医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンの炎症指数(CRP)の改善とビタミンC療法の効果について その一 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2023-01-29 16:40:54 | 健康・病気

ガンのビタミンC療法は、長年にわたって大変多くの基礎研究があり、臨床研究も増えています。特に、Pauling博士とCameron博士の共同研究が有名ですが、それ以前に、その元となる基礎研究は、Stone博士、ケーダN プラサド博士、M,Eポイドイック博士、レント博士、サッコマン博士、Thomas G博士、クルザコスキーM博士、サムエルD博士、ヘンリーC リコー博士、ウエルナーB博士,それに山口博士など多くの研究者が、ビタミンCのガンへの効果を研究し、報告しています。

また、Pauling博士らの報告からしばらくして、リオルダン博士らは、ガンのビタミンC療法の臨床研究を実施し、ビタミンcの点滴(50g/回、あるいは70g/回)が実施され、その結果、ガン患者のビタミンC血漿濃度を高め、ガン患者のガン細胞やガン幹細胞を生存しにくくさせると、報告しています。また、ガン独特の倦怠感、気分の落ち込み、痛みなどを改善し、延命効果、炎症指数の改善なども報告しています。さらに、CRP(炎症指数)も報告しています。

リオルダンクリニックの臨床研究によると、C-反応性蛋白質(CRP、腫瘍マーカー)は、ガン患者45名のうち15名で上昇が認められ、炎症がガン患者で広く認められます。また、CRP値の上昇は悲惨な予後を暗示しています。博士によると、ビタミンC点滴開始前のCRP値が10mg/Lより高い亜人口群(ガン患者の被験者の76±13%)でのビタミンC点滴では、CRP値が下がり、改善が認められました。また、ガン患者のCRP値の上昇が28名から14名に減少しました。 

ビタミンC点滴の期間中、CRP値の低下は腫瘍マーカーの低下と相互関係があることが分り、血漿CRP値が前立腺ガン患者の血清PSA値と強い相互関係があることが、他の研究でもわかり、この研究結果と一致しています。さらに、この研究において、前立腺の感染と炎症は、前立腺の特異的血清抗原値を高める可能性があります。また、血漿CRP値の測定は、血清PSA値の上昇を伴う前立腺ガン患者のガンが良性か悪性か区別するのに役立つ可能性があります。

References

Nina Wikirova, et al. Effect of high-dose intravenous  vitaminC on inflammation  in cancer  patients . Journal of Translational medicine. 2012.10:189

Roxburgh CS, et al. Role of systemic  inflammatory  response in predicting survival in patients with primary operable cancer. Future Oncol. 2010, 6:149-163

Mcsoriey MA, et al. c-reactive protein concentration and subsequent varian cancer risk. Obstet  Gynecol. 2007. 109. 933-941

 

 

 


アレルギー性ゼンソクに対するビタミン、ミネラル、プロバイオティクスなどの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2023-01-25 11:40:16 | 健康・病気

日本では、患者数の多いアレルギー性ゼンソクについては、アレルゲンを避けることはもちろんですが、体の免疫機構がうまく働いていないことや、高齢化や食生活の偏り、細菌・ウイルスなどへの感染なども原因と考えられ、公衆衛生学的対応や栄養学的対応が必要、といろんな研究で指摘されています。今回は、それらの中でビタミン、ミネラル、プロバイオティクスなどによる、アレルギー性ゼンソクの予防効果について考えて行きたい、と思います。

研究によると、アレルギー性ゼンソクの管理栄養士による食事指導と共に、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクスなどの栄養素、乳酸菌などの適正量を長期わたり摂取することにより、アレルギー性ゼンソクの症状は軽快し、普通に生活できるようになる可能性があります。米国の研究によると、肉食中心の食生活では、腸内フローラのバランスが悪化し、アレルギー性喘息になりやすいようです。そこで、野菜や生果物、豆類、雑穀、それに魚介類などを頻回に食生活に取り入れ、出来るだけ農薬や人工添加物を含まない食品を選ぶことも必要です。なお、食品や医薬品には、人工添加物が多く含まれています。

メリーランド大学の研究によると、アレルギー性ゼンソクにはコリン、ビタミンB6、ビタミンC(1g/日)、補酵素Q10、βカロテンなどビタミン類、ケルセチン(抗酸化栄養成分)、それにMg、カリウムなど必須ミネラル類の適正量の日々の摂取が、ゼンソクの寛解に有益、と報告されています。なお、これらの栄養素の適正量は、年齢、体調など、その人の健康度によって変化するので、自分に合った適正量を探してください。更なる研究が待たれます。

References

Good bacreria key to stopping asthma. BBC NEWS. Oct 1,2015

Deciphering the role of vitaminE in the treatment of refractory asthma. Models to prevent allergies, asthma, and eczema in young children. Dr Green's Blog


L-カルニチンの心筋虚血と末梢血管虚血の改善作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2023-01-22 16:50:04 | 健康・病気

動脈硬化や糖尿病などにより、体のいろんな部位や器官で血管の虚血が起り、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などで命と落としたり、また、足の閉塞性動脈硬化症などが起り、足が痛くて歩行困難になる人が多くいます。そして、いろんな研究から、L-カルニチンは心筋の虚血だけでなく、いろんな末梢血管の虚血を改善し、その効果の根拠として、毛細血管を拡張し、その血流を改善することが報告されています。

"Circulation"誌に載ったG Brevetti博士らの研究によると、筋肉機能の改善の目安として、L-カルニチンで治療した末梢血管性疾患患者での歩行距離の延長が研究されました。末梢血管性疾患患者の二重盲検テストによるL-カルニチン(アミノ酸系栄養成分)の作用は、末梢血管性疾患用薬剤が体から完全に排泄された後、20名のこれらの患者で3週間、無作為に、プラセボ、あるいはL-カルニチン(2g/日を経口で)を摂取するよう割り当てられ、3週間、追加的に他の治療法とクロスオーバーして実施されました。各治療期間の終わりに歩行距離がトレッドミルでテストされ、測定されました。

結果では、歩行距離は、プラセボの174+/-63mからL-カルニチンの306+/-122m(p<0.01)へ伸びました。虚血性の筋肉の生検は、4名の追加患者でのL-カルニチンの投与を15日間実施し、この治療投与では、総カルニチン値が著しく増加したことが証明されました。これらの結果から、末梢血管性疾患により影響を受けた、四肢での運動による代謝上の変化は、L-カルニチンがこれらの機能を改善し、歩行距離の延長に繋がったと考えられます。食事の改善や運動と共に、L-カルニチンやその誘導体も、上記疾患に対し補助的に摂取することは、高齢化による心筋機能の劣化を始め、足腰の末梢血管や筋肉機能の劣化の改善に貢献する可能性があります。更なる研究の積み重ねが待たれます。

References

G Brevetti, et al. Increases in walking distance in patients with peripheral vascular disease treated with L-carnitine. Circulation. 1988;77:767-773

R Lango, et al. Influence of L-carnitine and its derivatives on myocardial metabolism and function in ishemic heart disease and during cardiopulmonary bypass. Cardiovascular Research . Vol51, Issue1, 1July 2001. pqge21-29

Craig J McMackin,et al. Effect of combined treatment with alpha lipoic acid and acetyl-L-carnitine on vascular function and blood pressure in coronary artery diseases\ patients. J Clin Hypertens. 2007 Apr;9(4):249-255