医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガン細胞のヒアルロ二ラーぜ阻害と間質物質、ビタミンCの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-07-01 17:55:12 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
Cameron博士によると、液性因子(補体、抗体、ホルモンなど)は、ガンにおいて宿主抵抗性を決めるのに重要であり、ビタミンCの有効性は、液性因子と宿主抵抗性の関係を制御すると、博士は報告しています。

ガン細胞からのヒアルロ二ラーゼ(ヒアルロン酸分解酵素)の持続的遊離は、悪性侵襲のメカニズムにおいて、またガン細胞栄養において重要な因子であり、さらにガン細胞増殖運動の持続の原因であると、主張されています。

ヒアルロ二ラーゼの作用は、間質物質(細胞間の物質)のグリコサミングルカン(結合組織にあるムコ蛋白質)を加水分解します。この酵素ー基質反応は、血清中の生理学的ヒアルロ二ラーゼ阻害剤として知られている基質のうち、限定された分解物質によりコントロールされています。

ここで、ビタミンCの初期生物学的機能は、オリゴサッカライドヒアルロ二ラーゼ阻害化合物への結合により、細胞増殖に抑制的影響を及ぼすことであり、博士のこの確信には理由があると、博士らは報告しています。

References
Cameron, E. Chemi-Biol, Interactions.9(1974)


ガン細胞毒性因子としてのビタミンCの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-05 17:25:47 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
生理学的濃度のビタミンCは、腫瘍細胞に対し選択的に細胞毒性であるという組織培養の研究からの証拠があります。Cameron博士らのビタミンC大量投与療法のガンに対する効果は、最初は主観的改善であり、元気さが増し、ガン性疼痛の改善が見られました。これらの改善は、ビタミンCを投与し始めて一週間以内に患者すべてで見られました。次に、ビタミンCの点滴の結果として、進行ガンの自然退縮が見られました。1973年10月に診断された細綱症(ガンの一種)の患者1名は、ビタミンC療法のみを実施し、急速な劇的な完全退縮が見られました。しかし、ビタミンCを中止すると、また症状が悪化し、再びビタミンC療法を行うと、2次性の完全な退縮が見られました。

これらの症例から、ビタミンCが少数の幸運なガン患者には劇的に有効である可能性があるとすれば、ビタミンCはそれ以外の残りのガン患者に対し、有益であるに違いないと仮定するのは、理にかなっています。次に、1976年、Cameron博士らはビタミンCナトリウム(静脈内投与、点滴)を追加投与した100名の末期ガン患者と、同じ医師により、同じ病院で理想的標準治療を行った初期の患者(ビタミンCを投与していない)と生存時間を比較しました。結果は、ビタミンC投与群は、対照に比べ、伝統的方法により治療不可能とみなされた後の生存時間の著しい延長が認められました。

References
Cameron,E. (1976)Supplemental ascorbate in the supportive treatment of cancer:Prolongation of survival times  in terminal human cancer. Proc Natl. Acad.Sci.USA73:4538-4542.
Cameron, E.(1978)Supplemental ascorbate  in the supportive treatment of cancer. Proc.. Natl. Acad. Sci.USA75:6252.


コラーゲン増強による硬ガンへのビタミンCの作用 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-19 11:04:27 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ビタミンCはコラーゲン(硬蛋白質の一種)の形成に必要で、プロリン(コラーゲンを形成するアミノ酸の一種)からハイドロキシイープロリンへの水酸化に必要とされ、コラーゲンの構造上の成分に必要とされます。

これらのことから、ビタミンCは、ガンに対し、防御を強めるためのカプセル包囲化に必要とされ、かつ、悪性新生物の侵襲に対する線維壁の形成にも必要とされます。このプロセスでは、コラーゲン繊維の堅く組み合った障壁の網の目に入った、少数の、孤立した、生きたガン細胞が存在します。ビタミンCは、これら萎縮性硬ガンに対しても有効に作用します。

また、ビタミンCは、局部的組織レベルでは、間質物質の統合性を維持するのに必要で、悪性侵襲性増殖に対する抵抗性に必要です。さらに、膠質原線維発生にも必要です。これらの理由から、ビタミンCの適切な供給は有効な間質反応を続けるため必須です。そして、密な線維組織に対し、相対的に、不透膜において悪性のプロセスをカプセル化するため、宿主の潜在している能力を引き出すことは必要です。このように、ビタミンCの食事性効果は、最小の間質反応を伴った、柔らかい細胞の急速に増殖しつつある強い侵襲性新生物を、限定された増殖と制限された侵襲を伴った硬く包まれた、カプセル化された硬ガンへ転換さす決定因子である可能性があります。さらなる研究の積み重ねが期待されます。

References
Cameron. E. Chemi-Biol Interactions. 9(1974)
Margelli San. Science.Vol212,Number5,Page1126~1127,1980



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食物線維のガン予防効果の研究について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-04-09 16:47:25 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
昔の日本人は、食事において食物線維を多く含む食事を摂取していました、従って、大便の量も多く、大腸ガン患者も少なかったと言われています。しかし、近年、食生活の欧米化により、その内容も大きく変化し、大便の量も減少してきたと、報告されています。

バーアキット博士の研究によると、食物線維は、大腸ガン防御効果の可能性があることが、広く注目されるようになりました。食物線維欠乏食は結腸ガン、虫垂炎、大腸憩室病、潰瘍性大腸炎、また腺腫性茸腫などのある種の大腸疾患に対し、一般的、基礎的因子であることが報告されています。

疫学的追加データは食物線維摂取の減少と結腸ガンの発症率の間の相関を示しています。さらにラットでの研究によると、食餌性セルロースが減少するに従って、小腸の化学的発がん数は増加することを示していました。低食物繊維食は、便秘を促進させ、便秘は腸管の細菌の繁殖、そして胆汁塩が腸内悪玉菌の作用により発がん物質になり、発がんの可能性に時間を与え、さらに、発がん物質と腸管粘膜の間に、より長い接触時間を与えています。

しかし、食物線維は、食べた食品の腸管通過時間を短くし、腸管の発がん物質への暴露時間を少なくします。食物線維成分の水との結合により、促進される環境では、その容積が増大し、また、食物線維から揮発性脂肪酸の細菌による産生により、下剤効果を高めます。さらに食物線維が潜在的発がん物質の形成を減少させます。そのような経路では、胆汁塩代謝に影響するメカニズムが存在すると、考えられます。これは胆汁塩、コレステロール、そして、それらの変性産物、そして、それらの変性産物、およびステロールの排泄の増加などを通じて完了する可能性があります。

食物線維が結合水に対し、その拡張効果と拡張能力により、潜在的発がん物質を薄め、ステロール、胆汁酸、および脂肪は、溶媒様効果を拡大させうるメカニズムが存在すると、考えられます。食物線維が腸管細菌叢に影響し、細菌による、より少ない胆汁酸塩への低下をもたらすメカニズムが存在すると、考えられます。

また、食物線維は、動脈硬化、2型糖尿病の予防にも有益との報告もあります。南アフリカのバンッー族は欧米人に比べて心臓病、脳卒中が極めて少なく、このことは、食生活において、1日あたりの食物線維の摂取量が、欧米人に比べて4~5倍であるからだと言われています。また、大便の排泄量も欧米人に比べて多いと報告されています。その理由として、食物線維には、動脈硬化の原因物質の悪玉コレステロールを吸着して、体外に排泄する作用があるからだと言われています。また2型糖尿病に対する効果では、食物線維が糖質を吸着し、インスリンの効果を高めるからだと言われています。なお、食物線維は、野菜、豆類、リンゴやバナナなど果物、イモ類、海藻類、精製度の低い穀類などに多く含まれています。

References
Alcantara and Spekman. Diet , Nutrition,and Cancer.Page1040
George E. Berkley. CANCER: How to prevent it&how to help your doctor fight it. Prentice-Hall, Inc.1978






Newbold医師とLent 医師のビタミンC点滴療法について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-25 16:03:34 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ガンへのビタミンC療法は、点滴と経口投与とそれらの併用投与があります。Nw YorkのNewbold医師は、患者AにビタミンCナトリウムを点滴で女性ガン患者に点滴で投与を始めました。 なぜかと言うと、大量のビタミンCの経口摂取により、吐き気を訴えたためです。従って、最近では、医師はビタミンCナトリウムの点滴に加えて、酸性の強いビタミンCより胃に優しいタイプのバッファードビタミンCを併用しているようです。これらの併用により、ガン患者は、副作用の害から逃れられるようです。

オーストラリアのLent医師によると、ガン患者のB婦人は、45g/日のビタミンCを経口摂取し、続いて60g/日のビタミンCナトリウムの静脈点滴を受けました。3ヶ月で総計9kg摂取しました。なお、1リッターの乳酸リンゲル液にビタミンCを溶かし、点滴しました。結果は、患者の肺がんは増殖を停止し、胸痛も観られなくなった。

なお、Newbold医師やLent医師らの点滴療法と経口投与併用療法では、明らかな副作用は、経口投与での吐き気と胃部の不快感以外、確認されず、患者も点滴と経口投与を併用する方が、お互いのデメリットを相殺できるので、体の負担が軽減できると、報告しています。更なる症例の積み重ねが望まれます。

References
H.L. Newbold, M.D. VitaminC against Cancer. STEiN anD DAY/Publishers. 1979
L.Pauling and E.cameron. Cancer and VitaminC.Linus Pauling Institute of Science and Medicine. 1979