医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

食事の管理による二型糖尿病対策 その3 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-02-24 15:09:53 | 健康・病気

二型糖尿病患者では、心臓病のリスクが高いので、脂肪摂取の選択が重要です。賢く選ぶことにより、恐ろしい合併症のリスクから逃れられる可能性が高まります。特に、獣肉の脂肪を制限し、その分、魚やナッツ類に含まれているオメガー3不飽和脂肪酸(DHA、EPA、αーリノレン酸など)を選んで、摂取することが必要です。また、体に良い脂肪の重要な供給源は、オリーブ油、ナッツ、アボガドなどで、常温では液体です。

一方、体に悪い脂肪は、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸で、飽和脂肪酸は、赤肉、酪農製品、などですが、例外として、ヨーグルトなどプロバイオテイクスは、逆に、二型糖尿病に良い食品と言われ、さらに、最近の研究では、卵も2~3個/日、の摂取では、コレステロール値に問題がないと報告されています。また、赤肉の過剰摂取は、ガンや二型糖尿病、それに心臓病のリスクを高める、と報告されています。トランス脂肪酸(部分的に水素と化学結合した油脂)は、液性野菜油を硬化させるため、より腐らないようにするため、水素を添加して製造されます。こうすることにより、長持ちしますが、体にはリスクとなり、心臓病を始め、いろいろな疾患との関連が、米国で指摘され、使用禁止になった州もあります。

オメガー3不飽和脂肪酸は、炎症との戦いを、ビタミンCとともにサポートし、脳と心臓、その他の器官を守ってくれます。供給源は、サーモン、マグロ、ニシン、タラなど寒流魚、イワシ、サバ、それに亜麻仁油の種子などに多く含まれています。赤肉を魚に変えて、摂取することが重要です。また、料理では、マーガリンやバターを減らし、オリーブ油などオレイン酸を多く含む油を用いることが重要です。次に、糖分と高度精製炭水化物を減らし、体に良い油脂類の摂取が望まれます。さらに、ショウガやネギ科の野菜の多用やプロバイオテイクスの摂取が重要です。ところで、今や、約2000万人の糖尿病群は、日本国の運命を左右するほど、深刻な社会問題となっています。食事日記をつけ、食生活の改善に努めましょう。

Reference
Maya W, et al: Diabetes Diet &Food Tips: HELPGUIDE. August 1013

 

 


食事の管理による二型糖尿病対策 その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-02-19 20:23:36 | 健康・病気

食品がゆっくり分解することは、二型糖尿病の管理に重要です。グリセミック指数(GI)というツ―ルが発明され、二型糖尿病患者に重宝されています。GIは、代謝システムにおいて、食物が糖にどの程度の早さで分解されるかを示しています。グリセミック負荷は、食品中のGIと炭水化物量の両方で見られ、食品が血糖値にどのように影響するかについて、より正しい考えをもたらします。高GI食品は、急速に血糖値を高めますが、低GI食品は、ゆっくり血糖値を高め、膵臓に負担が少ないようです。

オーストラリアのMicheal Moore氏は、食べる炭水化物を管理する、もっともやさしい方法を考えつき、食品をfire foods、water foods、それにcoal foodsの3つの広いカテゴリーに分類しました。体が分解するのがむつかしければ難しい程、二型糖尿病患者には良いのです。fire foodsは、高GI値を有し、食物繊維と蛋白質が少なく、これらは、白米、白パスタ、白パン、ジャガイモ、それにほとんどの焼いた食品、スイ―ツ、チップス、それに多くの加工度の高い食品などです。一般的には、ファーストフォード、インスタント食品などで、食事に於いて制限されるべきです。water foodsは、消化管に負担が少ない食品で、適切量摂取でき、すべての野菜とほとんどの生果物などです。coal foodsは低GI値で、食物繊維と蛋白質を多く含みます。それらは、玄米、全粒小麦粉、それに全粒粉パスタのような、white foodsに取って代わる食品です。

低GI値の食品を食べるためには、非デンプン質の野菜、豆類、それにリンゴ、梨、桃、ベリー類のような果物をたくさん食べることです。バナナ、マンゴ、それにパパイヤのようなトロピカルフルーツは、一般的なデザートより、低いGI値である傾向があります。次に、できる限り加工度のもっとも低い穀物を食べることです。それらは、全粒パン、玄米、玄麦、玄雑穀、それに小麦の実、あるいは石臼で挽いたパン、スチールカットオート麦、それに自然素材のグラノ―ラかミュズリー朝食シリアルのような伝統的加工食品などです。また、副食としての、白パン、白パスタなど精製穀物製品を制限して下さい。

豆、魚、あるいは皮なし鶏肉のような、健康に良いタイプの蛋白質の摂取が必要です。オリーブ油、ナッツ、それにアボガドのような健康に良い脂肪を含む食品を摂取し、酪農製品や動物由来の飽和脂肪酸を含む食品を制限して下さい。また、部分的に水素添加した脂肪(トランス脂肪酸、加工油脂)は完全に避けてください。それらは、インスタント食品、ファーストフード、過剰包装の食品に含まれています。また、食事は規則正しく、ゆっくり食べ、朝食は抜かさず、腹八分(貝原益軒)を守ることが重要です。その他、ショウガやニンニク、それにプロバイオテイクスなどの摂取も、研究では二型糖尿病患者の体調維持に必要です。塩分の少ない和食が勧められています。

Reference
Diabetes Diet &Food Tips: HELPGUIDE

 


食事の管理による二型糖尿病対策について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-02-17 20:33:24 | 健康・病気

二型糖尿病患者は、食事に於いて、精製炭水化物の摂取量が多いと、報告されています。精製炭水化物を多く摂取すると、リンゴ型腹部肥満になりやすく、糖尿病のリスクが高まります。米国では、腹囲が88.9cm(女性)と101.6cm(男性)以上では、二型糖尿病のリスクが高まると報告されています。なお、日本人の場合は、体質、体躯、それに食習慣が米国人とぜんぜん違うので、この値より低いと考えられまdす。

果糖や砂糖(ソーダ、エナジイドリンク、スポーツドリンク、砂糖入りコ―ヒ、ドーナッツ、マフィン、キャンデイ、ぐラノ―ラなどの加工食品)から得られたカロリーの摂取は、リンゴ型腹部肥満になりやすく、これらの加工食品を断つことにより、二型糖尿病のリスクが低下し、スリムなウエストラインになります。


二型糖尿病を予防・コントロールするためには、適正な食事と適度の運動が必須です。体重を減らすためには、食事がもっとも重要です。二型糖尿病食は、ビタミン・ミネラル・食物繊維・ポリフェノールなどの豊富で、低脂肪、中程度のカロリーより構成されています。もっとも注意することは、炭水化物の摂取です。炭水化物は、脂肪や蛋白質よりは血糖値に影響を与えますが、炭水化物を避けて獣肉の蛋白質と獣肉の動物性脂肪を過剰に摂取すると、二型糖尿病やガン、心臓病の発症の誘因になりますので、魚介類や豆類の蛋白質に変え、精製度の低い炭水化物を適切量摂取することが必要です。

一般的には、キャンデイ、スナック菓子だけでなく白パン、パスタ、白米など高度の精製炭水化物の摂取を制限することは、二型糖尿病の予防・治療に大切です。その変わり、ゆっくり分解する炭水化物として知られている食物繊維の多い複合炭水化物の摂取が望まれます。ゆっくり分解する炭水化物は、ゆっくり消化されるので、血糖値の管理に役立ちます。また、インスリンの分泌過剰から体を防御します。

食品では、白米より3分搗き米か玄米、フライやマッシュポテトのような白ジャガイモよりサツマイモ、カボチャ、カリフラワー、そして精製した小麦粉を使ったパスタより全粒小麦パスタ、それに糖分の多い朝食シリアルより高食物繊維を含むシリアル、コーンフレイクよりふすまフレ―クなど、精製度の低い穀類を選ぶ必要があります。日本人の場合、塩分の少ない和食が合っているようです。これらに加え、ショウガや玉ねぎ、ニンニクなど二型糖尿病に良い食品や乳酸菌を含むプロバイオテイクス、それにビタミン・ミネラルの栄養サプリメントも補助的に摂取する選択肢も有ります。

Reference
Diabetes Diet &Food Tips: HELPGUIDE


 

 


統合失調症の総合栄養・ビタミン療法について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2015-02-12 19:13:01 | 健康・病気

心臓病と関係あるホモシステイン値をチェックし、十分量のビタミンB群を摂取することは、統合失調症(SC)患者にとって必要です。ホモシステイン値は、SC患者のビタミンB群の必要性の指標になります。家庭用テストキットを用いて、自分のホモシステイン値が調べられます。9μmol/Lより高いなら、ビタミンB2、B6(20mg)、B12(250μg)、葉酸(ビタミンM、400μg)、それにTMGなど、ホモシステイン値の改善のため、これらビタミンの摂取が必要、と報告されています。ホモシステイン値が15μml/Lより高いなら、上記摂取量の2倍を摂取する必要があるようです。なお、ビタミンB6は、大量摂取により副作用が出る場合があるので、上限を守る必要があります。

ビタミンB群が豊富な食品(全粒穀物、豆類、ナッツ類、それに種子類など)をまんべんなく摂取すると、これらのビタミン類を摂取できますが、手っとり早く摂取するには、ビタミンB群の栄養サプリメントも補助的に摂取し、補えます。また、葉酸は、ホウレンソウなど緑色野菜、豆類、ナッツ類、それに種子類に多く含まれています。ビタミンB12は、魚、卵、酪農製品など動物性食品に含まれています。したがって、ある程度、動物性の食品の摂取も必要です。なお、これらに関しては、栄養療法の専門家である栄養療法士(英国応用栄養・栄養療法協会認定のnutritional therapist)に相談するのが賢明ですが、残念ながら、日本では、まだその資格がありません。それに近いものは、管理栄養士(国家資格)のようです。

いくつかの食品が統合失調症の症状をもたらすと感じているSC患者がいるようです。それらの食品は、グルテン(小麦蛋白質)、小麦、酪農製品、大豆、酵母、それに卵などです。これの症状が起こるなら、短期間の試食期間中、これらの食品を摂取しないようにすることです。しかし、どの食品に不耐性があるか気付くことは重要です。

特別の食品への抗体値を高めるかどうかを調べるIgGELISA血液検査を受けることができます。いずれにせよ、食事が健康によく、バランスがとれていることを確かなものにするため、食事と病気の専門家に相談することは必要です。栄養医学をマスターせず、自己流に食事を変えることは、症状の悪化に繋がる、と考えられます。大学で栄養学と医学の両方を学んだ専門家が適任です。

References
Action plan for managing schizophrenia: FOOD FOR THE BRAIN
Patrick Holford: Optimum Nutrition for the Mind.2010



統合失調症の総合栄養・ビタミン療法 その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2015-02-04 19:29:23 | 健康・病気

統合失調症に対するナイアシンアミド(ビタミンB3)療法の寛解効果は、米国、カナダで臨床研究がなされ、その効果が実証されており、今や常識となっております。今回は、ナイアシンアミド療法を中心に、その効果をサポートする各種栄養・ビタミンについて考えていきたい、と思います。統合失調症は、遺伝的にビタミンなど栄養素が多く必要な体質のヒトが、栄養状態の悪さや精神的ストレス、環境の悪化、思春期の体の急成長に栄養が追いつかないなど、いろんな要因で発症する、と報告されており、多くの人が発症する可能性がある、ポピュラーな疾患です。

統合失調症(SC)の予防では、食事の管理が重要で、血糖値のアンバランスを改善し、血糖値を安定化さす食事が重要で、糖尿病食(低GL食)などが応用されています。糖尿病と同じように、砂糖、精製炭水化物を避け、加工度の低い全粒穀類が勧められます。また、食事は、時間的に規則正しく食べ、魚、大豆などの蛋白質を多く含む食品を、食事や軽食に加えることが、血糖値の急上昇を防ぎます。コ―ヒ、紅茶、それにエナジードリンクなどカフェインを多く含む刺激性飲料は飲み過ぎないようにし、緑茶のように刺激の弱い飲料を飲むことが必要です。アルコール類の摂取は、一単位/日、3~4回/週、が限度です。

SC患者は必須オメガー3不飽和脂肪酸と必須オメガー6不飽和脂肪酸の摂取も増やします。これらのために、少なくとも2回/週の魚と毎日の種子類の摂取は、オメガー3不飽和脂肪酸などの適切な補給源となります。脳を守るEPAの摂取のもっとも良い魚は、サバ、ニシン、イワシ、マグロ、アンチョビ、サケ、それにマスなどです。なお、マグロは水銀を含むので食べ過ぎに注意です。


統合失調症(SC)に良い種子類は、亜麻の種子、カボチャの種子などで、煎ったりして食べます。これらの種子は、オメガ―3不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)を約5%含み、体内でEPAに転換されます。なお、オメガー3不飽和脂肪酸を摂取する時は、気分の安定効果のために、EPAを約1000mg/日、摂取するのが、目標です。このためには、500mgカプセルの魚油カプセルを、1~2回/日、補給し、上記、魚類を3回/週、食べることが必要です。

統合失調症の予防・治療のため色どりに富んだ、いろんな果物を生のまま摂取し、新鮮な野菜を料理して食べ、2000mgのビタミンCと300mgの天然型ビタミンE(d-αトコフェノール)、それに補酵素Q10だけでなくN-アセチルシステイン、還元型グルタチオン、を毎日ニ回に分けて摂取して下さい。なお、タバコの煙などによる空気汚染を避けることにより、オキシダント負荷を減らして下さい。


統合失調症(SC)の栄養療法の中心である、ナイアシンアミド(ビタミンB3)療法では、1g/日、もしくはそれ以上の大量のビタミンB3、この10倍量がより有効と感じている統合失調症患者が、米国やカナダにはいますが、日本人(Native Japanese)は、体躯が一般的に小柄なので、それ以下の量でも有効と考えられます。通販などで販売されている持続型ナイアシン(ビタミンB3)サプリメントは、肝臓に対し毒性があるようです。ナイアシンは、発赤やかゆみを発症さす副作用がありますが、ナイアシンアミドにはありません。1g/日以上のナイアシンアミドが、その治療のための適正量であり、推奨量です。なお、ナイアシンアミドの大量摂取により、吐き気やむかつきを覚えたら、それが摂取を中止することの警告症状で、中止して3日後、少量摂取に変えて摂取を再開するのが賢明、と考えています。ナイアシンアミドサプリメントは栄養補助食品なので、1g/日程度の摂取では、肝臓への負荷がありませんが、それより多い量では、肝臓にトラブルを発症さす危険がありますので、肝臓酵素(AST、ALT、γーGTP)の検査により、モニターすることが必須です。医薬品、医療、アルコールなどは、肝臓への負荷があるので、SC患者は控えましょう。

イノシト―ルとナイアシンを化学結合させたイノシト―ルヘキサ二コチネ―トは、発赤のないサプリメントとして通販で販売されており、これは、ナイアシンアミドと共に、ナイアシンのベストのタイプですが、ナイアシンアミドに比べて高価です。なお、日本でも、ナイアシンアミド療法を実施しているクリニックが、東京や沖縄にあるようです。自己治療(セルフメデイケイション)の場合は自己責任が伴います。栄養療法に詳しい専門家に相談が必要です。

References
Action plan for managing schizopherenia: Food For The Brain.
Patrick Holford: Optimum Nutrition for the Mind. 2010