医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

帯状疱疹とL-リジンの関係の米国の臨床研究について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-05-29 12:35:40 | 健康・病気

帯状疱疹に対する代替療法は、代替療法医により、米国では盛んに実施されております。今回は、その中でL-リジン(栄養素、アミノ酸の一種)の帯状疱疹に対する効果の症例について、そのポイントを紹介したいと思います。

L-リジンは、帯状疱疹(ヘルペスウイルスが原因)の症状を和らげたり、緩和するのに有効なことが、いろんな研究で繰り返し明らかにされています。ここでは、その臨床研究結果を紹介し、L-リジンの作用について考えていきたいと思います。

米国の研究によると、ニ重盲検プラセボ対照試験において、帯状疱疹の再燃の病歴を有する52人の被験者を追跡調査し、L-リジンを6ケ月間、3g/日、摂取している間、L-リジンでの治療グループは、プラセボグループに比べて、帯状疱疹の再燃回数が、平均2.4回少なく、これは大きな違いでした。また、L-リジングループの再燃は、酷さが少なく、より早く治癒しました。

もう一つの無作為ニ重盲検プラセボ対照試験では、1,248mg/日の経口によるL-リジンの摂取は、正常な免疫能を有する人々の帯状疱疹の再発率を減らしました。また、624mg/日のL-リジンの摂取では、効果がありませんでした。これらの研究から、L-リジンは、帯状疱疹の再発を伴った症状の重症度を軽快さす可能性があります。

これらの結果から、ビタミンCやビタミンB群、それにビタミンB12の摂取に加えて、L-リジンを治療方針に加えることは、理にかなっています。なお、L-リジンは、ビタミンC同様、帯状疱疹の原因ウイルスのヘルペスウイルスの複製を阻害することが報告されています。なお、ビタミンB12(メチルコバラミン)の高単位、長期摂取は膀胱ガン発症のリスクを高めるという米国での研究報告もあります。リジンの長期摂取のリスクも報告されていますので、これらに詳しい専門家への相談や外国文献の調査が必要です。

References
Naturalcure for Shingles: http://www.life-saving-naturalcures-and-naturalremedies.co
Gerpes and Shingles,part2-Nutritional Approaches: Life Extension Institute.

 

 


帯状疱疹後神経痛とビタミンC点滴、ビタミンB複合体の効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2015-05-18 09:55:00 | 健康・病気

帯状疱疹ウイルスは、ヘルペスウイルスの一種で、他のヘルペスウイルスの仲間には、リンパ腫や白血病を発症さすウイルスもいます。いづれにせよ、ヘルペスウイルスは人類にとって難敵で、この攻略が重要課題です。ところで、帯状疱疹は、治療が遅れて予後が悪い場合、帯状疱疹後神経痛を発症さす可能性が高いようです。最近の外国の研究によると、ビタミンCの点滴とビタミンB複合体の内服が、その疼痛を緩和さすという報告がありますので、それについて考えていきたい、と思います。

帯状疱疹後神経痛患者は、対照に比べて、特にビタミンC、caイオン、Znイオンの血漿・血清濃度が著しく低いという台湾の研究報告があります。この原因として、その患者の栄養状態がもともと悪いか、その神経痛によるストレスで低下したかと考えられます。したがって、これらの栄養素を食事や栄養サプリメントで補う必要があります。そうすることにより、その疼痛の緩和が可能になると、考えられます。特に、ビタミンCの点滴が有効なことが、最近の研究で多く報告されています。また、ビタミンB12の静注が、その疼痛を緩和するという報告も有り、これらと共にビタミンB複合体の摂取が望まれています。

Schencking博士らは、最近のマルチセンターコホ―ト研究において、帯状疱疹患者の治療でのビタミンC点滴の有効性を証明しています。ちなみに、ビタミンCはサイトカインのIL-6とIL-8値を調整することにより作用します。また、ビタミンC点滴は、高齢の患者や糖尿病などの基礎疾患を有する人で、標準的治療が有効でない帯状疱疹後神経痛患者に、特に有効であると報告されています。また、皮膚の帯状疱疹部位の消退は、ビタミンCの点滴後、10日以内で認められました。このように、ビタミンCはその疼痛を和らげるのに強い可能性を有します。特に、点滴の場合は経口摂取より効果が高い、と報告されています。なお、この両方を組み合わせた治療法が米国で実施されています。これからは、帯状疱疹後神経痛の緩和にビタミンC点滴が広く用いられるようになると、当方は考えています。ところで、ビタミンC点滴は自由診療なので健康保険が適応されず、経済的負担があります。

References
Shailendra Kapoor: Vitamin C for attenuating postherpetic neuralgia pain. J Headache pain. 2012 Oct;13(7):591.
ChenJY, et al: Nutrient deficiencies as a risk factor in Taiwanese patients with post herpetic neuralgia. Br J Nutr. 2011 Sept; 106(5): 700-7