医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

脳機能に有益なプロバイオティクスについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-03-19 14:38:20 | 健康・病気

新しい研究によると、脳と腸内細菌叢は、脳ー腸管軸として知られている脳と腸管の連絡機構で繋がっており、腸内細菌は、その人の脳に語りかけることができます。プロバイオティクスの摂取は、脳ー腸管軸の障害による気分やうつ病、それに記憶力の改善をもたらす可能性が有ります。また、脳と腸管はお互いに会話を交わしていると、言う研究者もいます。

テキサス・サザンウエスト大学のAparna Iyer博士の研究によると、精神の健康の治療に、プロバイオティクスが広く用いることができる可能性が有ります。もっとも治療効果を得るには、どの種のプロバイオティクスをどの程度の量用いるか、今後の研究課題です。とりあえずは、いろんなプロバイオティクスや発酵食品を摂取し、脳を元気づけることが重要と、報告されています。

腸には、腸管神経システムと呼ばれる第二の脳があります。腸管機能が健康であれば、それが伝達し、脳の機能も健康になります。脳の健康に有益なプロバイオティクスには、LactobacillusとBifidobacterium株があり、特にL. helveticus株とB.longum株が有望です。

B.longum株は、うつ症状と苦悶症状を軽減する可能性が有り、炎症性腸疾患患者を救います。B.bifidum株は、気分に影響する可能性が有るビタミンKやビタミンB-12のようなビタミンを腸管内で産生するのに役立ちます。B.infantis株は、ラットではリラクジェイションを高め、炎症性腸症候群の治療に有益です。L. reuteri株は、マウスでは鎮痛作用を有し、興奮性を高めるのに有益です。L.plantarum株は、マウスではセロトニンとド-パミン値を著しく高め、迷路では苦悩行動が減りました。L.acidophilus株は、コレステロール値を減らす可能性が有り、栄養素吸収をサポートします。L. helveticus株は、ラットに投与した場合、苦悶指数を低下させたが、2017年の研究では、有意さは認められませんでした。

Frontiers of Neuroscience誌に載った研究によると、L.acidophilusとL.casei、B.bifidum、それにL.fermentumをミックスしたプロバイオティクスを摂取したアルツハイマー病患者は、学習能力や記憶力のような認知機能に有効なことが認められました。このように、脳ー腸管の関係とプロバイオティクスがこれらにどのように関係しているか、現在、世界中で研究が進行中です。期待したいと考えます。

References
Jennifer Chesak.The smart girl's guide to probiotics for your brain, mood, and t.healthline.August 25, 2017
CJK Wallace. The effects of probiotics on depressive symptoms in humans.2017/02/20
EM Quigley. The future of probiotics for disorders of the brain-gut axis.2014
Gut-brain Link grabs neuroscientists. Nature 2014-11-13

 

 


糖尿病が原因の心臓病について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-03-05 15:16:31 | 健康・病気

心臓病を始め生活習慣病などは、糖尿病が原因の一つだと知らない人も多いと、報告されています。今回は、主として、糖尿病と心臓病の関連について考えていきたいと、思います。

The Guardian誌によると、イギリスのイングランドとウエルズ地方での調査では、二型糖尿病(糖尿病)患者は、そうでない人に比べて、48%ほど多く心臓発作のリスクが高まると、報告され、コントロールが悪い糖尿病患者は合併症を引き起こすそうです。さらに、糖尿病患者の48%ほどが心臓発作に苦しんでいると、報告されています。また一方、the Daily Mail誌によると、糖尿病患者は、そうでない人に比べて、65%ほど多く心不全になるようです。心不全は、心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋炎、それに不整脈などがある人が最終的になる症状です。糖尿病は、それだけで心臓病のリスクが更に高まり、早期により重篤な心臓の問題を起こします。軽い境界型糖尿病でも、数十年を経ると心不全を発症する可能性も報告されています。さらに、高血糖は、血管にダメージを与え、合併症(心臓発作、心不全、脳卒中発作、腎臓病、網膜症、狭心症、足の潰瘍化による下肢部位と足の切断など)をもたらします。一型糖尿病患者は、糖尿病性ケトージスと呼ばれている危険な合併症を発症し、代替的エネルギーとして脂肪を分解し、致命的になります。

これらの糖尿病による心臓病を防ぐ研究によると、プロバイオティクス(乳酸菌のL. acidophilus)を二型糖尿病患者に摂取してもらったところ、インスリン抵抗性が改善し、腸管バリア機能も回復し、炎症も軽減し、腸内細菌叢も改善することにより糖尿病も改善し、動脈硬化症や心不全などが改善されたという、報告もあるので、納豆など発酵食品の摂取とともに、プロバイオティクスとプレバイオティクスの積極的摂取が望まれます。そして、食事面では、野菜、生の果物、全粒穀物、豆類、魚介類を中心とした糖尿病食、心臓病食の摂取が望まれます。また、栄養サプリメントでは、ビタミンC、Mg、Q10、ハーブのホーソン(セイヨウサンザシ)、生姜、EPA、DHA、ビタミンD3、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、天然型α-リポ酸、L-カルニチン 、適正量のセレンなどの摂取が推奨されています。なお、糖尿病薬、心臓病薬を飲んでる人は、これらの栄養サプリメントと相互作用が有る薬もありますので、薬剤師に相談してください。薬を飲んでいない人や重篤な疾患のないヒトは、適正量を守る限り、安全と考えられます。また、これらの栄養サプリメントは、重度の腎障害や肝障害、重度の心不全でない患者でも安全だと、考えられます。しかし、ヒトの体質・体調は、個人個人違っているので、信頼できる医師のモニターが必要、と考えられます。更なる研究が待たれます。

References
Diabetes increases heart attack risk by 48%. NHS choices. Dec 10, 2012
What is Diabetic Heart Disease? NIH
Thushara RM, et al. Cardiovascular benefits of probiotics. Food Funct. 2016 Feb;7(2): 632-42
Probiotics against heart disease. News view. 23 March 2016