんのある患者で治療効果が認められました。また、この併用は、白血病幹細胞に対しても効果を強め、その幹細胞を成熟させ、細胞死へと誘導し、自己再生へと転じさせました。この結果は、ビタミンC点滴が、TET2変異のない白血病幹細胞を死へと誘導するすることを、示唆しています。そして、このことは、TET2活性を元どうりにし、正常な状態にします。ニューヨーク大学やサルフォード大学の研究から、ビタミンCがTET2を活性化し、DNAの過剰なメチル化を脱メチル化し、それに伴うヒストン修飾制御、エクソソーム内包マイクロRNA発現の制御により、ガン幹細胞を死へと誘導することが、証明されました。更なる研究が期待されます。

References
Benjamin G.Neel, et al.VitaminC may encourage blood cancer stem cells to die.the journal"Cell".August 17. 2017
VitaminC effective in targeting cancer stem cell. ScienceDaily. March8、2017
Asun Monfort, et al. Breathing-in epigenetic change with vitaminC. EMBO reports. 2013 apr;14(4):337-346
Partha M.Das, et al.DNA methylation and cancer.Journal of Clinical Oncology.November 2004

 

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