医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガン細胞でのNF-kB活性化とICAM-1発現に対するビタミンCの作用について 日本ビタミンC研究会

2016-05-21 20:49:54 | 健康・病気

TNF-αは、ガンやクローン病、潰瘍性大腸炎、それに自己免疫疾患などとその過剰産生が関係していることが、いろんな研究で明らかになりつつあります。潰瘍性大腸炎では、血中TNF-α濃度がそうでないヒトに比べて大変高いので、それを阻害するビタミンC(野菜、果物、豆類などに含まれる)やプロバイオティクスの積極的摂取が、米国の研究結果より推奨されています。また、ガン細胞でも同様にTNF-α値が高く、ガンの主たる炎症因子の一つになっています。過剰産生されたTNF-α値をコントロールできれば、クローン病、潰瘍性大腸炎、それにガンや自己免疫疾患を制御でき、人々の健康に寄与できると、考えます。


Son Ew博士等の研究によると、ヒト神経芽細胞腫(ガンの一種)において、ビタミンCがTNF-αにより誘起されたNF-kB(核内因子kBのことで転写因子として働くたんぱく質複合体)の活性化とICAM-1(免疫系の細胞間相互作用を司る接着分子の一つ)の発現をブロックすることがわかりました。ちなみに、NF-kBとICAM-1はTNF-α同様、発がん性因子です。

次に、細胞接着分子の相互作用は、炎症の媒体において重要な役割を演じることが分かっています。炎症促進サイトカインのTNF-αの過剰産生は、NF-kBシグナル経路を活性化し、細胞内接着因子のICAM-1のような、いろんな遺伝子の発現をもたらします。

Son EW博士等の研究によると、ヒト神経芽細胞腫細胞群において、TNF-αにより誘起されたICAM-1の発現に及ぼすビタミンCの作用は、濃度依存方式においてTNF-αの誘起によるICAM-1mRNAの発現の下方調整がもたらされ、さらにグルシフト分析では、ビタミンC濃度依存での投与量では、TNF-αの過剰産生により誘起されたNF-kB活性化とIKappaBalphaの減成が阻害されました。

これらの結果から、ビタミンCがNF-kBの活性化の阻害により、TNF-αにより誘起されたICAM-1の発現を下方調整することが示唆され、ガン治療の一つの方向性がこの研究により明らかになりました。さらなる追試によりこの仮説の証明を期待しています。

References
Son EW, et al: VitaminC blocks TNF-α-induced NF-kB activation and ICAM-1 expression in human neuroblastoma cells. Arch Pharm Res.
2004 Oct; 27(10)
Yuanyuan Chen , et al: VitaminC mitigates oxidative stress and TNF-α in severe community-acquired pneumonia and LSP-induced macrophages. Mediators of Inflammation. 2014