医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病対策とビタミンKのインスリン感受性促進効果について その一 栄養医学ブログ

2012-04-30 13:10:01 | 健康・病気

ビタミンKはインスリン感受性を促進します。従って、糖尿病の改善に有益と考えられます。

Lee NK博士らの研究によると、ビタミンKはエネルギー代謝のコントロールに関与しています。オステオカルシンは、骨や循環系に見出されるビタミンK依存蛋白質で、造骨細胞から分泌される蛋白質です。天然ビタミンKはオステオカルシンを活性します。なお、オステオカルシンはインスリン産生のβ細胞の増殖に直接関係しています。このような理由で、グルコース耐性とインスリン感受性を改善します。

Cell誌、2007年のLee NK博士の研究によると、マウスのオステオカルシンの分泌を可能にする造骨細胞が、遺伝子発現を欠くよう遺伝的に設計されると、グルコース不耐性とインスリン抵抗性をもたらします。天然ビタミンKはβ細胞のインスリン産生を刺激することに加えて、ビタミンKにより活性化したオステオカルシンは、インスリン感受性ホルモンであるアディポネクチンの産生を高め、その上、インスリン感受性とグルコース耐性を改善します。したがって、糖尿病の改善に重要です。

ビタミンKとトランス脂肪酸に関しては、Troy LM博士らの研究によると、マーガリンやショートニング、加工油脂などに含まれているトランス脂肪酸は、天然ビタミンKの活性を阻害します。現代の食事は緑葉色野菜が少なく、一部に水素添加した脂肪酸(トランス脂肪酸)を含む加工食品が多く、管理栄養士の栄養指導の課題になっています。天然ビタミンKを一番使い果たす物質は、ビタミンK1(phylloquinone)を含む食用油が、水素添加される時、生じた天然にない物質で、dihydrophylloquinoneと呼ばれています。この天然でないビタミンKは、MGP(matrix GLA蛋白質)を脱炭酸する(活性化)ことができません。なお、MGPは、弾性線維中にCaが沈着するのを防ぎます。したがって、心筋などの硬化をMGPは防ぎます。そして、心臓病の改善につながります。

最近の研究では、dihydrophylloquinoneを大量に消費するヒト(トランス脂肪酸を多く摂取するヒト)は、首、尻、脊柱の骨ミネラル密度が、さらに低いことがわかりました。また、血管系の健康に対する天然のビタミンKの重要性が明らかになり、納豆などに含まれる天然ビタミンK2(phylloquinone)の不十分な摂取と天然でないビタミンK(dihydrophylloquinone)の高摂取は、静脈瘤血管とアテローム性動脈硬化症を促進します。

ところで、ビタミンk2とそれを多く含む納豆は、ワ―ファリン(抗凝固薬)と相互作用があるため、併用が禁止されています。医薬品と併用する場合、医師に相談しなければいけません。なお、ビタミンK2はチーズや納豆など発酵食品に多く含まれます。また、ビタミンK2はビタミンK1から腸管内微生物により合成されます。ビタミンK1は緑葉色野菜に多く含まれます。これらの点から、糖尿病対策に緑葉色野菜、納豆など多く摂取する必要があります。西日本では納豆をよく食べる習慣がありません。残念です。なお、サプリメントのビタミンKは脂溶性で体に蓄積するので、大量摂取はできません。少量を時間をおいて摂取するのが、賢明です。

Reference

The Heart, Bone and Skin Health Benefits of VitaminK: Clarifying the Complex world of Nutrition Science. Smart publications

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログで見られます。

 

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糖尿病対策とビタミンB1について 栄養医学ブログ

2012-04-27 22:43:27 | 健康・病気

最近、糖尿病による腎臓障害が増え、透析する人が多くなっています。このブログでは、その対策を栄養医学的に考えたいと、思います。

糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる疾患です。また、心臓血管系のトラブルと腎臓病を含む、いろんな合併症をもたらすので、危険です。さらに、うつ症状、心臓衰弱、筋肉の衰え、血行不良などももたらします。これらの問題のいくつかは、ビタミンB1(チアミン)のようなある種のビタミンの欠乏と関係している可能性があります。ビタミンB1の補給は、糖尿病と関係した合併症のいくらかを治療したり、予防したりする新しい方法を提供すると考えられます。なお、ビタミンB1は糠、小麦胚芽、ビ―ル酵母などに含まれ、ビール酵母サプリメントで簡単に摂取できます。錠剤でも摂取できますが、ビール酵母の方がより安全です。なぜなら、天然物質ですから。

ビタミンB1の欠乏は、糖尿病に伴った健康上の問題のいくらかの原因になる可能性があります。2007年の"Diabetologia(糖尿病学)"誌によると、一型糖尿病とニ型糖尿病の患者に於いて、血中ビタミンB1値を調べ、糖尿病患者は健常人に比べ25%低く、大変急速に血中から排泄されました。これらのことは、多くの糖尿病患者がビタミンB1欠乏症が進む、リスクの増大を有することを示唆しています。

ビタミンB1と腎臓機能について、多くの糖尿病では腎臓機能を害する血糖値の上昇により、もたらされる腎臓障害を進行させます。ビタミンB1の大量投与は、糖尿病腎症として知られている、合併症を防ぐのに役立つ可能性があります。

Diabetes誌の2003年の論文によると、ビタミンB1の大量投与をbenfotiamine(ビタミンB1誘導体)と併用した場合、糖尿病による腎臓病と腎障害をもたらす疾患のいくらかを阻害しました。

糖尿病は、ビタミンB1欠乏が進行するリスクを高め、また、ビタミンB1(VB1)は腎臓病を防ぐのに有益で、VB1の大量投与は安全ですが、他のビタミン類を破壊する場合があります。したがって、他のビタミン類を併用する必要があります。腎臓疾患を抱えている人達は大量投与は向かないかもしれません。また、運動療法や食事療法の基礎療法に加え、ビタミンB1療法を併用するのも一法です。なお、ヒトはいろいろな体質があるので、ビタミンに詳しい医師に相談して下さい。

Reference

Thiamine for Diabetes: Adam Cloe. May 4,2011. Livestrong.com

 

 

 

 


プロバイオティクスを含む食品摂取、食事指導と初乳のアディポネクチン濃度について 栄養医学ブログ

2012-04-26 17:41:37 | 健康・病気

妊娠期間中にプロバイオティクスを多く含む食事をすると、初乳のアディポネクチン濃度が高くなり、そのことが新生児の代謝、免疫機能を高める可能性が出てきました。

フィンランドのTurku大学の研究によると、アディポネクチンのような母乳に含まれる生理活性物質は、子供の健康と安寧に長期にわたって影響を及ぼすようです。そこで、初乳のアディポネクチン濃度に関して、妊娠中のプロバイオティクスを含む食事指導の影響が調べられました。

256名の妊娠女性は三つの研究グループに、無作為に分けられました。すなわち、プロバイオティクスを含む食事介在グループ(食事/プロバイオティクス)、プラセボを含む食事介在グループ(食事/プラセボ)、それに対照グループ(対照/プラセボ)です。介在グループは、管理栄養士により提供された食事指導を受け、主な点は食事に含まれる脂肪量とその種類でした。用いたプロバイオティクスは、Lactobacillus rhamnosus GGとBifidobacterium lactisを併用したものでした。食事摂取は妊娠一期に於いて、食事記録から評価されました。母乳サンプルはアディポネクチン濃度の分析のため、出産後集められました(n=181)。食事介入プラセボグループはプロバイオティクスを含んでいません。しかし、栄養食事指導はプロバイオティクスを含む食事介入グループと同じでした。

食事介入はアディポネクチン濃度の増大をもたらし(ng/mL,幾何学的平均値[95%Cl]、その相違は対照グループに比べて有意であった;12.7[10.6-29.7]vs.10.2[9.9-13.2],p=0.024。妊娠期間中体重増加度(Kg)は、初乳中のアディポネクチン濃度と逆の相関でした;β(SE)-1.7(0.1),p=0.020。妊娠期糖尿病では、初乳のアディポネクチン濃度が最低値まで低下しました;OR 2.36,95%CI 11.1-3.2,p=0.028。

上の結果から、初乳のアディポネクチン濃度は、妊娠中の食事と栄養状態に依存しており、初乳のアディポネクチン値が、一ケ月以内の新生児の代謝、栄養、それに免疫機能に影響する可能性があると、考えられます。これらから、妊娠中の妊婦に合った食事の栄養バランス、さらに、食事に含まれるプロバイオティクスの十分量が、アディポネクチン値を高めるのに重要と考えられます。なお、妊婦に限らずあらゆる年代でも食事指導とプロバイオティクスを十分摂取して、血中アディポネクチン値を高めておくことは、重要と考えられます。

Reference

Impact of maternal probiotic-supplemented dietary counseling during pregnancy on colostrum adiponectin concentration : A prospective,randomized, placebo-controlled study. Early Hum dev. 2011 Sep 24.

 

 

 

 


関節炎対策とオメガー3必須脂肪酸、プロバイオティクスについて 栄養医学ブログ

2012-04-24 21:58:47 | 健康・病気

多くの研究によると、広範囲の健康状態、特に膝関節炎に於いて、オメガー3必須脂肪酸の有効性が明らかになりました。野菜や種子から抽出した油は、必須脂肪酸の原料になるけれども、ヒトは、これらをオメガー3必須脂肪酸に転換できません。

魚油は高単位のオメガー3必須脂肪酸を得る最もやさしい方法です。関節炎と関連した関節の炎症を緩和するには、EPAもしくはDHA(オメガー3必須脂肪酸)の必要量は、2.7g/日です。その量を摂取するためには、1.23kg/日のタイ、1.1kg/日のマグロ、9カプセル/日の魚油カプセルを摂取することが必要です。

過敏性腸管症候群とリウマチ性関節炎の様な慢性症状は、腸管内の善玉菌が少ない事と関係している可能性があります。プロバイオティクス(乳酸菌などの善玉菌)は医薬品や疾患により死滅した善玉菌を再び増やすのに役立ちます。

Bifidobacterium infantis 35624(ビフィズス菌の一種)は関節炎モデルマウスに於いて、抗炎症作用を示しました。このことから、プロバイオティクスは消化管以外に、抗炎症作用を有する可能性が出てきました。

コークにあるアイルランド国立大学の研究によると、コラーゲンによるリウマチ性関節炎が進行するよう特別に飼育されたマウスに、4種類の細菌株の乳酸菌を摂取させました。関節炎発症前に、少なくとも2週間にわたってそれらを摂取させました。その中で、Bifidobacterium infantis 35624のみが関節炎の発症が遅らし、激しい関節炎の痛みの症状を緩和しました。また、当方の調査では、リウマチ性関節炎でない膝関節炎のヒトが、ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌の3種の善玉菌を一ケ月摂取して、痛みが緩和されたのを、少数ですが確認しています。これらのことから、ある種のプロバイオティクスは、膝関節炎に有効だと考えられます。

References

How much omega-3fish oil do you need for arthritis?: Arthritis Australia

Probiotics is good bacteria: Nancy Gottesman, Arthritis Today

Probiotic bacteria shows anti-inflammatory properties: Arthritis Foundation

 

 


糖尿病、心臓疾患とアディポネクチン、サーチュイン1,DsbA-Lと関連したレスべラトロ―ルの健康効果 栄養医学ブログ

2012-04-23 13:31:21 | 健康・病気

最近、赤ブドーの皮、赤ワイン、ザクロ、ピーナッツの皮、それに当方が田舎で住んでいた頃、おやつ代わりに食べたイタンポ(イタドリ)などに含まれているレスべラトールの健康上の利点が、テキサス大学の研究者らによって報告されています。それによると、レスべラトロ―ルには、脂肪をコントロールする強力なホルモンのアディポネクチンを活性化する可能性があります。

抗酸化栄養物質のレスべラトロ―ルが、インスリン感受性とエネルギー産生の調節に重要な役割を演じるアディポネクチンの発現を刺激することを、テキサス大学の研究者は発見しました。それによると、レスべラトロ―ルは、disulfide bond-A oxidoreductase-like protein(DsbA-L)として知られている蛋白質の活性化を通じて、特異的脂肪細胞に於いて、アディポネクチンの発現と蛋白質群の生成(multimerization)を刺激します。よって、これらの研究成果が、肥満した、糖尿病の、老化が進んだヒトに対し、応用ができるのではないかと関心がもたれています。

ハーバード大学のDavid Sinclair博士らによると、レスべラトロールは酵母細胞の寿命を延ばすことができるそうです。また、レスべラトロールはsirtuin 1(Sirt 1)と呼ばれる遺伝子を活性化しました。また、それとは別の、独立したメカニズムによって健康に有益な作用をもたらす可能性があることを、示唆しています。

Liu博士によると、アディポネクチンは、肥満が関係した病気の合併症に有益な効果をもたらし、レスべラトロールも、抗ー肥満、抗ーインスリン抵抗性、それに抗ー老化作用を有するそうです。一方、アディポネクチンの発現を制御することが知られている蛋白質であるDsbA-Lの発現は、肥満したヒト被験者とマウスでは著しく減少していることを、確認しています。そして、新しいメカニズムでは、レスべラトロールは、動物細胞でDsbA-L値を高めることが報告されています。

アディポネクチンのmultimerizationと発現は、主としてDsbA-Lの活性化により、伝達されます。

レスべラトロールの刺激作用はSirt 1を不活化させても影響を受けないし、その刺激作用では、Sirt 1と独立した新しいメカニズムが確認されていますが、DsbA-Lの発現の抑制により、減少します。すなわち、レスべラトロールは、SirT-1と独立したメカニズムにより、脂肪細胞に於いてアディポネクチンの発現とmultimerization の制御に於いて、明らかに役割を有すると、研究者らは述べています。

DsbA-Lは、アディポネクチンに及ぼすレスべラトロールの効果に於いて、重要な役割を演じます。そして、代謝上の有益な効果をもたらします。レスべラトロールの有益性に対する、この新しい発見は、代謝性疾患の治療に有益ですが、投与量を定めたり、さらにレスべラトロールとDsbA-L、アディポネクチン活性との間の反応関係を研究することも、重要と考えられます。そして、更なる研究が世界で行われることを、期待しています。

ビ―ル酵母、シナモン、朝鮮ニンジン、プロポリスなどのレスべラトロール以外のサプリメントのアディポネクチン活性化作用の有無も、今後の研究課題と考えられます。なお、レスべラトロールを含むイタンポは野山に自生しているので、4~5月頃採りに行けます。レスべラトロールは、米国でサプリメントとして販売されています。栄養医学に詳しい医師、薬剤師と相談して下さい。

Reference

Resveratrol`s health benefits linked to fat hormone control: Nathan Gray , 11-Jan-2011, NUTRA ingredients-usa.com

 

 

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