成人の気管支ゼンソク患者の40%以上に好酸球性副鼻腔炎が合併し、好酸球性副鼻腔炎が悪化すると、気管支ゼンソクも悪化し、好酸球性鼻腔炎に伴う鼻茸は、手術をしても鼻茸は再発すると報告されています。気管支ゼンソクや好酸球性副鼻腔炎では、炎症性物質ロイコトルエン値が高まり、鼻水、息苦しさ、臭覚異常などいろんな症状を発症します。
内外の研究によると、ビタミンDを800IU/日、小児ゼンソク患者に、2ヶ月、6ヶ月摂取してもらい、症状の改善が見られたという慈恵医大の報告もあります。また、毛細気管支炎患者での研究では、その症状が悪化すると、IgE抗体(免疫グロブリンE抗体)値が高くなり、ビタミンDを適正量摂取すると、IgE値が低下し、重症度も軽減し、IgE値とビタミンDの摂取との間には負の相関が認められました。さらに、小児のアレルギー性鼻炎(花粉症)にビタミンDを1,000IU/日摂取してもらい、その重症度が有意に軽減されました。なお、花粉症患者では、赤血球膜のオメガ3不飽和脂肪酸値が低い傾向が見られた。また、乳酸菌GGと乳酸菌入りヨーグルトを110g/日、10週間摂取してもらったところ、5段階評価で、鼻づまり症状が改善されたとの報告もあります。。こららのアレルギー症状は、ロイコトルエン、ヒスタミン、Igeなど炎症性物質が過剰に産生されることによります。従って、好酸球性副鼻腔炎患者や気管支ゼンソク患者、それに上記、疾患患者は、抗ロイコトルエン作用を有するEPA・DHA、抗ヒスタミン作用を有するビタミンC,それに抗IgE作用を有するビタミンDなどの栄養素を食事やサプリで補う必要があります。
Jisun So博士らの研究によると、EPAとDHAは、血漿ロイコトルエンによる慢性炎症を伴った被験者での単核白血球炎症反応を特異的に減少させます。EPAとDHAは、炎症促進サイトカインを減少させることにおいて、DHAの明らかな作用では、単球白血球炎症作用に対し、EPAとDHAは明らかに効果を有するようです。これらの特異的な作用は、多価不飽和脂肪酸の誘導体グループにより有効に調整される可能性があります。
Steve Stiles博士らによると、DHAは、を3g/日摂取した患者では、採取した炎症性サイトカインをin vivoでは明らかに抑制した事が観察されました。抗炎症マーカーのインターロイキン10(IL-10)値は、DHAにより低下していました。また、徳大のYasutomo博士らの研究によると、アトピー性皮膚炎患者で、DHA/EPAを摂取してもらい、ロイコトルエンB4の産生が抑制されました。また、米国のLee博士らによると、健常人に、EPAを3.2g/日、DHAを2.2g/日摂取してもらい、ロイコトルエン値の低下が認められた。他の研究でも、好酸球性副鼻腔炎、気管支ゼンソクでも、EPA・DHAの投与により、ロイコトルエン値の低下が認められた。これらのことから、アレルギー性疾患へのEPA/DHA、ビタミンD、ビタミンCの有効性が認められるようですが、薬剤よりは効果はマイルドなので、適正量の常用が必要と考えられます。更なる研究を期待しています。
References
Jisu So, et al.EPAand DHA differentially modulate monocyte inflammatory response in subjects with chronic inflammation in part via plasma specialized proresolving lipid mediators.atherosclerosis.2021 Jan:31
Steve Stiles. EPA, DHA, and inflammatory markers. Medscape Medical News. Dec 16, 2020
Anne Mullen, et al. Anti-inflammatory effect of EPA and DHA are dependent upon time and dose-response elements associated with LPS stimulation in THP-1-derived macrophages. Natr Biochem 2010 May 21
Madhu Yadav. Effect of vitaminD supplementation on moderate to severe bronchial asthma. The Indian Journal of Pediatrics. 2013 Nov6