医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ショウガと大腸炎の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-01-29 20:08:15 | 健康・病気

大腸炎(大腸カタル、クローン病、潰瘍性大腸炎など)の中で潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症と潰瘍をもたらす炎症性腸管疾患のタイプの一つで、若い人にも食生活が関係して罹患する人もいますが、中高年になると増える疾患です。治療には、抗生物質、ペンタサ、trichozole、納豆、それに乳酸菌・酪酸菌・納豆菌サプリメントなどが投与され、食事療法が実施され、効果が認められていますが、抗生物質やtrichozoleなどは、短期のみ使用されています。また、ペンタサも長期使用の場合、副作用が報告されています、

内外の研究によると、ショウガの根茎は、大腸炎の症状を回復させ、再発の頻度を減らすのに有益な可能性があります。ショウガの根茎は、数千年にわたって、胃の不調、下痢、シブリ腹、心臓の健康問題、それに関節炎など、炎症性の症状にハーブ療法として用いられてきました。また、ショウガの成分は、大腸炎の症状の回復に有益である天然の抗炎症性食品です。

ショウガは、肝臓での胆汁の産生を促進し、脂肪の消化を促進し、胃を空にするのを促し、腸管壁の収縮を改善します。ショウガの抗炎症作用は、大腸炎を起こす原因と考えられる炎症を軽減したり、遅らせたりする可能性がありますが、過剰摂取は副作用がありますので、すりショウガは、4g/日以内の摂取量に抑えることが必要と考えられます。

2008年の"Journal of Entropharmacology"誌によると、潰瘍性大腸炎に罹った実験動物は、ショウガの抽出物を与えられ、薬剤(ペンタサなど)と同じくらい有効でした。ヒトでの臨床研究が必要ですが、この発見は、潰瘍性大腸炎の患者への酪酸菌サプリメントと同じ程、朗報になる可能性があります。臨床研究を期待しています。なお、潰瘍性大腸炎は大腸内視鏡(オリンパス社製)検査ですぐ発見でき、その効果も確認できます。

Reference
Joanne Marie: Is ginger root helpful for colitis? LIVESTRONG. COM Sep12,2012

 

 


ショウガの肝臓保護作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-01-26 21:20:48 | 健康・病気

肝臓は、ウイルス、アルコール、化学物質、それに糖尿病の影響などにより、その機能に障害を受け、肝炎、脂肪肝などを発症します。2010年の"Indian Journal of Pharmaceutical Science"誌によると、動物実験での研究では、250mg~500mg/kg(体重)でのショウガとチコリー(菊科の多年草)の用量の投与では、肝臓のダメージを改善し、これらを単独、もしくは併用して投与した場合、血液組成を正常値にまで回復するという結果でした。そして、それらは5g/kgの投与量では、毒性をもたらしませんでした。また、顕微鏡での肝臓組織の検査では、ショウガとチコリ―共々、改善がもたらされました。数多くの追試が必要ですが、現在のように、肝機能に異常がある人が多い現状では、この研究は大変参考になります。

2011年6月の"Nutrition and Metabolism"誌によると、ショウガは肝臓の線維症(変性瘢痕形成の一形態)の発症に対し、防護効果を有する可能性があります。研究者らは、ショウガの抽出物の数種類を試験し、これらすべての抽出物では、肝臓で利用されるグルタチオンとsuperoxidedimutaseを含む、重要な抗酸化酵素値が上昇し、ショウガが肝臓の線維症の治療に可能性を有する、と述べています。

Khaled大学の研究によると、肝臓と腸管にダメージを与える寄生虫である、住血吸虫は、ショウガの抽出物での治療に十分反応する可能性があります。ショウガは、いろいろテストされた植物の中で寄生虫に対し、強い抑制効果があることがわかりました。ショウガで治療した寄生虫類は、表面構造以外の、ある部位の欠損と浅い組織欠損を伴った、表面構造の変化が認められました。"Parasitology Research"誌によると、肝臓組織の顕微鏡での検査では、ショウガで治療した動物では、肝臓組織の変性が少しも認められないか、認められても影響を受けた部位は少しでした。また、当方の調査でも、味噌汁、焼き飯(オリーブ油、玉ねぎ、緑色野菜、玄米、サバの味噌煮、醤油少々、卵よりなる)などに、ニンニク漬けと共にショウガを多く入れたものを頻繁に摂取すると、血液検査値、体調などの改善が見られました。したがって、中高年の人は、これらの食材を料理に取り入れることにより、体調の改善ができるものと、考えられます。

Referenc
Tracey Roiman. DC, et al: What are the health benefits of ginger for the liver? LIVESTRONG. COM. Feb 3,2014

 

 





前立腺ガンの炎症指数の改善とビタミンC療法について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-01-22 13:30:08 | 健康・病気

リオルダンクリニックの臨床研究によると、ビタミンCナトリウム大量点滴(IVC)は、特に、前立腺ガン患者の腫瘍マーカー(PSAとCRP値)の改善をもたらしたことは、興味を引きます。炎症を抑制さすIVCの効果の可能性は、血清サイトカイン値の改善のデータ―により、支持されています。このことは、IVC治療の間、炎症促進サイトカイン値が減少することを、証明しています。IL-2、TNF-α、それにtotaxin値は、IVC療法を受けているガン患者において、絶えず低下しているようですが、6つのすべてのサイトカイン(IL-1α、IFN-y、IL-8、加えるにIL-2、TNF-α、それにeotaxin)は、50gのビタミンC塩点滴後、実際に低下しました。IL-1の平均的抑制率は、6名のガン患者で20%、totaxinの平均的減少値は、25%です。また、インターロイキン-1は、炎症プロセスを促進さすことが知られています。インターロイキン-1は、ガンの部位に多く見られ、そこでは、インターロイキン-1は、発がん現象のプロセス、ガンの成長と浸潤、それにガンと宿主の相互作用に影響し、UPAの発現とNF-kB活性化を誘導します。その他の鍵となる炎症性サイトカインのTNF-αは、ガンの進行に於いて、中心的役割を演じます。ガンの微細環境でのTNF-αの本質的な発現は、多くの悪性腫瘍の特性であり、それが存在することは、しばしば悲惨な予後を伴います。

その他に、Eotaxin-1(CLL11)は、ガン細胞の成長に影響することが示される、化学的誘引物質とリンパ球活性化物質です。多くのガンでは、キモカイン受容体発現は、悲惨な予後と関係し、Eotaxinが脈管形成と転移を誘導するというエビデンスがあります。

これらに事実をまとめると、サイトカイン値の検査と一緒に、IVCを受けたガン患者からのデータの分析では、IVCがガン患者の炎症を減らします。この炎症の低下は、腫瘍マ―カ―のPSA値の低下と関係があることを、示唆しています。

これらの研究は、リオルダンプロトコ―ルによる結果ですが、Cameron博士やHoffer博士らの臨床研究データでも、プロトコールは、幾分か異なりますが、良く似た結果です。この研究は、いろんなガン患者で実施されましたが、特に、前立腺ガン患者が多くいたので、それらのガン患者のデータ―が多くなっているようです。なお、この研究では、IVC点滴中は、炎症性サイトカイン値の測定はしていないようで

References
Nina Mikirova, et al: Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine. 2012,10:189
Mold C,et al: Regulation of complement activation by C-reactive protein. Immunopharmacology 1999,42:23-30




ガンの炎症反応とビタミンC点滴の関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-01-18 15:56:45 | 健康・病気

ガンのビタミンC塩大量点滴(IVC)の効果判定について、quality of lifeや延命率などが判定材料になっていますが、リオルダンクリニックの臨床研究では、ガンの炎症指数である腫瘍マーカーの改善効果が報告されていますので、そのポイントについて考えていきたい、と思います。

ビタミンCは、経口投与で達成される血漿ビタミンC塩濃度より高い値のその血漿濃度をIVCで達成できるので、補完的ガン治療に用いられています。多くの臨床研究では、IVCは実施可能性が報告されていますので有益な治療法であることが、示唆されています。IVCの効果は、その作用メカニズムが、NIHやジョンズ・ホプキンス大学、オタゴ大学、それにベイル オブ リーベン病院などで研究され、報告されています。しかし、ガンの炎症抑制に対しては、ビタミンCの可能性の研究は、以前、行われていません。この論文に述べられた研究において、ガンの炎症マーカーとしてCRP(C-反応性蛋白質)が用いられ、45名のうち28名のガン患者の被験者は、ビタミンCナトリウム(IVC)大量点滴の実施前に、CRP値(10mg/Lより高い値)に上昇し、炎症がガン患者に対し、問題点であることを、示唆しています。

特に、炎症でのCRP値の上昇は、ガン患者の悲惨な予後のマーカーであることを、他の研究では報告されているので、このことは、特に重要です。リオルダンクリニックのガン患者の被験者の76±13%において、IVC治療前の値である10mg/Lより高いCRP値の亜人口群では、IVC治療によりその改善が広く認められ、CRP値が下がりました。また、これら急激にCRP値の上昇を伴ったガン患者数は、IVC治療により28名から14名に減少しました。IVC治療の間CRP値の低下は、腫瘍マーカーの低下と相互作用関係があることが、判明しました。他の研究でも、血漿CRP値が膀胱がん患者の血清PSA値と強く相互作用があることが、認められました。この研究において、前立腺感染と炎症は、前立腺に特異的な抗原値を高める可能性があるという仮説が提示されました。加えるに、血漿CRP値の測定は、血清PSA値の上昇を伴う前立腺ガン患者の良性状態かどうかを区別するのに役立つ可能性があることが、示唆されます。

炎症は、前立腺ガンにおいて根源的問題であり、慢性の炎症は、前立腺ガンの化学的予防と治療への正しいターゲットである可能性があります。炎症のプロセスは、組織学的に良性の前立腺増殖症の進行に役割を演じます。急性と慢性の炎症性浸潤は、BPHの男性から得られた前立腺組織の標本で見られ、より高い炎症値は、より大きくなった前立腺で観察されます。このように、炎症は、ガンの診断や進行度のチェックの指標になり、IVCの効果判定にも重要、と考えられます。


References
Nina Mikirova, et al: Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine. 2012,10:189
Erlinger TP,et al: C-reactive protein(CRP) and the risk of incident colorectal cancer. JAMA 2004,291:585-

 

 


ガンの炎症マ―カーに及ぼすビタミンC点滴の作用ついて 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-01-16 21:15:10 | 健康・病気

ガンのビタミンCナトリウム点滴療法(IVC)の効果を調べるには、延命率、quality of lifeなどがありますが、腫瘍マーカー(炎症マーカー)は、手軽に調べられるので、その効果を見るための簡便な検査法です。Hartel博士らの研究によると、20mMのビタミンC塩(ビタミンCナトリウム)は、IL-1、あるいはIL-8値に影響することなく、単球のIL-6とTNF-αの産生を阻害しました。リンパ球では、同じビタミンC塩(VC塩)濃度は、IFN-y(インターフェロンyのことで炎症性サイトカイン)のTNF-αに影響することなく、IL-2の産生を阻害しました。また、VC塩は、ミリモル(mM)濃度では、内皮細胞のNF-kB(転写因子として働く蛋白質複合体)活性を阻害する可能性があります。なお、NF-kBは炎症の際、遺伝子発現の変化を伝達する、重要な転写因子です。

別の研究では、低ビタミンC塩投与(0.2mM)は、JurkatT細胞のNF-kB値を高めることを、示していました。また、他の研究では、VC塩が濃度依存のin vitroでは、ヒト細胞群のNF-kBのTNF-α活性を阻害し、GM-CFS、IL-3、それにIL-5産生を阻害できることを、示しています。ミリモルのVC塩濃度は、通常、生理学的に考えられませんが、ビタミンC塩を大量に点滴すると、達成できます。点滴によるビタミンC療法の理論的根拠は、ガン細胞に対するVC塩の選択的毒性であり、ガン細胞には毒性ですが、正常細胞には無害という性質があります。これは、ガン細胞と正常細胞である種の酵素が、一方にはあるが、他方にはないという性質によります。また、免疫細胞に対してビタミンC塩は利点がある可能性があり、かつ、VC塩がガンの脈管形成に対し、阻害効果があります。

モルモットでの研究では、ガンの成長は、ガンの内部VC濃度が、ミリモルレベルに達した場合に著しく減少します。加えるに、炎症と酸化ストレスは、T-細胞機能不全を伴った、免疫システムの調節低下の原因となります。そのことは、ガン、感染、それに自己免疫疾患で説明されます。ガンとその他の炎症状態では、T-細胞受容体ゼータチェインは、T-細胞とナチュラルキラー細胞の不能性を活性化するのを阻害します。いくつかの研究によると、慢性の炎症は、骨髄性サプレサ―細胞により生ずる、活性酸素種の高濃度による、免疫抑制環境の誘導に対し強制的になることを、示しています。臨床的には、このことが起こることは、悲惨な予後に結び付いています。in vitroの組織培養では、ビタミンCによってT-細胞受容体の開裂(cleavage)の逆転を示すので、VCによる治療結果は、T-細胞とNk細胞の免疫能を高めます。

35年以上にわたって、カンザスのリオルダンクリニックは、ガン患者にビタミンC塩大量点滴療法を実施してきました。これらのガン患者の幾人かでは、ビタミンC塩点滴前、その間、その後の血液化学データでは、血漿ビタミンC塩値、CRP値、それにPSAとCEAなどガンマーカー値が測定されました。ビタミンC塩点滴と炎症(CRP、サイトカイン値)、それに腫瘍の進行度(PSA、CEA、その他の腫瘍マーカー)との間に相互関係が存在するなら、このマニュスクリプトは、相関関係を調べるために、これらのデータを分析するためのものです。このように、研究を重ねることにより、ガンへのアプローチが近いものになります。

References
Nina Mikirova, et al: Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine. 2012,10:189
Lu H, et al: inflammation , a key event in cancer development. Mol Cancer Res 2006,4: 221-233