医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンと食生活の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-16 21:20:12 | 健康・病気

ウイルスや細菌など病原体により発症するガンを除いては、ガンの発症は、長年の食生活が関係します。日本人の胃ガンは、ピロリ菌も原因の一つですが、食塩の取り過ぎが関係しています。現在は、冷蔵庫があり、食品の保存がたやすいですが、昔は塩が食品の保存に使われました。そのため、食塩の取り過ぎによる、疾患が多い状態でした。

精米に於いて、米のコ―ティングにタルクが用いられ、胃ガンの発症と関係しています。また、胃ガン患者は、対照に比べて、生野菜の摂取が少ないと、報告されています。戦前に比べ、現在は、ミルクとその製品の消費が増大し、胃ガンの発症の減少と関係ある可能性があると、報告されています。また、米国では肺がんが増加しており、動物性脂肪の摂取の増加と関係が有ると言われ、動物性脂肪の高摂取では、腸管の嫌気性細菌叢が高比率になり、胆汁ステロイドからエストロジェンが多く産生されるようになります。エストロジェンが多すぎると、発がんの原因になります。

ヨウ素欠乏、水のカドニウム含量の増大、ビール消費量の増加などが、疫学的研究において、肺がんの発症と関係が有ると、報告されています。

また、大腸ガンの発症には高脂肪食・低食物線維食が関係しています。ベルケ博士は、加工肉を大量に摂取する人達での、大腸ガンの高い危険性を指摘しています。大腸ガンの高い発生率は、多量の精製食品と少ない食物線維を含んだ食品を食べる人々の間で、見られます。精製食品は糞便の塊が小さくなり、腸管を通過するのに長時間かかるが、高食物線維食は、糞便の塊が大きく、腸管通過時間が早く、細菌叢が、そうでない場合に比べて、異なっています。

食物のカビなどに含まれるアフラトキシンは強力な肝細胞発がん物質で、食事にビタミンAが少ない場合、実験動物に大腸がんを発症さす可能性があると、報告されています。腸管アリル炭水化物ハイドキシラ―ゼは、食事により変化する可能性が有り、順次、化学的発がん物質を変化させます。ラット腸管のアリル炭水化物ハイドロキシラ―ゼの活性は、キャベツ新芽、かぶら、アルファルファ―、および他の食物成分により変化します。よって、キャベツなどアブラナ科の野菜を多く摂取しましょう。癌に対する抵抗性に栄養素が深く、重要な役割を果たすことが、示唆されます。いろんな野菜や果物をまんべんなく多く摂取することがガン予防の秘訣、と考えられます。更なる研究を期待しています。

Reference

藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年

 


喉頭ガンの予防とビタミンC,Aの関係について 栄養医学ブログ  日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-16 15:57:36 | 健康・病気

米国のロズウエルパーク記念研究所では、喉頭ガン患者374名(女性)とガン以外の消化器系、あるいは呼吸系の疾患を有する381名の比較対照において、ビタミンC,Aの喉頭ガンに対する効果が研究されました。また、併せてアルコール摂取、喫煙による喉頭がんの危険性率も調べられ、飲酒、喫煙とも喉頭ガンの高い危険性率が、比較対照に比べて、認められました。

食事にビタミンAが少ない男性は、食事にビタミンAが多い女性に比べて、喉頭ガンの危険性率が2倍であることがわかり、食事にビタミンCが少ない男性は、食事にビタミンAが多い女性に比べて、喉頭ガンの危険性率が2倍であることがわかりました。ビタミンCとビタミンAの低摂取は、喫煙と飲酒を制限して、調べた時、喉頭がんの危険性率の増大が続きました。なお、このビタミンCとビタミンAに関する発見は、動物の組織培養における研究結果と一致しています。更なる疫学研究の積み重ねが望まれます。

なお、当方の小数調査でも、喫煙をする人は、そうでない人に比べて、肺がん、喉頭がん、胃ガンなどが多い傾向が認められます。

References

藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1979年

藤井毅彦:ガンを予防し、治すビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1982年

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39のブログで見られます。

 

 

 


大腸ガンと食事の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-01-16 12:25:14 | 健康・病気

大腸ガンになる危険性は、食生活などの習慣が関係している証拠があります。大量の獣肉、大量の蛋白質、大量の動物性脂肪、および大量の高度精製炭水化物、それに少量の食物線維の摂取の長期にわたる食習慣と善玉菌の少ない腸内環境などが、大腸ガンの原因となります。

食事は大腸内の微生物相、胆汁酸、中性ステロール、および腸内細菌、酵素活性などに影響を及ぼします。これらの変化が大腸の発がん物質、補助的な発がん物質の産生をもたらします。ニトロソアミンと2級胆汁酸、およびコレステロール代謝産物は、発がん物質と補助的な発がん物質になる可能性があります。米国人は、大腸がんの危険率が高いと言われていますが、日本人も食生活の変化により、同様の傾向になりつつあります。筆者の知人でも、大腸がんにより悲惨な死を遂げられた方が、ぼちぼちいます。ところで、米国のカリフォルニア州南部、アリゾナ州、フロリダ州の住民は大腸がんの危険率が低く、北西部、中部の住民は、その2倍の高い危険率を有すると、報告されています。

牛肉など獣肉の消費と食事性食物線維に関する研究では、それらの消費量は、両地方では同じでした。何が大腸ガン発症の差をもたらしたか、そのヒントは、カリフォルニア州南部、アリゾナ州、それにフロリダ州は柑橘類が豊富に生産され、その消費量も、前述の他の州に比べて格段に多いと報告されています。かんきつ類を多く食べると、糞便中のニトロソアミン、2次胆汁酸、コレステロール代謝産物の産生を阻害します。また、かんきつ類に多く含まれているビタミンCはサイクリックAMPを増やし、細胞反応の結果であるポリープの退縮をもたらすと、考えられています。

しかし、前述のこれらにかんがみ、最近、米国では、高所得者では、野菜、果物の消費が格段に多くなったと報告されていますが、低所得者は格段にそれらの消費が低いと、報告されています。

フロリダ州は、米国北東部の大腸ガン高危険地帯から移住した人々が住んでおり、大腸ガン(結腸がん)の危険率が低い地方として、栄養医学における疫学的研究の優れたモデルとなっています。また、かんきつ類には、ビタミンC,ベータカロテン、抗酸化栄養素、酵素、それに食物線維などが豊富に含まれ、これらの中のビタミン類は、すでに癌に対する予防効果が、ベルケ博士始め、多くの研究者により報告されています。その中で、ビタミンCが大腸ガンの前駆状態であるポリープのDNA合成を阻害することが、ヘンリー博士らにより報告されています。かんきつ類は大腸がんを予防する栄養素を含んでいる、それらの中心は、ビタミンCとベータカロテンであると、考えられます。当方の小数調査でも、果物、野菜、それに栄養サプリメントのビタミンCを多く摂取する人には、大腸がんの発症が少ない傾向にあるようです。

その他に、乳酸菌(善玉菌)などが腸内で少ない人も、大腸ガンの発症が多く見られる傾向があると、報告されています。今一度、食生活を見直し、野菜、果物、それに食物線維の摂取を多くしましょう。

References

藤井毅彦:ガンと栄養.日本ビタミンC研究会、1979年

藤井毅彦:ガンを治すビタミンC療法、 日本ビタミンC研究会、1981年