昔の日本人は、食事において食物線維を多く含む食事を摂取していました、従って、大便の量も多く、大腸ガン患者も少なかったと言われています。しかし、近年、食生活の欧米化により、その内容も大きく変化し、大便の量も減少してきたと、報告されています。
バーアキット博士の研究によると、食物線維は、大腸ガン防御効果の可能性があることが、広く注目されるようになりました。食物線維欠乏食は結腸ガン、虫垂炎、大腸憩室病、潰瘍性大腸炎、また腺腫性茸腫などのある種の大腸疾患に対し、一般的、基礎的因子であることが報告されています。
疫学的追加データは食物線維摂取の減少と結腸ガンの発症率の間の相関を示しています。さらにラットでの研究によると、食餌性セルロースが減少するに従って、小腸の化学的発がん数は増加することを示していました。低食物繊維食は、便秘を促進させ、便秘は腸管の細菌の繁殖、そして胆汁塩が腸内悪玉菌の作用により発がん物質になり、発がんの可能性に時間を与え、さらに、発がん物質と腸管粘膜の間に、より長い接触時間を与えています。
しかし、食物線維は、食べた食品の腸管通過時間を短くし、腸管の発がん物質への暴露時間を少なくします。食物線維成分の水との結合により、促進される環境では、その容積が増大し、また、食物線維から揮発性脂肪酸の細菌による産生により、下剤効果を高めます。さらに食物線維が潜在的発がん物質の形成を減少させます。そのような経路では、胆汁塩代謝に影響するメカニズムが存在すると、考えられます。これは胆汁塩、コレステロール、そして、それらの変性産物、そして、それらの変性産物、およびステロールの排泄の増加などを通じて完了する可能性があります。
食物線維が結合水に対し、その拡張効果と拡張能力により、潜在的発がん物質を薄め、ステロール、胆汁酸、および脂肪は、溶媒様効果を拡大させうるメカニズムが存在すると、考えられます。食物線維が腸管細菌叢に影響し、細菌による、より少ない胆汁酸塩への低下をもたらすメカニズムが存在すると、考えられます。
また、食物線維は、動脈硬化、2型糖尿病の予防にも有益との報告もあります。南アフリカのバンッー族は欧米人に比べて心臓病、脳卒中が極めて少なく、このことは、食生活において、1日あたりの食物線維の摂取量が、欧米人に比べて4~5倍であるからだと言われています。また、大便の排泄量も欧米人に比べて多いと報告されています。その理由として、食物線維には、動脈硬化の原因物質の悪玉コレステロールを吸着して、体外に排泄する作用があるからだと言われています。また2型糖尿病に対する効果では、食物線維が糖質を吸着し、インスリンの効果を高めるからだと言われています。なお、食物線維は、野菜、豆類、リンゴやバナナなど果物、イモ類、海藻類、精製度の低い穀類などに多く含まれています。
References
Alcantara and Spekman. Diet , Nutrition,and Cancer.Page1040
George E. Berkley. CANCER: How to prevent it&how to help your doctor fight it. Prentice-Hall, Inc.1978