医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

食事性ビタミンCの摂取を増やすと、心臓病、脳卒中発作、ガンの発症のリスクを軽減します。栄養医学ブログ

2012-08-31 23:06:37 | 健康・病気

食事性ビタミンCの推奨栄養所要量を増やすと、心臓疾患、脳卒中発作、ガンの発症を減らす事が出来ました。推奨栄養所要量のビタミンCは、あるべき値の半分以下だ、と研究者は最近、主張しています。なぜなら、医学の専門家は、医薬品と同じ方法で天然の、重要な栄養素の効果を評価することを主張し、結果として誤った結論に達しています。モーテル博士の"ビタミンCの抗ガン作用に関する研究"やビタミン類の効果の疫学的研究など。このように、医薬品と同じ方法で効果を試験し、誤った結論を導いた論文は、数万件有ると言われ、問題になっています。

なお、食事性ビタミンCとは、食事の野菜、イモ、豆、果物などから摂取されるビタミンCのことです。

Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌上で研究者らは、成人女性75mg/日、成人男性90mg/日のビタミンC栄養所要量を、200mg/日まで増やすべきで、強い証拠がある、と述べています。

壊血病のようなビタミンC欠乏性疾患を防ぐより、むしろ細胞や組織を飽和するビタミンCの血中最適値を探したり、リスクを論議することが必要です。ほとんど費用がかからず、公衆の健康に著しい効果を有する可能性があります。しかし、モーテル博士の場合のように、つぶしにかかるバックが存在します。

この論文が一般的常識となり、すべての科学上の証拠を調査し、本来、無効になる、いくつかの臨床上の試行にめげず、前進する時期です、とライナス・ポーリング研究所のBlalz Frei博士は述べています。

米国と他の国々では、かなりの数の人々がビタミンC欠乏症で、ビタミンCのより多い摂取は、慢性疾患の予防に有益であるという、証拠が増えつつあります。

臨床研究家が、現在、微量栄養素を研究している方法は、医薬品を試験するために用いている、フェイズ3の無作為プラセボ対照試験と同じ方法です。こんな方法では、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養素の有益な効果を発見することは不可能です。このことは人類の不幸につながります。

処方医薬品の安全性、もしくは機能を試験するのではなく、ヒトの体にすでに存在し、正常な代謝に必要な物質(栄養素)の疾患予防の能力を証明するのに、医薬品の臨床試験法は適切でありません。慢性病のリスクを低下さす、微量栄養素のメリットのいくらかは、ビタミンCの最適量の長年にわたる摂取後のみ示されます。すなわち、ビタミンCの効果は、モーテル博士の研究のように短期の、医薬品の臨床試験法と同じ方法では、わかりません。

体の代謝上、薬物動態学上、実験上、そして人口学上の研究では、ビタミンCの血中高値は、今日、先進国の人々を殺す慢性疾患(心臓病、脳卒中発作、ガン、高血圧、慢性炎症、免疫反応不全、それにアテローム性動脈硬化症などを発症させる、隠れた問題など)を減らすのに役立ちます。なお、"ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法"のCD/DVDを希望者に実費でお分けします。日本ビタミンC研究会に申し込み下さい。

References

Increased Recommended Dietary VitaminC Could Help Reduce Heart Disease, Stroke, Cancer: Science Daily ,July 16,2012

ガンと栄養:藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1981

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法、藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982

 

 

 

 


喫煙による肺癌と野菜・果物・お茶のフラボノイドについて 栄養医学ブログ

2012-08-30 23:29:13 | 健康・病気

野菜、果物を毎日多めに摂取し、緑茶、紅茶を飲む喫煙者は、肺癌に罹りにくい可能性がある、とカリフォルニア大学のZhang博士らは研究・報告しています。その研究によると、喫煙者の食事の中に、フラボノイドと呼ばれる栄養物質を摂取した喫煙者は、肺癌の進行リスクが低くなります。ちなみに、肺癌の90%以上が喫煙の結果、発症すると報告されています。彼らの発見は大変関心を引いています。そして、いろんな種類のフラボノイドの摂取が、喫煙者の肺癌のリスクの低下と結び付いている、とZhang博士らは述べています。

フラボノイドは、抗酸化作用と抗炎症作用を有する水溶性色素(栄養素)で、その両作用は組織のダメージを少なくします。Zhang博士らは、肺癌患者558名と肺癌でない837名を調査し、彼らの食事歴を調べました。その結果、ある種のフラボノイドを含む食物を食べた被験者らの研究では、肺癌の進行が防がれるようです。もっと強い防御作用を有すると思われるフラボノイドにはカテキンがあり、イチゴ、緑茶、紅茶などに含まれ、Kaempferolは芽キャベツ、リンゴなどに含まれ、ケルセチンは豆類、玉ねぎ、リンゴなどに含まれます。禁煙が一番いいのですが、野菜・果物を多めに摂取することもガン予防に有益なことが、多くの疫学研究で証明されています。なお、当方の調査でも、野菜・果物を多く摂取し、緑茶を多く飲み、肉類・油脂類の摂取が少ないヒトは、ガンに罹りにくい結果が出ています。

腫瘍が進行し、血管新生のプロセスを進め、拡大することから、血管形成をブロックすることにより、フラボノイド類は、肺癌に対し防御作用を有します。ガン細胞の増殖に対し、プログラム化された細胞死やアポトーシスを起こすことにより、フラボノイド類はガン細胞の増殖をストップさせます。また、喫煙によるDNAの損傷を防ぐべく、働く可能性があります。このことが、フラボノイドが喫煙者の肺癌の進行に影響するが、非喫煙者には影響しない理由の説明となっています。

抗酸化栄養素(フラボノイド)は喫煙により生じた障害を減らすべく、働く可能性がありますが、更なる研究と追試が必要と考えられます。なお、野菜や果物の抗腫瘍効果は、フラボノイド以外にビタミンCなども関係している、と考えられます。

フラボノイドのガン防御作用が、他の喫煙と関係したガン(膀胱がん、頭・頸部ガン、腎臓ガンなど)に拡大されるならその研究も行うべき、と考えられます。

References

Fruits,Vegetables And Teas May Protect Smokers From Lung Cancer: Science Daily, May 31,2008

ガンと栄養: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1981

 

 


ピロリ菌が原因の胃ガンの予防とビタミンCについて 栄養医学ブログ

2012-08-27 18:39:33 | 健康・病気

食事性ビタミンCや栄養サプリメントによる還元型ビタミンC(VC)の摂取を増やすと、胃ガンを防ぐのに役立つ可能性があることが、サンフランシスコVA医療センターの研究で明らかになりました。以前にも、これに関しての多くの研究で、このことが証明されていますので、今回は追試になります。以下、VCは還元型を表します。

血中VC値が低ければ、それだけピロリ菌に感染しやすくなります。なお、ピロリ菌は、胃潰瘍と胃ガンの発症の原因となります。現在の研究では、胃ガンの発症の約80%がピロリ菌が関係していると、報告されています。

VC値とピロリ菌の感染の間の関係を調べるべく、大規模な研究が第3回米国国家健康・栄養調査により、約7000人の成人からの血液サンプルが、無作為に集められました。Joel Simon博士らの研究によると、子供時代のピロリ菌の初期感染をビタミンC(VC)が予防できるかどうかは、はっきりしておらず、このデータは、VCと細菌感染の関係を説明するのには、役立ちません。

感染が血中VC値を低下させ、より高い血中VC値が感染を防ぐかどうか、はっきりしていません。しかしながら、動物のモデルを用いた研究のいくらかでは、適切量のVCの摂取は、ピロリ菌などの細菌感染を減らす可能性があることを、示唆しています。VCの血中値を低下さすものは感染であっても、ピロリ菌が陽性の人は、VCの摂取を増やすと寛解がもたらされると、Simon博士らは報告しています。VCの血中高値は、胃潰瘍と胃ガンを防ぐ可能性を有することです。

1982年、研究者らは、ピロリ菌が胃や十二指腸の内層で見出され、消化性潰瘍の原因になることを発見しました。さらに最近、ピロリ菌は胃ガンと関係が有り、特に命に関わるガンと関係が有ることが判明しました。90歳の老人達と2ケ月の乳児の血液サンプルのピロリ菌を調べました。6746名の被験者の約32%がピロリ菌の抗体が陽性でした(感染しているか、感染したことがありました)。そのことは、免疫システムがピロリ菌に対し、以前に攻撃をかけたことを、示していました。陽性を示したヒトの半分以上は、特にピロリ菌の毒性を示す菌株による感染の証拠を示していました。

彼らは、これら被験者の血中VC値を分析しました。年齢、民族的背景、体重、その他の因子を考慮に入れると、高い血中VC値の白色人種は、約25%の有病率であることが、判明しました。

野菜や果物の摂取は、ガンとそれによる死亡率のリスクの減少に関係していることが、いろんな研究で示され、さらに、心臓保護作用が有ることが判明しています。VCは、ピロリ菌の感染を予防するのに役立ち、ピロリ菌の感染による作用を減らすのに役立つようです。

なお、食事性ビタミンC(野菜、果物など)を多く摂取することを基本に、栄養サプリメントによるビタミンCを補完的に摂取することは、ピロリ菌対策に重要と考えられます。当方の少数のヒトでの調査では、食事性ビタミンCを多く摂取し、補完的に1g/日のビタミンCサプリメントを摂取すると、ピロリ菌は陰性でした。更なる追試により、VCのピロリ菌に対する抗菌作用が明確になることを、期待しています。なお、ビタミンCの抗菌作用や抗ウイルス作用は、すでに証明されています。

話は変わりますが、インターネットによると、福島県の18歳以下の人々の甲状腺を調べた結果、その36%に甲状腺の"しこり"が認められ、このことが福島第一原発の爆発による放射線被曝との関連が指摘されていますが、当方の総合的見解では、限りなくクロに近い、と考えています。また、印刷工場の洗浄剤と胆管ガンの発症の因果関係は、同じく限りなくクロに近い、と考えています。いわゆる化学物質による発ガンの一種、と考えています。そして、ビタミンCを始め、抗酸化栄養素による予防・治療と食生活の改善が、それらの進行を防ぐのではないか、と考えています。なお、ガン患者の食生活の改善に関しては、以前のこのブログで紹介しています。

References

VitaminC may prevent stomach canncer: Food navigator.com,05-Aug-2003

VitaminC can curb cancer growth: Earth Times,2011

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法:藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982年

 

 


喉頭・頸部ガンの新治療法について 栄養医学ブログ

2012-08-22 18:21:46 | 健康・病気

Queen's大学のDennis McCane博士らの研究では、ガンそれ自身の治療と同様、ガンの周辺の非ガン性組織を標的にしました。喉頭ガンと頸部ガンの周辺の非ガン性組織もしくは間質組織は、ガン細胞の転移の制御に於いて、重要な役割を演じます。なお、このことは、今までの考えと違った発想です。

非ガン性組織を標的にすることにより、隣のガン細胞による侵襲を非ガン性組織が受けるのを、防ぐことができました。Dennis McCance博士らの研究では、腫瘍のガン細胞とその周辺組織の非ガン性細胞の間の2経路の伝達の結果、転移します。ガン細胞は、周辺の健康な組織を侵襲するよう、本来、プログラム化され、そのことは、ガン細胞が侵襲するよう積極的に仕向けています。これらのメッセージが、健康な組織からガン組織に送られ、そのスイッチをオフにできるなら、その時、ガンの転移は阻害されます。この発想により、ガンの正体が理解しやすくなります。

Dennis McCane博士らが発見したことの要約は、非ガン性組織が、健康な組織とガン組織の間の伝達経路を開いたり、閉じたりする能力を有することです。非ガン性組織の網膜芽細胞腫蛋白質(Rb)が活性化される時、このことが、ガン細胞の侵潤を促進する因子の減少をもたらします。それ故、ガンは転移しません。

Rb蛋白質は、ガン組織と非ガン性組織の両方に見出されます。腫瘍内からガン細胞の増殖を制御することの重要性は、すでに十分立証されています。しかし、ガンの転移を促進する場合か、しない場合において、健康な組織に見出されるRb蛋白質の機能を確認したのはMcCane博士らが初めてです。なお、追試により、この仮説が証明されることを期待しています。

喉頭・頸部ガンの周辺で見出される間質組織を再生するため、McCane博士らが培養した三次元組織サンプルを用いて、その研究は実施されました。ガンに対する現在の治療法は、ガン細胞が転移する前にガン細胞を殺すため、腫瘍そのものを標的にし、焦点を合わせています。ガン自身ではなく、腫瘍の周りの正常組織を標的にする、新しい治療法を開発するためのチャンスを、McCane博士らの発見は与えています。

Rb蛋白質によりコントロールされた経路を、特に標的にすることにより、ガン細胞が侵潤するのを促進させるメッセージをスイッチオフにし、腫瘍の転移を阻害さすことは可能に違いありません。また、他のタイプのガンの周辺の健康な組織のRbもしくは他の蛋白質が、ガン細胞の転移の制御において、同じような役割を演ずる可能性も有ります。さらに、ビタミンCを始め抗酸化栄養素がこれらのメカニズムと関係しているかどうか、今後の研究課題となっています。

Reference

More Effective Treatment for Throat and Cervical Cancer?: Science Daily, Aug.8,2012

 

 


ガンの温熱療法とそのメカニズムについて 栄養医学ブログ

2012-08-21 19:44:57 | 健康・病気

Bangor大学の研究により、温熱でもってガンを殺すのに役立つ、細胞の中のスイッチが確認されました。前立腺ガンとその他の局在化したガンは、遺伝子にダメージを与える抗ガン剤と温熱の併用により、有効に治療できます。この新しい治療法の裏には、ヒトの癌細胞にとって不可欠な生存メカニズムのスイッチを切るべく、温熱の謎めいた能力があります。温熱療法は、現在では広く利用されているけれども、その隠された原理は未だ、明らかにされていません。

the Journal of Cell Scienceに載った研究では、新しい蛋白質の産生を促進することにより、温熱が、これらヒト細胞の生存メカニズムを調整することが、報告されています。興味あることには、この蛋白質は、体温を上げることによって、他の遺伝子の中に隠されている遺伝子を活性化する時だけ、産生されます。

ゲノム生物学研究者のThomas Caspari博士によると、この発見は、木製の大きい人形の中に、大きさが違った人形が入っているロシアの人形を思い出させます。筆者も知人宅で、その人形を物珍しそうに触って、中の大きさの違う人形を出したことがあります。これと同じように、その隠された遺伝子の存在は、ヒト遺伝子が最初に考えられたより、もっと少ない数の遺伝子を有している理由の説明となる可能性が有ります。このメカニズムの発見は、更なる温熱療法の改善に役立つ可能性を提供するものです。

現在の温熱療法は、ガン患者に聞くと、体の負担が大きいようです。しかし、更に体の負担を軽減したマイルド温熱療法も開発され、ビタミンC点滴療法と併用して、臨床に用いている医師も増えてきているようです。今や温熱療法は、ガン治療では一般的ツールとなっているようです。

Reference

How Heat Helps to Treat Cancer: Science Daily , Aug. 8, 2012

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログで見られます。