医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

インスリン抵抗性、心臓病、糖尿病とアディポネクチン、EPAについて その一  栄養医学ブログ

2012-02-21 15:14:43 | 健康・病気

イワシ、サバ、寒流魚に多く含まれているEPAは、動物とヒトの炎症およびアテローム性動脈硬化症を減らす、という米国の研究があります。EPAと関連して、アディポネクチンと呼ばれているホルモンは、日本の医師により発見され、それは脂肪組織から血中に分泌され、糖尿病、肥満、アテローム性動脈症、それに、いくつかの肝臓疾患などの一連の代謝性疾患を抑制するのに重要です。日本や米国の研究によれば、EPAはアディポネクチンを増やし、アディポネクチンが中性脂肪値を下げ、骨格筋のインスリン感受性を高めるので、重要な脂肪酸となっています。特に、肥満したヒトでは、血中アディポネクチン値が減少していることがわかりました。

肥満ウサギや肥満したヒトでは、アディポネクチンの分泌をEPAが高め、肥満した脂肪組織の炎症性変化を改善することが、研究により判明されました。また、大規模な無作為ニ重盲験試験において、EPAが冠状動脈疾患のリスクを減らしました。このことから、メタボリック症候群の改善が冠状動脈疾患、糖尿病の改善に結びつくのではないかと考えられ、その研究が各国でされています。

インスリン抵抗性とEPAの作用について

n-3多価不飽和脂肪酸(αーリノレン酸、EPA,DHAなど)には、肥満の予防作用、インスリン感受性の増大作用などの可能性があります。しかし、そのメカニズムははっきりしていません。現在、研究中です。

研究によると、対照と高脂肪食摂取オスウイスターラットが二つのサブグループに分けられ、その一組にEPAエチルエステル1g/kgが、毎日、5週間にわたって経口投与されました。高脂肪食群では、体重と脂肪量の著しい増加がもたらされました。高脂肪食プラスEPA経口摂取ラットは、わずかな体重増加(p=o.o1)と、食事摂取量の減少(p<0.01)、および、レプチン産生の増加(p<0.05)を示しました。

脂肪合成転写因子PPARγ―遺伝子の発現阻害に対し、EPAの投与は二次的(p<0.01)となり、コントロール食を与えられたラットで見られた、アポトーシス(0<0.005)の増大に対しても、二次的となる腹膜後腔脂肪組織重量の減少(p<0.05)をもたらしました。TNFα遺伝子発現は高脂肪食群で著しく増大しました(p<0.05)。一方、EPA投与群では、炎症性サイトカインの上昇を防ぐ事が出来ました(p<0.01)。また、脂肪蓄積を改善するアディポネクチンの血漿値は、EPA投与により増加しました。TNFαとアディポネクチンのこれらの作用は、高脂肪食によりもたらされた、インスリン抵抗性に対するEPAの有効性を説明したことになります。今後、更なる研究が期待されています。

References

Eicosapentaenoic acid actions on adiposity and insulin resistance in control and high-fat-fed: role of apotosis,adiponectin and tumor necrosois factor-alpha.perez-Matute P, University of Navarra, Br J Nutr,2007 Feb ;97(2):389-98.

Omega-3Acid EPA reduces inflammation and atherosclerosis in animal and humans. COLLOIDS for LIFE.com.

 

 

 


脳卒中発作後の摂取食品とビタミンについて その一 栄養医学ブログ

2012-02-06 17:10:37 | 健康・病気

脳卒中発作後のヒトには、健康に有益な食品を摂取することは特に大切です。栄養に富む食品が豊富な、健康を促進する食事を摂ることにより、脳を癒すプロセスを早めることができます。脳が癒されるに従って、健康全体を改善でき、将来の脳卒中再発作になるリスクを減少させることができます。なお、ここでは主として、脳梗塞による脳卒中発作に関して述べたいと、考えています。

脳卒中発作は、脳が酸素を摂取するのを阻害する動脈の詰まりの結果です。高血圧、高コレステロール血症、それに心臓病などは、すべて脳卒中発作のリスクとなります。脳を癒すのに用いられている食物とビタミンは、活動している心臓の健康に用いられている食品(低塩分、低コレステロール、低トランス脂肪酸と低飽和脂肪酸である)と基本的に同じです。脳を癒す食品は、抗酸化栄養素VE,VC,VAなど豊富に含む食品です。それらは野菜、果物、ナッツ類、雑穀などに含まれています。

食物線維と植物性栄養素を多く含む食品は、脳を癒す食品です。オーツ麦、全粒小麦粉、玄米のような全粒穀物、ふすま、ぬか、bulger、豆などは食物線維と栄養素を提供してくれます。イワシ、マグロ、それに鮭のようなオメガー3-不飽和脂肪酸(EPA・DHA、αーリノレン酸など)の豊富な食品は有益ですが、放射性物質による海洋汚染が問題になっています。ブルベリーなどベリー類、人参、緑色野菜のような抗酸化栄養物質の豊富な食品は、脳の代謝にとって重要です。亜麻仁油、クルミ、アーモンドなどの種子やナッツは、健康上、有益な食品です。さらに、不足分は、マルチビタミン・ミネラル類で補うことも一つの方法です。なお、腎臓障害がない場合は、マルチビタミンは所要量の数倍、ミネラルは所要量を摂取の場合は、安全と考えられます。当方でもその有益性を、調査により脳卒中発作後の老人で確認しています。症例が増えれば一般化すると考えられます。

料理方法に関しては、蒸すことは脳を癒すもっとも早い、健康にいい方法です。ゆでたりするのも健康にいい方法です。

血圧を低下さすことは、脳卒中発作からの回復時に有益です。また、食塩の摂取を制限することにより、発作から回復することができます。一般人は2300mg/日以内の食塩摂取量となっています。脳卒中発作の、より大きいリスクのあるヒトは、1500mg/日以上摂取しないよう、考えておくことが重要です。食品の品質表示、特に栄養素の含有量を知ることは、発作後の治癒にとって必要です。また、時間栄養学を学び、食品摂取の時間帯、生活の時間帯を見直すことも大切です。

References

After a Stroke, what Foods &Vitamins Heal the Brain?:  crystal Welch, eHow Contributor

What Are the Symptoms of a Stroke?: Stroke Health Center, WebMD

 

 

 

 


ガンとビタミンC、マイルド温熱療法、プロバイオティクス、食事について その一 栄養医学ブログ 

2012-02-05 14:34:14 | 健康・病気

ガンとビタミンCに関しては、日本の山口医師、森重医師、英国のキャメロン医師らは、ガン患者への大量のビタミンC点滴により延命効果、quality of lifeの改善効果を確認しました。一方、モーテル博士、クリーガン博士らは、その効果を確認できませんでした。理由は約76日間、ビタミンC(VC)を経口投与し、続いて抗ガン剤を投与したことでした。問題点は、ガン患者が死亡するまでVCを投与すべきで、途中で抗ガン剤に転換したことと、ビタミンCの点滴をしなかったことです。さらに、VCの投与期間があまりにも短かすぎました。そのことと抗ガン剤投与で死亡を早めたと考えられます。VCは長期投与しないと効果が出にくいのです。臨床試行のデザインの間違いでした。また、ヘーネ博士の研究は、酸化型ビタミンCを用いた研究で、ガン患者には還元型ビタミンCしか投与できないので、意味をなしません。

2007年、米国FDAは、ガン患者への大量ビタミンCの点滴の効果を米国ガン治療センターが認めたことにより、ポーリング博士の研究の正当性を、ついに認めました。

一方、同様の研究をする隣国韓国の研究者らは、大量のVCの点滴は、身体上、精神上、かつ認識機能の改善に寄与し、一方、倦怠感、吐き気、嘔吐、疼痛、それに食欲の減退などの緩和効果を認めました。

ビタミンCの点滴は、栄養サプリメントによる経口投与と完全に異なるものですが、多くの研究では、栄養サプリメントによるVCの経口摂取もガンを予防するのに有望である可能性を、示唆しています。なお、腎臓疾患のヒト、大変少数ですが、遺伝的に蓚酸塩が腎臓にたまりやすいヒトは、大量摂取は向きません。

看護師らの健康調査による研究では、平均205mg/日のVCを摂取する乳がんの家族歴のある閉経前の婦人たちは、平均70mg/日の摂取量の婦人達より、乳がんのリスクが63%ほど減少しました。25年以上にわたって870名の男性での追跡調査では、VCを83mg/日、経口摂取した人では、肺癌の減少率が64%であることが確認されました。また、カリフォルニア大学の研究では、VCの摂取量が最大のヒトは、すべてのガンで死亡率が最低であったことが、確認されました。90件の別々の研究での分析では、VCとVCの豊富な食物は、いろんなタイプのガンに対し、強い予防作用が確認されました。

ガンとプロバイオティクスに関しては、食事が原因でないガンの場合、マイクロカプセル入りのプロバイオティクスように有効なプロバイオティクスは勧められます。胃腸管は、全免疫システムのほぼ60%を占め、体全体の免疫細胞がもっとも多く、それ故、乳酸菌などの善玉菌は、この生命にとって大切な器官の適切な免疫機能に役立っています。免疫機能が最大に発揮されることにより、ガンを始めいろんな疾患の予防・治療にプロバイオティクスは有益です。特に、腸管のガンではその寛解効果が、すでに認められています。従って、ビタミンC点滴療法を受けている患者は、同時にプロバイオティクスの摂取が、ガンの寛解に必要と、考えられます。

ガンとマイルド温熱療法に関しては、昔から、ガン細胞は熱に弱いことが知られていました。日本では、ビタミンC点滴療法をガン患者に実施している医師は、同時にマイルド温熱療法をガンの患部で実施し、寛解効果を認めているようです。

ガンと食事に関しては、健康に良い食品を選択することにより、ガンのリスクを減らすことができます。バランスの良い食物は、食物線維、ビタミン、ミネラルを多く含み、脂肪分の低い食物です。このことは、たくさんの果物、野菜、全粒穀物のパン、シリアル、雑穀などを、毎日摂取することです。高脂肪の肉、赤い、加工した肉、高脂肪分の乳製品、マーガリン、トランス脂肪酸、料理用油、アルコールなどは、出来るだけ摂取量を減らしましょう。なお、最近の研究では、赤身の肉が心臓病、ガンの強いリスクになると、報告されています。

前述の治療法を併用することにより、quality of life の改善効果、延命効果が得られ、初期癌、中期癌などは通常の生活ができるようです。なお、これらの治療法は、放射線療法、抗ガン剤に比べて、体に優しい治療法です。なお、日本ビタミンC研究会発行の"ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法"のCD/DVD版の希望者が多いので、実費1000円(送料込)でお分けしています。日本ビタミンC研究会で住所検索し、"はがき"もしくはFAXで申し込み下さい。

References

What Causes Colon Cancer: Probiotics-Love TuarBug

VitaminC and Cancer Terapy: www.Real-Foods.net

Probiotics and cancer-The Probiotic Solution-Excerpt: Mark A. Brudnak, Townsend Letter for Doctors and Patients/ June, 2002

ガンを予防し、治すビタミンC療法:藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982

ガンと栄養: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1981

 

 

 


認知症とビタミンについて その二 栄養医学ブログ

2012-02-03 15:51:55 | 健康・病気

日本は超高齢化社会になり、生活習慣病や認知症など高齢化が関係している疾患の栄養医学的対策が喫緊の課題となっています。これらの疾患には栄養医学的対策がベストで、認知症の最新研究を参考に、対策を考えていきたいと考えています。

ホルモン様ビタミンのビタミンD(VD)と天然型ビタミンE(VE)は,認知症のリスクに影響している可能性があります。オークランド大学やExeter大学の研究によると、血中VD値とVE値は、認識機能の低下のリスクとつながっているようです。

ある種のビタミンなどがアルツハイマー病のリスクを含む、認識機能の低下の始まりに役割を果たす可能性があることを、研究は明らかにしています。太陽ビタミンと呼ばれているビタミンDの血中低値は、認識機能の低下のリスクを増大さす可能性があることを、研究は暗示しています。また、ビタミンEが豊富な食物の摂取は、アルツハイマー病を含む、認知症のリスクを低下さすのに役立つことを、別の研究は示していますが、これらは研究がさらに行われることが必要です。なお、VDやVEは脂溶性で、体に蓄積しやすく、過剰摂取に注意しなければいけません。適正量の摂取は有益です。

65歳以上のヒトでのVDの研究では、血中VD値の低値のヒトや25ナノモル/リッター以下の血中濃度のヒトは、6年間の研究の間、一般的認知能力の6%の低下を示すようです。また、血中VD値濃度が十分であるヒトより、31%程、計画したり、組織したり、物事を優先する能力の低下を示すようです。

また、Andrew Grey博士によると、心臓疾患、ある種のガン、統合失調症、糖尿病、骨粗鬆症、いくつかの自己免疫疾患に対するVDの有効性に関する研究が行われていますが、更なる研究が必要です。しかし、VDの血中低値と多くの他の疾患との関係が報告されています。いずれにしてもVDは大変重要なビタミンです。ヨーロッパや米国では、老人の40%から100%がVD欠乏症である可能性があります。なお、冬場は、北国では太陽に良く当たりましょう。

VD値の血中低値は、新しい認知機能に関する問題点のリスクの増大と関係していることを、David J.Liewellyn博士が証明しました。しかし、脳を保護するVDの最適摂取量は、現在わかっていません。

衰弱し、老化した黒い皮ふをした人達では、診断で指示されるなら、VD値は測定されるべきです。太陽に当たらない人はVDを摂取するのが賢明です。なお、肝油ドロップにはVDとVAが含まれており、当方もおいしいので食べ過ぎに気をつけています。また、ガン患者などは5000国際単位/日、程を摂取していますが、認知症患者では1000国際単位/日ぐらいがいいのではないかと、考えられます。更なる研究により、仮説が証明される事を祈っています。なお、腎臓障害や他の疾患を抱えている人は、栄養医学に詳しい医師に相談下さい。 

 

References

Vitamin D and E May Affect Dementia Risk: Laura J.Martin, Brain &Nervous System Health Center,WebMD

The July 12 issue of the Archives of Internal Medicine

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログでアップデートしています。

 


認知症とビタミンについて その一 栄養医学ブログ

2012-02-01 18:16:04 | 健康・病気

ヒトは高齢化するに従って、脳にいろいろトラブルを抱えるようになります。しかし、出来る限り人間としての活動を継続していくためにも、認知症の予防・治療の最新研究情報は大切です。それ故、しばらくこれらについて考えていきたいと思います。

オックスフォード大学の研究によると、毎日、ビタミンB6,B12,B9のサプリメントを摂取すると、認知症による症状を50%まで減らすことができました。それらのサプリメントの摂取は、アルツハイマー病や類似疾患の発症を、劇的に遅らせることができると、研究による調査では示唆しています。

毎日、ビタミンB6(VB6),VB12,VB9(葉酸)の錠剤の摂取は,記憶力の喪失のような認知症の初期の症状をもたらす、年齢的に起こる脳の委縮を遅らせることを、発見しました。なお、これらのビタミン類は、腸管で合成されるので、腸内環境を善玉菌優位の健康な状態にしておくことが重要です、そのため、発酵食品、プロバイオティクス、プレバイオティクスなど腸の健康に寄与する食品の摂取が重要です。

二年にわたる臨床試行では、これらのビタミン投与群では、老人群の半分まで脳の委縮率を遅らせ、約30%以上の委縮の改善が見られた。確認試験では、委縮の改善が最大であった。これらのビタミンの摂取は、老化に伴った精神機能の低下も抑制しました。先進諸国の多くの人々は、認知障害として知られている記憶力低下、言語能力の低下、その他の精神機能の低下などに問題があります。そして、5年以内にアルツハイマー病、その他の認知症が進行します。

ビタミンB12の一日あたりの推奨摂取量の300倍ほどの大量摂取と葉酸(VB9)の一日推奨摂取量の4倍ほどが臨床試行で用いられました。

ビタミンB群は肉、全粒穀類、ポテト、麹などに含まれ、細胞の生長、分化を促進し、免疫システム、皮膚の健康と骨の機能保持に必要です。

オックスフォード大学とノールウエーの研究では、認識障害患者の168名の半数にVB12,VB6,VB9を毎日摂取してもらい、2年後のスキャン検査では、プラセボ(1.08%)に比べ、一年で0.76%だけ委縮していました。また、いちばん強く反応した老人の25%において、委縮の改善率は53%であった。脳の委縮は認識障害やアルツハイマー病の患者で、もっと急速に起こることが知られています。また、ホモシステイン値は、それらの症状が起こる危険性の増大と結び付いています。VB6,VB12,葉酸などがホモシステイン値を減少さすことにより、認識障害やアルツハイマー病に見られる脳の委縮を遅らせます。血中ホモシステイン値が最大の患者では、その効果が最も大きいようです。脳の委縮が最少の患者らは、知能テストで最高値をとりました。なお、葉酸の大量摂取は発がんの可能性が報告されているので、1600μg/日以内の摂取が望まれます。この程度の量では発がんの可能性は認められません。

また、ビタミンCと認知症に関しては、多摩の松家豊医師の研究では、ビタミンCを大量摂取をした認知症の老人では、夜間徘徊や認知機能の改善などが報告されています。

Reference

Daily vitamin pill could reduce dementia's effects by up to 50 per cent: The INDEPENDENT