医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

リンパ肉腫・肺癌のビタミンC点滴療法の臨床症例について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-31 20:49:09 | 健康・病気

ビタミンC点滴療法の中心、米国では数多くの医師が、ガン患者のquality of life、延命効果、化学療法剤の副作用の軽減、抗ガン剤の効果を高めるため、ビタミンC点滴療法を治療に用いております。その症例を考察することにより、いろいろヒントが得られると考えます。

リンパ肉腫の症例C
サンジェゴのサッコマン医師は1971年以来、ガンの治療にビタミンCを用い、満足いく結果を得ているが、以前、化学療法を受けたガン患者には満足いく結果を得ていません。それは、ビタミンC療法を行っても、サッコマン医師によると反応しないようです。また、ビタミンC(VC)と化学療法を併用した小数のガン患者では、化学療法剤の副作用に対し、正常細胞を守るようです。
ビタミンCは強力な解毒剤でもあります。化学療法剤とビタミンCを併用した5名のガン患者は、未だに生存しています。彼らはフェーズ4のリンパ肉腫です。生検でも証明されました。彼らは1g/kgのビタミンCとビタミンCナトリウムの混合末を用い、夜間は持続型ビタミンC錠を用いました。500mlの乳酸リンゲル液に30gを混注し、約3時間点滴をしました。それを10日から20日程、毎日行い、それから経口投与に変更しました。テタニー症状は認められませんでした。

肺癌の症例D
56歳の肺癌の女性が5月に来院し、昨年の11月まで別の病院で化学療法を行っていましたが、ガンが悪化したので、それを中止し、昨年12月13日にサッコマンのクリニックに来院し、すぐにビタミンC大量点滴療法を開始しましたが、吐き気を催したので、5g/日、一日2回の投与に減らし、3~4日続けました。そして経口投与に変更し、現在は、48g/日のVC点滴を継続しています。体調が良くなり、気分も良くなり、元気になりました。ビタミンC対ビタミンCナトリウムの比は、1対1の割合にした混合物を用い、改善を認めています。pHは約6です。それを多くのガン患者に用いたが、それに耐えれるようです。経口摂取でそれらを野菜ジュースや果物ジュースに入れ、飲んでいます。また、持続型ビタミンCを夜間に用い、体内のビタミンC濃度が下がらないようにしています。ビタミンA(VA)を15万国際単位、VCと併用したが、髪が抜けたりする副作用は出ませんし、VAの併用は、ガンには有益なようです。

サッコマン医師は、68名のガン患者にビタミンC大量療法を実施し、31名が生存しています。25名は死亡しました。12名はクリニックに来なくなったので、状況が不明です。また、VCは腎臓ガンにも著効し、オート細胞ガン、リンパ腫、リンパ肉腫などいろんなガンにも有効でした。オート細胞ガンの少女は、ビタミンC大量療法により生存し、元気なようです。

サッコマン医師は、毎日、VCの点滴を行っていたので、効果が得られたのだと考えますが、患者にとって、それは経済的には大変な事だと思います。米国で自分のガンに100g/日ほどのVC点滴を毎日行い、生還した医師がいますが、一般庶民にとって、それは効果が著明であっても、悲しいことですが、経済的に破綻をきたす可能性が大です。何とか良い解決をしたい問題です。良い解決がガン患者の方々の福音に繋がります。

 

Reference

H.L.Newbold: VitaminC and against Cancer. Stein and Day / Publishers. September,1979

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肺ガンのビタミンC点滴療法の臨床症例について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-30 21:26:30 | 健康・病気

ポーリング博士が活躍されてた時代にも、ガンのビタミンC点滴療法を実施していたクリ二ックは、米国にはありました。現在と違って投与量は少ないですが、効果を認めています。今回は、リオルダン医師と並んで有名なニュ―ボルド医師の症例について考えていきたいと、思います。

肺ガンの症例B
56歳の女性で25年間、毎日タバコを2箱吸い、20年間、咳をしていました。1977年5月胸の痛みを感じました。それである病院でX線写真を撮り、胸壁に長い針を差し込んで生検を行い、胸壁のオート細胞ガンと診断されました。6週間、化学療法とコバルト照射療法を実施しましたが、副作用が強く、体の毛が抜け、目が落ちくぼみ、顔色が青白くなりました。副作用の酷さのため、その年の12月にニューヨークにあるニューボルドクリ二ックへ来て、どうかしてほしいと頼みました。ビタミンCを5g/日、点滴しましたが、悪寒と吐き気がしたので、2.5g/日に減らしました。
保存剤のせいだと考えられたので、次の日、保存剤の入っていないビタミンC末1gを1日4回、水に溶かして飲みました。さらに、総合ビタミンと、1日3回、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムを
をMgとCaの供給源として摂取しました。キべマン食事療法(マックス・ゲルソン食事療法によく似た、野菜や果物を主とした療法)を実施し、甲状腺末も30mg/日摂取しました。ビタミンCの5g/日の点滴には耐え、その点滴4日目には吐き気がなくなり、十分な水も飲めるようになり、生気がよみがえりました。そして、同時に1日あたり4回、経口投与でビタミンCを2gづつに増やしました。9日目には改善が著しく、1日あたり4回、3gづつに増やしました。他のビタミン・必須ミネラルも加えられ、毎日36gまで点滴できるようになりました。ビタミンPも加えられ、1ケ月ビタミンC療法を行い、生き返ったようになりました。1978年4月の時点で健康状態は良好です。

この症例は、ニューボルド医師が"VitaminC against Cancer"という本を書くきっかけになった症例です。点滴と経口摂取をうまく組み合わせ、常に体が、ビタミンCで満たされるよう工夫されたことが、この症例からうかがえます。

Reference

H.L. Newbold: VitaminC against Cancer. Stein and Day /Publishers. September, 1979

 

 

 

 


悪性リンパ腫に対するビタミンC点滴療法の臨床症例について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-29 23:58:57 | 健康・病気

キャメロン医師とポーリング博士の共同研究は、ベイル オブ リーベン病院での臨床研究が主でしたが、スコットランドのヘアーマイレス病院でも綱状細胞肉腫の治療にビタミンC点滴療法を実施し、寛解が認められ症例が有りましたので、そのポイントについて考えていきたいと、思います。

綱状細胞腫の症例A
42歳の男性で右胸間筋肉痛、夜間の寝汗、感覚麻痺が強く、また著しい体重減少などが4ケ月続き、1973年10月にヘアーマイレス病院へ来院、さかのぼること1973年6月には、上記症状により医師の診断を受け、胸部X線写真、血液検査などを行っていました。それは右腋窩リンパ腺疾患を伴った、重度の頸部リンパ腺疾患で、たやすく発見できる肝肥大と巨脾症でありました。また、肺部X腺写真では右肋膜浸出液のため、中隔膜の拡大を認めました。1973年10月28日の右頸部腺の生検では、多数の綱状細胞腫を伴った悪性リンパ腫の綱状細胞腫と診断されました。緩和な放射線治療を実施し、続いてビタミンC大量点滴療法を1973年10月28日に開始しました。最初、10g/日のビタミンC点滴を10日間続け、その後、10g/日を経口投与しました。すると、きわめて劇的な反応を示しました。1973年11月4日頃には脾臓は触知できず、肝臓はやっと触知できました。さらに、頸部リンパ腺腫と腋窩リンパ腺腫は急速に退縮していました。
頸部リンパ生検を1973年11月8日に実施し、綱状細胞のみが優位でない増殖として報告しています。ビタミンC療法を開始して後、70日まで順調な臨症状の改善が見られました。ビタミンCの摂取は続く数ケ月、徐々に減らしました。その4週後の1974年5月までは胸部X線写真は、悪性反応でした。その後、1ケ月間ビタミンCの摂取を中止すると、疲労感と咳におそわれ、X線写真では、ガンが再発しかけていました。再びビタミンCの摂取を開始し、1974年9月には次第によくなり、その11月にはX線像、臨床像とも正常に回復しました。

この症例は、初期の臨床例ですが、現在は、ビタミンC点滴療法は50g~100g/日を毎日、もしくは週2回ほど点滴し、併用サプリメントとして、アルファ―リポ酸、補酵素Q10,ビタミンD3、それにセレン、その他の抗酸化栄養素を加え、食事の改善指導と相成って進化しています。そして、米国、カナダ、ニュージランド、ドイツ、日本、イギリス、その他の国々で急速に広まりつつあります。なお、この症例は、先駆けとなった臨床例で大変意義があり、信頼できるものです。

References

H.L.Newbold: VitaminC against Cancer. Stein and Day/ Publishers .September,1979

Ewan Cameron, Allen Campbell, et al: chemico Biological Interactions. Vol 11, 387~393, 1975

 

 

 

 


中高年の記憶力の衰えの予防と抗酸化栄養素(抗酸化物質)について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-25 21:07:15 | 健康・病気

脳も長年使っていると、酸化ストレスや炎症状態前期などにより、記憶力や認知機能が劣化し、自動車などの運転に支障をもたらします。今回は、その劣化を防ぐ対策について、抗酸化栄養素を中心に考えていきたいと、思います。

パリー大学のEmmanuelle Kesse-Guyot博士らの研究によると、抗酸化栄養素をサプリメントの形で補給すると、中高年の人々の、老化と共に衰える記憶力を衰えないよう維持するのに有益であることを、明らかになりました。

酸化ストレスと炎症状態前期は、脂質の過酸化により、痴呆と、年齢が関係した中枢神経機能の低下において中心的役割を演ずるという、仮説があります。酸素と反応する脳特有の傷つきやすさ故に、抗酸化栄養素の適切な摂取は、脳神経を保護するようです。

博士らは無作為に抗酸化ビタミン・ミネラルを4,447名の45歳から60歳の被験者に摂取してもらい、そのデータの結果を分析しました。1994年から2002年にわたって、毎日、プラセボ(偽薬)、もしくはベータカロテン6mg、ビタミンC120mg、ビタミンE30mg、セレ二ウム100μg、そして亜鉛20mgなど抗酸化栄養素サプリメントを全部、摂取してもらいました。認知能力に関する4つのテストは、治療期間の終わりに続いて5年目の始めに実施されました。

抗酸化栄養素を摂取した被験者らは、エピソードを交えた記憶スコア―と意味ある言葉が続くスコア―は大変良好でした。しかし、言葉の記憶スコア―は、研究の始め血清ビタミンC値が低く、あるいは喫煙をしていない抗酸化栄養素を摂取した人のみ改善が見られました。これらの結果は、食事でたやすく達成される抗酸化栄養素の、低い投与量での有益な効果が認識機能に関して、摂取後、長期間持続する可能性が、基準となるラインで不適切な抗酸化栄養素像の特異的なサブグループでは、認められました。更なる無作為ニ重盲検テストが必要と考えられますが、この投与量は低投与量なので、腎臓病や心臓病以外の人は、試みてみる価値が有りますが、これらに詳しい専門家のアドバイスも必要と、考えます。なお、抗酸化栄養素は、認知症の予防にも応用できると考えますが、研究が待たれます。

References

Emmanuelle Kesse-Guyot, et al: the American Journal of Clinical Nutrition, July 20,2011

Long term antioxidant supplementation linked with better memory: LifeExtension, July 22,2011

 

 

 


食物繊維摂取と乳がん発症リスクの減少について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-25 14:05:38 | 健康・病気

乳がんについては、遺伝子の変異が原因との研究も有り、確かに、兄弟・姉妹に乳がんを始め、ガンの発症が偏在する家系があることが報告されています。しかし、抗酸化栄養素の多めの摂取やガン予防の食事療法で、ある程度、予防できるのではないかと、考えています。ここでは、食物繊維の摂取を増やすことにより、乳がんの発症リスクを減らせるのではないかと考え、話を進めていきます。

American Journal of Clinical Nutrition(July 20,2011)誌によると、メタ分析の結果では、乳がんのリスクに対して、食物繊維(野菜、豆、イモ、海草、果物などに多く含まれる栄養素)の摂取を増やすと、乳がんになるリスクを減らせることが明らかになりました。もちろん、抗酸化栄養素の摂取を増やすことも重要と考えますが、今回は抗酸化栄養素は考慮されていませんでした。

この臨床栄養学誌に載った研究者らによると、712,195名の婦人が乳がんの研究に参加しました。食物繊維の摂取状況は、参加者への質問票への回答から判断されました。追跡期間は、4.3年から18年に及び、その期間中に16,848名が乳がんと診断されました。

分析した10件の研究の内8件では、食物繊維を多く摂取する人は乳がんの発症リスクが低いことが判明しました。被験者の食物繊維の摂取状況は、摂取量がもっとも少ない被験者(20%)に比べて、食物繊維の摂取がもっとも多い被験者(20%)では、乳がんの発症リスクがもっと低く、平均して11%でした。毎日食物線維を10g摂取する人では、乳がんの発症リスクが7%程減少しました。追跡期間、もしくは更年期症状は、乳がんと、分析による食物線維量との関係には影響を及ぼさないようでした。

食物線維の乳がん予防効果の可能性は、その対照とインスリン抵抗性、インスリン様成長因子などに加えて、排泄物中のホルモン量の増加により、循環エストロゲン濃度の減少を勘案しています。そして、これらの事が、乳がんの予防と関連があります。これらの事実は、他のガンの予防にも応用できると考えますが、これからは、エビデンスの集積が必要です。なお、食生活では、動物性脂肪や砂糖の摂取量を減らし、薄味の和食を食べるように生活習慣を変えることが必要と、考えられます。もちろん、野菜、豆、イモ、果物、それに海草などを多めに摂取することも必須です。

References

Li-Quiang Qin,et al: the American Journal of Clinical Nutrition, July 20,2011

Meta-analysis  associates increased fiber intake associated with breast cancer risk reduction: LifeExtension,July 25,2011

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