以前からビタミンAのガンリスクへの効果は、多くの研究で報告されていますが、一方、それらに対する否定的な報告もあります。その原因として、ビタミンAは、なにぶん栄養素なので、医薬品と違い、ガンリスクへの効果の研究は、食生活を始め複雑な要因が多すぎて、医薬品の効果を調べるための二重盲検テストでは、はっきりとした結果が出にくいことが、難点と考えられます。
米国でのラットの研究によると、食事でのビタミンAの欠乏は、歯牙腫、唾液腺癌、胃粘膜の前がん状態である組織変化、および結腸癌の進行に結び付いていた。また、別の研究では、ビタミンAの欠乏は、化学物質(医薬品、食品添加物、天然の発がん物質など)とそれらの相互作用による科学的発がん現象(膀胱癌など)への生体の感受性を高めることが、わかってきました。さらに、Spoon博士らの研究によると、食事性ビタミンAの高摂取は、胃がん細胞の増殖を減少さすと、報告しています。しかし、バター、ヤツメウナギ、海苔、チーズ、それに卵黄などに含まれる天然型ビタミンAは、食品での過剰摂取は考えられませんが、過剰に摂取した場合、毒性があり、適正量摂取では、癌のリスクを防ぎ、合成ビタミンAは、動物での癌の予防に有益の可能性があり、毒性が少ないと、報告されています。また、発がん性物質アフラトキシンB1とビタミンAを種々の量投与したラットでの肝がんと結腸癌の発生率において、ビタミンA投与群では、肝臓癌、結腸癌の発症が認められず、アフラトキシンB1(かび毒)を投与してもビタミンA投与量が多い場合、肝臓癌の発症は少ししか抑えられないが、結腸癌の発症は著しく抑えられたという報告があります。
Jennifer Brett博士によると、ビタミンAは、ガン細胞のDNA産生を阻害することにより、癌と戦い、すでにできている癌細胞の成長を抑え、白血病細胞の分裂を抑制する可能性があります。NIHによると、食事調査では、ベータカロテンとビタミンAの豊富な食事と多くのタイプのガンのリスクの少なさの間の相関関係が示唆されます。そして、緑黄色野菜やベータカロテン、ビタミンAを含む食材の高摂取は、肺がんリスクを減らします。また、全植物性食品からの適正なビタミンAの摂取は、子宮頸がん、肺癌、膀胱ガンを始めホジキンリンパ腫などのガンリスクを減少させます。このことは、ビタミンAには、免疫システムを健康にする作用があることから、その作用が考えられます。また、Leah Lawrence博士によると、25件の研究からのメタ分析結果から、ビタミンAの適正量の高摂取では、膀胱ガンリスクが低下する可能性があると、報告されています。そして、Donald L. Lamm博士によると、ビタミンA(40,000IU/日)、ビタミンB6(100mg/日)、ビタミンC(2,000mg/日)、ビタミンE(400IU/日)、それに亜鉛サプリ(90mg/日)の摂取は、BCG療法と比べて、膀胱ガンの再発率を著しく減少させました。また、Dang Liang博士によると、ビタミンE(αートコフェロール)とレチノール(ビタミンA)の併用は、膀胱ガンリスクへの効果の可能性があるそうです。なお、ビタミンEは、10年以上、規則的に摂取することにより膀胱ガンリスクを減らすという報告もあります。これらの多くの研究から、ビタミンAの適正量摂取は、いろんなガンのリスクを減らす可能性がありますが、なにぶん、使い方が難しい栄養素なので、過剰摂取に注意しながら適正量を守ることが、重要と考えられます。
References
Donald L. Lamm. Megadose vitamins in bladder cancer. The journal of Urology. Vol 151. Isse 1, page21-26, January 1994
VitaminA is very far from being a cancer "promoter". Linus Pauling Institute
Jian-er Tang, et al.VitaminA and risk of bladder cancer. World J Surg Oncol. 2014; 12=130
Leah Lawrence, et al. VitaminA decreased bladder cancer risk. CancerNetwork.May 13. 2014
Helen West, et al. 6 health of VitaminA,hached by sience. healthline.Aug 23,1018
Media tells a one-sided story. Orthomolecular medicine News Service. Aug20, 2008
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